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『幻想郷の森で』 作者: いろは
にやにやと笑いながら上空を飛び回る紅い一つの影。
背中からは虹色に輝く奇妙な形をした羽。
そう、フランドール・スカーレットである。
飛び回る彼女をしたから恨めしそうに、また怯えた目で見上げるのは
守屋神社の風祝、東風谷早苗であった。
紅魔館から抜け出していたフランドールをただの妖怪と思いこみ退治に踏み切ったのが運の尽き。
いくら人間は妖怪に勝つるといっても、それは博麗の巫女にしか通用しないわけで。
早苗は絶対の窮地に追い込まれていた。
「こないならこっちからいくよぉ?!あははははははははははっ!」
まるで気狂い。
知らない人が聞けばそうとしか思えないような笑い声が響く。
と、同時に。
「っ!?」
めりぃ、という凄まじい音と共に、地面が沈み込んだ。
間一髪、早苗はよけきったがあと少し遅れていたら……想像したくもない。
「くっ……せめて神社まで逃げ切れれば……」
神奈子様に洩矢様がいる。お二人ならば、この吸血鬼を抑えられる。
そう考え、早苗が踵を返す。と。
「戦ってる途中に敵に背をむけちゃぁ……」
フランの笑みがより一層深くなるのが見ていなくともわかる。
早苗が恐る恐る振り返ると同時に。
「っ……!?」
恐ろしい破壊力を秘めた足が早苗の顔面に向かって容赦無く振り上げられた。
声を出す暇もなく、早苗は吹っ飛び木に打ち付けられた。衝撃で木にヒビが入り、倒れた。
「げほっ、がほっ……」
咳が出る。喉のあたりから込上がってくるものを手に向けて吐くと、自分の血だった。
叩きつけられたときに衝撃でどこかが破れたらしい。
声も出せず、立ち上がる力もなく。
せめて見つからないようにと、早苗が地面を這い始めたその時。
幼い少女の歌声が聞こえてきた。
その歌の内容は、誰もが知っている童謡。
「かーごーめーかーごーめーかーごのなーかのとーりーはー……」
歌が歌い勧められていくたびに、早苗の鼓動が早くなる。
必死に匍匐前進をすすめる早苗の心を満たしていた感情は、人間の根源にある恐怖のみであった。
「後ろのあーなただーぁーれー……?」
「…………!」
見つかった。
よくよく考えてみれば極普通のことである。
フランは力をもった吸血鬼。早苗の気配を探ることなど朝飯前である。
「あ……あ……」
やめてください!のがしてください!!
そう声を出したくても、出せない。
息を出すことで自然にでる音しかでない。
フランは、にっこりと笑う。
ああ、逃してもらえるのか。
そう考え、早苗が安堵の息を吐きかけた時。
早苗の頭の上に、ぽすっとなにかがのった。
「……?」
早苗が不振に思い、重い右手を頭の上にのせる。
そして、頭の上にあるそれを瞬時に理解した。
フランの足である。
早苗の体に戦慄が走る。
今。自分は。フランがそうと望めば、簡単に頭を踏み潰される。
そんな状況にあると、なまじ頭がいいばかりに。早苗はすぐ理解できてしまった。
「……あれだけ失礼なことをしておいて」
失礼なコト、というひとことだけで自分の今までの行いが走馬灯のように蘇る。
妖怪を、妖怪というだけで、存在意義も考えずに無差別に退治した。
人間に対しても、無礼極まりない振る舞いをし、相手を怒らせた。
それにもかかわらずいままでこうやって五体満足でこの幻想郷でくらせてきたのは――
他の誰でもない、神奈子と諏訪子という守り楯があったから。
今、その盾は早苗のそばにはいない。
早苗の命は、まさにフランに握られているといっても過言ではない。
「咲夜を、傷つけておいて」
ぎゅ、と踏む力が強まる。
ああ、そうだ。咲夜に対しては自機に選ばれないことについてさんざんいびり倒したっけなあと、思い出した。
普段の早苗なら言い返しているところだが、なにぶん声がでない。
声が出なければ反論もできないのである。やわな人間の体がうらめしい。
「今更――」
さらに力が強まり、鈍痛を頭に感じるようになる。
いよいよもって、早苗の恐怖は頂点に達した。
自然体は震え、歯の根はあわなくなり。
涙が溢れ、瞬きを何回もし、喉が乾く。
今声帯がまともに動いてくれていたなら。どうとでも言いくるめ、逃げおおせることができたであろうに。
足が動いてくれたら、神社まで逃げ、二柱に守ってもらうこともできたであろうに。
残念ながら、そのどちらも今の早苗にはできない。
様子を伺うように、早苗が泣き濡れた表情でフランを見上げる。
そこには、先ほどと全く変わらぬ笑顔で早苗を踏む足に力を込めようとしているフランの姿があった。
いやだイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ死にたくない死にたくない死にたくないシニタクナイシニタクナイシニタクナイ―――――
「虫が、よすぎるわよねぇ――!」
「――!」
べきっ、ぐちゅっ、じゅっ。
フランの足元にあった緑色の頭髪をまとった早苗の頭部は、原型をとどめていなかった。
頭蓋骨は割れ、脳みそが散乱し、眼球や血管などもぐちゃぐちゃに潰れてしまっている。
「……あーあ。壊れちゃった」
あれだけ偉そうな口、叩いてたからもっと丈夫なのかと思っちゃった。
ひとりごちながら、足の先で早苗の潰れた頭部を弄る。
足を動かすたびにぐちゅ、ぶじゅっという不快感を煽る音がした。
「でもまあ、これで咲夜も多分すっきりしてくれるよね」
ぐちゅっ、と足の動きをとめると、フランはそのまま空へと飛び立った。
不審に思った神奈子と諏訪子が森に早苗を探しに来、そして死体を見つけるのだが、
神奈子も諏訪子も「恨みを買うようなことばかりしていたし、ちょうどいい具合に始末できた」ということで、
フランドールにお咎めはなかった。
むしろ、褒められてしまった。
フランは、それにたいし、少しだけ早苗に罪悪感を感じた。
fin
はじめて投稿します、いろはです。
早苗さんの言動が生意気だなぁと前々から思っていたのですが、
神霊廟で「ですから現人神をする傍ら〜」を繰り返しているのを見て
なんとなくイラッときたのでフランちゃんにやってもらいました。
早苗さんファンの方、すみません
いろは
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/12/13 08:18:03
- 更新日時:
- 2011/12/14 20:05:26
- 評価:
- 9/15
- POINT:
- 940
- Rate:
- 14.85
- 分類
- フランドール・スカーレット
- 東風谷早苗
- グロ
フランちゃんグッジョブでした
こんな屑を殺った事に責を感じるのだから。
早苗、自分を霊夢と同格の実力だと勘違いしちゃったのかな〜?
たかが現人神ごときが調子乗るから当たり前の制裁
生まれ変わったらもっと清楚な娘になってるといいね!
そして早苗ざまぁ。
正直自分でもよくやったと
>ギョウヘルインニさん
ありがとうございます。精神的なグロもかけるようになりたい
>4さん
フランちゃんありがとう
>NutsIn先任曹長さん
フランちゃんは人間とは違って純粋ですから
早苗さんは自惚れてますよね
>6さん
生まれ変わっても同じような屑だったら今度は誰からも助けてもらえないでしょう
>イル・プリンチベさん
かっこよくてイケメンなフランちゃんを目指しました
ざまあ
>8さん
フランちゃんは純粋で可愛くて純粋、それがフランちゃん
そしてフランちゃんにしか手を出していないのかと思えば、咲夜さんにも手を出していた早苗さんに殺意が沸いた。
何が言いたいのかと言うと。
ここまでシンプルで気持ちのいい『自業自得』は初めてです。
もしこれがお嬢様だったら精神的にもキツイ事されるとこだったよ
咲夜さんにもちょっかい出してたならもうどうしようもないよ
実は気がふれているのは彼女以外ではないかと思えてしまいます。
しかし、早苗さん耐久力無さ過ぎ、そんなんじゃあ産廃のアイドルには
なれませんぜ。