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『ゴミ捨て山』 作者: ヘルニア
さとりと燐は地底のゴミ山に向かう。
「タン、タン、タタ、タタタタ〜ン、タ〜ン、タタタ、タ〜ン」
「……捨てるな」
燐は、さとりに背負われている。背負われている燐は、のんきに鼻歌を歌っている。
「懐かしい、この辺は昔良くきましたよね」
「……捨てないで」
ザッ、ザッ、ザッ、砂利の混じった土の道を進んでいる。
「あの石、覚えてますかい? あそこで、あたい拾われたんですよ?」
「……捨てないで下さい」
ザッ、ザッ、ザッ、燐とさとりはその石を少し見た。そして、また歩き出した。
「さとり様さっきから少し、ぶつぶつ、うるさいだまるさ」
「……あたいの方がうるさいけどさ、いちいち、あたいの考えていることを言うな」
ザッ、ザッ、ザッ、さらに歩き続ける。背負う方は少し疲れたのか、一度足を止めた。
「決心が鈍りそうね。どうしよう」
「怪我をした。あたいがわるいさ」
「……思い直せ、思い直せ、思い直せ、思い直せ」
地底は、楽園だった。あの人間が来るまでは、今では地獄だ。怪我をした彼女を捨てなくてはならない。
「さあ、さとりさまさっさと済ませるさ」
「……おねがいします。捨てないで下さい」
ザッ、ザッ、ザッ、また歩き始める。
「さとり様さえ、生きていればあいつにいつか復讐できるさ」
「……さとり様一人じゃ無理」
ザッ、ザッ、ズサ!さとりは小石に躓いた。
「さとり様大丈夫さ?」
「……さとり様大丈夫さ?」
「ヒザを擦りむいたわ」
「……さとり様可哀想」
さとりのヒザから、血が出ている。しかし、気にしないでまた歩き出した。
「ここら辺まで、くればいいさ」
「……嫌だ!」
ゴミ山の一角に、燐は捨てられた。動けない、燐の脇に2食分位の食料と地底では貴重なきれいな水が置かれた。
「ここで、お別れさ!」
「……恨んでやる」
「何、見てるさ最近ここも物騒さ早く行くさ」
「……お前が、あそこさえ開けなければよかったのに」
「さようなら、ごめんなさい」
捨てた燐にさとりは謝る。
「恨んでなんかいませんさ」
「……殺してやる」
ザッ、ザッ、ザッ、砂利の混じった土の道をさとり一人帰る。
捨てられた燐の思いが聞こえてくる。
さとりは、いまいましい第三の目を千切ってしまった。
「私は嫌われ者よ」
「違うさ、さとり様私達がふがいないのが、いけなかったのさ」
さとりのつぶやきが、聞こえたのかもう遠くにいる燐の声が聞こえて来た。
捨てられた。弾幕を受けて怪我をした、足の無い化け猫は地底の亡者の格好の餌に成るしかなかった。隣には、烏の羽が散乱していた。
ザッ、ザッ、ザッ、さとりが走って戻って来た。そして、燐を拾い上げ地霊殿に戻って行った。
捨てられませんでした。
12様>>評価ありがとうございます。これは、私の我侭ですが、実は余り高い評価は望んでいないんです。昔のような産廃に戻ったらなと思いまして、高い評価よりも、昔のような(説明がむずかしい)雰囲気を私は望んで居まして、、、、
ヘルニア
- 作品情報
- 作品集:
- 1
- 投稿日時:
- 2011/12/31 06:12:53
- 更新日時:
- 2012/01/07 01:45:29
- 評価:
- 9/16
- POINT:
- 930
- Rate:
- 13.64
- 分類
- さとり
- 燐
産廃らしく、でも最後は心温まる話だった。
呪詛だろうがなんだろうが、本音はやっぱり口に出して言うべきですね。
最後のさとりのささやかな勇気、良かった。
負傷した飼い猫を山に捨てに行った。念仏唱えてさようなら。戻って飼い猫拾って帰る。
偶にはハッピーエンドもいいもんですね。
妙な燐の語尾が気に成りましたけどw