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『“二つ目”とフラン』 作者: ウナル
※このSSは東方Projectの二次創作作品です
※このSSには性的表現、グロテスクな表現が含まれて居ます。
「ぶう」
頬を膨らましながら、フランは人の行きかう通りを見ていた。
時刻は昼少し過ぎ。出かける前に昼食は済ませてあるので腹具合は問題ないが、この景色はいささか退屈すぎる。
曇なのだ。
外の世界なのだ。
地下の壁と実の姉をぶち壊してやっと得た自由なのだ。
――なのに。
「……つまんない」
まばらに人が通り過ぎるだけの里を見て、フランは苛立ちげに爪先で石を蹴った。
のれんを出している店はいくつもあるが平日の昼過ぎではそれほど客入りはない。せいぜい主婦のお茶会の場になるくらいだ。
子どもはどうかと言えば、今は寺子屋の時間である。半獣の教師が居眠り生徒に頭突きをかましていることだろう。
そういう訳で、目下フランの興味を惹きそうなものは人里には見受けられないのである。
「いっそ暴れちゃおうかな。壊し易そうなのいっぱいあるし」
言うが早いかフランは目を細めた。少女の大きな瞳が朱色に染まる。
フランの瞳孔には家や壁に重なりようにして輝く“目”がそこら中に映っていた。
『ありとあらゆるものを破壊する能力』
フランは生物や物が持つ“目”を操ることでそれらを破壊する能力を有している。銃弾を弾き返す鋼鉄だろうと樹齢千年を越える大樹であろうとフランの力を持ってすれば、指先一つで粉微塵に破壊できるのだ。
だが残念なことに、無闇な破壊はレミリアから禁止されていた。
幻想郷に住まう以上、貴族として高貴な振る舞いをしなさいというのがレミリアの言であるが、フランからしてみれば面倒な縛り以外の何物でもない。
とはいえ殺し合うだけならともかく、本気で姉に嫌われるのも少々いただけない。姉に嫌われてはますます相手にしてくれる人が減ってしまう。どうしたものかと頬杖をつきながら、フランは気のない目線で里を眺める。
「あれ?」
ふと一人の女性を見つけて、思わずフランは声を上げた。
その女性は側に立つ男性と仲良さそうに手を繋ぎ、通りを歩いている。どこにでもある普通の光景だ。だがフランの目にはその女性の異常がはっきりと映し出されていた。
女性の中に輝く“目”。
それが確かに二つ、女性の中にある。
「な、なんで?」
“目”は一人につき一つ。人間だろうが妖怪だろうが物質だろうがそれは変わらない。それがフランの中の常識であり、当たり前のことだった。
しかし、今目の前には二つの“目”を持つ人間がいる。一つは人間として通常のサイズ。それに比べもう一つはかなり小さい。もしかしたらネズミ以下かもしれない。だがここで重要なのは二つの“目”があるということだ。
鼓動が高鳴る。
もしかしたら、という願掛けに近い思いでフランは小さな方の“目”を自らの手の平へと移した。
トクトクと小さく点滅する輝き。それに向いゆっくりと指を閉じて行く。
「きゅっとして……どかーん」
握った。握り潰した。
これでこの“目”の持ち主は完全に破壊されるはずだ。
しかし、女性は何も無かったかのようにただ通りを歩き去っていった。
(すごい! すごい! すごい!)
声に出してしまえば思いが飛んで行ってしまう気がして、フランはにやける口を必死に押さえて、地面に座り込んだ。
心臓は跳ねるように高鳴り、フランは宝石のように瞳を輝かせた。
確信する。間違いない。
(あれは、壊していい人間なんだ!)
こうしてフランに初めての趣味が生まれた。
◆ ◆ ◆
「行ってきます!」
「行ってらっしゃいませ妹様。日傘はお持ちになられましたか?」
「うん! ばっちり!」
忙しなく空へ舞い上がる姿を見送り、咲夜は周囲に気付かれない程度に息を吐いた。
ゴミが落ちていないかチェックをしながら階段を昇り、テラスで茶を飲む主人のもとへと戻ってくる。
豪奢な椅子に足を組みながら座る主に向かい、咲夜はそっとつぶやいた。
「妹様、最近機嫌がよろしいですね。曇になったら毎日のように出かけています」
「そうなのよね。わざわざ陽のある内に出歩くこともないのに。何やってるんだか」
「――大丈夫ですかね。妹様」
「みなまで言うな咲夜。わかっているわよ。幼女趣味でご都合能力を持った変態村長にフランが襲われないか心配なのね。安心なさい防犯ブザーは持たせているわ」
「いえそっちではなく」
カップを皿へと戻し、レミリアは小さくなっていく妹の姿を見る。
確かに気にはなる。しかし、まだ問題を起こしていないにも関わらず問い詰めるには、フランの笑顔は輝きすぎていた。
「今のところ問題は出ていない。ならもう少し様子を見ましょう。もし、何かあれば私が何とかするわ」
「……お嬢様がそうおっしゃるなら」
「熱い紅茶をもう一杯。今度は砂糖とミルクを多めにね」
言われるまま咲夜はポットの紅茶を注ぐ。
白い湯気がテラスの日傘へと昇っていき、わずかに広がりかき消える。
乳白色のミルクティーを一口含み、レミリアは言った。
「咲夜」
「はい」
「甘いわね」
「はい」
薄暗い曇り空を眺めながら、レミリアは甘すぎる紅茶を口に含んでいく。
「今日こそ、見つけてやるんだから!」
あの日以来、フランは『二つ目探し』に夢中になっていた。
鹿撃ちの猟師よろしく里を徘徊しては、二つの“目”を持つ人間を探す。
流石に二つ目はレアなのか、三日三晩探しても見つからないこともざらにあった。しかし楽しみを膨らますスパイスとそれを割り切れる程度にはフランは大人になっていた。
「うー、うー、いないなー。流石に捕り尽しちゃったかなあ?」
目を見開き大通りを見渡すが二つ目は見つからない。
昨日までにすでに九人分の二つ目を壊した。もうそれで狩り尽くしてしまったのかもしれない。だが昨日まで一つしか“目”を持っていなかった人が次の日には二つ目になっていたこともあったので油断はできない。
最初の二つ目を狩った時からフランは十人の二つ目を狩ると己に誓った。これを破るのは何だか負けたような気がしてならない。
「こうなったら山の方とか行ってみようかな。この里以外にも人間はいるしそっちの……あっ!」
思わず上げてしまった声を慌てて手で封じる。
居た。
大通りを避けているのか、狭い路地を二つ目が歩いている。どこか具合の悪そうな顔をした二つ目は、でっぷりと太った腹を押さえながらよろよろと歩いている。
フランはその後を気付かれないように、そっと追いかけた。
「すごい……大物だ」
ごくり、と喉が鳴る。
今回の二つ目の中にある“目”の大きさは今までの比ではなかった。今までの二つ目はせいぜいネズミ程度の“目”を持つに過ぎなかったが、あれはほとんど人間と変わらない大きさの“目”を持っている。かつて無い獲物にフランは犬歯の生えた口を三日月形に歪める。
「きゅっとして……どかーん!!」
手に移った目を思いっきり握り潰す。
強い手応え。
遂に十人を狩ったこと。そしてその記念すべき十人目を巨大な“目”で飾れたこと。それらは今まで癇癪でしか行動してこなかったフランにとって大きな意義を持った。
「う〜〜〜〜〜っ!! やっほ――――――っ!!」
思わずフランは両手を上げて、飛び上がってしまった。
宝石のような翼をはためかせ、くるくるとその場で回転してしまう。
生まれてきて495年。初めてフランは自分ひとりの力で目標を達成したのだ。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああっ!!」
フランの幸福感を打ち破ったのは、突然の叫びだった。
見れば先ほどの二つ目が血を流しながら倒れている。
あっという間に舞い上がるような喜びは冷え込み、フランは呆然と女性の姿を見る。
「え? あ? な、なんで?」
フランはわけがわからなかった。
今まで二つ目を壊してもその人間には全然影響はなかった。現に目の前の人間もしっかりと“目”を持っている。
自分は目の前の人間を壊していない。ただ余分にあったもう一つの“目”を壊しただけだ。
余分に“目”があるのだから、あれは壊してもいいはずだ。
彼女らは壊して良い人間だったはずだ。
なのに何故?
「ふぐっ!?」
立ち尽くすフランは、突然地面に叩き伏せられた。
路地との接吻から何とか脱したフランが見たのは鬼気迫る表情で自分を組み伏せる博麗の巫女の姿だった。
「……やってくれたわね、フランドール・スカーレット」
「な、何のこと!? 離してよ! 痛いじゃない!」
「医者だ! 医者を呼べ!」
「くそっ! ぐちゃぐちゃだ! 間に合うのか!?」
「永琳先生を誰か! 頼む! 妻を救ってくれ!!」
フランの認識とは裏腹に、事態はどんどん大きくなっていく。
里の人間がわらわら集まってくる。連絡を受けた半獣の教師は永遠亭に急ぐべく、フルスピードで空に飛び立った。
その中心で喚いていた二つ目の女性は、その腹の中からこぼれた肉塊に向かいひたすらに何かを叫んでいる。
「なに? なんなの?」
事態を把握していないのはフランだけだった。
今やフランに向う里人の視線は、ただ妖怪を憎悪するもの以上の意味を持っていた。
殺意。悪意。害意。憎悪。
妖怪と人間の力量差すら度外視して、彼らはフランに視線を向ける。霊夢が居なければ即座にフランに襲い掛かっていただろう。
フランはこんな表情をする人間を知らなかった。
フランの知っていた人間はいつも飲み物か食べ物の形だったし、生きている人間もアホ面を晒して漫然と生きている無害な生物に過ぎなかった。
だが今は違う。
同じ人間とは思えない醜悪で凶悪な表情。
そこから発せられる感情の激流に、フランは知らず知らずの内に股間から小便を垂れ流していた。
その中で唯一冷静さを保っていた霊夢は、フランに向かい諭すように耳打ちする。
「フラン。あんたはね、人間の子どもを殺したのよ」
「――――――――――え」
呆けた声を出すフランに、霊夢は魔破の呪符を貼り付ける。
事態を聞きつけレミリアたちが駆けつけた頃には、すでにほとんどの判決が決まっていた。
フランが起こした“異変”は久々に起こった大虐殺と見るほかなかった。
幻想郷において子どもは黄金以上の価値を持つ。閉鎖された世界の中で妖怪の恐怖に怯える人々にとって、子どもを産むことは人生における最大の幸福なのだ。
その子が殺された。それも生まれる前に。捕食のためではなく、ただの遊戯のためだけに。
これだけのことを起こした妖怪に対して、スペルカードによる妖怪退治などという生温い措置が通るはずもなく、フランの処遇については里の被害者とその親族に一任されることとなった。
一日と待つことなく、被害者の会はある結論に至り、それをフランへと執行することに決めた。
「やだあああああああああああああああっ!! 助けて! 助けてよおおおおおっ!!」
結界によって力を抑えられたフランが男たちに引きずられ、里外れの家屋へと連れられていく。
周囲に立つ人間たちはぴくりとも顔を動かさず白磁にも似た無表情でそれを見つめている。
これから何をされるかフランは知っている。知っているからこそ、フランは抗おうとする。
しかし、幼女同然の力にか発揮できない今のフランには大の男たちに抗う方法などなかった。
「お、お姉さま! お姉さまぁ!!」
その人間の垣根の中に日傘を差したレミリアを見つけ、フランは必死に手を伸ばす。
唯一の肉親。500年近い時を共に過ごした姉ならば、きっと自分を救ってくれる。そう信じて伸ばしたフランの手は、レミリアの平手一つで拒絶された。
「お、ねえさま?」
「フラン。貴方にはほどほど呆れたわ」
「……え?」
「言ったでしょう? みだりに力を使うな、と。それを破り暴れまわった貴方には相応の罰が与えられて当然でしょう?」
「な……ぁな……っ!」
「フラン。罪を受け入れなさい。そして罰を受けなさい。 恨むなら己の愚かさを恨むのね」
あまりのことに思考を停止した精神とは裏腹に、フランの肉体ははっきりと反応を返した。
唇を噛み締め、瞳に大粒の涙を生み出し、あらん限りの声で叫ぶ。
「だって……だって、教えてくれなかった!! 教えてくれなかったじゃない!! 人間がこんな風に生まれるなんて誰も! 誰もっ!! お姉さまだって!!」
分厚い扉が閉められていく。
あんなに嫌いだった光が遠のく。
闇は自分の世界だったはずなのに、今はただただ恐ろしい。
「私だって……! 私だってっ!!」
重苦しい音が響いて扉が閉じられる。
閂がはめられ、光の線すら失われる。
◆ ◆ ◆
「痛いっ! 痛いっ! 痛い痛い痛いっ!!」
ぎちぎちと股間をこじ開ける肉棒の痛みは、身体を半分に千切られるようだった。肉を裂かれて流れ出した血の赤は、薄暗い部屋の中にあってフランに現実を思い出させる。
いくら即座に傷を修復する吸血鬼だとしても、痛みが減じられる訳ではない。
そもそもフランは自らを傷つけられることに全く慣れていないのだ。自分を傷つけるものは傷つけるよりも早く壊せば良い。もしも傷つけられたならそれが気にならなくなるほど相手を壊せば良い。
そうやってフランは生きてきたのだから。
「うるせえよ! お前に壊された子の痛みはこんなもんじゃねえぞ!!」
「いぎぃぃぃぃぃぃぃいいいいいぃぃいぃっ!!」
無理矢理に腰を掴まれ、肉棒を突き入れられる。
まったく相手のことなど考えない無遠慮な一撃だった。
今まで何者も受け入れたことのない膣は、男の肉棒を受けて荒々しくこじ開けられ、真っ赤な鮮血を流し出した。
「い、ぅぅ、いうああああああああっ!!」
「ったくうるせえな。泣き言ばっか言いやがって。おら! これでも咥えてろ!!」
「うぶぅっぅ!?」
口の中に広がる青臭い味。以前、食べたスルメという味に似ていた。
鼻をくすぐる黒い毛とヘソゴマの溜まった腹部に、ようやくフランはそれが何なのか理解した。
「うぶーっ! ううーっ!!」
「あれ? もしかしてそれで本気? 本気でチンポ噛み切ろうとしてる? てっきり嬉しくて甘噛みしてくれてるのかと思ったぜ!」
「天下の吸血鬼様がねえ。寺子屋通いの子どもだってもう少し力強いよな!!」
必死に口の中の異物を吐き出そうとするのだが、全く身体に力が入らない。
逆に頭を掴まれ、前後に激しく揺さぶられてしまう。
それに合わせるように、腰を掴んでいた男を動きを再開した。
口と股間。二つの箇所を肉棒に塞がれたまま、フランの身体はオナホール同然に無理矢理突き動かされる。
「オラ食らえ!! 人間様の子種だぞ!!」
「うぶっっっっ!? ぶえっ! げえっげえっ!!」
肉棒が怒張し、白い粘液を口へと吐き出した。
喉にこびり付くゲルの感触と、青臭い味にフランは溜まらず精液を吐き出してしまう。
瞬間、頭の後ろに衝撃が走った。
「何吐いてんだよコラァッ!! その中に赤ちゃんの元が何万個入ってると思ってんだ!! 一滴残さず飲み干せ!!」
「やらああああっっ!! 臭い臭いぃぃぃ!!」
「飲めってんだよっ!!」
後頭部を踏みつけていた足が何度もフランを蹴り飛ばす。
分厚い畳に鼻っ面を叩きつけられ、フランの顔から鼻血が噴き出した。
信じられない程の痛みと恐怖。
フランは両眼から涙を零しながら、赤と白が混じり合った混合液をすすり上げる。
「こっちの口にも出すぞ! 全部飲み干せよ子殺し野郎!!」
「うびゅうううっ!?」
ずっとバックから突いていた男も限界に達した。フランの腰をがっちり掴み、亀頭の先を子宮に押し付けながらザーメンをその奥へと注ぎ込んで行く。
「うあぁぁぁ……気持ち悪いよぉ……」
「ったく、締まりといい反応といい最低のマンコだったぜ!!」
「次は俺だな。しっかり妊娠できるように、子宮口こじ開けてやるぜ」
「やあああああっ!! 妊娠なんかしたくないよおおおお!!」
次々とフランの膣に精液を注ぎ込む男たち。
どんなにフランが苦痛を叫ぼうともそれの手を緩めることは無い。これこそがフランに課された罰なのだから。
子どもを産むということを身体に覚えさせ、二度とこのようなことが起こらないように反省させる。そのために出された結論が、『殺した胎児と同じだけの数、子を産ませる』という罰だった。
男性経験はおろか自慰すら知らなかったフランにとって、それは単純な拷問以上の刑罰であった。肉棒で股間を突き刺されるたびにフランは痛みを叫び、膣奥に射精されるたびに泣き出した。それを見ながら男たちは復讐の快感に酔いしれた。
最初の一週間は紅魔館の皆が助けにきてくれることを期待した。扉の音がするたびにレミリアたちがやってきたのでは無いかと期待に目を輝かせた。しかし、そんな甘い考えはあっさりと裏切られた。扉からやって来るのはフランを犯す男たちか、フランに呪詛を吐き付ける女性たちだけだった。その日々によってフランは寝ている時でさえ夢の中に彼らが出てくるようになった。
次の一週間でフランは自分がこんな目にあっているのは自分が悪い子だったからだと認めた。それを認めて謝罪を口にすればこんな酷い目から開放してくれるという下心で、フランは男たちに止めて欲しいと懇願した。答えは陵辱と暴力だった。一度は顔面が潰れたザクロみたくなるまで殴られ続けた。吸血鬼特有の再生能力で顔は元に戻ったが、その痛みと衝撃は今なおフランの心に深く突き刺さっている。
次の一週間でフランは本当に屈服した。下心など抜きにして、本心から女性たちに謝罪した。喉が擦り切れるまで「ごめんなさい」をくり返し、男たちにも積極的に奉仕した。それだけが殺してしまった子どもたちに対してできる唯一のことだと思った。答えは「つまらない」というものだった。その日から暴力がさらに激化した。子宮さえ傷つけなければ良いという暗黙の了解のもと四肢を切断されたり、乳首を潰されたり、眼球を引きずりだされたりした。そのたびにフランは新鮮な悲鳴を上げて人々を喜ばせた。
そしてさらに二ヶ月が過ぎた。
フランが出した答えは“心を閉ざす”ことだった。
逃げ出すことも抵抗することも諦め、ただ為されるままにされる。それが一番苦痛も悲しみも抱かずに済む方法だった。希望がなければ絶望もない。期待をしなければ裏切られることもない。もう手足を斧で叩き切られてももう叫ばなくなった。子宮に射精されても何も感じなくなった。
どういうわけかフランが諦めてからは男たちもフランを積極的に責めようとはしなくなった。フランは少しだけ楽になれた。
唯一フランに宿っている感情は、自分を拒絶したレミリアに対する怒りだった。
なんで自分だけがこんな目にあっているのか。
なんで自分そっくりな姉は何の罰も受けないのか。
そもそも自分を地下に閉じ込めていたのはレミリアだ。自分が人間に対する知識を得られなかったのもレミリアのせいだ。レミリアにだって罰を与えられるべきだ。
なのになんで。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで。
「う……あぁ……」
まともに動かない身体を起こし、フランは周囲を見回す。
男たちは出すだけ出して満足したのか、畳の上に転がりながら寝息を立てている。
無論逃げ出すチャンスではあるが、今までそれが成功した試しはない。家屋の周囲には結界が張られているから出る事はできないし、仮に出ることができたとしてもすぐに連れ戻されるのが関の山だ。今や人間妖怪を問わず幻想郷中の住人がフランの敵なのだから。
「……………」
ぽっこりと膨らんだ腹を死んだ魚の目で見つめるフラン。
わずか二ヶ月と三週間。それだけでフランの腹は臨月の妊婦のそれになっていた。
フランが産むべき子どもは十人。それを通常通り妊娠させたのではそれこそ十年近くかかってしまうため、永遠亭印の成長促進剤を投与して胎児の成長を促しているのだ。これにより理論上、三ヶ月での分娩が可能になった。
それが幸か不幸かは今のフランにとってはどうでも良いことだった。
どん、と赤子が腹を蹴った。
それを鬱陶しげな目で見つめてからフランは部屋の端にのそのそと這い始める。
「……?」
ふと聞こえてきた声に顔を上げる。すぐ近く、この家屋のどこかで誰かが声を上げている。
もしかしたら、追加の男たちがやってきたのかもしれない。いつでも誰でも陵辱OKなフランを性欲の掃き溜めにしようという連中は後を絶たなかったし、日々のストレスを発散しようと木刀片手に女性連中がやって来ることもあった。
だが少し様子が違う。廊下を歩く足音もしないし、いつまで経っても音が近づいてこない。
興味が惹かれた訳ではなかった。何か希望を抱いた訳でもなかった。
ただ手持ち無沙汰であったことと、出迎えた方が少しは苦痛が少なくて済むだろうという打算でフランは廊下へ繋がる扉を開けた。
声が少し大きくなる。
わずかに鮮明になった声にフランは目を見開いた。
「……レミリア・スカーレット」
フランの姉であり、この凌辱の元凶。自分を閉じ込め、拒絶した憎き敵。
その瞬間、フランの中に眠っていた妖怪の血が一気に沸き立った。
「コロス……コロス!! 壊して、殺して、解体して、喰らってやる!!」
諦観の中に唯一の行動原理を見つける。
身重な身体を跳ね上げ、フランはレミリアの声を辿る。
廊下を駆け、全霊の感覚で持って声を聞き、遂にその発信場所を見つけた。
そこは男たちから「近づくな」と忠告されていた部屋だった。
いつもは固く閉じられている扉が今日はわずかに開いており、そこから声が漏れているのだ。
フランはその扉に向かい突貫した。
そこで何が起こっているのかも、レミリアを襲った結果どんな罰を与えられるかも思慮の外だ。真っ赤に染まった視界の中でフランは扉の縁に手をかけた。
「――――えっ?」
だがいざ部屋に踏み込んだ段で、フランの怒りは急速にエネルギーを失っていった。
血走った瞳は干潮のように引いていき、代わりに困惑がフランの全身を巡る。
「――なんで」
ぐるぐる回る思考の中でフランはあらん限りの声で叫ぶ。
「なんでお前が犯されているんだ!!」
そこではフランの姉であるレミリアが男たちに犯されていた。
膣から逆流するほどの精液を注ぎ込まれ、フランと同じように大きく膨らんだ腹を揺らしながら男たちに奉仕している。
驚愕に肉棒から口を離すレミリア。
それに対して男たちはまるで驚いた風には見えなかった。むしろ、面白いことになったとにやにや下卑た笑みを浮かべている。
「フラン!? な、なんでここに!?」
「ああ、扉がしっかり閉まっていなかったみたいだな」
へらへらと軽薄に笑いながら、男たちはフランの肩を抱いた。
「ま、見られちゃったからには仕方無いわな。実はなフランちゃん、君が孕まされている時もずっとここでレミリアちゃんは犯されてたんだわ。ほら、フランちゃんとお揃いのボテ腹。頑張って二人ともガキを産めよ」
「な、なんでそんなこと」
「はっ? だってお前に子どもを殺させたのコイツだろ? 巫女さんがとっ捕まえて来たんだぜ?」
――そんなはずが。
言いかけて、フランはレミリアの壮絶な視線に気付いた。
何も言うな。話を合わせろ。
その視線はフランにそう訴えていた。
「……あっ」
そこでフランは姉の真意に気付いた。
レミリアは霊夢に根回しして、自分が教唆したという事実をでっちあげたのだ。
なぜそんなことをしたのか。決まっている。
身を呈してフランを守るためだ。
せめて少しでもフランの罰を減らそうとしたからだ。
「お、お姉さま……」
「気安く呼ぶんじゃないわよ。あんたがドジしたせいで私までこんな目にあってんのよ」
冷徹な拒否の言葉。
しかし、そう口ずさむ顔には妹を思う姉の表情があった。
「――っ!!」
両眼から溢れ出しそうになる涙をフランは必死に耐えた。
ここで泣いてしまえばレミリアの気持ちを裏切ることになる。
「……それは私のセリフよ、お姉さま」
「ふん。精々男たちに孕まされて泣き喚くがいいわ。私はこのくらいどうってことないのだから」
「私だって。いくら犯されたって負けるもんですか。それよりもお姉さまこそ、出産の時にぴーぴー泣かないように気をつけなさいよ」
「はいはい。姉妹仲良くて結構なことだけどよ。そろそろ再開するぞ。お前らは十人ガキを産まないといけないんだからな。ま、二人合わせて十人にしてくれた巫女さんに感謝するんだな」
じっと二人の姉妹は見つめ合い、どちらともなく視線を外した。
フランは男の一人に連れられ部屋に戻され、レミリアは再び陵辱され始めた。
だがもうフランは一人ではなかった。
「お姉さま」
「なあにフラン」
「今日ね。赤ちゃんが産まれたの。男の人と初めてした時よりもずっとずっと痛かった」
「そう」
部屋の壁に背を預けながら、フランはつぶやく。
お互いの部屋が壁一枚隔てた反対側にあると気付いたのは、二人が再会してすぐだった。
部屋の端に開いていた小さな穴を木片や小石で削り、指先ほどのトンネルを作った。
そして、男たちが出払ったわずかな時間。こうして姉と会話するのがフランの唯一の楽しみになっていた。
トンネルに指を突っ込み、姉の指と触れ合う。
その温かさを感じているうちに、フランの中にあった諦観も絶望もどこかへと溶けてしまった。
「でもね、子どもを産んでみてわかったの」
「なにが?」
「子どもを産むのって凄く大変だって。抱きしめた子どもがすっごく温かかった。少しだけ子どもを大切にする人間の気持ちがわかった気がする」
生まれた子どもはすぐに男たちがどこかへと連れ去ってしまった。恐らく人里で育てられるのだろう。
フランと子が共に過ごしたのは産んですぐのわずか数分だけ。だがそれだけの時間でも、フランは子どもから溢れ出る生命力に魅せられていた。
大声で泣き喚く猿のような醜い姿だったけど、確かに自分の中から生まれ出た命。今まで命を破壊することしかしてこなかったフランが始めて産み出したもの。
「お姉さま。私、もう能力を使わない」
「……………」
「命を奪われるのがこんなに辛いなんて知らなかった。あの子と引き離された時、すごく悲しかった。だから……」
わずかな間。フランは壁の向こうのレミリアにほがらかに笑んだ。
「十人産んだら、家に帰れるね。紅魔館の皆元気かな?」
「大丈夫よ。みんなしっかりしているもの。二人で後八人。頑張りましょう」
「……ありがとう。お姉さま」
「ありがとうは無しよ。私はフランの姉なんだから」
扉の開く音。フランとレミリアは名残惜しそうに指を離した。
また今日も陵辱が始まる。
しかし、もうフランは恐れることはなかった。
姉がすぐ側に居てくれる。子どもを産む喜びも知った。そのためのプロセスというならば男たちの乱暴も耐えることができる。
殴られた右目は未だに視力を取り戻せていない。だけど苦痛なんてへっちゃらだ。
私はあの子たちの母なんだから。
「よう、フランちゃん。今日も子作りの時間だぜ」
部屋の扉が開けられる。
欲望を持て余した男たちに向かい、フランは笑顔を作って見せた。
◆ ◆ ◆
「これで十人目だな」
「――うん」
小さなコウモリの羽根の生えた子を抱きながら、フランは穏やかな笑みを浮かべる。
聖母のそれに似たその表情を見たならば、とてもあの破壊狂の吸血鬼だとは思うまい。
絶え間なく子どもを産み続けたフランとレミリアは遂に十人の子どもを産んだ。これで罪は許され、晴れてフランたちは解放される。
すぅすぅと寝息を立てる我が子の頭を一撫でし、フランは立ち上がる。
「皆さん今までありがとうございました!」
ボロボロと目尻から涙を零しながら、フランは男たちに頭を下げた。
陵辱してきた相手に礼を言われるのは居心地が悪いのか、男たちは顔を見合わせて頬をかく。
「私が命の尊さに気付けたのも皆さんのおかげです! これからはこの子を育てて、今までの罪滅ぼしをするつもりです!!」
「ん、いや別に。楽しませてもらったし」
「ほら、さっさと行きなよ」
「はい!」
部屋の扉が開けられ、フランはしっかりと床を踏みしめ外へと出る。
暗い廊下の果てに見える光。三年ぶりの外の光だ。
「お姉さま!」
「フラン!」
ちょうどレミリアも開放されたのだろう、先に九人目の子を産んだ姉はフランとその腕に抱かれた子を見て目を開く。
「フラン、その子があなたの」
「うん! 私の子だよ!」
「そう……そう」
何度も頷きながらレミリアは赤子の手を指で撫でる。
ぎゅっと赤子の手がレミリアの指を掴んだ。その感触にレミリアはぶるりと身を震わせる。
「可愛いわ」
「えへへ」
頬を赤く染めレミリアに促されるまま、フランは外へと向う。
思えばここに至るまで随分と遠回りをしたと思う。
だがこれで自分は生まれ変わるのだ。
子どもを産み、育て、そしてその子らを見守りながら死ぬ。そんな当たり前の幸せにようやく気付けたのだから。
自然と早足になる。
希望に顔を輝かせながら、遂にフランは家屋の外へ出た。
「え?」
そこにあったものをフランは理解できなかった。
入り口の側に立てられた計九本に及ぶ木の串。その先にはボロ雑巾のような布切れが引っかかっている。
違う。
それは布切れというには生々し過ぎた。
鳥につつかれ、蛆に身体を食い荒らされたそれは――、
「あ、あっあああああああああっっ!!」
理解した瞬間、フランは膝を震わせその場に倒れこんだ。
その背後で男たちがにやにやと笑んでいる。
一瞬遅れて事態に気付いたレミリアは近場の男に食ってかかった。
「お、お前たち!! な、なんで! なんでこんなこと!」
「なんで、って当たり前だろ? お前はこれと同じことをしたんだから」
「――――っ!?」
その瞬間、レミリアは人間の底知れぬ悪意を覗いた。
フランは呆然と木の串を見る。
その先に、串刺しにされた赤子の死体を見る。
「同じ数だけ子どもを産んでおしまい? それで罰になると思ったわけ? 殺した数だけ子どもを産めばいいなんて虫のいい話があるかよ。そもそも手前みてえな化物が産んだ子が人間様の代わりになると思うか?」
「そ、んなの……!!」
「ならせめて同じ目にあわせて、帳尻を合わせるくらいしかできないだろうが。お前らがせっせと産んだ子は俺らが殺してやったよ。どうだ? 嬉しいか? んで、最後の子だか――」
はっと気付き、フランは胸の子を抱きしめた。この子は最後の子どもだ。もし男たちが同じ目に合わせるというのならば当然その標的はこの子になる。
「だめええええええええっ!! この子に手を出すなああああああああああああっ!!」
歯を剥き出しにし、瞳孔の開いた目つきでフランは男たちを威嚇する。
未だ結界の効果で力は出せない。だがそんなことはもはや関係なかった。一人の人として、母親として最後に残った子どもだけは守ってみせる。その思いだけでフランは男たちに立ち向かう。
それはレミリアも同じだった。小さな身体を精一杯広げて、フランと男たちの間に立ちふさがる。
「殺させない! 殺させないわよ! この子は! この子だけは!」
ただの少女に過ぎない身体を張って我が子を守るレミリアとフラン。
その姿は確かに感動を与えるに値する姿だった。
滑稽すぎて、男たちは口元に浮かぶ笑みを噛み殺しきれない。
「な、なにがおかしいの!?」
「だって、なあ?」
「もう、死んでるぜ。そいつ」
「――――え?」
間の抜けた声を上げるフランに、男たちはしてやったという顔を浮かべる。
男たちの言葉を否定しようと、ゆさゆさと子を揺さぶるフラン。
「あれ? あれ? ねえ、起きて起きてよ?」
フランの顔から血の気が引いていく。
現実を否定するように何度も子を揺するが、朱色の顔の赤子は泣き声一つ上げない。
そして転がるように赤子は首をもたげ、焦点の狂った瞳と飛び出た舌をフランに見せ付けた。
「お前らに投与したあの薬、かなりヤバイもんらしくてなあ。産まれて来る子ども、全員コロっと死んじまうんだわ。まあ、今回は結構持った方じゃね?」
数秒の間は言葉を理解するまでの時間だった。
目がゆっくりと見開かれ、その顔面がくしゃくしゃに歪んでいく。
「い――――ぎがああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
「フランッ!!」
赤子を抱えたまま片手でバリバリと掻き毟る。爪が頭皮を抉り、血が噴出してもまったく止める様子は見えない。
喉からは金切り声とも泣き声ともつかない叫びが絶え間なく吐き出され、見開き過ぎた両眼からは血が流れ出た。
「ギャハハハハハッハアハッハハハハハッアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァアッッッッッ!!」
やがて声は狂ったような笑い声へと代わり、フランは骨が折れんばかりに首を振り回す。
レミリアは手も足も出なかった。
あの地下室に閉じ込めていた頃にもこれほどの狂気に満たされたことはなかった。
「あはあはははははははははは」
「ははははははははははははは」
げらげらと周囲から笑い声が上がる。
恐らくこの時の待ち構えて隠れ潜んでいたのだろう、幾人もの人間が茂みから姿を現した。
その全員が例外なく笑っている。
男も女も老婆も爺も例外なく笑っている。
その周囲にある木々さえ節穴を使って顔を歪めているとさえ思える。
その真ん中でフランは誰よりも大きく口を開いて笑い続ける。
ああ、とレミリアは理解した。
これが人間なのだ、と。
フランは本当に壊れてしまったのだと。
◆ ◆ ◆
「お姉さま! お姉さま!」
慌てた顔でフランはレミリアに駆け寄ってきた。
「大変なの! 紙おむつが切れそうなの! ねえ早く用意して!」
「うん、大丈夫よフラン。今咲夜が買いに行っているから」
「あ、そうなの! よかった!」
そう言うと、フランはびっくりするぐらい爛漫な笑顔を作った。
そしてよろよろと部屋の奥に戻ると、揺り籠の中に押し込められた腐乱死体を持ち上げた。
すでに完熟トマト以上に柔かになっているそれは、ただ持ち上げるという動作にすら耐え切れない。すでに人の頭としての原型を失いつつある頭部がぼとりと落ちた。
フランは笑顔のままそれを拾うと胴体にめり込ませるように押し付けた。
ぐちょり。腐肉と腐肉が擦り合わされるおぞましい音が響き、奇怪な肉のオブジェがフランの腕に抱かれた。
「ほぉら。おっぱいの時間ですよぉ」
服をはだけさせ、ぐりぐりと乳首を押し付けるフラン。
肉汁が頭部から飛び出すが一向に気にした気配は無い。
「ああん、そんなに慌てなくても大丈夫だよ」
顎骨が乳首に当たるたび、フランは歓喜に身を震わせる。
フランの中ではそれで母乳を吸っていることになるのだろう、まるで慈母のように微笑みながらそっと抜けかけの髪を撫でた。
「お嬢様」
いつからそこに居たのだろうか、咲夜は何も言わずそっとレミリアに紙おむつのパックを差し出した。
それを受け取りながらレミリアは今一度フランの姿を見る。
あの一件でフランは完全に壊れた。
胎児を破壊したことも、男たちに陵辱されていたことも、産んだ子どもが殺されたことも忘却し、いつの間にか地下室で我が子と一緒に幸せな生活を送っていることとなっていた。
ならばと思い、レミリアは問答でフランを問い詰めたこともあった。
フラン、その子はフランの子よね。でも子どもを産むにはお父さんが必要よね。そのお父さんはどんな人なの。お父さんもいないのに子どもが生まれるはずがないじゃない。
結局、フランがあの日のように自傷行為と気違いじみた叫びを上げ始め、レミリアはそれ以上の追求ができなくなった。
「……フラン」
「ああ、ありがとうお姉さま!! コレえあかひゃんもへいきだねぇえ!!」
フランはレミリアの手から奪い取るように紙おむつを持ち去り、バリバリと袋を引き裂いた。
その過程でボロボロになった紙おむつを無理矢理に死体に被せていく。手順など知らないのだろう、その作業は杜撰でとても見ていられるものではなかった。死体から溢れ出す肉汁に清潔な白だったおむつがあっという間にゲロ同然の色合いに染まる。
それでもフランは死体を揺り籠に戻すと、きゃっきゃっと喜びの声を上げながら部屋中を飛び回った。
「あがぢゃん! 私のあがぢゃん!! ぎゃぎゃぎゃぎゃががががっ!!」
そして糸が切れた人形ように動きを止めると、本物の死体になってしまったように目を見開いたまま床に倒れた。
「……行くわよ咲夜」
「はっ」
電池の切れたフランは何時間もあのまま身動ぎしない。
そうして再び動き出した時には今までの記憶がすっかりリセットされてしまう。
フランの中には明日も無ければ昨日も無い。
ただ我が子を育てる今日があるだけだ。
まったく成長しない赤子にも、崩れ行く身体にも疑問を持たずただ幸せな日々をくり返し続ける。
「……赤ちゃん、私の大切な赤ちゃん……」
誰も居なくなった地下の部屋の中。
フランの寝言が木霊する。
―END―
人殺ししちゃったもんね。仕方ないよね
※コメントありがとうございます! この罰に賛同される方と否定される方が居て面白く感じました。
1>>仕方無い
2>>やっちゃったからねフランちゃん
3>>親族の方は結婚するくらいだからロリコンではなかったのですよ! あれ? 何百年生きてる相手はロリ?
6>>霊夢さんのおかげでかなり減刑はしてもらっていますが、レミリアは今後自責の念を抱えて生きることになるでしょうね
7>>何だかんだいいつつもこの幻想郷で人間はそれなりの力を持ちますからねえ。人が居なくなれば存在できないのが妖怪ですから
8>>他に怒りのぶつけ所がなかったのです
9>>本当に甘い
10>>無知は罪だ!!
11>>特に閉鎖的な幻想郷なので、世論も極端かなと思います
13>>フランちゃんは打たれ弱い子!
14>>フランちゃんは高い高いした後、叩き落したい子なのです
15>>改心させてから〜の……
ウナル
http://blackmanta200.x.fc2.com/
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/10/29 08:16:55
- 更新日時:
- 2011/11/01 22:44:48
- 評価:
- 18/22
- POINT:
- 1920
- Rate:
- 16.91
- 分類
- 東方
- フラン
- フランドール・スカーレット
- レイプ
- 暴行
若かりし頃にリアルタイムで見ていた『機動戦士Vガンダム』を思い出しました。
胎の中にもう一つの命を持ったマーベットさん。
タシロ大佐に女ではなく戦士だと言われたファラ・グリフォン少佐(『宇宙漂流の刑』の後、中佐から降格)は、
ニュータイプ能力でそれを感知して一言。
「気持ち悪い」
『ギロチンのファラ』は戦死しました。
因果応報。
壊し続けたフランちゃんは、壊れた。
妹よりは分別のあるレミリア。
恐らく霊夢のとりなしだろうか、恐らくかなり減刑されたのでしょうが……。
妹がイッちまったから、レミリアが今後一人で受け止めて逝くのでしょう。
本当に、甘い。
最後の上げて落とす感が彷彿とさせるのは誰だったか……
ああそうだ、sakoさんだ。
これはかわいそうな結末。
人里焼きたいです。
お姉ちゃんはもっと甘っちょろいね
知らなかったじゃすまない問題だったんだよフランちゃん
化け物より大量破壊兵器より一番恐ろしいのは人間かもしれんな
ガチレイプの内容に大満足です
最後の上げて上げて上げてからの急降下
そりゃ壊れちゃうよねフランちゃん
最初の二つ目に疑問を持った段階で考えないで行動した事が最初にして最大最悪の罪だな
分からなかったら人に聞く! と何処ぞの化猫も言うておるだろうに…
まぁ、フランちゃんが悪いんですけどね〜
これが人間か・・・・・
それらが十人ほど死んだだけで吸血鬼を犯すとは、あまりにも罰が重すぎる・・・
でも皆殺しはちょっと勿体無いかなー、ダンピール育てたら面白そうなのに。
落として落として、ちょっと上げて、叩き落す展開が素晴らしかったです。