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『求めすぎた歪な愛情』 作者: リーク
──グチャリ、くちゅり
そんな音が聞こえる。
──クチュ……クチュ……っぁ……ぁ……
音に混じって、くぐもった声も聞こえる。
──ぁ……ぃ……もっ……と、おね……が……
小さな声で、何かを訴える。
そこには異様な光景が広がっている。この世のものか、それとも夢か幻か。
正体不明の名に相応しいようで相応しくない、曖昧な空間が広がっている。
新鮮で、血生臭くて、混迷で。上下か左右か、紅か黒か、それとも全く違う色なのか。それすらもそこにいると曖昧になってしまう。
そんな異様な空間の中心で、少女二人はそこにいた。
顔は光悦とし、ありのままの幸せを感じられる。一人は曖昧な、酷くバランスの危うい顔を、一人は獣のような、それこそにんまりという表現がよく似合う笑みを。
そしてその二人にはあらねばならないパーツが足りなかった。その体と体を抱きよせてお互いの体温を、感覚を、体臭を、触感を、食感を。あらゆる感覚を味わっていた。
──くちゅ
傷口と傷口を、元はそこにあったはずの腕の痕を重ね合わせる。
くちゅくちゅと、お互いの体液を混ぜ合わせる音が生々しく響く。
傷口でのキスに、ビクッと体をはね上げさせる。
──ぁぁ、ぃ……はぎっ……あっ……ぁぁっ!
──気持ちイイね、水蜜……もっと、もっと感じたいよ。水蜜の全部を感じたい。
──ぬ……えぇ……わらひも……ッ……もっと感じたい……
無いのは、右腕と左腕。無くなったそれは、お互いの胃の中にある。
愛しているから、狂おしいほど愛おしいから、食べたくなった。お互いが一つでありたかったから。
そう思ったら、言葉にしたら、目で訴えたら、息が荒くなったら。
“今日という日が、満月だったから。耐えられなかった”
そして二人はお互いに貪り合った。
ぶちぶちっと、その牙で皮膚を破り肉を引きちぎる。それに応えるようにもう一人も腕肉に齧りつき、噛みちぎり、咀嚼する。
ぐちゅぐちゅと、周りを血化粧で染め上げていく。思い出したようにキスをする。そのキスの味は酷く動物的で、またお互いの本能を刺激する。そうしてまた愛する人を味わっていく。涙を流し、媚声をあげ、狂声を響かせ、腕が無くなるまでその行為は続いていく。
それでも狂うことは無かった。もうすでに狂っているのだから。
──素敵だよ水蜜、私たち今繋がってる。あんっ、こんなにも、んぁっ、いっぱい幸せな液も出てるよ。
そう言い、残った腕でぬえは自分の秘所に触れる。そこは血液とは違った体液でまた濡れていた。
その体液を指に絡ませて、ムラサの唇にそっと重ねる。
──ほら、水蜜……舐めて?
──うん……ちゅぷ……あむっ、くちゅ……ちぅ、じゅぅ……ぬえの指……美味しい……ガリッ
──ひゃん……もう水蜜ったら……まだ食べたいの?
──だって……ぬえの指美味しい……血もすごく甘い……
指から流れ出る血をちゅうちゅうと舐め取っていく。新鮮な血が、空気に触れていない鮮血に咥内を染め上げる。どこまでも、ぬえで染まっていく。
“全部あげたい、体の隅々まであなたの物”
丹念に、指を舐めながら涙目でそれを訴えるように目線を交える。
ぬえもそれに応えるように。
──んふ……水蜜だけずるいよ……? 私にも頂戴、水蜜の指。
そっと差し出される薬指を、真似ごとのように口に咥え、その牙で傷をつける。
“あなたは私の物、これは刻印”
そう言うように、もう片方の無くなった腕と違い、それでも深く傷つけた部分を愛おしく丁寧に舐め取り、味わう。
先程の行為と違い、痛みの中に感じる狂喜という名の幸福ではなく、慈愛にも似た幸福をお互いに感じ取る。
幾許かの時が流れ、血も緩々と止まりかけたころにどちらともなく指を口から抜きとった。ちゅぽん、そんな音が聞こえてくるかのように口から指にてらてらと光る糸が伸びる。その糸が切れるまで目で追い、ぷつんと切れた後、その目線は目の前の愛しき人と自然と絡み合い、笑みが浮かぶ。
まだ唾液と血液に濡れたその指を、頬に添える。
──水蜜、ねぇ私の水蜜……大好きだよ、愛してる。だからキスしよう。いっぱい、いっぱい溺れよう?
──あぁ、ぬえ……私のぬえ、いっぱい溺れさせて、私をぬえだけに染めて……んっ。
頭に腕を回し、引き寄せ合うようにし口付けをする。合わせるだけのものではなく、貪るという表現が正しい、そういったキス。
──くちゅ、ちゅ、あむ……ぁっ……ん……っふぅ……
──あんっ……んん……ぢぅ……じゅる……くちゃ……
唇を食み、舌を絡め、体液を混ぜ合い、お互いの口内に流し入れる。少し血の味がしたが、それでも甘いと感じるそれをゆっくりと、こくん、と音を立てて嚥下する。一回、二回と喉を鳴らしていくがそれ以上にそのカクテルは作られていく。それは接合部の隙間から零れ落ちる。黒ずんだ染みの出来た布団にまた一つ新しい染みが出来あがる。
行為をどれくらいしていたのだろうか、実際の時間だと数分に満たないのかもしれないが体感の時間としては数時間にも相当するのかもしれない。それくらいに激しく、愛のあふれたキス。頭がぼーっとしたのは酸素が足りないのか、それともお互いに酔ってしまったのか。おそらくどちらも正解だろう。一寸ほど口を離し、こつん、と額を当てる。息を整えるのも煩わしいのか、そのまま二人は布団のようなものにばたり、と倒れ込んだ。
──ふふふ、幸せだね。もっと一つになりたいな……ねぇ、手、出して?
──うん、幸せだよ。はい。
差し出された手を取り、指と指を絡めていく。五本の指を絡めあい、ぎゅっと隙間の無いように強く握りあう。
“ドスッ”
そんな音が聞こえてくるような。見てみるとそこには赤い羽の一つが、繋いだ手に刺さっていた。血飛沫が飛び、赤い羽はより紅い色にてらてらと光る。
──ぎっ!! あぐ……ぁっ……
予想していなかった痛みに思わずムラサは悲鳴を上げる。一体何を、と言いたげにぬえを見上げる。が──
──はぁ、はぁ……これでもう離れないよ、水蜜……一緒だから、ね。
涙を零しながらもそう言い放つ。そこにあるのは痛みよりも、幸せという感情のほうが強いのだろう、笑みがこぼれおちていた。それに感化されたかのように、ムラサにも笑顔が戻る。
──っ……うん、一緒、もう離さないからね!
零れる涙を舌で優しく、そっと救い取る。少ししょっぱい味が口内に広がる。
しばらく続けていくと、二人の中で痛みはいつしか痺れるような快楽に変わっていった。同じ痛みを味わっている。ただそれだけでどうしようもなく幸せな気持ちになれる。
──ねぇ、水蜜……もう私我慢できない……だから、一緒に気持ち良くなろう?
──うん、きて……
足を絡み合わせ、お互いの秘部を重ね合わせる。
最初はくちゅ、という音が静かに響き、そこから少しずつ音は激しくなっていく。
快楽を、幸福を、そしてお互いの全てを貪欲に求めるように動きを加速させていく。
──や……あぁん……ダ、メ……気持ちいいよ、ぬぇ……ああぁぁぁ、んんっ。
──私もっ……すごく気持ち良い……あっ、あっ……んっ……
ぐちゅぐちゅ、その卑猥な音は響く。それだけではなく、びしゃびしゃ、と何か液体が飛び散る音も同時に聞こえる。
愛液を混ぜ合い、唾液を混ぜ合い、そして傷口からは血液を混ぜ合い、その空間は異様なもので成り立っている。
全てに言えることは、どの液体も二人の作りあげた、二人だけがその価値がわかることのできるカクテルであるということ。
──ダ……メ……もう逝っちゃいそう……耐えられないよ……あぁぁぁ、ひゃぁぅ、ぁぁっ!
──じゃぁ……一緒にイこう……?私も、もう……あぅっ……逝っちゃいそう……んぁ、あぁぁぁぁ!
一際大きく二人の体が震える、繋がっている手を握り、ピンッと体を伸ばした後、同時に布団に倒れ込む。血だらけになったその体を重ね合わせ、朦朧とした意識を起こし、最後に言葉を交わす。
──血、出し過ぎたね……もう無理かな……ごほっ、かふ……幸せだったよ、水蜜。最後は……水蜜にやって欲しいな。
──うん、私も……かはっ、幸せだった。普段は意地悪してくるぬえも、大事な時には甘えてくるぬえも、行為のときにはいっぱいいっぱい愛してくれるぬえも、全部大好きだったよ。
──っ……私だって、意地悪しても優しくしてくれる水蜜が、いざって時に頼りになる水蜜が、でもいっぱいいっぱい感じてくれる水蜜が、全部全部大好きだった。
“でも、もうおしまい”
『転覆』
“今まで、ありがとう”
『道連れアンカー』
“ずっと愛してるよ”
──いつまでも、一緒だからね。
グシャ
グロとか書いたの初めてでして、表現がこれで良いのかわからない状態。
グロさが、エロさが、愛らしさが伝われば良いなと思ってます。
文章は短く、内容は濃く……書けてればいいなぁ(
ぬえちゃんもムラサちゃんも、お互いが好きすぎてもうダメになっちゃった感じ。
依存しすぎて、最後にはどこまでも一つになりたかった。
ぬえむら流行れ!
>>4様
恐れ多いです…! ありがとうございます!
>>NutsIn先任曹長様
濃いと感じてくださったなら本望です。
そのまま果ててしまいましょう!←
>>穀潰し様
混ぜ合わせてしまいましょう!
経緯も考えてはいたんですが、何かぐだぐだになってしまったのでこの際ネチョシーンだけで良いかなってなりました。
>>A様
全身にぬえむら毒がまわっていただけたなら、私は嬉しいです。
>>8様
ちゅっちゅは良いですよね。ちゅっちゅだけでご飯3杯いけます!
>>9様
ありがとうございますっ!
こんな文章力でも、そう言ってくれる皆様がいたら私は頑張れます!
ぬえむら流行れ!
リーク
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/09/27 14:19:19
- 更新日時:
- 2011/10/01 13:16:10
- 評価:
- 7/12
- POINT:
- 770
- Rate:
- 12.23
- 分類
- 封獣ぬえ
- 村紗水蜜
- ぬえむら
- グロ
- 純愛
- コメント返信行いました。
読んだ私も、体中からあらゆる体液を噴出しながら果ててしまいそうです!!
ただ欲を言えば此処まで到る経緯も読んでみたいかな、と。
二人のねっとりとした愛が、頭に心に。毒のように回りました。幸せです。ぬえむら流行れ!
ぬえむら流行れ