お嬢様のお話

「ようこそ霊夢さん。お嬢様がお待ちしてますよ〜ささ、どうそお入りくださいな。」
美鈴に促がされ重厚な門を潜り紅魔館の敷地へと進む霊夢
色とりどりの花が咲き誇った庭を抜け、屋敷の玄関へとたどり着く
これまたやたらとでかい扉を妖精メイドに開いてもらいロビーへたどり着く
「来たわよレミリア。」
珍しくレミリアから直接手紙が来るから何かと思ったら今度の満月の日にパーティーを
開くからと招待状が届けられたから来てみたものの自分以外の客人はまだのようだ
「いらっしゃい霊夢。待ってたわ。」
ロビーの中央には薄ピンクのドレスと真っ赤なリボンで着飾ったレミリアと
その横にはお辞儀をしている咲夜がいた
「貴女が直々に招待状を書くなんて珍しいわね？いつもなら咲夜かメイドにでも
書かせているのに。」
訝しげにレミリアに問いかけてみる
「だって今夜は特別な夜になるんですもの。自分で書く気も起きるってもんだわ。」
・・・？
今日は吸血鬼にとって何か特別な行事でもある日なのだろうか？
満月である以外特に変わったことも無いような普通の日だと思うのだけど
「特別な夜？今夜何か起こるわけ？」
えらく上機嫌なのか鼻歌を歌いながらにこにことしているレミリアにたいして聞いてみた
「そうよ！今夜は特別な夜。私が紅霧異変を起こしてから一年経った日よ！
あの時は本当に悔しかったんだから！」
子供のように頬を膨らませながら文句を言ってくるレミリアに
微笑ましさを覚える霊夢
「へぇ？それじゃあの日のリベンジでもしてみる？」
レミリアをからかうように笑みを浮かべながら冗談を言ってみる霊夢
その瞬間、空気が変わった
なごやかな雰囲気が流れていたロビーに張り詰めた、寒気を催すような空気が流れる
先ほどまで子供のような無邪気な表情をしていたレミリアは陰った笑みを浮かべ、
こちらを舐めるように見ている
「えぇそうしてみようかしら・・・」
レミリアの変わりように少し強張る霊夢
「な、何言ってるのよレミリア・・・？
ちょっとした冗談で言ってみただけじゃない・・・」
「そう・・・でもね霊夢
今日貴女を呼んだのはパーティーに招待したわけじゃないの
貴女が今言ったようにこの前のリベンジのためだったのよ・・・？
だから・・・特別な夜。
今日を選んだのも異変から一年たったからという理由じゃなくて
私がもっとも力を発揮できる満月の日だから。
貴女を徹底的に叩きのめしてあげたかったからなのよ？」
レミリアの言葉に驚きを隠せない霊夢
流石の博麗の巫女も満月の夜の吸血鬼を、しかもその本拠地での戦いでは分が悪すぎる
一刻も早く館の外へ逃げなければ・・・！
レミリア達に後ろを向け、ロビーのドアを蹴破って逃げようとするが
「咲夜」
「はいお嬢様・・・」
レミリアの号令を聞くが早いかすぐさま行動に移した咲夜
「幻世「ザ・ワールド」」
時を止め、逃げ出そうとした霊夢をまたロビーのほうへ向ける
動き出す世界
「っち・・・咲夜か・・・
ここは覚悟を決めるしかないようね・・・」
ゆっくりと霊夢に歩み寄るレミリアに警戒をしながら咲夜の動きにも注意を向ける
「大丈夫よ霊夢。誰にも手出しはさせないわ、なんてったって渡しは誇り高い吸血鬼の
レミリア・スカーレットだもの・・・咲夜ｯ！」
「はッ！」
言うが早いか一瞬にして消える咲夜
「さぁ思う存分遊びましょ霊夢？ロビーには特殊な魔法壁が貼ってあるからいくら暴れても
大丈夫よ。逆に言えばいくら暴れても私に勝つまでは逃げれないのだけどね。」
歪な笑みを浮かべ、余裕たっぷりに言うレミリア
「はん！一度負けたくせに偉そうね！また返り討ちにしてあげるわ！」


To Be Continued