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『本能のままに!』 作者: 狼狐
「こんにちわ」
そんな声と共に、私――アリス・マーガトロイドの家のドアが開いた。立っていたのは、見たことのない男。
何を考えているのかわからない笑顔を浮かべ、手には大きなトランクを持っている。服装は紺色のスーツ。
一体何者なのだろう。ここ一帯は魔法の森と呼ばれている非常に危険な地域だ。ただの人間が、うっかり来れるような場所ではない。
……まぁ何にせよ、鍵をかけずにいたのは無用心だったようね。
「どなたかしら? 突然人の家に勝手に入ってきて。返答次第では――その場で殺すわ」
そういって、私は人形たちを男の周りに移動させた。少しでもおかしな動きをすれば、即座に男は死ぬことになるだろう。
だが、男は人形たちを無視してにっこりと笑っている。ひょっとしたらただの頭のおかしい奴からもしれない。たまたまこの家に? そんなまさか。
「あぁ、すいません。あまりにも不躾でしたね。私、とある商売をやっておりまして」
そういうと、男は手に持っていたトランクを床に置き、それをがちゃりと開いた。中に入っていた物を見た瞬間――
「ッ!!」
私は、人形で男の首元にナイフを近づけた。トランクに、包丁や拳銃――つまりは、多数の武器が入っていたからだ。
しかし、男が動じる様子はない。笑みも全く崩れていない。
「重ね重ねすいません。勘違いしてしまったようで。これは武器ではありませんよ」
ぺこぺこと謝りながらそういうと、男はトランクの中から武器――ではないらしいが――をひとつ取り出した。
「これは武器ではなく、拷問器具です」
「はぁ!?」
思わず大声を出した。たしかに、言われてみれば昔興味本位で呼んだ拷問の本――魔女である限り拷問に興味を持たざるを得ないのだ――で見たことのある道具だ。
爪をゆっくりと剥がす道具、鞭、効率良く骨を折るための器具、鋸、等々。……どれもこれも新品のようだ。
「それが武器じゃないのはわかったわ。武器になるkもっていうのは目を瞑るとして、なんでそんな物を私に?」
「だから言ったでしょう? 私は商売をしに来た、ってね」
そういって、男は先程までよりも大きく口の端を吊り上げて笑った。売りに来た? 拷問器具を? ……私に?
馬鹿げている。こんなものを買ってどうしろというのか。誰かを傷つけろと?
「色々と取り揃えておりますよ。古今東西の有名道具から、私が作ったオリジナルまで」
首元にナイフを突きつけられたままだというのに、男は売り物の説明まで始めた。
とっとと追い返すべきだ、私の頭の中で、私がそう叫んでいる。だが、口が動かない。
まるで、魔女としての本能が私の体を支配し始めているかのように。
「これは注射器とポンプを組み合わせた物。少しずつ、少しずつ血を抜いてくれます。
抜かれる者の目に、取られた量が見えるようにもなっていますよ」
そう説明しながら男は商品を床に置いた。あぁ、これを霊夢に使ったらどうなるだろう。
いつものんびりとした霊夢が、泣きながら喚きながら体外に出た血の量を計る光景を想い浮かべる。
許して、許してと叫んで私に命乞いをし、『やだ』と拒否されて絶望の表情を見せて――――止めろ!
私は何を考えているんだ。私と霊夢は友人だ。その友人に拷問? そんな狂ったことをしていいはずがない。
「こっちは痛みを伴うことなく一定範囲の皮を剥ぐ器具です。外して少し立つと痛み出しますけどね。
段々と己の皮膚が剥がされていく様を見たい方には適しています」
魔理沙に使ってみたい。いつも強気で生意気な彼女に。最初は私に敵意を向ける彼女。だが、剥がされる皮膚の数と痛みが増えていくにつれ、強がりが消えて行く。
最後には失禁しながら私に許しを乞う。ごめんなさいごめんなさいと呟きながら、ゆっくりと死んでいく彼女の様子が想像できる。できてしまう。
考えるだけで――ぞくぞくする。楽しそう。なんて、なんて楽しそうなの。
「そしてこちらはハサミです。ただのハサミに見えるでしょ? 鍛冶屋の努力ととある魔法使いの魔力によって限りなく切れ味の鋭いハサミになっているんです。
骨だろうとなんだろうと、力を入れなくても簡単に切れます。刺して使うもよし、腕をばちん! と切るもよし、です」
こっちは霖之助さんに使うのはどうだろう。最初は大胆に、少しずつ繊細に彼の腕を切って短くしていく。
彼の無表情かつ無愛想な表情は変わらない。しかし、だんだんと青くなっていく。
お喋りな彼が、拷問を始められてからは一言も言葉を発することなく、そしてそのまま死ぬ。
ただただ無為に死んでいくのを自覚しながらも、一切の抵抗をせず生を諦める霖之助さん――なんて素敵なんだろう。惚れてしまいそうだ。
あぁあああああああああぁぁぁぁ。私は、私はもう駄目だ。己の本能に逆らえそうにない。
考えてしまった。想像してしまった。それだけで快感を覚えてしまった。そして欲求が産まれてしまった。『やってみたい』という欲求が。
己に嘘はつけない。己を騙しきることは絶対に出来ない。いつか絶対に、私は実行してしまうだろう。それが本能だ。
ならば。ならば――やってしまおう。やってしまえばいい。やりたいのならやっていい。やっていいんだ。
「……買うわ」
「はい?」
私のつぶやきに、男はポカンとした表情を浮かべた。ようやく笑みが消えたわね――そんなどうでもういいことを思う。
「それ。そのトランクの中身。全部買うわ。全部、全部よ」
彼のトランクの中の道具は30はあった。全部使おう。霊夢と魔理沙と霖之助さんに使ったら、ブラブラと幻想郷を彷徨こう。
出会った端から捕まえて、片っ端から傷つけてしまおう。あぁ、なんて楽しい。楽しい! 考えるだけで、楽しい!
「何か、勘違いしてらっしゃるようで」
「え? 何がよ、何が? それを売りに貴方はここへ来たんでしょう? だったら売りなさいよ。
もったいつけていないで、それを全部私にちょうだい」
はぁ、と男はため息をついて――パチン、と指を鳴らした。その瞬間、がくりと私の膝が崩れ落ちた。そして、私の膝と肘に鋭く強い痛みがやってきた。
手に力が入らず、男の周りを漂っていた人形たちがどすりと下に落ちた。
「すいませんね、勘違いさせてしまって。私は商品の紹介をしに来たのですよ。『貴方に使われる』商品のね」
男がそういうと、その背後からまた別の男が現れた。そちらの男は手に拳銃を持っていた。どうやら、これで膝と肘を撃ちぬかれたらしい。
「おいおい、客に働かせるとはどういう商売をしてるんだあんたは」
「念のため貴方に銃を持たせて置いて正解でした。ご安心を、きちんと治療して拘束してからあなたにお渡ししますので」
新しく現れた男の方には見覚えがあった。たしか、以前里で『あなたに一目惚れしました!』と叫んで私に告白してきた男だ。断ったが。
「いやはや、貴方にフラれてからずっと考えていたんですけどね」
そういって、彼は私に近づいてきた。
「『どうやったら貴方にこの愛が伝わるのか』って。結論はすぐに出ました。とにかく見せるしかない、ぶつけるしかないってね」
なるほど、愛をぶつけるために拷問をするつもりらしい――断ってよかった。こんな素敵なことになるなんて
一体、どんな風に愛をぶつけられるのだろう。どんな風に傷つけられるのだろう。私はどんな表情をするのだろう。どんな言葉を叫ぶのだろう。
なんとなく、魔女裁判の真意が理解できてきた。ずっと疑問だったのだ。なぜ、幾万の魔女たちは拷問の後に処刑されたのだろう。
本当の魔女なら、たかが人間に捕まるなどあり得ないことだ。だが、今なら理解できる。彼女らは望んでそうされたのだ。それこそが魔女の本能だったのだ。
私の拷問欲も、結局はそこに連なる。なるべく酷くだれかを傷つければ、なるべく惨く殺してもらえるだろうと。それだけだった。
「愛してるよ、アリス」
そう呟きながら、男は優しく私の頭を撫でた。心地いい。この優しい手の彼がどう私を傷つけてくれるのか――わくわくしながら、私はゆっくりと目を閉じた。
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2012/02/28 07:29:11
更新日時:
2012/02/28 16:32:28
評価:
8/12
POINT:
890
Rate:
14.08
分類
初投稿
アリス
ショートショート
愛してるよ、アリス
いいお友達になれそうだぜ。
里に住んでらしたとは知りませんでした
いつまでもお幸せに……
何が言いたいかというと、アリス、真実の愛に出会って良かったねってことです。
被拷問願望なんて、アリスさん&その他魔女は上級者すぎますね さっすがー