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『リグルは偉大な王』 作者: ギョウヘルインニ
ある日、原っぱで橙はバッタを追いかけていた。ちょっと、お腹が空いたので捕まえて食べることにした。
ぴょん、ぴょん、ぴょん、ぴょん、バッタは追いかけられていることを知っているのか飛び跳ね逃げる。橙も、それを真似して四つん這いで跳ねながら追いかける。遊びながら、捕まえる気なのだ。
ぴょん、ぴょん、ぴょん、ガサ! 橙がバッタを口で捕まえた。すぐに食べずバッタを、一回口からだして、足とか不味くて食べられないところを取って食べた。
それを、遠くで見ていたバッタのお母さんは悲しんだ。今日わが子に起きたこの悲劇、許せるはずが無かった。ぴょん、ぴょん、飛んである妖怪の元に駆けつけた。
そう、蟲の王リグル・ナイトバグとその妻ヤマメの住む屋敷に来た。
屋敷の門番は気持ちの悪いゴキブリの妖怪少女で、妙にテカテカした顔をしている。油っぽい以外は結構可愛いのだが残念である。
存外、このゴキブリ妖怪は職務に忠実なようでしっかり門番をしていた。バッタのお母さんを見つけて話しかけた。
「そこの、バッタ! ここはリグル様のお屋敷知っているのか?」
「はい、知っています。私の子供が殺されたのです」
「なんだって、それは可哀想に! それで、ここに来てリグル様に訴えるのだな?」
バッタの話を聞いたゴキブリ妖怪は可哀想なのですぐに内部に連絡しようと狼煙を上げた。すると、すぐに中から妙に扇情的な和服を着たフナムシの妖怪少女が出てきた。ここのメイド長で、折角整った顔立ちをしているのに動きが気持ち悪いので、残念なのである。
「どうかしましたか? 門番?」
「このバッタの子供が殺されたのです」
「可哀想に、至急リグル様に取次ぎします」
この、妙に話がすぐに通じるところは、虫たちが単純なわけではなくむしろ高度に意思の疎通がはかられているからである。
ゴキブリ妖怪を残しフナムシ妖怪とバッタは、リグルがいる謁見の間に行くことになった。
リグルは部下に外で狼煙が上がったことを聞いて、愛妻ヤマメと情事の最中だったが一気にけりをつけて着替えて謁見の間にある豪勢な玉座に座った。既に謁見の間には、部下が4、5人控えている。
この後、来る客の前で威厳を作るために中毒性の無い葉っぱをキセルで吸って気だるそうに玉座のてすりに肩肘ついて待っていることにした。
程なくして、メイドと客のバッタが現れた。
「リグル様、このバッタがお話があるそうです」
「……なんだい? ……どうしたんだい? 悲しそうな顔をして」
いかにも気だるそうに、リグルは聞いた。
「私の子供が殺されたのです」
「……そうかい、それは可哀想に。ここに来て何が望みなんだい?」
「私の子供をむごたらしく殺した橙に血の復讐をお願いしたいのです」
「……仕方ないね。民の願いを聞くのが王の仕事だ。その願いかなえよう、橙をむごたらしく拷問して殺してやる」
バッタのお母さんは、願いが聞き入れらたものの、死んだ子供は帰ってこないので複雑な表情をしながら帰って行った。
その表情を見た、メイド長は心配して門番に自宅まで送り届けるように命令した。
すぐに、リグルは行動を起こした。先ほどまでは、気だるそうにしていたが同胞の死は自分の死のように感じられ、とても悲しく苦しかった。隠密行動を得意とするツツガ蟲の妖怪男に命令して橙を拉致してくるように命令したのである。
命令された、ツツガ蟲も同胞の死を悲しみ身命を賭けて、橙を拉致してくることを誓った。
ぽかぽか陽気の原っぱで橙は、今度は蝶々を追いかけて遊んでいた。今度は普通に歩いて、ルンルン気分で追いかけた。特に理由も無く、捕まえたら藍がほめてくれるような気がして持ってかえるつもりである。蝶々はヒラヒラ舞ってと光を受けてきれいに見えた。ふいに、茂みにフラフラ入って行った。橙もそれを追いかけて、茂みに入ると蝶々を見失った。
蝶々は囮だった。突然後ろから現れたツツガ蟲に橙は薬を嗅がされ昏睡してしまい連れ去られてしまった。
謁見の間は一時的に、拷問室になっていた。実のことを言うと、リグルは余り拷問とかは得意じゃなかった。過去に何回か拷問の現場に立ち会ったことはあったものの、直接するのは初めてである。だが、部下がいる手前にできないとは言えなかった。
それをごまかすために、やはり気だるそうに玉座に座り準備が整うのを待っていた。犯人の橙が裸にされて、腕を縛られ天井の梁から吊るされた。丁度、リグルが立ち上がって蹴り飛ばせば鳩尾辺りにくるような高さだ。
橙は意識を取り戻していて、裸にされている恥ずかしさよりも今この状況におかれた恐怖で体をくねらせたり、震えたりしていた。拷問に使う道具とかもセットされ準備が完了した。部下たちが後ろに下がった。実のことを言うと部下拷問は怖いので、直接見ないようにしている。
近くには、ヤマメが控えているのみになった。リグルの心情を理解していて近くで控えている。さて、始めるとするかと思いリグルは気だるそうに立ち上がった。ゆっくり、とした足取りで橙のいるところまで近づいて行きまずは話しかけた。
「どうして、ここに連れて来られて吊るされるているの分かっているよね。まず聞くけど、どうしてバッタを食べたの?」
「……そんなのぉ知らないよぉ」
ゲシ、ゲシ、ゲエ、リグルはしらばくれる橙の腹を蹴った。二回蹴ったところで、橙は床に吐いた。未消化のバッタがたくさん出てきた。あの後ほかのバッタも食べていたのである。愛すべき同胞達が無残な姿になりはてリグルの前にいる。
余りにも残酷な光景で、リグルは貧血を起こして倒れそうになった。するとリグルの背中にヤマメのやさしい白い手が添えられる。なんとか、ヤマメに支えられ、リグルは正気を取り戻した。
「大丈夫、あなたならできる」
「ありがとう。……橙! お前は何で! バッタを食べた!」
「……うぅ、うううええええぇ! お腹が空いたからだよぉ」
「あなた、この子最低ね。可愛い顔して悪魔みたいなことを平気でするなんて」
今度は威厳たっぷりで、リグルは言った。それに恐怖した橙は白状した。それを聞いたヤマメは、橙を侮蔑し履き捨てるように言った。
「橙お前の罪をこれから断罪する。まあ、具体的には拷問するんだけどそれでも罪を減らして貰っていると思い潔く受けなさい」
「嫌だよぉ」
リグルは気持ちの悪い肉食甲虫を出して橙の足に乗せた。肉食甲虫は気持ちの悪い動作で橙の足を這って上っていく。歩くたびにトゲトゲした脚が刺さり痛痒い、それでも蟲は歩いていき橙の大切なところまで登ってきた。橙は怖くて腰を振って何とかその蟲を剥がそうとしたが出来なかった。蟲は大切なところで止まり、しばらく動かなかった。橙は怖くて震える、その様子を見ていたリグルの後ろにいるヤマメがニタニタ笑っている。
その時だった、蟲が翅を広げた飛翔し橙の顔まで飛んで来て停まった。とても怖い甲虫が顔についてしまい、ちょろろろろと情けない音と共に漏らしてしまった。
「うわ、汚い! あんたを食べると思った? 馬鹿ね」
「やめてぇ!」
リグルはミミズを取り出して橙の耳に入れようとしたが届かないので、玉座を引っ張って来てそれに乗り橙の耳に入れた。ミミズが耳の中に入っていく、気持ち悪く外耳を通って内耳に入っていく脳の中に何か異物が入ったような気分になり視界が歪んだ。
「にぁぅうう、うううううぅううこんなことしてただで済むと思ってるのぉ」
「じゃあ! お前は、バッタを食べてただで済むと思ってるのか!」
「そうよ、この鬼畜! 鬼! 悪魔!」
橙は食べても何も問題ないと思っていた。しかし、それが間違いだった。蟲の怒りを買ってしまいこの有様である。ヤマメも橙のところまできて言葉攻めに参加して罵った。
「やだぁ! やめてぇ」
リグルが新しい気持ち悪い蟲を乗せようとしたときだった橙は暴れた、足をばたつかせた。そのときだった、その足が近くにいたヤマメの顔に当たった。足の爪は案外鋭く、ヤマメの顔に少し傷ができた。それを見た、リグルは青白い顔になってヤマメを抱きしめた。
「痛い!」
「大丈夫? ヤマメその傷大丈夫? 跡にならない?」
「あなた、大丈夫よ仕事を続けて」
「本当? 本当に大丈夫なの? 可哀相、痛いでしょう?」
「本当に大丈夫よ。仕事を続けて、あなたにしかできない仕事よ」
「橙! 貴様よくも大事な妻になんてことをしやがる! 殺してやる! 絶対殺す!」
リグルは逆上して、足をまだばたつかせている橙の足をつかんだ。つかむ際に、リグルも手に怪我をしたがお構いなしだ。そして、足をがんがん何回も力いっぱい引っ張った。それこそ、足が抜けるのではないかと思うくらい引っ張った。すると、ぐじゅっと嫌な音がして、橙の身長が5cm位伸びた。実際は、身長が伸びたのではなく、固定されている手と腕の関節がきれいに同時に抜けたのである。
「にぎゃああああああ!」
間接が抜けたことにより、筋と皮膚だけで全体重を支えることになった橙は屋敷全体に響くような大声を上げた。
「うるさい!」
逆上しているリグルは、橙よりも大きな声を上げて言った。もはや躊躇等なく今度は尻尾をつかむと引き抜くため思い切り引っ張った。ごむん、と嫌な音がして橙が落ちてきた。尻尾が抜ける前に手が千切れて、落下してきたのである。橙は落下するときに、本能で受身を取った。
「……? 手が無い?」
橙は痛みを感じていないのか、間抜けな声を出した。しかし、それもつかの間で千切れた手が、橙の顔に当たりそれを見たら急に痛みが襲ってきた。ちょろろろろと情けない感じで腕からは血が出ていた。ものすごい痛みが橙を襲う。ガン! リグルが橙を蹴飛ばした。それから、足で仰向けにさせて背中に足を置き尻尾を思い切り引っ張った。今度は尻尾がきれいに抜けた。抜けた尻尾を見てリグルはあることを思いついた。
「腹が減ったと言ったな! だったら自分の尻尾でも食べてろ橙!」
橙は無理やり抜けた尻尾を食べさせられた。それは食べるというよりも飲む動作だった。無理やり口を空けられて、尻尾の先を入れられた。幸いなのか、体の器官はうまく動作しているらしく、尻尾は気管へは入らず食道を通った。胃の中に尻尾は納まった。
「うげえ、痛いぃぃぃぃ! 助けて藍しゃま!」
「黙れ!」
苦しむ橙を見てリグルはさらに怒りが湧いてきた。バッタ達はこんな奴に無残に殺されたと思うととても悲しく辛かった。ゲシ、ガシとまた蹴る、ゲエと橙はまた吐いた。さっき食べたばかりの尻尾が胃液と血にまみれそのまま出てきた。汚い汁がリグルの靴を汚したがかまわず蹴り続ける。ひとつ蹴ってはバッタの為! 二つ蹴ってはバッタの母の為! 三つ蹴っては、怪我を負った妻の為! リグルは蹴り続ける。ぎにゅっと嫌な音がして肺の骨が折れても蹴り続ける。ぴすっと、折れた骨が肺をさしてもやめない。
「……げ…………」
「あなた、もう死んでる」
「なんだ? 死んだ? まだ犯した罪の半分も償っていないのに」
リグルはまだ許せなかった。近くにあった愛刀カットラスを引き抜いて何度も刺した。橙の死体はズタズタになってしまい、辺りに血の臭いが漂った。
ようやく、その血の臭いでリグルは正気を取り戻し死体を部下に片付けるように命令した。自身は、ヤマメの傷が気になり心配そうにヤマメの傍にいることにした。
後片付けを命令された部下は、気持ち悪いので指の先で橙の髪を引っ張り外まで引きずり門番に押し付けて屋敷に帰って行った。この後、引きずったせいで、あちこち血だらけになっていて掃除しなければならず後悔した。
死体を渡されたゴキブリ少女は、橙の頭の中で助けを求めるミミズを救出してついでに、脳みそを夜食用に取り出した。後はいらないで、死体を元いた原っぱに捨てた。
橙を殺しても気がおさまらないリグルは、親に責任があると考えた。
力の差も考えることもせず。八雲藍にも制裁を加えるべきだと考えて、攻めることにした。
それを、見送るヤマメは心配そうな顔をしていた。
リグルが見えなくなると、ヤマメはニヤッと笑った。これで、あいつの地位や財産は私の物。
ヤマメの目論見はこの後、頓挫することになる。リグルが八雲家を皆殺しにしてしまったのだ。
数週間後
バッタのお母さんは、橙の捨てられ腐敗している死体の前で座り込み餓死して死んでいた。
死体の傍には遺書が残っていて、リグルは偉大な蟲の王万歳と書いてあった。バッタの母親の死体を見つけた蟻が居たのだが、普段のところならば巣に持ち帰って食べるところを感動して埋葬したそうな。
魔理沙は弾幕ごっこでパルスィに負けた。
被弾した時に打ち所が悪く気を失った。
魔理沙が起きるとそこは、洞窟を少し改装して作った石作りの部屋だった。
短い蝋燭が一本弱々しく燃えていて薄暗い。
魔理沙は猿轡を噛ませられ椅子に縛りつけられていた。
「んあ! んん」
魔理沙は何とかその束縛から逃れようともがいた。
しかし、きつく縛られているようでまったくの効果が無かった。
「んんんん! んあ!」
それでもあきらめず、さらにもがいた。
”ガシャン!!!” ”グシャア!!!”
もがきすぎて、縛られている椅子ごと顔から石作りの床に顔から倒れてしまった。
鼻の頭が折れて、鼻血があふれ出した。口の中は歯が折れて口内で刺さった。
猿轡を噛まされているので口内に血が溜まった。排出されない血は逆流し、鼻血と共に鼻から出た。
血が逆流することにより、呼吸困難に陥った。体が反射で咳をしようとしたがやはり猿轡のせいですることができない。
今度はそのせいで、気管に血が逆流した。
”ぐうう!!” ”ぐもう!!!”
咳ができない、息ができない、体は勝手に反射する。
痛みと苦しさで、涙があふれてきた。
それから、時間が経ち魔理沙は大人しくなった。
死んではいない。意識もある。一度意識を失ったもののそのおかげで、止まらなかった反射が止まり落ち着いたのである。
「お目覚め? 地上の魔法使いさん?」
いつの間にかパルスィがいて、椅子と共に倒れこんでいる魔理沙に話しかけてきた。
「んんんんんん!!」
パルスィが魔理沙をこういう状態にしたのになぜかパルスィは笑顔を作った。助けてくれるような気がしたから。
「……妬ましい」
パルスィはお決まりの台詞を言ってこれから、魔理沙にどんな拷問しようかと考えていた。
「地上に住んでるから妬ましい」
パルスィは地上には太陽があるのが妬ましかった。そこに住んでる住民も妬ましかった。
考えた。光を感じなければ地上も地底も関係ない。
「あなたの目が妬ましい」
パルスィは、尖った枝で魔理沙のきれいな眼を刺した。
”プチュ”
魔理沙の目が潰れた。右の視界が無くなる。
”プチュ”
左の視界も無くなった。世界が全て黒になった。
もし、生き残って帰れたとしてもこれから盲人として過ごさなければならない。今の魔理沙をアリスが見たら喜ぶだろう。何をするにも手を引いてあげないと出来ない。
そこに、ヤマメに連れられて姉のリグルが見物に来た。王ならこういうこともなれて、おかなければならないとのことで連れてこられたのである。リグルがヤマメに何処にも行って欲しくなく近親婚する10年前のことだった。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2012/03/07 02:35:08
更新日時:
2012/03/07 15:34:58
評価:
7/12
POINT:
790
Rate:
13.58
分類
リグル
橙
ヤマメ
オリキャラ
橙が拷問される所ゾクゾクしました。
橙の何気ない行動でも、食べられる虫達にとっては本当に鬼や悪魔のように見えてもおかしくありませんね。
リグルの歪みもさることながら、ヤマメのしたたかさもある種ゾッとくるお話でした。
実は財産なんか狙っていないんじゃないかと思わせてくれる。
良い話しでした。
ああー流石だ、何時も想像の斜め上を行ってくれます。
あとがき話も秀逸です。
本当にワクワクして読めましたありがとうございます!
民を死なせてしまったんだから。
戦乱を招いてしまったんだから。
魔理沙は、まあ、そういう人生がベストマッチですね。
アリスのお人形として、幸せな人生を歩むがいいさ。もっとも、自分では歩けないでしょうがね。
まぁ確かに生き物で遊ぶのはよくないな。
食べ物には感謝して食べないといけませんね