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『本当は黒い聖白蓮』 作者: 掃除機の中の人

本当は黒い聖白蓮

作品集: 3 投稿日時: 2012/03/11 16:19:23 更新日時: 2012/03/12 01:19:23 評価: 3/6 POINT: 390 Rate: 11.86
 魔界の片隅にある法界。
 大地は荒れ、淀んだ瘴気の濃度は濃く消える事がない。罪人や悪魔、妖怪を封じるには丁度良い世界。
 私は遥か昔にここに封じられた。

 熾烈な環境下では十分な食事を得る事が出来なく体が弱っていく。
 自分の周りにいる生き物を襲い、それを食す。それが法界の生き物の生き抜く術だったようだ。
 幸い私は捨食の法と捨虫の法を身に着けていたので空腹で、老衰で死ぬ事はなかった。
 
 私を殺し、その肉を食そうとする者は法界に封じられた最初の一年だけで二桁を越えた。
 仏の教えに生きる私としても無益な殺生は避けたかったが、私を襲ってくる者はどれだけの手傷を与えてもその殺意を消してくれる事はなかった。
 襲われる度、私は手を汚し、相手の命を奪っていた。

 私を殺そうとした者の為に墓穴を掘り、供養をした。

 彼らも生き抜くために必死だったのだ。せめて供養位してやらないと。
 それが当時、私の考えていた事だった。

 私と同じように食事をしなくても平気な体を持つ者が性欲を満たす為に襲ってきたこともあった。
 また、完全に殺戮を楽しんでいる者もいた。

 私は多くの者に襲われその度に命を奪っていた。
 そうしなければ私が殺されてしまうから。

 そんな事を百年位続けていると、私を襲ってくる者はいなくなった。

 法界から生き物が消えた訳ではない。
 純粋に法界の生き物達の食欲、性欲を満たす為の対象から外れただけだ。

 他者の命を奪わなくて済む生活は何だか物足りなかった。
 餓死、老衰とは無縁の私は命の奪いの中でこそ生を感じていたのだ。
 
 あぁ、張りつめた空気。高ぶる鼓動と呼吸。全身に熱い血が流れ、脳内に興奮物質が充満するあの感じが忘れられない。
 思い出すだけで武者震いが止まらなくなる。
 人間を辞めた私は妖怪にもなれず化け物になってしまったのかもしれない。例えそうだとしても、何もないこの世界で生を実感したい。
 私は生を求めて法界を歩き回ることにした。

 他者の命を奪い法界を彷徨う生活を始めて五十年程経った。
 法力と魔法を駆使し、多くの生き物を殺めた。
 強化した肉体で力任せに相手を執拗に殴り続けた事もある。
 魔法を使い、相手を焼き殺した事もある。
 相手の持っていた刃物で相手を無残に引き裂いた事もある。

 私は生を求め、多くの者を殺めた。
 ある時、私は気付いてしまった。
 私は生を求め殺戮をしているのではなく、快楽を求める為に殺戮をしているという事を。
 その事に気が付かせてくれたのは一人の幼い魔法使いだった。
 
 ある日、幼い魔法使いの少女に決闘を申し込まれた。
 法界とは言え、魔界の一部。魔界を管理する神を怒らせてしまったようで、神の使いの少女が私の前に現れたのだ。
 白いブラウスに青いスカート。肩で切り揃えられた金髪が印象的な可愛らしい少女。
 可愛らしさとは対照的に気の強そうな表情。
 ああ、早くこの子を壊してしまいたい。 
 そんな事を思った自分にぞっとした。

 闘いが始まると少女は魔力を溜め、呪文を唱える。
 魔力が彼女の掌に凝縮される前に私は自らの肉体を強化し、彼女の背後へ一気に回り込んだ。
 法力で作り出した鎖で彼女の両手、両足を縛り自由を奪う。
 体を大きく揺さぶりながら手足の自由を得ようとする少女。
 力を込め少女の腹部を殴ると可愛らしい顔からは似つかわしくない声を上げた。
 地面に倒れこむ少女。

 私は鎖を操り、少女の手足を四方から引っ張り強制的に立ち上がらせた。
 いつしか少女は泣き出しそうな顔になっていた。
 その表情が余計に私を興奮させた。
 この怯えた顔がもっと見たい。怯えた声で命乞いをさせたい。苦痛に顔を歪めながら泣き叫ぶ姿が見たい。

 私は懐から小刀を取り出し、試に少女の手首を優しく切りつけた。
 小刀と言っても刃渡りは短く、殺傷能力はそれ程高くない物だが切っ先は鋭く傷口からゆっくりと赤い液体が流れ落ちる。

 次に私は少女の首を絞める事にした。
 首を力いっぱい絞めると必死に手足を動かし抵抗をする。
 手に込めていた力を抜くと彼女は大きく咽ながら呼吸をする。その姿が何ともいえない。
 
 腹部に小刀を突き立てると少女は泣き叫びながら命乞いを始めた。
 綺麗な顔をくしゃくしゃにして命乞いをしている姿は私をひどく興奮させた。 
 私は少女に回復魔法をかけ、何度も何度も彼女を刺した。
 小刀を突き立てる度に彼女は叫び声を上げ、許しを乞う。
 彼女が悲痛な声を上げる度に私の体に快楽の電流が走る。熱く煮えた蜂蜜を飲み込んだように、喉の奥が甘く、熱く鼓動する。
 気が付くと私の秘部はぐっしょりと濡れていた。 

 私は興奮が最高潮になった時、私は彼女の首を大きく切り裂いた。
 赤い血飛沫が勢いよく私を濡らす。
 私は絶命する少女の血を浴びながら自慰に耽った。
 



「聖、お客様ですよ」
 寅丸星が書斎で書き物をしている聖白蓮に声をかけた。
「あら、どちらさま?」
 書いていた筆を休め、部屋の入り口に立っている星に顔を向ける。

「魔理沙と友達の魔法使いだそうです。魔道書について聞きたいことがあるーって言ってましたよ」
「わかりました。片付けたらすぐ向かいますので、広間で待ってて貰ってください」
「はい。では、一応お茶の用意でもしときますね」

 片付けを終え、広間に向かうと見慣れた白黒の魔法使いと見知らぬ金髪の少女が座っていた。
「お、白蓮。こいつが私の友達のアリスだぜ」
「はじめまして」
 
 ニコニコと笑顔の魔理沙と礼儀正しく挨拶をする少女。
――あの少女に似ている。でもあの子はあそこで……

「おーい!びゃっくれーん?」
「え、あ、はい!はじめまして。アリスさん」
 魔理沙の声で我に返る白蓮。

「突然訪ねてきて申し訳ないわ。魔理沙があなたに聞けば大抵の魔道書を解読してもらえるって言うものだから」
「私で分かる事なら協力しますよ」
「ありがとう、助かるわ」
「ところでアリスさん、どこかでお会いした事ありませんか?」
「え、初対面だと思いますけど……」
「ご、ごめんなさい。気にしないでください」

 首を傾げる魔理沙とアリスを見つめながら必死に疼く殺戮の衝動を抑える白蓮だった。
はじめまして。掃除機の中の人です。
大好きな聖様が本当は黒かったら悲しいような嬉しいような気分になります。
掃除機の中の人
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2012/03/11 16:19:23
更新日時:
2012/03/12 01:19:23
評価:
3/6
POINT:
390
Rate:
11.86
分類
聖白蓮
旧作アリス
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0. 90点 匿名評価 投稿数: 3
1. 100 NutsIn先任曹長 ■2012/03/12 07:46:48
井の中の蛙に、礼儀と落とし前をつける展開を希望。
アリスを始め、寺の皆も幻想郷中の有力者達も白蓮の所業を知っていて、哀れな蛙を解剖するが如く、研究し弄んでいたりして。
3. 100 名無し ■2012/03/13 00:30:22
僕も、白蓮大好きです。
ドS白蓮もすきだけど、なんか複雑な・・・

マイルドに苛められたいです。
6. 100 名無し ■2012/03/16 20:29:49
魔界、法界を生き抜いた聖がただの良い人な訳がありません。
聖といったらこんな感じだと常々思っていた。
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