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『人狼の儀 【第三話】』 作者: 零雨
『5日目』
朝が来た……。
日を重ねる度に気持ちは沈んでいく。
今日は誰が襲われたのかしら……。
平和な朝だといいんだけど、そううまくはいってくれないんでしょうね。
憂鬱な気持ちで部屋を出る。
そこで、私が見たものは……
【共有者】、八雲藍の無残な死体だった。
ここで、共有者を襲うの……?
霊能者が襲われるだろうな、と予想していた私にとっては衝撃的だった。
あるいは、その予想を見越しての襲撃かもしれないわね。
そして、人間側はさらに不利になった。
占い師候補は既に2人が死んでしまったし、確実に人間側である共有者も1人死んでしまった……。
今残っている能力者は、共有者である鈴仙、霊能者として名乗り出た衣玖、そして残った占い師候補さとり。
私達は生き延びることができるのかしら……。
鈴仙 :「藍さんが死んでしまった今、私がこの場を仕切るわ……。」
アリス :「まあ、それが無難な判断でしょうね。」
鈴仙 :「死体は私が責任を持って運ぶわ。」
鈴仙が死体を運んでいる間、一同の空気は重かった。
人狼は内心ほくそ笑んでるのかもしれないけどね。
鈴仙 :「さて、始めましょうか……。」
衣玖 :「では、ます霊能の結果を。ヤマメさんは『人間』でした。」
魔理沙 :「へぇ、ヤマメに人間判定とはねぇ。」
妖夢 :「残ったさとりさんは人狼ですか。」
さとり :「あら、そう決めるのはまだ早いですよ?占いの結果を発表しますわね。魔理沙さんは『人狼』でしたよ。」
パチュリー:「魔理沙に人狼判定とはね。疑わしいところだわ。魔理沙も、あなたも。」
アリス :「確かにどっちも怪しいわね。」
霊夢 :「どの占い師が本物でも、面倒な展開になりそうね……。」
鈴仙 :「まあ、そうね。言いたい事はあるかしら、占い師さん?」
さとり :「ええ、ありますよ。まず、私を偽者だと疑っている方も多いようですが、ハッキリ言わせてもらいます。私は本物です。他の占い師の内訳を私はこう考えています。早苗さんが狂人、そしてヤマメさんは人狼と見ています。早苗さんが襲われた理由は、おそらく狼に人間判定、つまりヤマメさんに人間判定を出したからです。」
にとり :「その推理でいくと、人狼は狂人を把握できたんだから、わざわざ襲う必要はないんじゃ……?」
さとり :「そこです。そこがポイントなんです。おそらく、狂人を襲うことによって、本物の占い師が死んだと見せかける。そして、残った占い師を全員処刑するのが人狼の狙いでしょう。それだけでなく、私の推理では、霊能者も人ではありません。多分、妖狐でしょう。本物だと思われている早苗さんの占いと同じ結果を出すだけで、信用が勝ち取れるわけですから。」
魔理沙 :「へぇ、なかなか面白い推理だな。まあ、私はお前を信用していないけどな。」
橙 :「……私は魔理沙が怪しいと思う。」
咲夜 :「魔理沙は占い師2人から人間と人狼、両方の判定を出されてるから余計怪しく見えるわね……。」
アリス :「そこはどちらの占い師を信じるかでしょう?あるいは、2人とも信用せずに、不確定のままって扱い方もあるけど。」
鈴仙 :「今日は、さとりを信じるか否かってことよ。私の意見は伏せておくけど。」
さとりが本物かどうか……。
本物と見るか、偽者と見るかで今後の方針が大きく変わるわね。
私としては偽者であってほしいところだけどね。
生き残るためとはいえ、魔理沙を処刑するのはちょっと辛いから……。
最後まで、確信が持てるまでは処刑はしたくないわ。
そんなことより、今はさとりの真偽ね。
今、私はさとりのことを偽者よりで見ているけど魔理沙たちはどう見てるのか、ちょっとまとめてみまようか。
魔理沙は偽者で見ているはず。だって人狼扱いされて、その占い師を信じるはずがない。それが仮に当たっていたとしてもね。
最悪のパターンは、さとりとヤマメの両方が偽者で、霊能者も偽者……。
この可能性も高くなってきた気がするわね……。
ヤマメが本物なら、人狼は少なくとも1匹処刑できている。
そして、さとりが本物なら魔理沙を処刑することで確実に1匹以上を処刑したことになる……。
早苗は人狼判定を出すことなく死んでしまった。ヤマメとアリスに人間判定を出してね。
いまいち早苗を信じきれないのよねぇ……。
アリスを占った辺りが特に、ね。
共有者がみんなを導いてくれればいいんだけど、鈴仙は自分の意見を伏せているし、慎重派ね……。
妖夢 :「私の意見を言わせてもらいますね。私はさとりさんを信用していません。むしろ、人狼として見ています。」
パチュリー:「私も大体同じよ。ただし、霊能者が人外って可能性はあると思ってるわ。」
霊夢 :「もし、霊能者が偽者だとしたら、狐の可能性が高いと思うわ。」
咲夜 :「そうね。早苗が本物だと仮定すると、狂人はヤマメになる。狐が占い師を騙ってもすぐ人狼にばれるでしょうから、残った占い師は人狼で、霊能者は本物か妖狐ってところかしら。」
衣玖 :「確かにそうですが、もし私が狐ならばわざわざ霊能者を騙る必要があるでしょうか?リスクの割には見返りは少ないと思いますけど。」
にとり :「今は霊能者のことなんかより、占い師のことを考えるべきだよ。」
鈴仙 :「そうよ。ここで占い師を切り捨てるか否かが、明日以降私達が生き残るかどうかに大きくかかわってくるわ。」
魔理沙 :「ふうん?それで、どう決めるんだ?信用できるかどうか全員に聞いていくのか?」
鈴仙 :「そんなことしなくても、好きに会話してくれていいわよ。どうせ指名で全て決まるんだからね。それと、私は誰か1人を指名して処刑するなんてことはしないわ。自分の思うままに投票してくれていいわよ。」
アリス :「共有者がそんな無責任な……。人狼が1人に票を集めてきたらどうするつもり?」
鈴仙 :「多分その心配はしなくてもいいと思うわ。リスクが高すぎるわよ。もし、人狼がそれを実行したとして、処刑できなかったら?」
パチュリー:「目立つことになるわね。人狼側にとっては面倒な状況になるんじゃないかしら。」
霊夢 :「その通りね。人狼は目立つことは避けたいでしょうよ。」
魔理沙 :「じゃあ、人狼の組織票はなさそうだな。もしあったらお手上げだが。」
妖夢 :「そこは今心配してもしょうがないですよ。」
さとり :「私には自分を本物と証明する手段はありませんが、先ほどの私の推理を良く考えてほしいですね。私から言えるのはそれだけです。」
咲夜 :「興味深い推理だったけど、信用できるかとなると微妙ね。」
鈴仙 :「そろそろ時間よ。指名に移るから、準備しておいてね。」
指名、か……。
さとりは怪しい。でも、霊能者が偽者という意見は気になるわね……。
もし、偽者ならあの場では人狼判定を出した魔理沙を処刑しようとするんじゃないかしら。
そこだけ見れば本物な気がするのよねぇ……。
さとりが仮に偽者だとしたら、誰が本物なのかしら?
早苗は本物か狂人。
ヤマメは、早苗が狂人なら本物、人狼、妖狐のどれかね。
さとりも早苗が狂人なら本物、人狼、妖狐のどれかだけど……。
妖狐が占い師を騙るのは咲夜が言っていたように、リスクと見返りが吊りあわない……。
なら、占い師の内訳は本物、狂人、人狼になるわね。
昨日も同じようなことを考えてたわね。
いや、昨日は霊能者のことを考えていなかった。
今とは違う。霊能判定があるだけで、推理もまた大きく変わるわ。
衣玖を信じるなら、占い師の内訳はほぼ確定する……。
鈴仙 :「では、結果を発表するわ。」
霊夢→パチュリー 魔理沙→さとり 藍 →× 天子 →×
衣玖→さとり アリス→さとり 妖夢 →さとり チルノ →×
咲夜→さとり にとり→さとり ヤマメ→× パチュリー→さとり
早苗→× さとり→衣玖 橙 →魔理沙 鈴仙 →アリス
さとり7票 衣玖1票 魔理沙1票 アリス1票 パチュリー1票
鈴仙 :「今日の処刑はさとりよ。」
さとり :「あらあら、私ですか……。ここで死ぬのは惜しいですね……。」
魔理沙 :「残念だったな、さとり。これも私達が生き残るためには仕方がないことだからな。お前にも分かるだろう?」
さとり :「残念ですねぇ。人間側の私達は自分の首を自分で絞めることになったわけですから……。」
鈴仙 :「はいはい、もしあなたが本物だったらそのときはそのときよ。私達は生き残るために最善を尽くすだけよ。」
衣玖 :「私達は先に部屋に戻っておきますね。」
鈴仙とさとりを除いた9人は、各自自分の部屋に戻っていった。
「さて、さとり。死ぬ覚悟は出来たかしら?」
皆が部屋に戻り、がらんとした空間で鈴仙がさとりに語りかける。
さとりはうつむいたまま何もしゃべらない。
鈴仙はため息をついて、ふと自分の過去を思い出した。
それは、月に居たころの記憶。
今の状況と同じ、自分が生き残るために他者を犠牲にした。
月から逃げて、また同じようなことになるなんて鈴仙は思いもしなかった。
しかし、鈴仙不安だけではなく、ある意味では心が落ち着いていた。
それは、共有者だったからだ。
共有者なら他人を裏切らずにすむだけでなく、信じることが出来る相方が居たからだった。
だが、頼りになる相方であった藍はもう死んでしまった。
藍が死んでしまった時、鈴仙は動揺していた。
周りに悟られないよう、必死に強く振舞っていたが精神は確実に磨り減っていた。
これからさとりを殺さなければならないこともあって、鈴仙の精神はゆっくりと、しかし確実に壊れ始めていた。
「さとり?首を絞められて死ぬか、頭を撃たれて死ぬかなら、あなたはどちらを選ぶ?」
鈴仙が再び問いかけても、さとりはうつむいたままだった。
やれやれ、と呆れたように首を振る鈴仙。
問いかけても無駄だと判断した鈴仙は、ゆっくりとさとりに歩み寄る。
その時、さとりが動いた。
うつむいていた顔を上げ、妖しげに笑うさとり。
第3の目が忙しなくグルグルと動き回ったかと、思うと第3の目がピタリと止まり、鈴仙を凝視した。
「ちょっとさとり、あんた一体何を……。」
そう言った鈴仙が、いきなり頭を押さえてうずくまる。
「ふふふ……。ただ死ぬだけじゃおもしろくないでしょう?どうせ死ぬなら楽しんでから死にたいじゃない?」
さとりが鈴仙に行ったことは、過去を思い出させること。
トラウマ、鈴仙の心の傷を抉ることだ。
過去の記憶に苦しめられる鈴仙。
額には冷や汗が浮かび、体は小刻みにぶるぶると震えている。
「あらあら、どうしたの?気分でも悪くなったのかしら?」
鈴仙を見下すような口調で問うさとり。
勝ち誇った表情で高らかに笑う。
「さて、そろそろ終わりにしましょうか。眠りを覚ます恐怖の記憶でッ……!?」
突然さとりの声が消える。
と、同時に鈴仙に対する催眠が解かれた。
一方のさとりは、喉を押さえてのた打ち回っている。
どうやら、呼吸が出来なくなっているようだ。
ビクンとさとりの体が痙攣したかと思うと、さとりは動かなくなった。
頭を押さえていた鈴仙がよろめきながらも立ち上がって、さとりに駆け寄った。
さとりの脈を取ろうとした鈴仙だったが、触れた体は冷たくなり始めていて脈を取るまでもなく死んでいることが分かった。
「なんで死んだのかしら……?もしかして、処刑が決まったからなの……?」
もし、鈴仙の推測が当たっているならば、わざわざ殺す必要などなくてほうっておけば勝手に死ぬだけだった。
そのことに気が付いた鈴仙は、今までの心労はなんだったのかと思いながらも、部屋に戻っていった。
さとりが死んで、夜が来た。
狭い部屋の中で、八雲藍の式であった橙は泣いていた。
それも当然だろう。
いきなりわけの分からない儀式が始まったかと思うと、主人である藍の主人、紫が死んでいた。
その後も、毎日少しづつ死んでいき、今日は主人である藍までもが死んでしまった。
これによって橙の式であった分の能力は失われ、力はただの化け猫にまで下がってしまった。
当然、思考能力も低下し、精神的疲労も相俟って理性も失われつつあった。
そんな橙の部屋の扉をノックする音がした。
こんな時間に誰だろうか、とは思ったが橙は素直な妖怪であった。
彼女の主人であった藍や紫ならば、ここで疑いを覚えたかもしれないが、橙は扉を開けてしまった。
開いた扉の隙間から、そぉっと外をのぞく橙。
そんな彼女の視界に映ったのは、紅。
扉から顔を出した橙のほほを、何かが切り裂いた。
「ぎゃああああッ!?」
痛みに悶えながらも、必死に扉を閉めようとする橙。
その努力を嘲笑うかのように、橙を切り裂いた何者かは強引に部屋の中に入り込む。
慌てる橙だが、部屋に入り込んだ何者かは容赦しなかった。
ジリジリと部屋の隅に追い詰められていく橙。
一か八か、襲撃者に飛び掛ろうとした橙、その足を再び何かが切り裂いた。
ぼとり、と橙の足が千切れて落ちた。
あまりの痛みで声も出ない橙に、さらに攻撃を加える襲撃者。
何か得体の知れないものが、橙の体を切り裂いていく。
攻撃が止んだときには、橙の体は目も当てられない状態になっていた。
四肢はズタズタ、飛び散った血液が部屋を紅く染めている。
そのような姿に変わり果てた橙が生きているはずもなく、苦悶の表彰を浮かべたまま息絶えていた。
襲撃者は満足したようにうなずくと、橙の部屋を後にした。
『6日目』
夜が明けた。
今日も、辛く苦しい戦いが始まる。
そのことを考えるだけで、霊夢の気分は暗いものへと変わっていった。
暗い気分を必死で押さえ込みながら、霊夢は広間へと向かった。
本日の犠牲者は橙だった。
ここで、橙が襲われた……?
霊能者がまだ生きているのに、橙を襲った場合の人狼にとってのメリットは何?
ここで一つの事実を思い出す。
橙は、さとりによって占われていた。そして人間判定が出ている。
つまり、人狼にとっては早めに始末しておきたい人間側だったから襲われた?
でも、この推理だとさとりは本物の占い師……?
鈴仙 :「……さて、今日もまた誰かが死ぬことになるわけなんだけど。」
衣玖 :「とりあえず、霊能の結果を発表しますね。さとりさんは『人狼』でした。ようやく1人、処刑することが出来ましたね……。」
パチュリー:「橙が襲われて、さとりが人狼?本当かしら?」
アリス :「橙は魔理沙に投票していたわね。そして、魔理沙はさとりから『人狼』判定……。霊能者の言うことも気にはなるけど、やっぱり魔理沙の方が怪しいわね……。」
魔理沙 :「おいおい、まさか私を疑ってるのか?霊能者が嘘を言っているかもしれないだろう?」
霊夢 :「その可能性も低くはないわね。今日で、霊能者を信じるか否かを決めるべきなのかもしれないわ。」
衣玖 :「私を疑うんですか?まだ、人狼は2人も残っているのに?」
にとり :「それは霊能者視点からだろう?占い師3人と霊能者1人、少なくとも2人は人外な訳だし、霊能者を疑うのも仕方ないんじゃないかな。」
咲夜 :「その通りね。霊能者を疑うのは自然だわ。それに、最初からほとんど疑われてないのも逆に怪しいわね。」
妖夢 :「霊能者を疑っても仕方ないんじゃないでしょうか?ここを信じないなら、もう何を信じればいいのか分からなくなりますし。」
鈴仙 :「まあ、そうねぇ。今日で霊能者を信じるか否を決めましょうか。」
魔理沙 :「そうだな、それがいい。まあ、私は最初から霊能者を信じてはいないけどな。」
霊夢 :「霊能者が偽者なら狐なんでしょうね。人狼が2人も能力を持っていると騙るのはリスクが高いように思えるわ。」
そう、霊能者は狐と見る。
今思えば、3日目に死体がなかったのも人狼が霊能者、つまり狐を襲おうとしたからじゃ……!?
3人の占い師は人狼から見ても真偽がつかなかった、だから霊能者を襲った。
これなら違和感はない。
パチュリー:「私も狐だと思うわね。むしろ、狐じゃなかったら何なのかしら?」
衣玖 :「いや、私は本物ですから。それを裏付けるような証拠はないですけど……。」
鈴仙 :「証拠のあるなしを言い出してもキリがないわよ。人外ではないことを証明するのは、少なくともここでは無理だしね。」
アリス :「霊能者を疑うのはどうかと思うわ。私はまだ本物だと思う。」
魔理沙 :「この流れだと、私か霊能者のどちらかが処刑されるのか?私はまだ死にたくはないな。」
にとり :「魔理沙のその自信は一体何処からくるんだい?私にも分けてほしいよ……。」
魔理沙 :「なあに簡単なことさ。全部夢だと思えばいいんだよ。夢なら最後には覚めて、なかったことになるからな……。」
そう言う魔理沙の顔は笑ってはいるが、どこか虚しい笑顔だった。
まるで感情のない機械の様な笑み、そう表現するのが妥当だろうか。
魔理沙もこの数日でかなりおかしくなっていた。
言動はまともなものの、今まであった快活さは消え、人形のようだ。
咲夜 :「それで、今は魔理沙を疑ってる側か霊能者を疑ってる側の2つに別れるのかしら?」
霊夢 :「そうなんじゃない?その2人が特に目立ってるだけなのかもしれないけどね。」
アリス :「さとりを信じるか、衣玖を信じるか、それともヤマメを信じるかね。魔理沙は『人狼』判定と『人間』判定の両方を受けたわけで、『人狼』判定を出したさとりは霊脳結果で『人狼』だった。」
パチュリー:「早苗を信じたとしても、魔理沙と霊能者は怪しいわけだしね。」
妖夢 :「その他の色々なことを踏まえても、私は魔理沙さんが怪しいと思います。今日襲われた橙さんも魔理沙さんを疑ってましたし。」
衣玖 :「そういえば、橙さんは魔理沙さんを疑ってましたね。処刑の時もも魔理沙さんを指名してましたし。」
妖夢 :「橙さんが何故魔理沙さんを疑っていたのかは分かりませんが、怪しいのは確かです。処刑しましょう。」
魔理沙 :「気が早いな妖夢。私を処刑できる自信でもあるのか?」
魔理沙が疑われているわね……。
確かに私から見ても、魔理沙はかなり怪しい。
でも、まだ他にも怪しい奴はいる……。
そいつらが全て死ぬまでは魔理沙を疑いたくはないわ。
霊能者の衣玖は私以外の奴にもかなり疑われてるみたいね……。
ここで衣玖を処刑することになれば、狐の心配をしなくてすむかもしれないけど、本物だったときのことを考えると危険ね。
それでも……。
霊夢 :「私は霊能者を処刑するべきだと思うわ。」
にとり :「霊能者は怪しいけど、いざ処刑となると怖いなぁ……。」
鈴仙 :「私の意見はまた最後まで伏せておくわ。霊能者を処刑するのも、悪くはないと思うけどね。」
衣玖 :「共有者にすら信用されていないのですか……。残念です。」
アリス :「あら、私は信じてるわよ?それに、共有者も信じてないとは言ってないわ。」
鈴仙 :「信じてるとも言ってないけどね。」
咲夜 :「第三者を疑うことはナシなの?今日は魔理沙と霊能者の2択?」
パチュリー:「そうじゃないと思うわよ咲夜。もちろん第三者を疑うのもアリなはず。でも、この状況だと第三者を処刑したくて指名してもまず通らないでしょうね。」
妖夢 :「もしかすると、人狼はこの状況を作るのが狙いだったのかもしれませんね……。あくまでも推測ですが。」
魔理沙 :「何が言いたいんだ?妖夢。詳しく説明してくれよ。」
妖夢 :「では、説明します。人狼は、この魔理沙さんか霊能者を処刑しようとしているこの流れに持って行くのが目的だったのではないでしょうか?あまり目立っていなかった橙さんが襲われたのもその布石で、霊能者をあえて襲わなかったのではないでしょうか。」
鈴仙 :「説明ありがとう妖夢。じゃあ、そろそろ指名に移るから、準備しておいてね。」
私が指名するのはもちろん霊能者である衣玖……。
しかし、ここでもし霊能者が処刑できなかったら、私はどうなる?
私は霊能者を偽者だと見ているけど、他の奴らはどう見ているのかしら?
もし、霊能者を指名したのが私だけだったら……。
おそらく私が疑われることになるだろう。
それでも、私は自分の直感を信じる……。
鈴仙 :「…結果を発表するわ。」
霊夢→衣玖 魔理沙→衣玖 藍 →× 天子 →×
衣玖→魔理沙 アリス→魔理沙 妖夢 →魔理沙 チルノ →×
咲夜→衣玖 にとり→衣玖 ヤマメ→× パチュリー→衣玖
早苗→× さとり→× 橙 →× 鈴仙 →アリス
衣玖5票 魔理沙3票 アリス1票
魔理沙 :「へぇ……。私じゃなかったな。」
衣玖 :「私ですか……。覚悟は出来ていますが、やはりここで死ぬのは残念ですね。」
鈴仙 :「じゃあ、みんなは先に部屋に戻っていいわよ。」
衣玖 :「大丈夫です、鈴仙さん。自分の最後くらい、自分で、ね……。」
衣玖の言葉に鈴仙は渋々頷いた。
(まあ、どうせほうっておいても死ぬみたいだからいいかな)
そう考えた鈴仙は、衣玖を残して自分も部屋に戻っていった。
「さて、それでは死ぬことにしましょうか……。」
広い部屋の中で一人になった衣玖が呟いた。
しかし、ここには首を吊る縄はないし、首を切断するためのギロチンもない。
そこで衣玖が取った行動は簡単なものだった。
自分の体に電気を溜めていく、それだけだ。
当然彼女にも溜められる限界がある。それでも、衣玖は電気を溜め続けた。
バチバチと電気が衣玖の体から迸る。
それに伴い、衣玖の体がだんだんと焼け焦げていく。
そして、衣玖の体が限界に達した。
バリバリバリッ!と雷が落ちたかのような音が部屋に轟く。
衣玖が先ほどまで立っていた場所には黒く焦げた死体があった。
一目見て、それが衣玖だと分かるものは少ないだろう。
いや、彼女が総領娘様と呼んでいた天子なら、もしかするとわかったかもしれない……。
そして夜が来る。
今日も誰かが人狼に襲われることになる……。
霊能者も占い師ももういない。
正確に言うならば、霊能者や占い師であると言った者たちはもういない。
人狼にとって厄介であった能力者たちは次々と死んでいった。
だが、そんな人狼たちにもまだ不安はあった。
それは妖狐と狩人の存在だ。
人狼にとってはむしろ、占い師や霊能者よりも厄介な存在かもしれない能力者だ。
だから人狼は能力者を探す。
よく分からないものたちを襲う必要がある。
共有者は人狼にとって、今のところそれほど脅威にはならない。
それに、今共有者を襲うことは人狼にとっては悪手。
狩人が生き残っていて、襲撃を阻止されてしまったら人狼側は一気に不利になってしまう。
そこまで考えて、人狼は今日の襲撃対象を選ぶ。
「さあ、夜はまだ始まったばかり。今宵の生贄は誰かしら?」
今回は霊夢視点少なめです。
ここで、人間側は能力者であると言った者たちを処刑しました。
果たして、この行動は吉と出るのか、それとも凶と出るのか……。
零雨
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/12/11 01:13:33
- 更新日時:
- 2011/12/11 10:13:33
- 評価:
- 3/8
- POINT:
- 350
- Rate:
- 10.71
- 分類
- 霊夢
- 汝は人狼なりや?
全員精神的に追い詰められているし、疑心暗鬼になってかつ、疑う相手を間違えると自分の首が絞まるのだから。
語り手の霊夢が途中退場、何て展開もあったりして。
赤ずきんちゃんは、狼の胎で悪夢を見続けるのか。
狼は石を孕んで、深淵に沈むのか。
個性があって面白い。落ち着いたまとめ役気質から死んでいってるのが響きそうな気がするな。
なんか衣玖さんの発言的に、天子のくだりで、人外っぽいんだけどなー
出来たら、役職まとめ張っていただけると、推理しやすいです。
うどんげは、うどんげらしい共有ですね。