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『向こう岸に着くのだろうか?』 作者: 和多
「おい、小町お前は小型船舶操縦士は持ってるのか?」
「……4級持ってるよ」
魔理沙は死んだ。とにかく、死んだ。本人も死んだことは理解している。運び始めてから既に半日、気に食わないことがあるとすぐに聞いてくる。
「なあ、小町、私は当然天国に行けるだろ? だって、私は生きている時にたくさん異変を解決したのだから」
「……そうなのかい? あたいは船頭だから知らない」
生前の行いで魔理沙の行き先はだいたい分かる。…………船の上であばれられても迷惑なので知らないことにする。
「それにしてもかゆいな、この船には蚤でも居るんじゃないか?」
「……そうかも知れないね」
こいつは死んでいる癖に、面倒なことを言ってあたいを煩わせるのか。たしかに掃除してないから蚤は居るかもしれない、死んでるのだからかゆいわけないのだから。
「途中でトイレに行きたく成ったらどうする?」
「………………」
がんらい話をするのも聞くのも好きで面白いが、今日は面白くない。初めて起ったこの気持ちは絶対恋なんかじゃない。
「聞いているのか? トイレ!!」
「………………」
そう、殺意だ。死んでる奴をもう一度殺したくなった。
「ここで、するぞ!」
「……ああもう勝手にしな、どうせでない」
なんだろう、この感覚初めて心の底からこの仕事辞めたいと思った。今までは、ちょっと、映姫様に反発してみたいと思う気持ちが合ったから昼寝とかしていたよ。……違うな認める。あたいはサボっていたよ。でも、辞める気等なかったんだ。
「なんだ? お前は昔私にボコボコにされたこと嫉妬しているのか? おいおい、嫉妬なら何だっけ? パ? パル? あいつの仕事だぜ?」
「……そうだね」
遊びだからね。魔理沙の娘が死んだ時もそうさ、お前の娘も私が運んだ時に言っていたよ。私のお母さんはお前をボコボコにしたんだ。だから、私はビップだろ?
「さっきから、熱い! 冷たい物ないか?」
「……有るよ」
この冷えたあたいの心がね。今までで一番長い船頭になりそうで、小町は魔理沙を乗せたことを後悔していた。
「寿司喰いてーよな? にとり?」
今日3度目のセリフである。今日は魔理沙の盟友にとりは川で釣りをしていた。魔理沙のセリフににとりは、びくっとした表情で魔理沙を見た。そして、みるみる顔面蒼白になりがたがた震えだした。
「……な? 何? 魔理沙、鱒寿司でも食べればいいじゃない……?」
魔理沙は鱒寿司を、想像しながら涎をたらたら流し、涎を飛ばしながら話す。
「いいぜ、私は鱒寿司嫌いじゃないぜ。いますぐ出して貰えるならな」
にとりは、鱒寿司を準備していなかった。鱒は滅びていたのである。出まかせを言ってしまった恐怖で、唇が紫色になり始めている。
「……ないよ。鱒は……魔理沙が乱獲したからもうない」
鱒以外の魚も魔理沙に乱獲されて滅びてしまっていた。魔理沙は涎をにとりに吐きつけ笑った。にとりには涎を吐きつけられた屈辱よりも、笑顔がとても怖かった。
「ははは、そうか、ははは、無いのに私に薦めたのか? ははは?」
パン!
ちっ! 魔理沙は舌打ち、にとりの左の頬をはたいた。
「……いた……痛い……」
パン!
魔理沙は次に右の頬をはたいた。にとりははたかれた衝撃で鼻血が出てしまった。鼻血が逆流して喉に流れ込む、にとりは咳き込んでしまった。
「そうだぜ、それが私の心の痛みだ。にとりに騙されて傷ついた私の心の痛みだぜ」
ごほ、ごほっ!
にとりは咳き込みながらも、魔理沙にひざまずいて、精一杯のその場を和ませようとして謝った。
「……ごめんなさい……魔理沙を騙したこと、心から謝罪します。……だからかっぱ巻きにするのだけは許してください」
言ってしまってから、にとりは、後悔した。魔理沙は冗談は嫌いなのである。ひざまずいているにとりに、魔理沙のけりがはいる。
「下らないこと言ってんじゃないぜ。お前なんか喰っても口が生臭くなるだけだぜ」
けられても、にとりは謝り続けた。
「謝ってもらってばかりじゃ、つまらん。そうだな、誠意を見せてもらおうか?」
魔理沙は、履いていた靴を脱いで裸足になった。そして、謝っているにとりに、突き出した。ちなみに、すごくきれいな素足だった。
「なめろ」
屈辱的な方法で魔理沙はにとりに、誠意を見せさせようとしたのである。
「……な……なめたくないよ……やめてよ……ここは川、仲間の河童達が見てる」
にとりは妖怪として人間の魔理沙にそのようなことはしたくなかった。謝罪や蹴られるのはまだ許せる。でもこんな屈辱は嫌だった。
「なぁ、にとりよー、その河童の仲間をさっきまで楽しく釣っていた奴の、セリフとは思えないぜ」
魚が居なくなり、魚釣りが出来なくなった。魔理沙はにとりと河童釣りをしていたのである。
「……いや」
嫌がる、にとりの口に無理やり魔理沙は自分の足の親指をねじ込んだ。
「手間掛けさせるなよ?」
魔理沙の足の親指が口に入ったことでにとりはあきらめ指をなめ始めた。なめながら、考えた私はなんて、駄目な妖怪になってしまったのだろう。こんな下らない人間に屈辱的なことを皆が見て居る前でさせられている。
「おい、もっと丁寧になめろ。それじゃあ誠意が感じられないぜ」
ガコ!
…………こんな! 人間の足など舐めていられるか! 決意すると、震えが泣くなり、顔には血の気が戻り唇の色ももどった。にとりはなめていた魔理沙の足の親指を噛み切った。
「にとり、お前今何をした?」
足の親指が噛み切られていることに気が付かずにとりに聞いた。
「……魔理沙! お前のしりこだまを寿司にしてやるよ」
和多
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2012/03/06 07:17:27
更新日時:
2012/07/13 03:09:41
評価:
7/11
POINT:
690
Rate:
15.89
分類
小町
この小町、向こう岸に着けるのかしら?
とにかく、河に突き落とせば万事解決。
2>>確かにこのまま無理に送るより手っ取り早いですね。
3>>確かのデータはパソコンの中に残してあるので探してみます。見つけたら後書きに貼っておきます。
4>>お褒めの言葉ありがとうございます。
魔理沙の娘はママンよりも先に死んだのか。ロクな死に方はしてないな。
魔理沙が向こう岸に着くまで、後何百年後だろうか?
まあ小町がキレて、ふん縛った魔理沙を川にぶち込み、曳航していくことになるんだろうな〜。
にとりよくやった。
7>>もしこれが両岸が均等に増えていくとしたら永遠に川の上をさまようことになりますね。
そしてあとがきで理由発覚
尻子玉抜く所を勝手に想像、勝手に戦慄。
ありがとうございました。