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『人狼の儀 【第二話】』 作者: 零雨
『3日目』
また朝が来た。
どうやら私は生きているらしい。
まあ、こんな序盤に私を狙う意味はあまり無いから、当然といえば当然かな。
もうみんな、起きているのかしら?
そして、今日は誰が襲われたのかしら……。
何が起こっても冷静でいなくちゃね……。
そんなことを考えながら、部屋を出る。
そこには、既に全員が揃っていた。
霊夢 :「死体が無い……?」
……。
ここから考えられるのは、おそらく狩人は生きている。
つまり、紫とチルノは狩人ではなかった。
問題は誰が狙われたかだけど……。
もし占い師が狙われていたなら、狩人は人狼ではない占い師を知ることができたわね。
藍 :「おそらく、狩人の能力が発動したんだろう。」
衣玖 :「何にせよ、誰も死ななかったのはいいことです。まず、霊能の結果を発表しますね。チルノさんは『人間』でした。」
鈴仙 :「やっぱり人狼じゃなかったわね。」
天子 :「怪しい奴を指名するのは悪いことじゃないわ。たまたまハズレだっただけでしょう?」
さとり :「では、占いの結果を発表しますね。橙さんは『人間』でしたよ。昨日は発言がなかったので占ってみましたが、人狼ではありませんでしたね。」
早苗 :「私はアリスさんを占いました。結果は『人間』でした!露骨な誘導が怪しかったから占いました!
ヤマメ :「私は天人を占った。結果は『人狼』だった……。」
にとり :「ついに人狼が見つかったね……。」
妖夢 :「でもまだ本当に人狼かどうかは分かりませんよね。どうするんですか?」
藍 :「そのために霊能者はいるんだろう。」
アリス :「疑わしきは処刑しろってことかしら?まあ、どちらにしろ今日は処刑しかないでしょう。」
天子が人狼……?
ヤマメは確かにそう言った。
しかし、本当にそうなのか?
落ち着け私、冷静に物事を考えるのよ。
いや、考えても今は意味がない……。
他に判断材料がないのだから。
天子は確実に、今日処刑されるだろう。
魔理沙 :「今日は天子の処刑で決まりだろ?これ以上議論する必要もないよな。」
天子 :「ちょっと!何勝手に私の処刑を決めてんのよ!?」
パチュリー:「まだ宣言していない共有者がいると分かっているのに、人狼判定を出せるってことは本物なんじゃないかしら?」
霊夢 :「確かに、偽者の占い師ならそんなリスクのある行動は避けるでしょうね。」
橙 :「でも、本物じゃなかったら不味いんじゃないかなぁ……。」
藍 :「いや、それは違うよ橙。ここで仮に天子を処刑したとしよう。その後、霊能者の結果を見ることによって、霊能者か占い師のどちらかが偽者だと分かる機会ができる。もちろん本当に人狼だったらそれだけ、私たちは有利になる。」
天子 :「だから何で私の処刑が前提になってるのよ!?この占い師は偽者よ、偽者!私は人狼なんかじゃないんだからね!?」
魔理沙 :「無駄だぜ天子。今の段階では、共有者以外は全員疑われてもしょうがない。まだ占い師も誰が本物か分からないしな。」
ヤマメ :「天人がなんと言おうが、私の出した判定は変わらない。今日、処刑するべきだよ。」
咲夜 :「他の占い師さんはどう思ってるのかしら?」
さとり :「私は処刑に賛成です。これで、霊能者の判定を見れば、誰が本物か分かっていただけるかもしれませんしね。」
早苗 :「私は絶対反対です!まだ私が占ってない相手を処刑するなんてふざけてますね!」
にとり :「早苗はもう少し落ち着いたほうがいいよ……。」
早苗 :「いや、それでも反対です!狂人の占いを信じるなんて、本物の私に対する侮辱です!」
魔理沙 :「だから落ち着けよ早苗。処刑はもう決まったんだ。」
天子 :「決まってない!本当に馬鹿な地上人共ね!衣玖、この馬鹿達にビシッと言ってやりなさい!」
衣玖 :「お言葉ですが総領娘様、私も処刑に賛成です。」
天子 :「え……?衣玖、今なんて言ったの……?」
衣玖 :「私も処刑に賛成です。占い師の真偽を確認することが出来ます。」
天子 :「そんな……。冗談でしょ……?ねぇ、嘘なんでしょ?」
衣玖 :「私は本気です。諦めて処刑されてください。」
天子 :「違う……。こんなの衣玖じゃない……!コイツが人狼よ!きっとそうよ!そうに…決まってる……。」
私は天子を直視できなかった。
天子は死んだような目で何かを呟いている。
とても人狼には見えない……。
が、これが演技だとしたら?
藍 :「今日は天子の処刑で決まりそうだな。」
霊夢 :「そうね。でもまだ他に考えることはあるわよね。」
にとり :「占い師の占い先についてとか?」
魔理沙 :「もう1人の共有者の存在とかな。もう誰が共有者か言ってもいいんじゃないか?」
藍 :「私の相方について、つまりもう1人の共有者については今日の最後に話そうと思っている。占い先候補を減らす意味もある。それでいいだろう?」
パチュリー:「それでいいと思うわ。それより、早苗がアリスを占ったのは怪しいわね。」
鈴仙 :「確かに、目立ちすぎた人狼に人間判定を出した偽者に見えるのよねぇ。」
早苗 :「アリスさんは人間です!私の占いに間違いはありません!」
咲夜 :「早苗の主張は中身がないわよね。意見の押し付けのような感じがするわ。」
アリス :「私が人狼だとでも言いたいの?私が人狼なら、もっと目立たないように気をつけるわよ。」
霊夢 :「あえて、目立ってるんじゃないの?普段のイメージを壊すためにね。」
藍 :「そろそろ時間だ。みんな指名の準備をしておいてくれ。」
橙 :「分かりました藍さま!」
藍 :「そして、もう1人の共有者のことだが……。」
鈴仙 :「私が【共有者】よ。占い師は私を占ったりしないよう気をつけてね。」
天子を指名するしかないか……。
神社を壊された恨みはあるけど、もう会えないとなると……。
いや、まだ処刑が決まったわけじゃないわ。
そして、生き残るためにも冷静になるのよ、私。
藍 :「それでは、結果を発表する。」
霊夢→天子 魔理沙→天子 藍 →天子 天子 →ヤマメ
衣玖→天子 アリス→妖夢 妖夢 →天子 チルノ →×
咲夜→天子 にとり→天子 ヤマメ→天子 パチュリー→天子
早苗→にとり さとり→天子 橙 →魔理沙 鈴仙 →魔理沙
天子10票 魔理沙2票 妖夢1票 ヤマメ1票 にとり1票
藍 :「今日の処刑は天子だ……。」
衣玖 :「処刑は私に任せてもらえないでしょうか。」
藍 :「……いいのか?長い付き合いだろう?」
衣玖 :「だからこそ、最後は自分で終わらせたいのです。」
藍 :「わかった。処刑は任せよう。私たちは先に部屋に戻ることにするよ。」
藍の言葉に、私たちは同意し部屋に戻ることにした。
後に残ったのは天子と衣玖の2人だけ……。
「さあ、総領娘様。処刑のお時間です。」
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだ……!」
天子は恐怖からか、幼児退行しているようだ。
信用していた衣玖に裏切られた、彼女はそう思ったのだろう。
最も、衣玖のほうは彼女を信用などしていなかったが。
「ふふふ……。まさかこんな機会が転がってくるとは思いませんでしたよ。総領娘様、あなたを処刑することが出来るなんてね。」
衣玖はそう言うと、天子に近づいていく。
天子は怯えて逃げ出そうとしたが、足が絡まりその場で転倒してしまった。
倒れた天子に覆いかぶさるように馬乗りになる衣玖。
そのまま首をに手をかける。
ビクビクと痙攣する天子。
いくら天人といえども、首を絞められたら死ぬ。
当たり前のことだが、天子はひときわ激しく痙攣し動かなくなった。
「さようなら、総領娘様。たとえ私が死んだとしても、あなたとは違うところに行くのでしょう。」
夜になった。
私は明日になっても生きているのだろうか?
多分、まだ生きているだろう。
私を狙うメリットはないのだから。
1人になると集中力が増す気がするわね。
占い師についてでも考えてみようかしら。
早苗が本物の場合、アリスが人間でヤマメが狂人。
残った占い師のさとりは、人狼か妖狐になるわね。
ヤマメが本物の場合は、パチュリーが人間。
そして、天子が人狼……。
この場合は人狼が1匹減って、さらに占い師にも人狼がいるならば、あと1匹見つけるだけでいい。
もちろん、その前に妖狐を見つける必要があるけど。
そして、さとりが本物の場合。
多分この場合は、人間が一番不利になる。
最初の占い先が共有者だったことで、実質占いが無意味に終わった。
橙が人間は確定するけど、他の占い師と違って内訳が見えない。
人狼でも、狂人でもないただの人間判定で終わってしまう。
こんなところかしらね。
不安なのは、霊能者と紫。
霊能者は狐の可能性もあるし、紫は能力者だったかもしれない。
紫については、能力者じゃなかったことを祈るしかないわね……。
そろそろ寝ましょう……。
落ち着いて行動しなくちゃいけないわ。
明日も、生き残れますように……。
『4日目』
今日も私は生きていた。
一体誰が襲われたのかしら……。
行ってみればわかる、か。
部屋を出て、みんながいるところへ向かった。
まだ全員は揃っていなかったが、犠牲者はいた。
能力者だった。
そう、早苗が死んでいた。
お腹に食い破られたかのような穴がある。
わざわざここに置いてあるのは人狼の趣味なのか、それとも儀式をスムーズに進行させるためなのか……。
藍 :「能力者が死んでしまったな……。人狼に襲われたということは、早苗は本物の占い師だったか、狂人かだな。おそらく、本物だろうが……。」
鈴仙 :「死体は私が運ぶわ。部屋において置けばいいのよね?」
鈴仙が早苗の死体を部屋に運んだ。
その間に、部屋には全員が揃った。
藍 :「もうみんな知っているとは思うが、今日の犠牲者は早苗だ。」
妖夢 :「占い師が死んでしまったのは痛いですね……。」
魔理沙 :「妖夢の言い方だと、早苗が本物だったって思われるぜ?それか、本物だと分かっているのか?」
衣玖 :「霊能の結果を発表します。総領娘様は『人間』でした。これで占いの真偽がはっきりしたかもしれませんね。」
ヤマメ :「私の占いの結果を発表するよ。魔理沙は『人間』だ。霊能者は狐か?」
さとり :「妖夢さんは『人間』でした。襲われた早苗さんは狂人でしょう。」
鈴仙 :「占いが破綻したわね。霊能者か占い師、どちらかは確実に人間じゃないわね。」
橙 :「確かにそうだけど、さとりさんはまだ本物の可能性もあるんですよね、藍さま?」
藍 :「ああ、そうだな。その可能性ももちろんある。まだ、誰が本物かはわからないからな。」
ヤマメ :「私は本物だよ。早苗が狂人でさとりが人狼。そして霊能者が妖狐だ。」
霊夢 :「人狼が狂人を襲って得はあるのかってところよね。」
パチュリー:「狂人が人狼に人間判定を出したとしたら?そこで、襲われれば判定を出された人狼は人間として扱われるんじゃないかしら?」
咲夜 :「アリスに人間判定を出して襲われれば、アリスはもし人狼だったとしても、人間に見えるということですわね。」
アリス :「私を疑ってるの?まあ、確かに咲夜とパチュリーの言ってることは正しいわ。でも、そう思わせるための人狼の作戦ということも考えられるわ。」
にとり :「で、今日の処刑はどうするの?」
藍 :「私は破綻した占い師でいいと思っている。本物の可能性が最も薄いからな。」
やっぱり占い師が襲われて、今日は占い師が処刑される。
よくよく考えると、妖狐に有利な状況が出来上がりつつある……?
いや、人狼も分かっているはず。
それより、破綻した占い師が魔理沙を占ったことが気になる。
早苗が本物だったら、適当に人間判定を出したというだけで終わるかもしれないが、もし早苗が狂人だったら?
破綻した占い師、ヤマメは人狼なのではないか?
そうなると魔理沙が人狼という可能性が大きくなってくる……。
どの占い師が本物だったとしても、必ず1人は怪しくなる……。
そもそも、早苗が本物だとしたら一体どの時点で人狼がそれに気がついたのか?
ヤマメ :「私を処刑だって?先に妖狐の霊能者を処刑するべきところだろう?」
鈴仙 :「本物の可能性がゼロに近い占い師と、本物の可能性が高い霊能者のどちらを切り捨てるかって話でしょ?答えは言わなくても分かるわよね。」
霊夢 :「今のところ本物の可能性が高いのは早苗で次点がさとり。そしてヤマメが破綻ってところかしら。」
魔理沙 :「まあ、霊能者が偽者の可能性もあるから、確実ってわけじゃない。大体あってるけどな。」
妖夢 :「今日は破綻した占い師を処刑するとして、明日以降はどうするんですか?」
藍 :「それを今から話し合うべきだな。明日の占いとの掛け合いもあるが、各自今怪しいと思っている人物を挙げてもらおうか。能力者以外の人物から1人だ。あと、今出ている能力者は意見を言わないでほしい。能力者の発言力は強い。誘導になりかねないからな。」
魔理沙 :「じゃあ、私からいくぜ。私が怪しいと思うのはアリスだ。人間判定をもらった人狼に見える。」
にとり :「私もアリスかなぁ……。なんとなくだけど、怪しく見えるんだよねぇ。」
霊夢 :「私は魔理沙が怪しく見えるわ。少なくともこの中では一番人狼に見える。」
妖夢 :「理由は特にはないんですけど、なんとなくにとりさんが怪しいかなぁ。」
パチュリー:「私は魔理沙ね。目立ってる人間、を装った人狼に見えるわ。」
咲夜 :「アリスが怪しく見えるわね。アリスに判定を出した後すぐに早苗が襲われたから、余計に怪しく見えるだけなのかもしれないけど。」
橙 :「私は魔理沙が怪しいと思う。」
アリス :「今の時点ではパチュリーね。明日には変わるかもしれないけど。」
藍 :「これで全員かな。そろそろ時間だ、指名に移ろうか。」
鈴仙 :「正直なところ、この議論に意味があるかは微妙だと思うんだけどね……。」
藍 :「いや、そうでもないさ。考えることを放棄しなければ、私たちはきっと生き残ることが出来るはずだ。」
……。
藍の言うことはもっともだ。
諦めなければ、きっと生き残れる。
そう、諦めなければ……、ね。
指名は、とりあえず今日はヤマメね。
魔理沙は怪しく見える、けど個人的に処刑はしたくない……。
そして、今日指名したところで処刑になるとも思えない。
悪目立ちするだけで終わってしまうだろう。
ヤマメが本物の占い師じゃないことを祈るわ……。
藍 :「結果を発表する。」
霊夢→ヤマメ 魔理沙→さとり 藍 →ヤマメ 天子 →×
衣玖→さとり アリス→ヤマメ 妖夢 →さとり チルノ →×
咲夜→ヤマメ にとり→ヤマメ ヤマメ→さとり パチュリー→ヤマメ
早苗→× さとり→ヤマメ 橙 →ヤマメ 鈴仙 →ヤマメ
ヤマメ9票 さとり4票
藍 :「今日の処刑はヤマメだ……。」
ヤマメ :「そうか……。残念だよ……。やるなら一思いにやってくれ……。」
藍は頷くと、ヤマメの首に手をかけ思い切り回転させた。
ゴキリ、と嫌な音がしたかと思うと、ヤマメの体から力が抜けていった。
藍 :「部屋に戻ろうか……。死体は私が運んでおくよ……。」
そう言う藍の顔には疲労の色が見て取れた。
ただでさえ辛い状況なのに、共有者という重要な位置にいる藍。
気が狂ってしまうんじゃないかと見ているこちらが心配になる。
私は藍のことを心配しつつも部屋に戻ることにした。
そして夜が来た。
今日の出来事について、簡単にまとめてみようと思う。
今日の占い先は、ヤマメが魔理沙に『人間』判定。
さとりが妖夢に『人間』判定。
そして、ヤマメは処刑された……。
ヤマメが本物の可能性は低いけどもしかしたらあったかもしれない。
いまさら悔やんでも意味のないことだけどね……。
ヤマメが本物ということがあり得るパターンは、早苗が狂人の場合のみ。
早苗が狂人かどうかは微妙なところね。
最悪のパターンがひとつだけ考えられる。
既に霊能者と、占い師が死んでいる可能性……。
紫が占い師で、チルノが霊能者だった場合。
いや、さすがにこれは考えすぎかな。
厄介なパターンは他にもあるしね……。
でも、まだ誰が本物なのかが掴めない。
明日の霊能者の結果で分かればいいんだけど……。
そんなことを考えながら、私は眠りについた。
そして、5日目が来る。
この日から、儀式は大きく歪み始める……。
二話目です。
そろそろ内訳が予想できるかもしれませんね。
【占い師】
【霊能者】
【共有者】
【狩人】
【狂人】
【人狼】
【妖狐】
予想用です。
時間のある方はどうぞ。
零雨
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/10/16 10:50:12
- 更新日時:
- 2011/10/16 19:50:12
- 評価:
- 4/8
- POINT:
- 380
- Rate:
- 10.13
- 分類
- 霊夢
- 汝は人狼なりや?
もっと怖いのは、皆が『指名』して処刑された相手が『人狼』に対抗しうる相手だった場合。
何てったって、自分で命綱を切ってしまったのだから。
狩人が人狼を退治するのは、人が作った物語だ。
3−1なんでとりあえず、霊能鉄板がデフォで、真霊なら、
村側有利なきがするのですがはたして・・・
衣玖さんは村人、早苗真と、かってに予想、あってる気がしない・・・。
てんこがかわいくてそこはよかった。