Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/imta/req/util.php on line 270
『妖怪人間魔法使い』 作者: Aris

妖怪人間魔法使い

作品集: 1 投稿日時: 2011/09/21 05:08:57 更新日時: 2011/09/21 14:08:57 評価: 3/7 POINT: 210 Rate: 5.88
目の前が鮮血で染まっていた

どこまでも真っ赤で、どこまでも真紅で 何処までも目に悪い色で染まっていた

混乱したが、赤いのは私のものでは無く、目の前の何かから滴り落ちているらしかった

原形を留めないほどまでぐちゃっぐちゃになったそれは、形状からして××だった

訳が分からないまま 其の何かを 燃やして埋めて 私は逃げた












博麗神社に来る来訪者というのは大抵の場合決まっている
幼い吸血鬼か、幼く見える鬼か、幼いように見える賢者か、実際に幼い魔法使いかだ
今現在境内にて霊夢と話しているのは魔法使いにして霊夢の友人、霧雨魔理沙だった

「それでアリスの奴私が人形を一つ借りただけでリターンイナニトメスの連続投擲だぜ?
信じられるか?」
「アリスにとっちゃ人形はそれほど価値があるのよ、分かりなさい」
「じゃあ香霖の所に売ったらどれだけの価値になるかな」
「あんたは一回閻魔に説教されてきた方が良いわね」

いつも通りの会話にいつも通りのお茶の味、それにいつも通りの魔理沙と霊夢
いつも通り過ぎたのか、それとも霊夢が鋭すぎたのか、彼女は魔理沙の微妙な機微に気がついた。

「魔理沙、あんた疲れてない?」
「…えっ?な、何にもないんだぜ」

問いに対して腕を横に振るい完全に否定の意を示す魔理沙、それを見ている霊夢はただ「そう」と納得する事しかできなかった。

「ああ、そろそろ帰らなくちゃ」

暫くすると魔理沙は部屋の隅に立てかけてあった箒を手に取り、何か急ぐように帰宅の意を示した。
普段なら夜になっても帰ることが無い事もある魔理沙がまだ日も沈んでいない時に帰宅するのは何かの異常を示している様でもあったが霊夢は「ふーん、またいらっしゃい」とただ送ることしかできなかった。
霊夢にとって何かに深く関与することがあれば、それは異変に関する事例に他ならなかったので魔理沙の些細な違いなぞとるに足らない事だと思っていたのかもしれない。
あるいは魔理沙の事を友人だと思っていた霊夢のほんの気遣いかもしれない、どちらにせよその時の霊夢の考えはさとり妖怪以外誰にも知る事は出来ないのだ。

「もうすぐ日が暮れるからな、今日は月に関する実験があるんだ。」

魔理沙はまるで駄目押しとばかりに帰宅する理由を述べていった。
まるで「私は大丈夫だ、心配するな」と言っている様で、それがかえって霊夢の不信感を増す結果となったのだが。
兎も角霊夢は夕日に向かって小さくなってゆく人間魔法使いの影を見送ることしかできなかった。












ぐちゃぐちゃ くちゃくちゃ

耳障りな音が辺りに響く

ぐちゃっ くちゃくちゃ ぐちぐち

肉を裂く音と 咀嚼する音と それだけが辺りに響き渡る

ああ 赤いな 真っ赤だ 綺麗で旨そうな赤

暗闇の中に 吐き気のする音だけが響き渡っていた











「パチュリー!アリス!」
「あら、鼠のような泥棒じゃない」
「それとも泥棒の様な鼠かも」
「鼠科鼠目泥棒種の魔理沙?」
「どちらでも良いじゃない」

その日、今のところは紅魔館に所在している魔法図書館内部で研究を行っていたアリスとパチュリーは魔理沙の声を聞きつけてあら、まあ、と顔を見合わせた。

「ネコイラズは仕事をしているのかしら」
「していたらここに私はいないぜ」
「あっそう、じゃあ後で躾けておかないと」
「お手柔らかにしないと死んでしまうかも」
「お手柔らか過ぎると躾にならないのが辛い所ね」
「おいおい、私抜きで話を進めるなよ」

勝手に会話を進める魔女二人に痺れを切らしたのか魔理沙は会話に間に割って入るかのように二人の間に滑り込んだ。

「何かしら?歓迎されない来客さん」
「パチュリー、泥棒を歓迎する人はいないわ」
「じゃあ歓迎されない泥棒さん」
「それもなんだかおかしいぜ、あってるけど間違えてる」
「それで何の用かしら、歓迎されない日の本語教師さん」

どうやら螺旋階段のような会話に飽きたらしくパチュリーは簡潔に用を伝えるように命令した、彼女にしてみれば魔理沙は研究の邪魔以外何物でもない存在だった。

「ちょっと聞きたい事があるんだが」
「あれ、まあ」

途端に反応したのは紫の方では無く金色のアリスである、大仰に口を覆いながら彼女は今一度「あれ、まあ」と繰り返した。

「いつも盗んでばかりで借りない魔理沙が他人の英知を借りようとするだなんて、今晩辺りに隕石が降るかしら」
「隕石なら今朝ほどに降ったわよ、すぐに妹様がおもちゃ代わりにして片づけちゃったけど」
「隕石が降ろうと槍が降ろうと関係ないだろ、それよりもだ」

魔理沙は気を引き締めるかのように柔らかそうな頬をぱんぱんと叩いた。

「妖怪と人間の違いってなんだか分かるか?」

途端に魔法使い――――この場合妖怪のが先頭につかなければならないが、その二人は顔を見合わせた。

「妖怪は、人間ではない者」
「人間は、妖怪ではない者」

何を今更と言った風に粛々と言い捨てる二人に魔理沙は「そんなのは当然の話だろ」と否定的な言葉を放つ。

「もっと厳密にだ」

厳密
その言葉に込められた意味を、魔理沙がその言葉に込めた意味を多少は理解した二人はもう一度言葉を紡いでゆく

「妖怪は 人間を食べる」

一言だった
たった一言の言葉が魔理沙の頬を硬直させたことを二人は目ざとく見つけだした、なにせ二人は魔女なのである、これぐらいできてもおかしくは無いだろう。

「魔理沙、一言だけ忠告しておくわ。これは先輩としての助言よ、その事に関してあなたはまだあまり深入りしない方が良いわ」

その言葉は、はたして魔理沙に届いたのか
その言葉を発した時にはもう人間は一人もそこには居なかったので二人には知る由も無かったが

「まあどうでも良いんだけどね」

後に残ったのは、先程まで泥棒の様な来客などいなかったかのように振る舞う二人の妖怪だけだった。

「ああ、今日は泥棒は来なかったわね、躾はまた後でかしら」

カチカチ、サラサラと言う静かな音と共に紫の魔女の呟く声だけが英知の図書館に響き渡った。











ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

ああ、美味しいなぁ

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

湿った音だけが暗室に響く 不快な音だけが空間に響く

色は黒 私も黒 何もかもが黒

分からないに決まっている ばれないに決まっている

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

あれ

わたし

なにして














霧雨魔理沙が再び博麗神社に姿を現わしたのは、霊夢が最後に彼女の姿を見てから2週間と3日経った夜だった。
その日、霊夢は里で頻発している人間の失踪事件に只ならぬものを感じ、上白沢慧音の力を借りて捜査を進めている所だった。
霊夢は最近姿を見せない魔理沙を心配していたが、彼女は霊夢が神社に帰って来てから数時間後に姿を現わした。
霊夢は最初それが何であるかが分からなかった、霧雨魔理沙とはおろか、それが生きていない死人のように感じられる程それは弱弱しく、まるで枯れ芒の様な風貌となっていた。
霊夢は始め、それが最近姿を見せなかった魔理沙だと了解した瞬間彼女が何かに襲われたのではと思った。それほど彼女は弱弱しく見えたのである。

「最近来なかったわね、なにかあったの?」

霊夢はまず単刀直入に切りだすのではなく、探りを入れてみる事にした。こういった場合無理やり聞き出してもまともな答えは得られない事を霊夢は重々承知していた。

魔理沙は虚ろな表情をしていたが、霊夢の姿を認めると「ああ…研究…また失敗…」と、それだけをぶつぶつと呟いた。
その様子だけを見て霊夢はこれ以上何も言わない事に決めた、聞いたところでまともな返事は帰ってこないだろうと踏んだのだ。

それから虚ろな目でふらふらと神社を後にし、森に戻って行く魔理沙の姿が、霊夢を始め幻想郷の住人が彼女の姿を見た最後の姿となった。


















ぐちゃっ

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
うまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいうまいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしいおいしい
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

もぐもぐもぐ  ごくん

ああ、たりないなぁ
おいしいのがたりないなぁ













「それで、魔理沙は来たのかしら」
「まだよ」

魔理沙がいっこうに姿を見せなくなってからすでに3か月の時が過ぎた。
初めに異変に気がついたのは他ならぬ霊夢だった、魔理沙の最後に見せた異様な姿について再び問いただしたいと考えた霊夢は魔理沙が失踪して丁度1か月半後魔理沙の家を訪れる事にしたのだ。

果たしてそこに彼女の家は無かった、あるのはただ押しつぶされた草と、僅かに剥げて見える土の茶色のみがそこに家があったことを覗わせるのみだった。
すぐさま異変解決の有力者たちが集められ、今後の対策を練ることとなった。なにせ彼女は数々の異変を解決してきた英雄だ、その手柄に対するかのように不満を持つ者もいるかもしれない。魔理沙はそういった妖怪、あるいは人間に襲われたのかもしれないと言う事だ。

霊夢は自分を責めていた、もう少し自分が親身に話を聞いてやれば、もう少ししつこく聞いてやればと後悔の言葉を口にしていた。それを遮ったのはアリスと彼女の同業者であった。
「いくら懺悔の声を口にしても、それは贖罪では無く祈りに他ならない」アリスは淡々と、冷淡にそう言い放った。「それに魔理沙がやられたのは他ならない彼女の未熟さから来たことにも他ならない」パチュリーもなんでも無いかのようにそう言った。
妖怪達の中からは彼女たちこそがこの事件の首謀者なのではないかとの声が上がったが、それを封殺したのは霊夢だった。彼女は淡々とした物言いが自分に向けられた叱咤なのだと言う事に気がついていたのだ。

「ともかく、出来るだけの事はやりましょう」決意に押されるような声を持ってひとまず集会は解散の運びとなった。


だが魔理沙はそれからいくら経っても気配さえ見せなかった。


やがて彼女が居なくなってから一つの季節が過ぎてしまうまでに時間は流れる。


きっかけはほんの些細な事件だった。
人里のある大工が腕を切られたと言って医療所に駈け込んで来たのだ。
その顔が尋常でないほど痛みで歪んでいたので里に無い技術を持っているとして至急竹林の薬師、八意の永琳も立ち会って怪我の手当てを行う運びとなった。

立ち合いは数分で終わって、医師によると命に別状がないとの事だった。
医師の方は安堵した表情だったが永琳は逆に硬い表情をしていた。
不審に思った慧音は秘密裏に永琳の元にコンタクトを取る事にした。
医療所の裏口で落ち合った永琳に早速慧音は単刀直入に切りだした。

「それで、なにがおかしいんだ」
「いえ、患者は『切られた』と言っているのだけど、あの切り口はどう見ても刃物を用いたのもでは無いわね。」

一瞬不審げな顔をした慧音だったがすぐにその回答の真意に気がついた。

「…食われたのか」
「恐らく、無理やり強い力をかけて引きちぎった後があるわ。人間を食うのは妖怪と相場が決まっているから…」
「里に妖怪が入り込んできたと?」
「そう、いうことになるわね」

何と言う事だ、そういった表情で慧音はほうっと溜息を吐いた。妖怪が侵入してきたからには里の守護者として直ちに殲滅しなくてはならない、急いで妹紅を呼ぼうと駆け出しかけた慧音の背中に「少し待ちなさい」と永琳の落ち着き払った声がかかった。

「里に勝手に妖怪が侵入した、それであのスキマが動かないのはおかしいとは思わない?」
「…確かに」

探しに行くか
案にそう言われた気がして慧音ははて、紫をどう探そうかと思案した。なにせ彼女は居る場所がとんとわからないのである、呼べば出てくるかもしれないしその方が探しに行くよりも確実とも思える程彼女は出現鬼没の妖怪として認知されていたのだった

「はて、では永琳殿。いかにあの隙間妖怪を探すか」
「式でも見つけてとっ捕まえれば出てくるでしょう、てゐを見つける時はよくやる手よ」
「ははあ、兎っ捕まえるという訳だな。では早速あの猫又を見つけ出そう」
「止めてもらえるかしら、藍がうるさいし私もあの子を捕まえさせるわけにはいかないわ」

はてさて呼べば何とやら、二人の間に空いたよく分からない空間に繋がっているであろう隙間からにゅるりと紫が姿を現わした。

「ははあ、盗み聞きか。ならば話は早い、早速兎っ捕まえてもらうとしよう。」
「随分と拘るのね、でもあなたの事だからもうそんな頼みは行わないんじゃない?」
「ええ、もう侵入者は居ませんよ」

紫はやや疲れたように笑った
よく見ると衣服には多少のほつれが見え、なかなかの激闘を繰り広げたのだと予測された。

「強かったのか」
「ええ、強かったわ、相当堪えるわね。」
「甘えの手を煩わせるほどとは、いったいそいつは如何な妖怪か」

紫は再び隙間へもぐりこむ寸前、一言だけ言葉を放った。

「人間であったならば勝てるか怪しかったわね」










その夜が明けた頃、森に済む三妖精は霧雨魔理沙の家が元の場所にちゃんとおさまっている事を確認した。ひどく慌てた様な妖精が博麗神社に姿を現わしたのはその僅か数分後の事だった。

「魔理沙の家がまだ、ちゃんとあるなんてねぇ」
「そう言ってる場合じゃないでしょ、行かないの?」

霊夢は茶を一口だけ啜った後「行かないわ」と呟いた。
三妖精はそれがどうしてだか理解できない様だったが霊夢がどうしても行く気が無いのだと理解すると神社を立ち去ろうとした。

「ああ、最後に一言忠告しておくわ、多分あんたたち魔理沙の家に入るんでしょうけど、家に置いてあるものはあまり見ない方が良いわよ」

霊夢の声が、三人の背中にかけられた







ガチャ ぎぃぃぃぃ

三妖精はやはり魔理沙の家の前に来てドアを開けようとしていた。
ほんの少しの恐れと限りない程の期待に胸を膨らませながら入っていた三人にまず襲い掛かったのは鼻が曲がりそうなほどの悪臭だった。腐臭、そう、生物を何日も放置しておいた時のあの臭いだ。

鼻をつまみながら崩落した棚や机であった物を避けて進んでゆく、散らかっているように見えるが魔理沙が居なくなる前にこの家に来た者ならば驚くほど物が少ない事に気がつくだろう。どの部屋からも魔導書も、薬も何もかもが無くなっていた。

やがて三人は最後の部屋にたどり着いた、魔理沙が実験室と称して使っていた部屋だ。
魔法使いにとって実験結果は己の生命と言っても差しさわり無い。だがその部屋には今、閉じかけた南京錠がかかっているだけだった。

軋んだ音を立てて開くドアの向こう側にあったのは正視に堪えない物だった
赤く染まった、誰がどう見ても血で書かれたと言うであろう魔法陣、そして同じく赤く染まった机と、一冊のノート。そして周辺に散らばる白骨。

骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨骨、白い白い白骨が部屋の隅に散乱していた、中にはまだ肉がついている物もちらほらと見受けられた、何かの動物の肋骨、太い骨、細い骨、人間の頭蓋骨。

ひっ、三妖精の中で息をのむ音と、小さな悲鳴が上がったがそれを咎める物は居なかった。三人の誰もがその悲鳴は自分があげた物だと思っていたからだ。
三人は今すぐ逃げ出したかったがその前に一つだけ見ておかねばならないものがあった。それは今も何故か血がつかず綺麗なままのノートだった。

恐る恐る机に近づきノートを取る、文は最初、綺麗で几帳面そうな筆跡で書き出されていた。







×月●日

霊夢にまた負けた
私はいつになったら霊夢に勝てるのだろうか?
どれだけ強い魔法と開発しても霊夢はその上を軽々と行ってしまう。

いけない、そんな考えていると何時まで経っても先に進めない、今日も実験をやらなければ。


×月◇日

畜生、いつまで経っても勝てない、今度の魔法は自信作だったのに
憂さ晴らしに図書館に行く事にしよう、なにかいい魔導書があるかもしれないから借りて来る事にしよう。


×月●日

ふと魔導書の中に面白そうな本を見つけた、昨日は机の上に置かれていたのをまとめて借りて来たのだがその中に「人間離れした力を得られる術」だそうだ本の著者は…K = M?づやらペンネームの様だが知らん名だ、でも魔法には興味がある、早速準備してやってみよう。


×月○▲日

体が重い

昨日の実験の影響だろうか、本によれば三日間はこの疲れが続くようだが。後三日この状態なのかと思うとますます体が重くなる。今日は疲れるからこのへんにしておこう。


×月○◆日

眠い 重い


×月○△日




×月○

なんだこれは

なんなんだこれは

わからないわからないわからないなんでわたしがこんなことを

とりあえず隠さないと


×月○日

昨日考えていた事を考え直すのはもうよそう、また胃の中が空っぽになりそうだ。
それにしても私は意識を失った瞬間何をやってしまったのだろう、そしてあれは一体誰だったのだろう。


×月○◆日

まただ
また私は人間を
キモチワルイ


×月○

結局私は食欲を抑える事が出来なかった
どうしたらこの欲を抑える事が出来るのだろうか
ああ、でも体が驚くほど軽い


×月△▼日

自分でも吐き気がする
今日も私は人を襲ってしまった
気がつくと目の前で人が死んでいるのだが、私はそれを一瞬旨そうだと思ってしまったのだ
もう、今日は寝る


×月

食ってしまった
旨かった


×月△△日

寝ても覚めても食べたいのはあの肉だ
幾ら腹一杯になっても食いたいと願ってしまう、正直辛い


×

うまい





それからしばらく空白のページが続いた
三妖精は一ページ一ページ確かめるように捲って行くと最後に殴り書きのような文章を見つけた。






にんげんはおいしいのです
でもわたしはたべちゃうからたべられないのです
いまはいぬとかたべているけど まずい

たべたい

にんげんたべたい

たべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたい
たべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたい

たべる





もう我慢は出来なかった
三妖精はそのおぞましい部屋から一目散に逃げ出して、太陽のもとに出、家にすぐさま帰り、震えて固まりながら眠りにつく事にした





















        ぐちゃっ


その後、彼女の行方を知っている者は居ない
彼女はどこかに行ってしまったのだ、とある人は言う
それも遠い所にだとその隣の人は言った
                                 べぐっ
またある人は、彼女は姿形を変えてまだ人間を食っているのだと言う人もいる
妖怪となり、異形の者となってしまったのかは分からんが、とその人間は暗い笑みを浮かべていた

賢者に消されたのだ、と言う人もいる           ぐちゃり
あの隙間を使えばそれぐらい造作も無い事だろうとどこか自信ありげに考え込んでいた

むしゃ むしゃ

どちらにしても、どれにしても確かの事が一つだけある
それは 私に会ってしまった人間は  私が            


                       ひとりのこらず














ああ、おいしいなあ










.
弱い癖して速さを求めて
弱い癖して強さを求めて
それでお前は人間のままでいられるのか
Aris
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2011/09/21 05:08:57
更新日時:
2011/09/21 14:08:57
評価:
3/7
POINT:
210
Rate:
5.88
簡易匿名評価
投稿パスワード
POINT
0. 40点 匿名評価 投稿数: 4
1. 30 名無し ■2011/09/21 17:49:25
終わりかたがどこか物足りなかったです。
そして私の解釈不足でしょうか、文章が分かりにくかった上、登場人物の会話がぐだぐだだったような…

ですが、タイトルと物語としては目を引くものがありました。
3. 60 NutsIn先任曹長 ■2011/09/22 00:47:52
魔理沙は『ずれて』しまったのでしょうか。

人の理から。
住んでいる次元から。

霊夢が動かないという事は、この事象は『異変』ではない。
速い魔理沙。
――速すぎるから、私達は残像しか観測できない。
7. 80 名無し ■2011/10/29 23:22:32
なんで、評価低いのだろう?ふつう以上だと思いますが?
名前 メール
評価 パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード