溶ける病

最近はめっきり平和になったものだ。
ミニ八卦炉でお湯を沸かしながら、魔理沙は思った。
カップにインスタントのコーヒーを入れお湯を注ぐ。朝の陽光の下、部屋に香ばしい香りが広がる。
椅子に腰かけ、舌がやけどしないように、ふぅふぅと息で冷ましながらコーヒーをすする。


「今日は、どこに行くかな」


アリスの焼いたクッキーをかじりながら、『文々。新聞』をバサリと開く。


「ぶっ、げほっげほ……」


一面の記事を目にし、思わず咳こむ。


「マジかよ……」


紙面には��河城にとり変死�≠ﾆでかでかと書いてあった。
魔理沙は記事に書かれた文字を目で追う。


��今朝未明、河童の河城にとりさんが自宅で亡くなっているのを、近所に住む河童の女性が発見した。遺体は布団の中でドロドロにとけており、死因は不明。現在、永遠亭の八意永琳氏の協力のもと原因究明をおこなっている。河城さんは……��


「にとりが……死んだ……」








魔理沙は妖怪の山に向かって飛行していた。
にとりが死んだと知り、いてもたってもいれなくなったのだ。どういった経緯で亡くなったのか、どうしても知りたかった。
妖怪の山の近くまできたところで、新聞を書いた記者……射命丸文を発見した。


「おーい、文！」
「あやや、魔理沙さんじゃないですか」


文は飛ぶ速度を落し、ゆっくりと魔理沙の横につく。


「にとりが死んだって……ホントなのか？」
「流石の私も面白半分でこんな記事かきませんよ」
「そうか……で、死因は何かわかったか？」
「いえ、それがまだ。永琳さんが色々調べてくれてるみたいですが……」
「……」
「まあ、私も現場を見てきたんですが……久々ですね。死体を見て吐きかけたのは……」
「ドロドロに溶けてたって書いてあったが、どんな感じだったんだ？」
「……見ます？」
「え？」


文はポケットをごそごそとさぐりながら、魔理沙に聞いた。


「頭潰されたり、全身めった刺しとかはわりかし平気なんですけどね……これは、ダメでした」


数ある写真の中から一枚とって魔理沙によこす。


「うっ！」


写真に写っていた遺体は、ほとんど原形をたもっていなかった。皮膚は溶けたチーズのようになっており、薄くなっているとこからは内臓が透けて見える。顔はぐちゃぐちゃに崩れ、赤黒く変色した眼球が飛び出していた。かろうじて彼女のものと思われる水色の髪が見て取れるもののこれが、にとりだとは言われなければわからない。四肢はゲル状になっており、嫌な光沢がある。重力に耐えきれなかったのだろう……こぼしたように広がり、所々布団の外にも吐瀉物のような肉が垂れて流れていた。


「おげぇええ」


魔理沙は今朝食べたご飯とみそ汁をその場で戻した。


「あやや、やっぱきつかったですか」


文は魔理沙のさすりながら、降りて休めそうな場所に誘導する。


「わるい……」


魔理沙は申し訳なさそうに文に謝る。


「いえ、私も配慮が足りなかったです。いきなりこんな写真を見せてしまって申し訳ないです」
「……自殺では、ないよな」
「私ならこんな死に方はしたくないですが……気になりますか？」
「……」
「にとりさんの宅からあなたの写真が大量にみつかったんです。よければ、彼女との関係を教えてもらえませんか？」


文は手帳とペンをとりだし、魔理沙がしゃべるのをまつ。
魔理沙は暫く下をむいて黙っていたが、意を決してしゃべり始めた。


「にとりとは、地霊殿に行って以降、ちょくちょくあってたんだ」
「ふむ」
「一緒に酒のんだり、香霖のとこで買った珍しい機械の使用法を一緒に調べたり、ああ、二人で温泉にもいったな」


文はさらさらっとペンを走らせ魔理沙の言ったことを手帳に書きしるす。


「私はいい友達ができたくらいに思ってたんだ。でも、にとりは違った」
「……」
「あいつは、その……私に対して恋愛感情を持ってた」


苦しそうな表情でゆっくりと息を吐くと魔理沙は続ける。


「私が他の女友達としゃべってると割って入ってくるし、酒飲んでるときにはキスをせがまれた。」
「ほう、したんですか？」
「……あんましつこかったから、一回だけ」
「なるほど……」
「日に日にあいつの行動はエスカレートしていって、会う度に抱きついたりほっぺにチュウとかしてきて……私も流石にうんざりして、にとりのこと避けるようになったんだ」
「ふむふむ」
「そしたら、だんだん、ストーカーのようになって、光学迷彩でつけてきたり、私の家に盗聴器とかしかけたり……当然、私はキレた。にとりに掴みかかって、なんで、こんなことするんだって詰め寄ったんだ」


魔理沙は額に手をあて、俯く。


「魔理沙が付き合ってくれないから……そう言ったんだ」
「なんて、答えたんですか？」
「私は、レズじゃない。同姓に興味ないし付き合うとかできない。第一子供とかできないし、女どうしでつきあってたら回りからへんな目で見られるし、とにかく、ダメだって言った。でも、あいつもなかなか、あきらめようとしないでさ……その、カッとなって言っちゃったんだ」
「……なんて？」
「キモい、もう二度と近づくなって……」


そう言った、魔理沙の声は震えていた。


「それから、もう半年以上にとりとはあってない。嫌がらせもなくなった」
「そう……ですか」
「ちょっと、きつく言いすぎたと思ってる。仮にも私に好意をもってくれてるやつにさ……いつか謝って、また一緒に酒とか飲めたらなって……思ってたんだけど、もう無理だな……」


魔理沙は泣いていた、ポケットからティッシュを取り出すと涙をぬぐい鼻をかむ。
落ち着いたのを見計らって、文が話しかける。


「それで、にとりさんが自殺したんじゃないかって心配になったんですね」
「うん……」
「そうですか。ありがとうございます。今のとこ遺書も見つかってませんし、自殺の線は薄いと思いますよ」
「はは……なんか、文のことだからもっとづけづけと聞いてくるかと思ったが、やさしいじゃないか」
「一応これでも取材にかんしては紳士的な態度で臨んでいるんですがね」


文は、また、今度お話を聞かせて下さいと言い残すと、飛び去った。
魔理沙は、にとりの家に寄ってみようかと近くまできたのだが、立ち入り禁止になっていたのであきらめた。
あの、写真を見たせいかあまり近づきたくはないと思っていたので、帰る理由もできて調度いいかと心のなかで思った。
今日はもう、何かする気分ではない、家でパチュリーから借りてきた本でも読んで過ごそう。そう思い魔理沙は箒にまたがった。
その時だった。


チャ・・・チャ・・・


(ん、何の音だ？)


奇妙な音が聞こえてくる。


チャ・・・チャ・・・チャ・・・


それは、同じようなリズムでだんだんと近づいてくるようだった。


(なんだか気味悪いな……とっとと帰ろう……)


結局その日は帰ってから一歩も外には出なかった。
食欲もほとんどわかないので、残ったみそ汁一杯を昼食にした。
夕食は食べなかった。


(にとりはなんで死んだんだろうか……実験の失敗かな……私の事恨んでたかな……)


ベッドに入ってからはそんなことばかりを考えていた。
謝れなかった後悔。にとりに深いショックを与えてしまった罪悪感。そして、にとりの死に対する悲しみ。
灯りを消した部屋で毛布にくるまっていると、それらがドッと押し寄せてきた。


「魔理沙……」


(にとり！)


にとりが枕元に立っていた。悲しげに魔理沙を見下ろしている。


「酷いよ……私はこんなにも魔理沙のことを思っているのに……」


にとりは魔理沙に馬乗りになる。


「ねぇ、責任とってよ……」


にとりの顔がゆっくり近づいてくる。
鼻が触れ合うか触れ合わないかくらいまで、にとりの顔がせまる。
が、次の瞬間。
にとりの顔はどろりと溶けてただれ落ちた。
赤黒く変色した。目玉が魔理沙を睨んでいた。
むき出しになったあごの骨を動かし呪詛を紡ぐ。


「死ね……」


「うわああああああ！！」


魔理沙は跳ね起きた。パジャマは汗でグッショリと濡れていた。


(夢か……)


パジャマを脱ぎ、洗濯機に放り込む。
窓の外を見るとすでに日は高く、もう昼近くだとわかった。
気分を変えるためコーヒーを入れるお湯をミニ八卦炉で沸かす。その間に、新聞を取ってこようとポストをのぞく。


(あれ？おかしいな)


毎日は朝入っている『文々。新聞』が入っていない。
一応、彼女と親交もあり、毎日購読している自分のところに配達し忘れるだろうか？
もしかして、今日はたまたま休みなのかなと勝手に納得する。
コーヒーを飲み終えると、いくらか気分はすっきりしていた。
霊夢と弾幕ごっこでもしようと神社に向かう。


神社に行くと、霊夢と紫が話し込んでいた。


「よう、何話してたんだ？」
「あ、魔理沙……聞いた？文が亡くなったって」
「え！？文が？」


一瞬悪い冗談かと思ったが、今朝新聞が入っていなかったし、恐らく、真実なのだろう。


「死んだって……いつ？」
「昨日よ。妖怪の山の近くの森で変死体で発見されたのよ」
「変死体ってどんな……」
「全身がどろどろに溶けてたらしいわ」
「にとりと同じ死に方だ……」
「ええ、文だけじゃなくて他にも二人同じ死に方をした者がいたの。それで今、異変じゃないかって紫と話してたのよ」
「もしかしたら、新種の病かもしれなしわね」


もし、そうなら、文はにとりの自宅に入った時に感染していたのだろうか……
突如不安になる。


「永琳はなんて言ってるんだ？」
「今のところ、それらしい、ウイルスや菌は見つかってないとのことよ」
「メディスンやヤマメも読んで、色々試しているみたいだけど……」


どうやら、昨日から捜査は進展してないらしい。


「こればっかりは私たちではどうすることもできないわね。専門家に任せるしかないわ」
「じれったいわね……何もできないなんて」


霊夢も紫も、何もできないことに苛立ちを感じていた。


「あのさ、昨日私、にとりの家の近くまで行ったんだけど……やばいかな」
「……ちょっと、勘弁してよ〜」


霊夢が嫌そうな顔をして、少し後ずさりする。


「やっぱ、永遠亭に行って検査してもらったほうがいいかな？」
「その永遠亭で今ドロドロに溶けた死体を調べてるのよ。それに、まだ原因も何もわかっていないんだから、検査のしようがないわ。今は、感染を広げないために自宅にこもってなさい」
「わかった……」
「まあ、にとりを発見した。河童の女性もなんともなかったみたいだし、きっと大丈夫よ」


気休めで言ったのかもしれないがそれをきいて、少しホッとした。


紫に言われた通りこの日も家に籠る。
魔法の実験をしようかとも思ったが材料が手元にないので断念。
仕方なくまた本を読む。
パチュリーから借りた本は堅苦しい本ばかりだ。
文の新聞のくだらないゴシップが恋しい。


(結構いい奴だったよな……)


本の内容はほとんど頭に入ってこなかった。
日が沈み、辺りを静寂と闇が包む。
ランプの灯りをただジッと見つめる。
人間、一日に他人と会話することにより、得られる栄養素の様なものがあり、それが足りないと精神が不安定になる……そんな気がする。
最近は、楽しい会話がほとんどない。
ふと、部屋を見渡して自分が一人なのを確認すると得体のしれない怖気が襲ってくる。
眠って朝を待とうと、そそくさとベッドに入り、灯りを消す。


この日も夢を見た。


「魔理沙……」


にとりが追いかけてくる。その動きは極めてゆっくりでゾンビをほうふつさせる。


(やめてくれ)


「まってよー、魔理沙ー」


(くるなー)


必死に逃げるのだが何故かうまく足が動かない。
見ると、足が溶けだしている。


(うわっ)


とうとう、足は崩れ転んでしまう。


「やっと、追いついたよ。魔理沙。ひどいよ魔理沙。にげるなんて。魔理沙は私からは逃げられないんだよ。ねぇ魔理沙。魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙魔理沙まりさ……」


にとりの体はドロドロと溶けていった。
溶けながらもなお魔理沙の名前を呼び続ける。


「ま……り、さ」


ここで、目が覚めた。
脈が速い。息が熱い。頭がぼーっとする。
明らかに熱がある。


(まさか、私も感染したんじゃ……)


そう考えると心臓の鼓動はますます早くなり、呼吸は浅くなる。


「え、永遠亭にいかないと……」


魔理沙はパジャマのまま箒にまたがると、まだ夜が明けきっていない暗い空へよろよろと飛び立った。


永遠亭の門を叩くと鈴仙が出迎えた。


「な、なんでか熱があるんだ。体がだるいし、喉も痛い……もしかしたら、おとついにとりの家に近くに行ったとき感染したのかも……いや、文とあったときかな」


鈴仙の顔を見るなり自分の症状を訴えた。
魔理沙のあわてぶりに鈴仙も少し驚いたが、勤めて冷静に魔理沙を永琳のもとに案内した。


「ただのウイルス性の風邪ね。薬を飲んで一日安静にしとけば治るわ」


診察室で色々調べられた結果、永琳にそう告げられた。


「ホントにただの風邪なのか？」
「ええ、ヤマメもそう言ってるし間違いないわ」


うんうんと、横でヤマメが頷く。


「そ、そうかぁ……風邪かぁ」
「一応血液検査もしとく？」
「うーん、じゃあ、お願いするぜ」


永琳は、ゴムを魔理沙の腕に巻きつけ、さっとアルコールのしみ込んだ脱脂綿で浮き出た血管の周りを拭き、注射器をスッと刺し採決する。


「その、病気の原因はわかったのか？」
「いえ、残念ながら、まだわからないわ。こんな症状はじめてよ……どう対処していいやら」
「ウイルスとかじゃないのか？」
「おそらく、ウイルスや菌が原因ではないと思うわ……」
「毒か？」
「毒物の影響も調べたけどあんな状態になるものは見つからなかったわ。」


月の頭脳とさえ言われた永琳ですらお手上げの様子だった。


「でもきわめて近いものなら見つかったわ」
「え？」
「放射能よ」
「放射能？」
「ええ、放射能をあびると染色体が破壊され細胞分裂ができなくなるの……そうすると最初に一番寿命の短い皮膚細胞から死滅して、ドロドロにとけるの……その次に筋肉細胞が、心臓細胞や神経細胞、内臓系は寿命が長いから最後まで残る。そうすると調度あんな風になるのよ……」


魔理沙は写真を思い出し思わず身震いする。
言葉で説明されただけですっぱいものが口にこみあげてきた。


「じゃあ、放射能をあびてにとりや文は死んだっていうのか？」
「いえ、まだはっきりとは……妖怪の山やその付近でこういう症状をおこすほど強い放射能を発する物質は見つかっていないし、にとりのラボからも強い放射能を出す機械は見つかっていないわ。それに放射能の影響でああなったかもまだはっきりしない。現在調査中よ」


これからも調査は続けるわと永琳は言ったが、その顔からは普段の彼女の余裕や自信は感じられなかった。


「じゃあ、風邪薬出しとくから、飲んでゆっくり休んでなさい。くれぐれも勝手な行動はとらないでね」


永琳は、そう念を押すと、風邪薬を魔理沙に渡した。


風邪薬を飲んで、一晩寝るとすっかり、良くなった。
睡眠が深かったのだろう。今回はいやな夢は見なかった。


(永琳はジッとしてろって言ったが……犯人を黙って見過ごすわけにはいかないぜ)









魔理沙は地霊殿にいた。
放射能と聞いて真っ先におもいうかんだのが霊烏路空だったからだ。
今回の異変は彼女の能力のせいではないかと魔理沙はにらんだ。


「お空が犯人だと……そういいたいのですね」


地霊殿の主、古明地さとりは不機嫌そうに魔理沙をにらむ。


「ああ、にとりは核の力に興味を持ってたし、空の力なら、烏天狗とも渡り合えるだろ」
「残念ですが、うちのお空は地底から出てませんよ。それに、放射能に関しては、守矢の神様が漏れ出ないようにうまいことしてくれたんです。でなければ、彼女と戦ったあなたが無事でいられるわけがないでしょう」
「前まではそうだったかもしれないが、今はなんかの弾みで放射能が出るようになってるかもしれないだろ？それに、お前に隠れてこっそり地上を出入りしてるかもしれないじゃないか」
「あの異変以来、私はお空の行動には常に気を配ってきました……お燐にも監視させてますし、そんなことありえません」
「じゃあ、そのお燐も共犯だ」
「いい加減にして下さい！何のためにうちのペットたちがそんなことしなければいけないんですか！？お空はそのともかく……お燐は賢くて良識のある子です。そんなことをお空に許すはずがありません」
「まあ、いいさ本人に直接聞けば何かわかるかもしれない」
「そんなこと……させませんよ」


二人はにらみあい、対峙する。


「はーい、ストップ」


突如空間が割れ、紫が止めに入る。


「やっぱ、きてたのね。魔理沙。昨日永琳がもしかしたらって話してくれて助かったわ」
「放射能っていったら空しかいないだろ！あいつがにとりや文を殺したんだ！」
「あなた……これ以上うちのペットをバカにしたらただじゃおきませんよ」
「まあまあ、さとりさん。ここは私の顔に免じて許してあげて。この子も大事な友人を失って気が立ってるのよ」
「……わかりました。彼女の気持ちもわからないでもないですからね」
「ありがとう、さとりさん。さあ、帰るわよ」
「ま、まてよ。空に話だけでも……」
「彼女は白よ、映姫が浄瑠璃の鏡で確認したわ……あなたが考えつくことくらいすでに私たちがやっているのよ」


紫に手を引かれスキマに入る。
ぶつけどころを失くした怒りだけがぐるぐると頭のなかで空回っていた。








それからも死者は毎日一人か二人ほどのペースで出続けた。
死亡者たちだけの共通項はいまだみつからない。種族も性別もバラバラ。
何も進展がないままにとりが死んでから十日が過ぎようとしていた。
魔理沙は依然悪夢に悩まされていた。安眠できたのは風邪で寝込んだ時を除けば一回だけ。
毎日どろどろに溶けたにとりが表れ魔理沙、魔理沙と呼ぶのだ。
永琳にはＰＴＳＤではないかといわれた。


「大丈夫？あんまり思いつめないほうがいいわよ」


アリスはハーブティーを進めながら魔理沙を気遣う。


「……ああ、ありがとう……」
「いろいろ大変だったわね……あの子のことも残念だったわ」
「なあ、アリス……」
「ん？」
「今日、おまえの家に泊っていいか？」
「ええ、構わないわよ」
「ごめん、最近一人で寝るのが怖いんだ……情けないなこんな年になって一人で寝れないなんて」
「そんなことないわ。私だってたまに、どうしようもなく一人が怖くなることがあるもの」


アリスはそっと魔理沙の頭をなで、軽く抱きしめてやった。
魔理沙は暫くのあいだ、彼女の胸で泣いた。


二人でいると、気持ちも幾分楽になった。
一人でいる時よりはるかに心強い。


「電気は消した方がいい？なんならつけっぱなしでもいいわよ」
「いや、消してくれ。明るいと寝れないんだ」
「わかったわ」


アリスといる安心感からか、魔理沙はいつもよりすんなりと眠ることができた。


「だれ、その女」


(にとり！)


「許さないから、魔理沙……許さない」


にとりがアリスの首に手をかける……


(やめろ！やめてくれ！アリスに手を出すな！)


必死に叫ぶが声はでない。


(くそ！)


体は金縛りにあったように動かない。


「魔理沙と付き合えるのは私だけ……この女には、無理だよ」


ギリギリとアリスの首が閉まる。にとりの手が食いこんでいる。


「魔理沙……魔理沙がいけないんだからね、こんな女と付き合うから、魔理沙は私のもの、魔理沙、あー、魔理沙」


ボキン。
アリスの首は千切れ落ちた。


(うあああああアリス！！)


「魔理沙、さあ、いっしょに行こう、魔理沙。ねえ魔理沙、魔理沙、まり……さ……」


にとりの顔が崩れ落ちた。


「はっ！」


魔理沙は悪夢から解放された。
急いでアリスを確認するが、なんともない。
隣ですやすや眠っている。


(よかった……でも、パジャマがびしょびしょだせ……)


自分の家でもないしどうしたことかと悩んでいると、奇妙な音を耳が拾う。


チャ・・・


ゾクリとする。背中が粟立つのを感じる。


チャ・・・チャ・・・


粘着質な音、それは間違いなくにとりが死んだ日、彼女の家の近くで聞いたものだった。



チャ・・・チャ・・・チャ・・・


空気の振動で鼓膜が感じとる類のものではない。
この世の音ではない。


チャ・・・チャ・・・チャ・・・


嫌な予感がする。予感とは音とともに大きくなる。
近づいてくる。生理的嫌悪感を抱くそれは、ゆっくりと、着実に……


チャ・・・チャ・・・チャ・・・


近い……もうかなり近くにいる。
逃げなければ。アリスを起こさないと……だが、体が恐怖で動かない。


チャ・・・


……止まった。それは、二人が寝ているベッドのすぐ手前でやんだ。
恐る恐る灯りをつける。
ベッドの頭の照明が暗闇に灯りをともす。
いない。誰もいなかった。
そこには、きれいに整頓されたアリスの寝室が映っていた。
よかった。魔理沙はホッと胸をなでおろす。


グニュ


何かが右手に触れる。
アリスの腕だ。
でも、感触がおかしい……
柔らかすぎる。


ニチャ


いやな感触だ、手に何かが張り付く。
彼女の皮膚だ。
アリスが溶けかかっている。


「うわっっ！！」


魔理沙はベッドから飛び降りる。


「いや、いやあ、アリス……」


悲痛な声を上げながら、魔理沙は壁際まで後ずさった。


アリスがゆっくりと動き出す。


ドチャ・・・


アリスの右手が床に降り立った。
次いで左手、両足。


「……」


アリスは口をパクパクさせている。
魔理沙に向かって四つん這いで歩き始めた。


ニチャ・・・チャ・・・


やっとあの音の正体がわかった。
あれは、溶けてドロドロになった皮膚が床板からはがれる時発する音……足音だったのだ。
あの音が止まったのは、入ったから。
その、ドロドロに溶けた何かがアリスの体に入ったからだ！


「ま……」


溶けかけているアリスが声を出そうと一生懸命。口を動かしている。


「……ま……」


背筋が凍った。
なにを、言おうとしているのか、それを、想像しただけで吐きそうになる。


「ま……」
「うあああああああ、私の名前を呼ぶんじゃなぁぁぁああい！！」


魔理沙は近くにあった花瓶を思いっきりアリスの顔面に投げつけた。
柔らかくなっていた頭部ははじけて、四散した。
あたりに、スライム状の脳みそや顔の肉、眼球が飛び散った。


「おげぇ……」


胃の中のモノをまきちらしながら魔理沙は急いでアリスの家をでる。
玄関にたてかけてあった箒に飛び乗ると、逃げるように夜空に飛び立った。
あらん限りの力を出し猛スピードで箒を駆る。


(ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして、ゆるして……)


魔理沙はひたすら謝り続けた。アリスにそして、にとりに。








魔理沙は白玉楼の門を叩いた。
今何時かなんて関係なかった。
魔理沙は相手が、怨霊だと、ほぼ確信していた。
冥界の幽霊の管理役に助けをもとめたのだ。


ドンドンドンドン


「開けてくれ！お願いだ、助けてくれぇ。殺される……殺されちゃうよぉ」


恥も外聞もすて、無様に門をたたき続ける。
その時、錠がはずれる音がし、門が開かれた。


「何時だと、思ってる！幽々子様が起きたらどうする！」


姿を現したのは白玉楼の庭師、魂魄妖夢だった。


「妖夢……お願いだ。幽々子に合わせてくれぇ」
「ええい、離せ！幽々子様は就寝中ぞ！」


魔理沙は妖夢のスカートにしがみつき必死に懇願する。


「命を狙われてるんだ。このままだと、私もドロドロに溶かされちゃう……」
「な、何を言って……」
「妖夢」


妖夢が振り返ると、白玉楼の主人、西行寺幽々子が立っていた。


「も、申し訳ございません。ただちに追い払います故、しばし、お待ち下さい」
「妖夢……誰が、追い払えと言ったの？客人をお通ししなさい」


幽々子に注意され、妖夢は態度を改め、魔理沙を屋敷の奥へと案内する。


「さっき、言ってた事、聞かせてもらえるかしら？魔理沙」
「え、えっと、じつは……」


魔理沙は、先ほどあったこととにとりとの生前の関係を話した。
落ち着き払った幽々子の前では自然と、舌が回った。


「なるほど……あなたは、その河童の霊が犯人……今回の異変の元凶だと思っているのね」
「ああ……たぶん、間違いない」


妖夢が出したお茶を一口すすると幽々子は切り出した。


「あなた、魂が肉体の姿をしてると思う？それとも、肉体が魂の形をしてると思う？」
「えっと……魂が肉体の姿をしてる……かな？」
「そう、普通はね。あなたが今死ねば、十代の若々しい姿の魂になれるわ。八十歳で死ねば、おばあちゃん。お母さんのおなかに新しい命が宿る前、転生を待つ魂は形を持たないのよ。それが、肉体に収まった時はじめて、形を持つの。そして、その肉体と共に変化していく」
「うん」
「でもね、時には、肉体が魂の姿になる時があるの。それは、すでに形のできた魂が肉体に入ったとき……転生の時、前の魂の形が残っていたら、やけどや傷の跡が移ってしまうことがあるわ。そういう人は大抵、前世の記憶を覚えているのよ」
「そうなのか？」
「ええ、人面瘡ってご存知？」
「人の形をしたような傷のことか？たしか、ブラックジャックでみたな」
「そう、あれは、魂が無理やり、肉体に入る事によって起きる現象なの。小動物でも強い恨みを持っていれば、人間の体に入ることは可能なのよ。それがましてや霊力の強い妖怪のものなら体全部がその魂の形に変形するわ」


幽々子は子供に言ってきかせるような声で魔理沙に説明する。


「じゃあ、ドロドロになった魂が体に入ったら……」
「肉体はその魂に合わせてドロドロになるわね。うまく、精神を保てれば乗っ取られずに済むかもしれないけど、少しでも、畏怖の感情をいだけば、簡単に乗っ取られるわ」
「じゃあ、どうすれば……」
「やっつけましょう。妖夢を貸してあげるわ」
「え、妖夢？幽々子は？」
「あらあら、あの子じゃ不満かしら？言っておくけど、幽霊に対しての戦闘なら、あの子の楼観剣の右に出るものはいないわよ」


妖夢はだまって、正座していた。
いわれてみれば、たしかに、強そうだ。


「私は、ここから、勝手に離れる訳にはいかないしね。わかった？妖夢」
「はい。幽々子様！」


妖夢ハキハキと答える。なんとも勇ましい。


「わかったら、魔理沙についていきなさい。魔理沙の寝込みを襲おうとしているところを、刀でやっつけるのよ」








妖夢をつれて、自分の家に帰る。
アリスの家には、行きたくなかった。
すでに、空は明るく、なっていた。


「えっと、コーヒーでいいか？」
「かまいません」


妖夢は堅苦しく、会話が続かない。
だがそれが、頼もしくもあった。


「その、妖夢はにとりの怨霊を倒せるのか」
「魔理沙さんのお話では其の物かなり愚鈍。私の剣は飛ぶハエの目玉だけを切っ先にて抉りとることも容易。不覚はとりません」


終始まじめ一辺倒の妖夢になんだか、勇気づけられる。


昼は妖夢の持参したおにぎりを二人で食べた。


「魔理沙さんはにとりさんのことを恨んでおられますか……」


妖夢から、口を開いたのは初めてだった。


「……うん、そりゃあ、アリスや文……他にも大勢殺したんだからな……でも、心のどっかであいつを許してやりたいって思ってるのかも。私にはあいつを救ってやれるチャンスがあったと思うんだ……それができなかったのが残念でならない」
「……」
「だから、せめて、ひと思いに切ってやってくれ」
「わかり申した……」
「まあまあ、わかり申すのはちと早合点よ」


二人でぎょっとして、振り向くと、紫が座っていた。
いつもながら、心臓に悪い登場の仕方である。


「早合点って、どういう意味だ？」
「見つかったのよ。にとりの霊」
「え！？」
「三途の河でね。昨日の夜のことよ」


おかしい。では、昨日アリスに入ったのはなんだったのか。


「じゃあ、みんなを殺したのはにとりじゃないのか？」
「たぶんね」
「では、魔理沙さんが狙われることもないのでは？となると、この待ち伏せも成立しなくなります」
「いいえ、成立するわ。これをみて」


紫はテーブルの上に地図を広げる。


「いい、最初ににとり死んでたのがここ」


キュキュっとマーカーで印をつける。


「で、次が文、旅人の男、天狗……」


紫が地図に次々と印をつけていく


「そして、昨日の夜、アリスが自宅で襲われた」


最後に、アリスの家に印をつけて、完成した。


「これは……」


印ははじめのにとりの家から魔理沙の家に向かって一直線上に集まっている。


「死亡時刻もあわせて考えると、一部ずれはあるにしても、ほぼ同じペースでここに向かっているわ」


嫌な汗がたれる。一体だれに恨みをかってしまったのだろう？
思い当たる節はなかった。


「私の計算では、今夜、午前零時、ここに到着するわ」
「……いったい誰なんだ！？」


「さあ、それは、捕えて見なければわからないわ」








辺りは静寂。自分の鼓動がはっきり聞こえる。
暗闇と恐怖で、息が詰まる。
魔理沙はベッドの中で待機していた。
今、得体のしれないものが自分に迫っていると思うと、寒気がする。


チャ・・・


来た！間違いない。昨日聞いたものと同じ足音。


チャ・・・チャ・・・


近づいてくる。音がだんだんとはっきり聞こえてくる。


チャ・・・チャ・・・チャ・・・


心臓が張り裂けそうなほど、のと打ちまわる。


チャ・・・チャ・・・チャ・・・


もうすぐそこまで、来ている。数歩で届く距離。


チャ・・・


得体の知れない何かが踏み出した時だった。


「やあああああ」


ドスンと楼観剣がその何かと共に床板を貫いた。


急いで灯りをつける。


「な、なんだこいつは……」


刀にささり苦しそうにもがいているそれはまるで……


「水子か……」


その姿はドロドロに溶けているものの、間違いなく、まだハイハイ歩きの幼児のものだった。


「これが、今回の異変の元凶！？」
「そのようね」


紫ががスキマから現れた。


「恐らく、あなたの子よ」


紫は魔理沙を指さしそう言った。


「は！？私の？そんな、バカなだって私は」
「ええ、知ってるわ。この子は、あなたとにとりの遺伝子を組み合わせて作られた一種のクローン」
「くろーん、ですか」


妖夢が首をかしげる。


「永琳が調べていた、にとりのラボに隠し部屋が見つかったの、そこに、あなたと彼女のクローンをつくる施設があったわ」
「え、えどういうことだ？」
「あの子はあなたとの間に子供ができれば付き合ってもらえると信じてたのよ。結果こんな、おぞましいものを産むことになったのだけどね……」


紫は刀にささっている溶けた幼児を見下しながら、語り続ける。


「永琳の話ではテロメアといったかしら。テロメアとは染色体の末端にあるヒゲ状のループをなすＤＮＡのことで、細胞分裂を一回するたびにテロメアが短くなり、限界まで短くなると細胞はそれ以上分裂しなくなるの。通常の有性生殖の場合、テロメラーゼという酵素が働いてテロメアの長さがリセットされるみたいなんだけど、あなたとにとりの遺伝子をかけ合わせてつくられたクローンには何らかの不備があったんでしょうね……この子はテロメアの長さがリセットされない結果。寿命の短い細胞からドロドロに溶けてしまった」
「じゃあ、この子は……」
「ええ、できそこないの失敗作。捨てられたのよ。母親から……」
「悲しい子ですね……」
「よほど、会いたかったんでしょうね、お母さんに」



なんということだろう。では、あの時、この子が乗り移ったアリスが言おうとしたことは……


「ママって言おうとしたんだ……こいつは……」








溶けたあの子は三途の河につれていかれた。事情が事情だけに寛大な措置がのぞまれる。
もし、生まれ変われるのなら今度は幸せな赤ん坊としてこの世に生をうけてほしい。


























「ふう、これで、安心して寝られるな」
異変も解決し、また、平和な夜を送れる。
そう思って、ベッドに入り毛布にくるまる。


チャ・・・


(え)


チャ・・・チャ・・・


(そんなはずは……もうあの子はいないはずだ……なのにどうして)


チャ・・・チャ・・・チャ・・・チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ


(そうだ、あの子は失敗作だったんだ……だから破棄された)


チャチャ・・・チャチャチャ・・・チャ・・・チャチャ・・・


(にとりはきっと成功作が欲しかったんだ……)


チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・


(失敗作が一つのはずがない……！！)


チャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャ
チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャチャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ
チャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャ
チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャチャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャチャチャチャチャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャチャチャ・・・チャ
チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャチャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャチャ
チャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャ
チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ　チャチャ・・・チャチャチャチャ・・・チャ　チャ・・・チャチャチャ　チャ・・・チャ・・・　チャチャ・・・チャ・・・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャ・・・チャ・・・チャチャ・・・チャ　チャチャ　チャ　　チャ・チャチャチャ・・・　チャチャチャ・・・チャチャチャ・・・　チャ・・・　チャチャチャチャ











―おわり―