橙と妖夢がもめた。
白玉楼に唯の大きな桜がある。その枝が、成長しすぎて隣に住む八雲家の庭まで来ていて、日を遮り邪魔で迷惑だった。
橙は迷惑なので、その邪魔な枝を切ってしまった。桜は切られたり折られたりして傷が付き、その後、適切な処置をしないとかなりの確立で、病気になってしまう。そういうことを、橙は知らなかった。
橙が枝を切った日からしばらくして、妖夢は桜が病気だということに気づいた。唯の桜ではあるが、樹齢が長く大きく育てた木だった。ひとまず、どこかに傷があるのか探した。ところが、白玉楼の敷地で目立った外傷はない。いくらかの枝が敷地を越えてお隣の八雲さんの屋敷に入っている枝があるようだ。その枝の先を見ると切られた後があった。そこから病気になってしまったようだ。怒った妖夢は、八雲さんの屋敷に抗議しに行くことにした。
同刻、こないだ枝を切ったばかりだというのに、また枝が庭を侵食している。橙は困った。しかたがなく、枝が伸びてきている白玉楼に、抗議に行くことにした。
そして、二人が同時にお互いの屋敷を出たところ、出くわした。
「あなた! 八雲さんの所の、ちょっと! 勝手に人の家の木を切らないでもらえますか?」
妖夢は挨拶もせずに橙の顔を見るなり抗議を始めた。
「こんにちはぁ、植木? あぁ? もしかして、木の枝ことかなぁ。人の家に勝手に入ってきたやつ、邪魔だから切ったよぉ」
橙はマイペースに話す。
ビシ! 橙の態度がしゃくに障った、妖夢がいきなり橙に手を出した。刀の鞘で橙の腿をぶった。
「痛いよぅ」
突然ぶたれた橙は痛がった。腿の辺りが、すぐに膨らんで赤くなっている。
スパッ! こんどは、痛がって腿を押さえる橙の耳を引っ張って刀で切ってしまった。
「......? 頭が熱い? あれぇ......頭ぁ! 痛い! 耳! 耳! 無いよぉ!」
橙は最初耳を切られていることに気が付かなかった。腿を押さえていたら、だんだん、頭が熱くなって来た。おかしいと思った橙は、頭を触ってみた。すると、耳が無かった。耳が無いことに気が付くと、どんどん痛くなってきた。
「どうですか? 切られたら痛いでしょう? あなたが、うちの木にやったことですよ」
妖夢はさも当然のように、痛がる橙に話しかけた。妖夢は、当然橙が、くいを改めて謝るだろうと思った。ところが、橙の反応は違った。
「藍しゃま! 痛いよぉ! 痛い、助けて!」
大声を上げて泣き出してしまった。
予想外の反応、妖夢は困った。このままでは、騒ぎを聞きつけた八雲さんが出てきてしまう。私はなにも悪くないのに悪者にされてしまうと思った。
「たす! ぐぬぬぬ!」
大声で泣く橙を黙らせるために、妖夢は無理やり手を橙の口に入れて黙らせた。反射的に橙が噛み付いて、妖夢の手から血が出た。かまわずに、さらにぐいぐい口に手を入れ続けた。橙は爪を振って、妖夢に抵抗した。爪は妖夢の肩を抉ったり、目の下を切った。いくらか抵抗したものの手が喉の奥まで来ていたので呼吸が出来ず。橙は気を失ってしまった。
妖夢は、橙が気を失うのを確認した。妖夢はあやまらない橙が気にくわないのと、怪我させられた罪には罰が与えられるべきだと考えた。白玉楼に持って帰って、さらに説教が必要だと思った。橙はそのまま白玉楼に連れ去られてしまった。
橙は気がついた。
ここは、何処だろうなぁ。なんだろうなぁ、頭が痛いよぉ。あれぇ?動けないよぉ?おかしいなぁ?私はなんでこうなったんだっけぇ?音がおかしいようなぁ?スースーするよぉ? 確か隣の家から、なんだっけなぁ?それからしばらく考えた後ようやく橙は自分の置かれている状況を理解した。妖夢に枝について抗議された。その後いじめられて、どこかに閉じ込められている。服を着ていない、おそらく椅子のようなものに縛りつけられている。口に何かつめ物をされていてしゃべれない。
............夢だ!橙はきっと自分は今日悪い夢を見ている。きっと、なんだろうわからない。違うよぉ。きっと、夢を見ているだけだよぉ。体が動かないよぉ、なんだろうなぁ?夢だだからだよぉ、理解しているにも関わらずに、現実逃避をしている橙であった。早く起こしてよぉ......
しばらくして、現実逃避している橙が閉じ込められているところに、妖夢が顔と上半身に包帯巻いて現れた。怪我の治療をしていたのだろうか、噛み付いた手は、まだ血が止まっておらず触ったところに血がついていた。
「起きましたか、では今からあなたに罰を与えます」
妖夢は、怪我で血の滲む包帯を指でなぞった。これから、お前にも同じことするぞという意味だった。その動作がとても怖くて橙は、震えだした。
「うー!」
橙は口に詰められた物のせいでしゃべれない。
「理解しましたか、じゃあまず目の下からやりますよ」
「うーうううう」
橙は嫌がって首を振ったりして、何とか抵抗しようとしたが、徒労に終わった。妖夢は、彫刻刀で橙の目の下を、深く切った。
「にゃううううううううう!」
コメントの返信
1. NutsIn先任曹長さんへ
2本立てにしてみました。
仇討ちのほうは、最初は咲夜さんが自害して終わりの予定でした。がハッピーエンドにしてみることにしました。橙の話の残りはご想像にお任せです。
2. 名無しさんへ
12月14日はテレビの前で忠臣蔵ですか?
3. 名無しさんへ
作品をほめて貰ってありがとうございます。素敵なんて初めてコメント貰いました。うれしいです。
4. 名無しさんへ
ということは、赤穂浪士側ではなく吉良側の視点でシナリオを作れば、理不尽で面白い忠臣蔵になりますか?
5. 名無しさんへ
自分でも把握できゅい無いぐらいの誤字があって、泣きそうになります。
本編は後書きに負けてしまいました。
小早川秀秋の冒険 2011 10 26
ギョウヘルインニ
・仇討ちの話の感想
さすが咲夜さん!!
悪魔の犬だけあって、犬死ですか!! あれ?
これは、ハッピーエンド、か?
・拉致された橙の話の感想
どの道、橙は生きて帰れないでしょうね……。
妖夢もね……、血が……、血が……、止まらなくなっちゃったり……。
笑いあり感動あり
時間をとらせないシンプルさ
なんとも王道でいいじゃないですか
こんくらい無茶苦茶で理不尽だと逆になっとくできるものなんだなあ。
後書きは私の下半身に大絶賛だったので点数に加味しときますね。