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『ある妖精の独白及び嘆願』 作者: Aris
チルノ
チルノ
妖精 チルノ
喰われて消えた
落っこちて消えた
消し飛んで消えた
跳ねられて消えた
祓われて消えた
斬り飛ばされて消えた
突き刺されて消えた
どれだけ消えても 一回休み
たとえどれだけ足搔いても
たとえどれほど喘いでも
たとえどれほど嘆いても
死ぬことは儘ならず、死はただの休息他ならない
一回休み 一回休み
恐ろしや 恐ろしや
例えて言えばそれは昔の話
ある妖精が居ましたとさ
名前はまだないしこれからも名乗る予定と言えばないが
ある妖精が おりましたとさ
「かはっ・・・」
例えて言うならばこれは切り株の切り口に似ているね。
何の知識も持たない脳筋野郎が適当に、力任せに、尚且つ意味の分からない笑い声をあげて楽しみながら切った様な雑多でぼろぼろ、美しくない切り株だ。
切るならもっとすっぱりと切れって、そう言いたくなるような切り口さ。
そんな物が今私の足に生成されているよ、ほら見てみな?
いやね、斬られたならまだましさ、なにせこの世の中にはそういった物に長けてる奴らは山ほどいてね、そいつらの切り口と言ったらまーすげえ綺麗なもんさ。
すっぱりだよ、すっぱり、斬られたことにも気がつかない、斬られた側の負け惜しみって訳じゃないけどさ、ありゃあ見事だったね。
そうだ、ちょっとその時の話をしても良いかい?
なになに自慢じゃないよ、ただ私が余裕ぶっこいてるふりしてこれがまたすげえ痛いんだ。今にも気絶しておっちんじまうぐらいにさ。
でもそうなるとただ痛い中で待つことになるからね、御免だよ、そういうのは。
痛みしか無い、痛みしか感じない世界で終わりを待つ、ありゃ地獄だね、一度経験すれば十分さ。おー怖い怖い。
私が話しやすい場面と言えば、うんあれだね、数年前の話さ。
その時も私はいつもの通り仲間と馬鹿騒ぎやってたわけさ、人間の子供湖にぶち込んで笑ってたり、ありゃあ面白かったね「おかーさーん おとーさーん たすけてー」ってね。
もう傑作だよ、だぁれも来ないのにさ、何で助けを求めるかね子供ってのは。
そんで笑い転げてたら急に一人ね、確か私の右後ろに居た奴がね「ぐげっ…」とか潰れた蟇蛙みたいな声出してんの。何かと思って振り向いてみたらね、そいつ、喉が無いのよ。
え?それは一体どういう事かって?そのまんまの意味さ、喉が削ぎ落とされてるのさ、ありゃ気持ちの悪い光景だったよ。喉の断面が丸々見えてさ、おー…今思い出しても吐きそうになる。
兎に角それから先はそいつを切った人間の独壇場だったね。
まず一番最初に斬られた奴が頭を切り落とされたよ
元々血なんて喉切られた時点でものすごい量が出てるのに更に頭から噴水みたいに出るわ出るわ。元々あたしらの体なんて小さいからそんな量出ないけどさ。
次に斬られたのはその人間の近くに居て逃げ切れなかった奴さ、足が一瞬竦んじゃったらしくてね、それが命とりさ、どっちにせよ死ぬけど。
まず両足が膝のちょっとしたで切り取られた、速過ぎて見えなかったけど恐らく一太刀だね、それで体を支えられなくなったから胴体から上がずるんと地面に落っこちちまったのさ。
それで身動きが取れなくなったそいつは頭を踏み砕かれたのさ、ぐしゃっ ぐりぐりって。
脳みそやらなんやらの即席ドレッシングの出来上がりさ。
三人目と四人目は一緒にやられたよ、まず身長が同じな事が災いしたね、横薙ぎの一閃で揃って目を潰されたよ。
どちらかと言うと血がたくさん吹き出るよりあっちの方が怖かったね、綺麗な斬撃って最初痛みは無いのさ、その状態のまま殺されたり死んだりしたら万々歳だ、でも目を潰されたらそうもいかない、暗闇の中でただ次の攻撃の恐怖と痛みに耐えなくちゃいけない。
その人間はただ殺すだけじゃなかった、3人目の方の腕を切り取ってを湖に突き落としたのさ、その次の4人目は足を切り落とされて放り込まれた。
ねえ、妖精は死なない、それは理解してるよね、どうやっても死なないしどうやっても死ねない。
だけど、『死なない』事と『死を恐れない』事は全くの別物だと言う事は理解してるかい?
死を恐れないのは馬鹿か宣教師か悟りを開いた坊さんしかいないってのは極論だと思うけどともかく妖精は死を恐れない訳じゃない、それがたとえ完全な消滅でなくとも、いや、完全な消滅で無いからこそ妖精には死を逆に恐れる奴が多いのさ。
そういった奴らがそういう状態で湖にぶち込まれたらどうなると思う?
正解は足搔くんだ、もがいて暴れるんだ、例え無駄な努力だと思っていても体が勝手に死を拒否するんだ。
足だけになった目暗と、腕だけになった目暗、どっちが持つか
当然ながらどちらもさして持たない、同じように沈んでいく、そうしてますます無駄なあがきを続けるのさ。
そうして二人が完全に沈んで絶命してる所までそいつはじっと眺めてたんだ。
私は逃げられなかったよ、逃げようとしたら確実に殺されるって分かったからね。
そうして五人目と言いたいけど生憎それは私だった。
こっちも死にたくないし逃げたかったけどどうせ死んだところで一回休みにしかならない、せめて一人目みたいに素早くぱぱっと殺してくれることを願うばかり。
ところがそいつはここに来てふと考え込んだような姿勢を取った。
何だかよく分からないけどその隙に戦闘態勢を取っておいた。
するといきなりその姿勢のまま切り込んできたんだ。
よくよく考えると刀を抜いたまま考える姿勢ってのもおかしな話だから気付いてもよさそうだったのに。
切り込んできた距離からこっちまでの距離はおよそ3歩と言ったところだった、だけどその構えが少しおかしい、どう見てもあと4歩は必要な構えだった。
一歩 二歩 三歩
そして四歩
そいつは
私の後ろに居た子供めがけて刀を振り下ろした
恐らくはあの戦闘の時に湖から這い出してきたであろう子供は全く予想外の攻撃に対応しきれず脳天から又まで真一文字に刀の侵入を許した。
見事な斬り筋だった、迷いなく、ただ殺める事に特化した攻撃は淀みなく人間を真っ二つにした。あれほどまでに綺麗な攻撃は今まで見たことが無いね。
さあ、もういよいよ私の番となった
そう思って覚悟を決めたのにそいつは踵を返してその場からそそくさと立ち去っちまった。
拍子抜けしたね、今更人間を切ったのが怖くなったのかとか思ったよ。
それでそいつを追いかけようと腕を伸ばそうとしたらふと違和感を覚えたんだ。
私は手を伸ばした、伸ばそうとした、でも目の前には何も映らない。
馬鹿な事に暫くその理由を気付けなかったよ、ははは。
なにせ私の腕はとっくのとうに地面に落ちていたんだから
それに気がついた瞬間グラリと体が傾いた、天と地が逆転する感覚、そして衝撃。
私の目の前には白い二本の柱が立っていた、言わずもがな、それは私の両足だった。
あの剣士が立ち去ったのはこっちが怖いわけでもなんでもなくただ「斬る対象」が居なくなったからにすぎなかったんだとその時漸く気がついた。
しかしここでまた驚いたんだけど痛みが全く感じられない
綺麗に斬られ過ぎたからか私はどこも痛くなかった。これは新しい発見だったね。
それから両手両足無しで地面に転がってるうちに意識が無くなって行って死んだことに気がついたよ。思えばあれが一番楽な死に方だったかもしれない。
それに比べてこのざまだ、痛いったらありゃしないね。
最近は割と穏やかに暮らせてると思ってたんだけど、たちの悪いのに捕まっちまったからね。この切り口も半ば引きちぎられたようなものさ。
ああ、そうだ
この休みが終わったら幻想郷って所に行こうと思ってるんだ。
なんか田舎臭いけど静かな所だそうで、丁度良いかなと思ったよ、殺されることも少なそうだし。
うん?私達を切ったその剣士がどういった奴かって?あまり覚えてないな、なにせいきなりだったし。
あ・・・そうだ・・・そいつは初老の男で・・・何かフワフワした物が近くに浮いてたよ・・・あ・・・もう・・・そろそ・・・ろ・・・・・・・・
その妖精は休みから回復した後
幻想の地へ 行きました
安寧 安穏 安心 安全
平和な世界に平和な日常
そうして年が百を数える頃
妖精は休憩中閻魔の元へと赴いた
閻魔は四季映姫ヤマザナドゥと言い、その妖精を快く迎え入れた。
妖精は閻魔の前で礼をした後閻魔は妖精にこう問いかけた。
「名も無き妖精、何の様でしょう、あなたは妖精の本分を全うしているようですね。良い事です」
すると妖精は何やら嘆願するようなしぐさを取って悲しみにくれた声をあげつつ閻魔に詰め寄った
「閻魔様、私は願いが在ります、どうか叶えてください、閻魔様にしかできんのです。」
「なんでしょう、聞くだけなら聞きます」
「どうか、私の知能を奪ってください」
「はい?何と言いましたか?」
閻魔は今しがた聞いたことが信じられないと言ったふうに目を見開いた。
閻魔が聞き間違えると言う事はあってはならない事なので聞き直したに過ぎないがそれでも四季映姫はその申し出に驚いていた。
妖精の方はさも悲しげにいらだたしげにその理由を淡々と述べていった。
「ですから、私を馬鹿にしてくださいと言っているんです、退屈、怠惰、刺激の無い日々、復活しても変わらない世界、このままじゃ狂っちまいます。」
そうであった
人にとって最適で最良な暮らしは逆に言えば悪戯、刺激を糧とする妖精には毒を毎日摂取せねばならない様な苦痛に溢れた日々であった。
妖精は更に憐れみを浮かべるような声で嘆願する
「別に白痴にさせろとは言っておりません、せめて一回休みから戻った時に記憶の殆どを失うだけで良いのです。」
「ふむ」
閻魔は暫く熟考した結果その嘆願に了承した
「よろしい、名も無き妖精よ、その嘆願を受けよう。お前はあらゆる知を放棄する、その代わりに知を溜めこむ事も無いだろう。それに従い、お前には新たな名、呪いを授けよう、これを名乗る限り、お前はこの呪縛を受け続けるだろう。お前が手放すのは知だ、知を散らすのでチルノと名乗るがいい、それがお前の名だ。」
「ありがとうございます」
かくしてチルノの名を受け取った妖精は再び此岸の地を踏んだ、その頃にはその妖精は一切合財の事を忘れていた。
かくしてチルノは一回休みを繰り返しながら日々を過ごしていった。
ある日、チルノが目覚めると辺りは紅い霧で覆われていた
何やら嫌な予感がしたがチルノ馬鹿なのでそのまま遊んでいることにした。
ふいと顔をあげると紅い霧の中にぼうっと人影が見える
こんな所まで来るとは面白い奴らだ丁度良い、今日はあいつをからかってやろう。
そこでチルノは一目散にその影へ向かって飛んで行ったのだ
かくしてその妖精はチルノを名乗り
いまも元気に湖畔で馬鹿をしているそうな
チルノ
チルノ
散る散るチルノ
.
あれま、産廃新しくなった→この際だ、何か書くか→この間9月9日、チルノを書くか→チルノがHってのは定説→その幻想をぶち壊す→黒チルノいいじゃん→じゃあチルノが復活したくなくてでもせざるを得ないから馬鹿になったってのはどうだい→てぃんと来た→チルノいじめってか妖精いじめ書きたい→勢いに任せて執筆→ジェバンニが30分でやってくれました→あれ、これ最初と意図違くない?しかも微妙に短いし→まあいいか→そういえば初じゃん、挨拶どうするよ→まあいいか→>>9さんそれでいいです→今ここ
Aris
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/09/11 13:22:37
更新日時:
2011/09/19 13:49:29
評価:
4/10
POINT:
510
Rate:
9.73
散るチルノ。
チルノの能無し、何故散る能?
脳内、無い無い、塵も無い。
能有り、カリカリ、氷かき。
チルノは知るの、知りすぎた。
知るの、知る悩、チリチリするの。
チルノは要らない、脳など要らない。
チルノは要らない、悩など要らない。
チルノは逝ったら、さようなら。
チルノは言ったら、願いがかなった。
チルノは知るの。知らぬが仏。
チルノ走るの。走って知るの。
生きている間に、いろんな事を知識(し)るって、素晴らしいって、さ。