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『終わりの物語』 作者: ND
―この物語には、多くのネタばれを含みます。それらを注意を同意の上、お楽しみください。―
少し前まで、僕は店の中に居た。
だが、今は違うところに居る。
真っ暗な闇の中、光を発するように、はっきり見える沢山の扉が目の前に存在していた。
どれも、形や色が違う物ばかりだ。
この扉を開けなければ、事が進むことは無いだろう。
僕は、一つずつ扉を手に取り、開けてみることにした。
どれも、鍵はかかっていないようだ。
では、どの扉から開けようか。
僕は、しばし考えながら、一つの扉を開けた。
どの扉も、同じという事を知らず
〜香霖堂の店主が望んだこと〜
霖之助が去った会社は、別の人間が引き継ぎ、新しい方針へと動き始めていく。
決して、霖之助が居た頃よりも良いとは言えないが、悪いともいえない。
だが、それでも会社はいつも通り。
社員の事を考え、利益の事も考え、一流の会社へと昇っている。
この場所に、僕が居たのかと。一番偉い地位に居たのかと
霖之助は、驚きを隠せない表情になっていた。
そこで、一人の秘書の子が居た。
その子は、新しい女社長に従い、仕事をし、きりきりと動いている。
だが、ドジだ。
おそらく、前よりも変わっていないらしいが、秘書にしてはよく笑う子だった。
叱られながらも、落ちた茶碗の欠片を片付けながらも、強く、素直に受け止め、行動を移している。
その秘書の家は、マンションの一室だった。
大きなマンションの一番上から3番目の階。高い場所だった。
『今日も、疲れました。』
そう言って、秘書は部屋の中に入り、夕食の支度をしようと動いた。
今日は何にしようかな。今日は何か、面白い番組があるのかな。
そう考えているうちに、僕の映った写真立てを見つめた。
それを見る限り、やはりこの世界の僕は、この世界で社長になったのだろう。
『…………元気に……していますよね。』
少しだけ寂しそうな顔で、写真の中の僕を見つめた。
彼女は、僕に何かあったのだろうか。
何も、僕には分からないが、それはただの友達では無い気がした。
だが、僕の世界には関係が無い。
だけれども、僕は彼女に言葉を送った。
『元気だよ』
その言葉を発した瞬間、秘書の動きが止まった。
今の言葉が聞こえたのだろうか。
そして、秘書の子が振り向くと、僕の顔をみた。
僕の顔が見えているのだろうか。
彼女の目は、涙で溢れていた。
表情も、泣き顔に徐々に変わっていった。
そして、僕の服にしがみ付き、泣き叫んだ。
まるで、離れ離れになった子供が、親を見つけたかのように。
子供のように、わんわん泣いていた。
そのまま、時間が過ぎていった。
こうしている間にも、僕の身体はこの世界に居られなくなっていた。
だんだんと透けて、消えてしまうようになっていた。
『……』
その光景を見て、秘書の子は泣きやんだ。
いや、正しくは泣き叫ぶのをやめた。
そして、僕の方へと顔を上げ、涙でぐしゃぐしゃになった顔で、言葉を発した。
『……森近……社長』
それは、必死に口をあけたかのような言葉だった。
悲しみ、依存、その感情が彼女に押し寄せている。
だが、彼女の表情は、涙を流しながらも笑顔になっていた。
『私……私は…。貴方に幸せにして…もらいたかった……。だから……だから私は、これから先、好きな人が出来ても、結婚しても、幸せになっても、子供が出来ても、お婆ちゃんになっても……』
笑顔は、僕が消えるまで、ずっと維持し続けていた。
『貴方の事……絶対に……忘れません……!絶対……絶対幸せになりますから……だから……!』
消えるまでずっと、秘書の子と抱き合っていた。
彼女の思いが、僕の心にまで進入してくるようで。
それは、経験したことの無い懐かしい思いばかりだった。
だから、僕もきっと彼女の事を忘れないだろう。
この世界の僕が、僕の中に入ってくるように
『貴方も……幸せになって……くださいね……。』
最後に見た笑顔は、彼女の最高の笑顔だった
〜私が汚れても、愛してくれますか?〜
ビデオを持ち帰った男は、霖之助を残してどこかへと消え去った。
あのビデオの中の人物、この世界の霖之助は恐らく何も考えていないだろう。
関係の無い人物だ。どうなろうが勝手だろう。
『本当に、そう思うのか?』
本を読み終えた霖之助の隣に、もう一人霖之助が居た。
『……誰だお前は』
『お前だ。』
率直に答えた。
『……それで、もう一人の僕が何のようだ。』
『君は、本当にそれで良いのだろうか?』
『?』
もう一人の霖之助の言う事が分からなかった。
理解できなかった。
『ビデオの中に映っていた人物、それはいかなる事でも、”死”につながるのだぞ?』
『だからなんだ』
『ビデオの中の少女、女の人は君の名を呼んでいただろう』
『…………』
霖之助は、何も言えなかった。
もう一人の霖之助は、最後に一言、彼に言った。
『確かめる価値はあるんじゃないか?』
その言葉を霖之助は鵜呑みにして、考え始めた。
『…………確かに、気にはなるかな』
そう言って、霖之助は立ち上がり、脇に置いてある剣を取り出した。
『行くんだな?』
『ああ。行くんだ』
そう言って、霖之助は剣を持って店から出て行った。
出て行く時、もう一人の霖之助が言葉を送った
『もう一人の僕が、そこに僕の”答え”があると言うのならな。』
そう言って、真っ直ぐの足取りでその場から歩いて行った。
きっと、この世界の僕も、本当の僕の道へと歩いていくのだろう。
真実を取り戻したとき、どんな世界が待っているのだろうか。
だが、そうなっても大丈夫だ。
彼女達が居る、そして、僕が居る。
答えなら自然に、目の前に現れてくれるだろう。
〜最後のアダム〜
草木に覆われた、美しい世界。
それは、滅んだ幻想郷の世界だった。
苔や水、木に覆われ、一面は緑色だった。
所々、花がカラフルに咲いているが
それでも、緑色には勝っていなかった。
『…………』
その中で、異色になっている僕と紫が居た。
両方とも、椅子の上で眠るように亡くなっている。
まるで、陽だまりに当たり、眠っているように見えた。
その光景は、美しい。
きっと、その美しい風景は
永遠に、この幻想郷の中で生き続けるだろう。
『おやすみなさい』
僕は、二人にそう告げて、この世界から去った。
〜香霖堂の店主の森近霖之助と初恋の〜
僕の初恋の相手、光希は
僕の店の近くに、彼女の墓が建てられていた。
その上に、ネックレスが飾られている。
きっと、幸せになってくれたのだろうか。
僕の世界では、既婚し、どこに行かれたのか分からないが
この世界では、亡くなっているとは予想外だった。
『…………』
僕は、一度その墓を撫でた。
すると、彼女との思い出が頭の中へと入ってくるようだった。
自然に、僕の顔は笑顔になっていった。
懐かしいな。
ただ、もうそうしか思えなくなっていた。
終わった恋なのだ。それは当然かもしれない。
いつまでも、ネチネチしつこくしてはいられない。
『そうだろう?』
僕は、墓に問いかけるように、そう言った。
〜私達を愛してください〜
柱に縛られた霖之助の周りには、妊娠した女達が居た。
何事だろうかと考えたが、おそらくは考えが分かった。
『………君も悲惨だな』
僕が、この世界の霖之助にそう言葉を送ると、顔を上げた。
同じ顔が目の前にあるという事に、何の疑問を感じていないのか、もうどうでも良くなっているのか、
彼は、そっぽを向いてしまった。
『……………』
『大丈夫か?』
僕が心配して言葉を送ると、この世界の霖之助は不気味に笑い出した。
『……大丈夫だったら面白いな。僕は、おそらく22人の妻を持つ事になる。』
大丈夫なわけがなかろう。と最後に小さく呟いた。
確かに。それは悲惨なことだ。
未来が、ほとんど真っ暗だ。
『……君は、これからどうするつもりだい?』
『さぁな。死ぬ……かもしれない。』
『死にたいのか?』
『そうも、考えるようになった』
その呟き呟きから、ほとんど吹っ切れているようだった。
あまり、まともな考え方が出来ようとは思っていないのだろう。
『だが、死んだら彼女達は悲しむだろうな。』
『知らないよ。』
精神も、崩れ始めている。
『……君は、責任を感じるべきだ。』
僕がそう言うと、この世界の僕は逆上した
『責任!?責任だと!!ふざけるな!!僕は被害者だ!!!こいつらが襲ってきて、犯されて、……こいつらに僕は、人生を終わらされたと思っても良い。それを……責任だと?』
『ああ。責任だ』
彼は、もう反論をしようとも思わなかった。
僕は、そんな彼にまた、一言言葉を送った。
『確かに、彼女達は狂っている。君が被害者だと言いたい気持ちも分かる。だが、これから産まれる子供はどうなる』
そう言うと、彼は耳をピクリと動かした
『子供は、生まれてこなければならない子になるのだろうか?何の罪も持たない子供が、君の怒りの矛先になるのか?馬鹿馬鹿しい。君が言うのは、半分合っていて、半分の二乗、間違っている』
そう言って、僕は立ち上がり、この世界ともお別れとなるだろう。
『確かに君は被害者だ。だが、罪の無い者の事も考えろ。その者達も、君と関係があるのだから。』
そう言うと、僕の身体は完全に消えていった。
この言葉で、彼の考えは変わっただろうか。
いや、少しでも心情は変わってくるはずだ。
これから、彼は辛い道のりがあるのだろう。
それを、僕は心の中で応援することしか出来ないが。
間違った道だけは、歩まないようにして欲しい。
きっと、進めば笑顔にまたなれるはずだからだ。
〜蔵の中の女神〜
『……なる程、貴方は別の世界から来た、森近、霖之助』
紫は、そう少し微笑みながら、ポーンを一つ、僕の前に近づけさせた。
『ああ。この世界とは微塵も関係ないが…。君も厄なものだな。永遠に、この狭い蔵の中とは』
『あら?後悔はしてないわよ』
そう言って、僕が動かしたナイトを、彼女はクイーンで潰した。
『幻想郷の中で、貴方が居る世界で死ねるのですもの。どこにも後悔は無いわ。』
『ご愁傷様』
僕は、少しだけふざけて言葉を送った。
だが、その隙に
『はい。私の勝ちね』
『あ』
僕は、チェスで負けていた。
僕の負け戦を見て、紫はただ笑っていた。
『ありがとう、久しぶりに楽しかったわ。もう少し、居られないかしら?』
紫が、頼るような目で僕に言うが、おそらくそれは無理な話だろう。
『無理だ。恐らく時間だろう。』
僕の体は、徐々に透けて向こう側が見えるようになっている。
僕がそう言うと、紫の表情は少しだけ寂しそうだった。
『………そう。』
そう言うと、紫は僕の頬を撫で、そのまま僕にくっついてきた。
そして、自然に僕に抱きつく姿になっていた。
『………霖之助さん。最後に貴方に出会えて、よかった』
徐々に透けている僕の耳に、そう囁いた。
『また、いつか会いましょうね』
紫は、笑顔の声でそう、はっきりと言葉を発した。
『ああ、またいつか』
そして、僕の姿は消え、この世界から居なくなった。
それと同時に、紫の表情には光が灯っていた。
〜春と幸せと桜の妖怪〜
森の中の湖
その中で、大きな桜が咲いていた。
その中で、小さな女の子が石に座り、足で水をバシャバシャと掻いて遊んでいた。
『スプル』
僕がそう言うと、彼女はこちらの方を向いた。
だが、何も知らないかのように、そのまま首を傾け、また足で水を掻き出して遊んだ。
彼女は、何も覚えていないのだろう。
だが、また出会えた事でもう十分だ。
元気そうで、何よりだ
僕が後ろを向いた瞬間、スプルはまたこちらに向いたのか、声がこちらに響いた
『一緒に遊ぶ?』
そう言った瞬間、僕は振り向き、そして笑顔で答えた
『いいや、きっとしばらくしたら、君にも新しい友達が出来るよ』
僕がそう言うと、スプルは頬を膨らましてむくれた。
『つまんない』
その反応を見て、僕はただ少しだけ笑った。
そして、次第に僕はこの世界から消えていった。
『また、元気な姿を見せてくれ。』
そういい残し、僕は消えた。
スプルは、ただ首をかしげているだけだった。
〜一週間後 終わり〜
僕の墓の前に立っている霊夢は、寂しそうな表情で手紙を墓の上に置いた。
そのまま、しばらく黙り込んで、僕の墓の前に立っていた。
しばらくして、決心がついたのか、そのまま墓から去ろうとしていた。
その背中は、どこか親を失くした子犬のようにも見えた。
そんな彼女の頭を、僕は少しだけ優しく撫でてみた。
すると、反応するように霊夢は後ろに振り向く。
だが、そこには誰も居ないと認識したのか、ただ墓の方を見つめているだけだった。
この世界では、僕は居ない事となっているのだろうか。
誰も、僕の姿を見えていなかった。
だが、その墓を見た瞬間、霊夢は微笑んだ。
拳を強く握り、決心した表情で、微笑んだ。
そして振り向き、前へと進んで行った。
彼女はきっと、強くなったのだろう。
これから先、どんな困難が待っていようとも
この事実よりも辛い出来事があろうとも、どんな大きな異変があろうとも
彼女の心は折れず、ずっと前だけを進んでいく。
そんな姿が、僕の目には映って見えた。
〜肉の家〜
大きな桜
僕の店の近くで、死体の埋っているであろう桜があった。
その桜の前に立ち、あの血の臭いがした思い出を考えた。
『…………』
白い女の子が、僕に信頼を持って、近づく。
彼女は、人間に害を持つ妖怪だ。
殺されるのも、無理は無いだろう。
そして、殺された。
生きているそのものが、罪な妖怪だった。
可愛そうな子だ。
桜の幹に手をやると、少しだけ温かみを感じた。
人肉の温まりか、血の温まりか
どっちでも良いが、優しい温かみだった。
横に目を向けると、白い少女が立っていた。
少し笑顔で、僕の顔を覗き込むように見ていた。
桜の幹から手を離しても、彼女の存在は目に見えた。
『やぁ』
僕が声をかけると、彼女はまた微笑んだ。
『元気に、していたか?』
頭を撫でると、再び彼女は嬉しそうな表情になった。
『君は……人間や妖怪にも害をなす化物だった。だが、これからは人間や妖怪にも好かれる生物として、生きていくのだろう。』
そう言って手を離すと、少女は少しだけ悲しそうな表情になっていた。
僕の体が透けて、別れを察したからだろうか。
だが、それでも大丈夫だろう。
『誇りを持って良い。この世界の僕も、きっと君が嫌いじゃないからね。』
そう言うと、少女は少しだけ嬉しそうになっていた。
手を振って別れの挨拶をすると、彼女も僕の真似をして、手を振った。
さようなら
きっと、またいつか
〜閉鎖された空間の中で〜
本当に何も無い、この世界の部屋しかない場所に、一人僕は居た。
そこで、僕は何もしようとしていなかった。
『この世界の僕は、こんな場所で何をしている?』
この世界の僕は、顔を上げて僕の顔を見た
『………幻覚だろうか。』
『いや、別の世界から来た者だ』
僕が、そう自己紹介すると、この世界の僕は笑い出した。
『はははは。それは面白いね。この何も無い空間、こういう事は大歓迎だよ。』
僕は、見ていると少し辛いのだが
何故、何もしていないのだ?
『僕は、この世界に留まる事に決めた。』
『何故だ?』
『僕の好きな人の為さ。』
この世界の僕は、説明をした
『最初、この部屋に入ってきたのは4人だ。僕を含めて……な。』
という事は、一人を犠牲にしなければ出られなかったのだろうか。
『他に、読みたかった本はどうする』
『どうしようも無いだろう。だけど僕は、後悔してないよ』
そう言うと、この世界の僕は横になった。
『この世界では、成長することも無い。時間も進まない。だから、恐らくは永遠にこのままだ。』
ならば、尚更ここは地獄なのでは無いだろうか。
『だけど、僕が決めた運命だ。何も、思い残すことも無いよ。』
そう言って、再び彼は目を閉じた。
長い時間、この世界に居て、精神が人間とも妖怪とも境地を超えてしまったようだ。
『…………』
本当に、幸せなのだろう。
表情が、そう訴えているようだった。
彼女達はどうなるのだろう。
何も、覚えていないのだろうか。
忘れ去られたまま、彼はずっとこの世界に居る
『………』
僕は、彼にこの言葉を送ることしか出来なかった。
『そうか』
それは、僕のただの気休めだっただろう。
いや、気休めにもならなかっただろう。
だけど、きっと
ずっと、この先に彼が救われる事がある
多分、無いはずだが、そう考えるようになった。
しばらくして、それがただの願望であることに気がついた。
〜女神と羽が降る街〜
香霖堂の前に、奇妙な白い花が咲いている
花びらが、鳥の羽のような形
毛が、あるような花だった。
『なかなか、美しい花だ』
そう、花を眺めていると
花畑の中に、白い足が見えた。
顔を上げると、赤い髪の少女が僕の前に立っていた。
赤い髪の少女がこちらを見つめると、満面の笑みを見せた。
『師匠』
そう、言葉を僕に送ると、次にまた楽しそうな声で僕に問いかけた。
『元気ですか?』
『ああ。元気だ』
そう返すと、そうですかとまた、微笑んで返事をした
『剣の方は、強くなってますか?』
『ああ。また君との差を開いて行きそうだよ。』
『酷い。置いてかないでくださいよ』
彼女は、とても活発な女の子なのだろう。
そして、この世界の僕とも、仲が良かった。
そう、感じた時、彼女は満足した顔になった。
『師匠は、変わりませんね』
そう言って、彼女の方がだんだんと透けていった。
『私、今度師匠に出会ったときは、本当の女神のような女性になります。師匠が見たこと無いような、絶世な女神に』
完全に、消えてなくなろうとして行く時に、最後にまた、満面の笑みになった
『だから、それまで死なないで下さいね!師匠!!』
完全に消えた後、ついに僕の身体も透け始めた。
『最後が余計だ』
僕もそう微笑むと、僕の身体は完全に消えた
〜光の都市〜
近未来の世界だろうか。町並みは幻想郷とは程遠い。
所々、人間ではない、人間の手によって作られた人間が居る。
機械。とも言うのだろうか。
街全体が、機械となっているようだった。
この世界の僕の記憶が僕の脳に入り込んでおり、見覚えがあるという錯覚が起こる。
一度も足を踏み入れたことが無い世界だが、皆、見たことのある風景、そして人だった。
機械同士の、男女が二人並び、歩いている。
『だからよ、そこはもう少し人間が楽しめるようにだな。』
『いいえ。ここはモリア様の笑みを見せるような建物を建てるべきです』
『……ニーナ。俺達の感情は、作られた物だ。だからこんな、擬似戦シミュレーションセンターなんて必要無えんだよ』
モリア軍曹がそう言うと、子供達はその建物を見て、近寄ってきた
『うわぁ!見て見て!すっごい!!擬似戦だってさ!!』
『僕やってみたい!!ねぇ良いでしょ!?良いでしょ!?』
『しょうがないわねぇ……。一回だけよ?』
家族がその建物に猛烈に興味を示し、中へと入って行った。
その光景を見たモリア軍曹は、呆然としていた
『……まだ文句がありますでしょうか?』
『………あー…。』
ニーナがそう言うと、モリア軍曹はニーナの頭を撫でた。
『……いや、良くやったよ。闘争心…という物が、これで紛らわせれば良いのだがな。』
ニーナは、頭を撫でられると、照れくさいような表情で、頬を赤くさせて微笑んだ。
『…それでは、後2,30件建設致します。』
『え?』
『また、これで闘争心という物が、抑えられると思われます。その時は、褒美をお願い致します。』
顔を赤くさせながら、ニーナはダッシュで走った。
『おい!ちょっと待て!!それじゃ逆効果だ!!止めろ!!戻って来い!!!』
モリア軍曹は、大急ぎでニーナを追いかけた。
あまり関わりたくないと感じた僕は、そのまま無視して歩いた。
しばらく歩き、病院に辿り着いた。
皆が、僕の顔を見ると、笑って、ある部屋へと連れて行かれた。
皆、嬉しそうな表情をしているが、なんだろうか。
そのまま、僕は従うままに歩いていくと、
そこには、見覚えのある少女が居た。
少女は、僕の顔を見て、笑顔になり、ベッドから飛び降りて、抱きついた。
『こーりん!』
それは、子供のような無邪気な声だった。
まるで、久しぶりに出会った親戚に出会う子供のような笑顔になっていた。
〜超無縁塚〜
ゴミで成り立つ世界、ゴミが地となり、壁となっている世界
強烈な臭いを発する世界に来て、僕は顔をしかめた。
所々に人間や妖怪の糞があり、見たことのある糞が散らばっている。
この世界の僕は、こんな所で何をしたのだろう。
しばらく歩くと、街に辿り着いた。
ゴミで成り立つ街、より一層、臭いが増したような気がした。
余り、長くは居たくないと感じた僕は、早くこの世界を出たいと考えるようになった。
どれもこれも、ゴミで作られたような生き物ばかりが居た。
人形と綿、布とプラスチック。これだけで生き物が成り立つのだろうか。
その者達は、僕の事を知っているようだ。
やけに馴れ馴れしく話しかけてくる。
この世界の僕のマイナスにならないよう、僕は話を合わせていた。
臭いが酷く、ほとんど赤茶色の世界を歩いているようだった。
その、赤茶色の世界の中で、不釣合いな少女が歩いていた。
綺麗な布を纏い、飾りが美しい服を着こなしている。
まるで、この世界の主のようにも見える彼女は、こちらに振り向いた。
僕の表情を見ると、しばらく黙り込んだ。
何事だろうか。と僕は考え、僕も黙り込んでいた。
すると、彼女は笑顔になり、僕に抱き付いてきた。
『うわっ!?』
その唐突さに、僕は驚いた。
彼女は、笑顔のまま僕に抱きつき、大きな声で僕に言葉を送った。
『霖之助!!』
どうやら、僕の事を知っているようだ。
僕も、少しだけこの子の顔が頭に浮かんでいた。
過去の光景、見た事は無いはずだが、記憶の中にあった。
『見て!霖之助がくれたこの服!似合ってる?』
彼女がそう言うと、僕は微笑んで答えた。
『ああ。とても綺麗だよ』
僕がそう言うと、彼女は照れくさそうに頭を掻いて、顔を赤くさせた。
『また、来てくれたんだね!』
『ああ。この世界の臭いは、相変わらずだな』
『霖之助も、臭いは全然変わらないね!』
そう言って、彼女は踊るように身体を動かし、喜びの余り、立ち止まる事が出来なくなっていた。
『ねぇねぇ!霖之助!』
彼女は、また僕の服を引っ張って、声を出した
『今度ね!この世界にも遊園地が出来るんだよ!マリズスちゃんや、ブリアちゃんも楽しめるような!楽しい遊園地!!』
それは臭いそうだ。
言葉に出さずとも、霖之助はただ苦笑いをするしかなかった。
『私、これからもずっと、この世界を幸せな世界にしていくよ!霖之助の住む世界に負けない位、ずっと、ずーっと幸せな世界!!』
彼女の目は、とても輝いていた。
希望の光が差し出し、表情も輝いていた。
やる気、希望、願望、そして、自信があった。
そんな彼女の明るい表情を見て、僕はその笑顔に見合う、返事をした
『それは楽しみだ。頑張るんだよ』
彼女の頭を撫でて、僕も笑った。
〜地獄の城〜
幻想郷の女の子達が大量死した世界。
紅魔館の執事となったこの世界の僕は、決して後悔をした顔をしていなかった。
『ティータイムの時間よ』
『はい、お嬢様』
この世界の僕がそう言うと、1分足らずでティータイムの用意をし、レミリアの前におやつを出した。
手足を失った主人の手足となったこの世界の僕は、まるで本当の手足のように、何の不自由も無くナイフでワッフルを切り分け、フォークで突き刺し、主人の口へと運んだ
『コーヒー』
主人がそう言うと、またこの世界の僕は自然の流れのようにティーカップを持ち、
早すぎず、遅すぎずの速度でティーカップの飲み口を主人の口に運んだ。
『ありがとう。』
決して、礼の言いそうにない主人は、事を終えると微笑み、この世界の僕に礼を言った。
就寝の時間、主人を車椅子でベッドまで運び、慎重にベッドに入れさせ、
新しい部屋に居る、主人の妹にも、面倒を見て遊んだり、食事をさせたりしている。
以前出会った彼女とは、幾分大人しくなっている。
『今日も大人しくしていましたね。』
この世界の僕がそう言って、主人の妹の頭を撫でると、
彼女は嬉しそうに笑い、遊んだ。
遊び疲れると、ベッドの中へと入り、眠りについた。
全てが終わったこの世界の僕は、自分の部屋である大図書館へと向かい、そこでまた一日を潰す
本を読み、一睡もせずに椅子に座っている。僕は睡眠を必要としないため、妥当なのだが。
『本当に後悔はしていないか?』
僕がそう問いかけると、この世界の僕は、微笑んで答えた。
『今の僕は、どうも”暇”というのが大嫌いらしい。主人たちと居ると。暇をしなくて良いよ』
『………』
その表情には、少し寂しさがあった。
多くの者を失った。当然、それに見合う”苦しみ”はあるのだろう。
紫も、長年眠るようになった。
『それに、今の僕には家族が居る』
『家族?あの者達か?』
『ああ。同等とまでは行かせてくれないだろうが、少なくとも僕はそう感じているよ。』
そう言って、この世界の僕は本を閉じ、机の脇にある花束を取り出した。
花束を持った僕は、そのまま赤い扉の前へと立った。
『それに、僕には支えてくれた”彼女達”が居る。その者達のために、僕は生きていかなければならない。』
そして、花束を赤い扉の前へと置いた。
赤い扉の中は、瓦礫で埋っていた。
『これから、この世界で生きる事を、僕は考えて行くだけさ』
その時の、この世界の僕の表情は、真っ直ぐ前だけを見つめていた。
〜人生ボード〜
霊夢が死んで、魔理沙も亡くなり
息子も死んで、孫も死んだ僕に残ったのは、孤独だけだった。
そんな世界の中、この世界の僕は博麗神社の倉庫の中に居た。
倉庫の中の、別の部屋へと繋がる扉。
その扉の向こうで、この世界の僕がボードを手に取り、字を書いている。
おそらく、過去の自分の、平行世界に向けての言葉だろう。
立ち上がり、この世界の僕は大量のメモ帳に目を移し、そして畳み、またボードに字を書く。
これは、一種の”会話”なのだろう。
その時の僕は、少しだけ楽しそうだった。
一番最初の僕は、どんな気持ちだったのだろうか。
部屋の奥に存在した、一番最初であろう文面に目を向ける。
《僕の違う人生は、どんな物なのだろうか。その時の為、魔道具を送る》
きっと、この選択をした僕は、間違っては居なかっただろう。
そして、一番遠くの未来を見た僕に違いない。
まるで、今の僕の体験のような世界だ。
色んな人生を送った僕を見て、そしてそれは永遠へと続く。
『素晴らしい世界だな。』
僕がそう言うと、ボードに文字を書いた僕はピタリと手を止めた。
そして振り向き、僕の顔を見た。
『そうでもないよ』
そう言うと、続きの言葉を連なるように答えた。
『最悪な世界を送った者も、地獄に落ちた運命の者も、最悪な人格になった者も居る。』
『………』
『だけど、僕は良い方だ。』
そう言うと、再びボードに目を移して、文字を書きはじめた。
『だから、このボードの奥に居る僕には、悪い方には行かせない。僕よりも幸せな人生を歩ませるよ。』
『出来るのか?』
『出来ない事があるわけないだろう。』
この世界の僕は、文字を書きながら、僕に返事を送った。
『人間も妖怪も同じだ。誰でも幸せになる権利はあるし、幸せなんて、そこらじゅうに落ちている。この大量のメモ帳がその証だ』
書き終えたのか、手を置いた。
『僕は、その両方の血が混じっているのだ。両者の幸せなど、いくらでも掴み取れる。だから、君も前へと進め』
ボードの字が、何もしていないのに消され、そして、文字が映像のように徐々に映し出されていく。
『歩いていけば、自然へと幸せが自分にくっついているはずさ』
ボードには、こう書かれていた
≪僕は、近日結婚するよ≫
『おーい!香霖!!起きろー!!』
魔理沙の声で、僕は目を覚ます。
『ん…?ああ。』
『霖之助さん、いくら呼んでも起きないんだもの。死んでいるかと思ったわ。』
霊夢がキツイ言葉を僕に送りつけて、完全に目が覚めた
『……それで、一体何の用だい?』
僕が質問をすると、霊夢が急接近して、不機嫌な様子で僕に質問した
『霖之助さん。やっぱり鍋はこの寒い中、キムチ鍋よね?』
急に変な質問をされた
『何言ってんだ!!キノコ鍋に決まってるだろ!!』
『こんの糞寒い中、味気の無いキノコなんて食べてられないわよ!!酒に合わないし!』
『なんだとぉ!?』
喧嘩が始まりそうな中、僕は一つ助言した
『………キムチ鍋にキノコ入れたらどうだい?』
その一言で、彼女達の喧嘩は収まった
『………そういえばそうね』
『さすが香霖!頭良いな』
僕は完全に呆れていた。
大きく溜息を吐くと、次にまた討論が始まろうとしていた。
『んじゃ、さっそく森で見つけたピンクのキノコを……』
『それ、毒じゃない?』
『良いじゃん。人集めて、反応を楽しもうぜ。』
また、霊夢が逆上した
『冗談じゃ無いわよ!!食べ物を粗末にするつもり!?アンタ!!!』
『冗談で言ってるわけじゃねえよ!!ただ面白そうと感じただけだ!!』
『とにかく駄目!そんな危ないキノコ、入れてたまるもんですか!』
『んだとぉ!!』
また、喧嘩が始まった。
もう僕は、助言するのも面倒臭くなっていた。
鍋を二つに分けたら良い。と言うのも、なんだか面倒臭くなっていた。
『よーし!そこまで言うなら、表出ろ。弾幕だ!』
『望むところよ!!』
そう言って、二人は店の外へと飛び出した。
………店が壊されなきゃ良いのだがな
『随分と、騒がしい世界だな。』
後ろで、僕の声がした。
堂々と、腕を組みながら座っている僕を睨みつけている
『………貴方、扉から来たんですか』
『ほう、この世界の僕は、超能力者か何かかな?』
冗談のように別の世界の僕がそう言うと、僕は大きく溜息を吐いた。
『………逆に聞きたいが、君の世界はどんな世界なんだ?』
『僕の住んでいた世界は、特に変わりは無いよ。魔理沙が店に来ては、借り物をしていき、霊夢が来ては勝手に茶を飲み煎餅を食べる。苦手が紫が、良く頻繁に来たり。変な客が、冷やかしに来る。』
すると、自信満々に答えた。
『普通で、結構楽しい世界さ。』
その言葉を聴いて、別の世界の僕は再び言葉を発した
『皆、辛い道を歩みながらも、前へと進んでいる。生きて、他人の幸せの為にも、自分の幸せの為にも動いたりする。これは、妖怪と人間にも変わりない。この世界の僕だってそうだ。』
『僕がか?』
とても、そんな自信は無かった
『僕は、この世界の僕は幻想郷の外の世界を知らない。親密な相手を汚した奴に制裁を加えたりしていない。最後に、大妖怪と共に滅ばない。22人の妻も居ない。大妖怪の生きる支えにもなっていない。桜の妖怪と友達でもない。一週間で存在が抹消されていない。人肉を食べる妖怪の少女と仲良くない。閉鎖された空間の中で一生行き続けるつもりは無い。女神を弟子にした覚えは無い。光の都市を救っていない。紅魔館の執事になっていない。何度も人生を経験していない。』
『そうだ。この世界の僕は、この世界の僕だ』
別の世界の僕は、自信満々に答えた。
『だから、何も恥じる事は無い。むしろ誇るべきだ。君は、この平行世界の中で生き続けている。多くの可能性がある。これから、大きな出来事が起こるはずだ。ワクワクするじゃないか。』
別の世界の僕も、だんだんと透け始めた。
『生きろ。生きて前に進めば、道にも明かりが灯るはずだ。その光の先に見える向こうに答えもある。幸せもある。そこらじゅうに、興味と期待が待ち受けている。』
完全に消え始め、もうすぐで無くなりそうになっていた。
『生物の人生程、面白い物語は無いよ。だから、最後まで生き抜いて、最高の物語を作って行こうじゃないか。』
最後に、完全に消える前に、一言だけ言い残した。
『僕は、君は、森近霖之助だ』
そして、この空間には僕一人だけになった。
別の世界の僕は、何を見たのだろうか。
きっと、もっと大きく成長できる。素晴らしい世界を見たに違いない。
誰もがワクワクし、興味を持てるような世界を。
そして僕には、その世界を超える程美しい世界が作れるはずだ。
そんな世界を作ってみたい。
僕はそう考え、読んでいた本を閉じ、店の扉を開けた。
店から出て行く僕を見て、霊夢と魔理沙が僕の方を見た。
なんだか、興味深そうにこちらを見ていた。
『……どういう事だ?動かない古道具屋が動いたぜ?』
『雪でも降るんじゃないかしら……って、もう降ってるわね。』
そう言って、ちらつくように降る粉雪を見つめていた。
まるで、宝石のカケラが落ちているようだった。
『霊夢、魔理沙』
僕は、彼女達に声をかけた。
今、珍しい僕に彼女達は興味深そうに耳を傾けた。
……なんだか、言いづらい。
『小説は、君たちは好んで読むほうか?』
僕がそう問いかけると、霊夢と魔理沙は大きく息を吐いた。
『小説……ねぇ。この幻想郷では、毎日が小説のような生活だけど』
『私もそう思う。』
その返事を返されたとき、僕は少し苦笑いした。
僕の笑顔を見た二人は、ただじぃっと僕の顔を見つめていた。
『……何が可笑しいのよ。』
『そうだぜ。なんだかおかしいぜ香霖』
毎日、弾幕をぶっ放している二人に言われたくないが、
僕は、反論しなかった。
そして、真っ直ぐと自分が見る光景を見た。
銀色に輝く幻想郷、それを見て、僕は再び思い込んだ。
これから先、僕が経験する毎日は、大きな物語になるだろう。
誰もが面白いと思われる、そんな日を送りたい。
そうだ、日記を書こう。
いろいろ考えていると、二人は僕の服を掴んだ。
『何?雪が積もる幻想郷がそんなに珍しい?』
『毎年見てる風景だぜ』
浅い見方だ。
そう考えながらも、僕は再び前を見た。
『一年に、冬にしか見れない光景だ。僕は是非、目に焼き付けたいものだね。』
『……焼きつくと言えば……寒い!!ストーブに当たる!!』
『私も!!』
二人は、逃げるように香霖堂へと帰って行った。
相変わらず、騒がしい二人だ。
だからこそ、退屈はしない。
僕は、これからも当たり前のように毎日を過ごすだろう。
その毎日の積み重ねが、僕の大きな積み重ねになる。
今も、平行世界の僕はこの銀色の幻想郷を見ているのだろうか。
いや、日差しの強い、蝉が五月蝿く鳴く中で本を読んでいるだろうか。
桜の咲く中、花見でもしているのだろうか。
紅く輝く、紅葉の中で酒を楽しんでいるだろうか。
様々な僕の中に、この世界の僕が居る。
また、見ていない世界でも僕は興味をそそる物語を作っているだろう。
これから先も、世界は変わり続けている。
見えない所でも、事件が起きている。
平和に過ごす事も美しい事だが。
きっと、どの世界でも僕は僕だろう。
変わらず、客の来ない店で本を読んでいるのかもしれない。
だが、それでもきっと、僕は前へと進み、僕だけの、僕だけにしか作れない物語を作ろう。
『これからも、物語は続いていく』
―終―
もうすぐ、年も終わります。
なので、”終わり”をテーマにした物語を投稿しました。
そもそも、この話を書こうと思ったのは、来年、一人暮らしをしなければならなくなりました。そうなれば、この産廃には戻れないかもしれないのです。
pixivとかでは、まだ終わっていない物語がある為、続けますが、長く書いてきた霖之助作品は、もう書けないかもしれません。その為に、この産廃創想話の皆さんにお別れを言いたいと思います。
最初、この文章は『人生ボード』で書こうと思っていましたが、言いそびれた為、どうしようと思い。
そうだ!次の作品に書けば良いじゃん!って思って、ここに書いたのですが。情けない。
長く霖之助SSを書いてきて、本当に楽しい事が沢山ありました。霖之助を書いていくのは、とても楽しくて、面白い人物だなぁと思い、
なんとか思いっきり動かしたいなぁ。と思った作品には、その思い通りになったり。
思い出がいっぱいあります。
最近の想い出は、都道府県を東方キャラでイメージするもので、私の地元が森近霖之助だった事で、発狂するくらい歓喜して、親に怒られたことです。
特に忘れてはいけないのは、大長編です。
この大長編を書いていく上で、連載物の楽しさを知りました。
大長編には、様々なテーマが存在します。
女神と羽が降る街―『独裁者』
光の都市―『戦争』
超無縁塚―『下級民族』
地獄の城―『家族』
なんだか、ほとんどとんでもない内容ですけど。
また、短編作品にも沢山の思い入れがあります。特に『最後のアダム』では、スラスラとすぐに出来上がった思い出があります。
この話には出ていない物語もありますが、それは自分の目でどうぞ。あまり面白くないかもしれませんが。(笑)
『人生ボード』を書き終えてからは、『あー。これ以上のスケールの大きな作品は作れないかなー』と考えたりして、勝手に最後の作品と考え付いたり、次回作の意欲が消えたりしました。
まぁ、そのせいで終わりの作品を作ったのですが。本当に情けない…。
最後になりますが、いろいろ言いたい事を一気に言いたいと思います。
ぶっちゃけ、これが最後の作品にならないかもしれません。『はい嘘でした』みたいに、また新しい作品を産廃に投稿するかもしれません。まぁその時は、『あー!前に終わるとか言ってた馬鹿だぁー!』とはやし立ててもらえば光栄です。
そして、そそわでも産廃でも、いろいろな霖之助SSを投稿した数は、結構な数になっているでしょう。50作品を超えているかもしれません。
その中でも、特に楽しく投稿させていただいた産廃では、とても感謝しています!
自由に発想でき、自由に投稿して、たまにかなりふざけた作品も送ったりしましたが、皆さんは笑ってくれました。
私は、そんな楽しく作品を見ることが出来る、そして僕も楽しいと感じさせる作品を作れる皆さんが大好きです!
そして、産廃創想話も、その管理人さんも!
森近霖之助というキャラを作ってくれたZUNさんも!!
みんな、みんな大好きです!
これからも、別の誰かが作る霖之助SSが増え続けてくれることを出来れば望み、影ながら楽しませて頂きます!
約2年!私のしょうもない作品に付き合って頂き、ありがとうございました!
ささやかな我が侭ですが、どこかで、また私の作品を見てくれたり、思い出してくれたりしてください。
また、いつか
ND
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/12/15 11:47:57
- 更新日時:
- 2011/12/16 15:53:46
- 評価:
- 8/17
- POINT:
- 840
- Rate:
- 13.31
- 分類
- 霖之助
- ND
- 最後の作品
- さようなら
- 終わり
そして、いつかここに戻ってくる事をお待ちしております。
何回も見た作品なのに何か懐かしく思いました。
今までの作品の総決算、こんなになりましたか……。
貴方の作品、特に連載長編は心に響きました。
では、次回の御投稿を楽しみに待たせていただきます。
もし現役生なら自分がどれだけまずいこと言っているか理解していますか?
2年前から18歳以上だというなら失礼なことを言って申し訳ないですが
ただ、別れの挨拶をここで行おうとしたら、かなり長い分を書きたくなり、まぁ、このような結果に……。
しかし、そんなコメントでも貰えたらうれしいです。
様々なコメント。ありがとうございます。
それだけしっかりとした態度で創作にあたっていた証拠だと思うぜ。俺は尊敬する。
またいつか、投稿されることを期待しています。
これで終わりとは言わずに、嘘だと言って、帰って来てください。
霖之助最高!!
貴方がいなければ自分は、霖之助をここまで好きになれなかったでしょう。
またいつか。。。