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『続・学は友、恋は敵』 作者: 天狗

続・学は友、恋は敵

作品集: 3 投稿日時: 2012/03/13 03:47:39 更新日時: 2012/03/13 12:47:39 評価: 2/2 POINT: 200 Rate: 15.00
 世の中は色々と不思議な事が起こるもので、それは誰かが作為的に起こす異変とか、誰が謀った訳でもなく勝手に起こる異変とか、世の中に安静という二文字は無い訳である。
それは、ここ幻想郷でも言える事でもあるのだが…
「まさかあんな事になるなんて、今思い出しても笑いそうになるわ」
 此処は魔法の森近くに存在するキノコの森である。
小さな籠を持ちながらそこを散策しているのは、金髪で人形を数人連れている少女――アリスである。
「なんだか楽しそうですね?」
その横を歩くのは、黒のブレザーを着て同じ様に小さな籠を持っている少女なのだが、こちらには頭に兎の耳が付いている――月の兎、優曇華院である。
何故この二人がここにいるのか? それを知るには、少し時間を遡る事になる。


 いつもの様に大図書館で本を読んでいた少女――パチュリーは、先日アリスに教わった魔法をより深く自分のモノにしようと、研究に励んでいた。
「ふむ、という事は…与える霊力を最低限のものにすれば、維持は容易いという事ね。だとすると、アリスはあんなにも多くの人形を操れるのに、維持が出来ているのは…出生に秘密があるのね」
むむむ、と顎に手を置きながらブツブツ言っていたパチュリーの元に、使用人である小悪魔が紅茶とお茶菓子を持ってやって来た。
「パチュリーさん? 少し休憩してはどうですか? おいしい紅茶と疲労に効くというお菓子を持ってきましたよ?」
紅茶から香るいつもの安らぐ香りに包まれたパチュリーは「そうね」と、本を閉じ一息つく事にしたのである。
「あら? このクッキーは? 見た事無いけど」
「実は、今日永遠亭の人が持って来てくれて、どうやら疲労に効くらしいのです。パチュリーさん、最近疲れている様でしたからちょうど良いかと思いまして」
小悪魔は少し照れた様に、ニッコリと微笑んでいた。そんな顔をされては、食べない訳にもいかないだろう。
少々怪しんでいたパチュリーだったが、紅茶を一口飲み問題のクッキーを半分に割って口に入れ、ゆっくりと咀嚼し始めた。
「どう…ですか? 曰く、若返る程に疲労が取れるとの事ですけど…」
「ん、うん。まあおいしいけど…そんな直ぐに疲れが取れる訳じゃ…っ!?」
途端パチュリーは椅子から崩れる様に床に膝を付き、息は荒くなり、微かに顔も赤く上気しているようだった。
「パ、パチュリーさん!? 大丈夫ですか? えっと、お水!」
小悪魔はアタフタしながら机に置いておいた水を取り、再びパチュリーが苦しそうにしている方に向き直ったのだが、そこにはパチュリーがいなかったのである。
「パチュリー…さん?」
その代わりそこにいたのは
「なんだかすごくくるしかったわ、ん? どうしたの、こあくま?」
パチュリーをそのまま子供にしたかの様な幼女がそこにいたのであった。


 「大体、何で私が行かなきゃならないのよ。たまたま寄っただけだっていうのに」
アリスは文句を言いながらも、手に持った紙を頼りに目的の物を探している。
 たまたま紅魔館に用事があり、立ち寄っていたアリスは小悪魔に連れられ幼女となったパチュリーと対面させられた。最初こそ文句を言っていたパチュリーだが、事の深刻さを感じ、アリスに永遠亭へ行く事を頼んだのである。
しかし、自分に行く理由は無いと言ったアリスだが、パチュリーに「わたしのまほう、おしえないわよ!」と言うものだから仕方ないと、しぶしぶ永遠亭に向かったのであった。
「けど、師匠も悪ふざけが過ぎますね」
 アリスが永遠亭で永林に事情を説明すると、それは自分のせいだとアッサリ認めたのである。すると、元に戻す薬を作る為にはとあるキノコが必要で、それを優曇華院と共に探しに行かせ、今に至るのである。
「貴女の師匠がそんな人だったなんてねー、戦った時はそんな感じ微塵も無かったけど」
「本来ああいう人で、戦う時とかは月での戦いを思い出して、過激になるそうです」
苦笑いを浮かべながら優曇華院が答える。しかしこの二人、一見仲良さそうに見えるが、とある共通点によって実際はそうではないのである。
「ヘンな人ね?」
「貴女も十分ヘンですよ?」
二人共、親しい人以外には高圧的で、冷たく接してしまうのである。
「まあ良いわ、所で目的のキノコ――まーらたけ? そう言ったかしら。ヘンな名前のキノコね? 形は松茸とかに似ているけど、私は見た事無いわ」
「魔羅茸ですよ。というか意味知らないで言っています?」
「意味って?」
一体何の事を言っているのかサッパリ分からないアリスは、首を傾げながら答えた。反対に優曇華院は、顔を赤らめながら、アリスを不憫そうに見つめていた。
「な、なによ?」
「い、いえ。何でもないです」
二人の間に漂う異様な空気、これも全てあのキノコが原因と言っても過言ではないだろう。


 キノコの森を歩き続けて十分位経った頃、二人の前方からとある少女がやって来る。彼女は此処でよく採集や、密かな鍛錬をしている――霧雨魔理沙である。
「お? 珍しい取り合わせだな。ここで何をやっているんだ?」
「魔理沙じゃない、アンタこそ何やっているの?」
「なに、今日の夕飯を探しているんだぜ」
そう言う魔理沙の背負う風呂敷にはいくつかのキノコと山菜が詰められており、もう帰る所の様だった。
「ちょうど良いです魔理沙さん、魔羅茸が何処に生息しているか知っていますか?」
「ああ、それならこの先に小さな水場があるんだが、その辺りに生えている筈だぜ? でも何でそれが必要なんだ?」
 アリスは事の顛末を魔理沙に簡潔に述べていった。それを聞くと魔理沙はクスクスと笑い始め、まるでワライダケを食べたかの様に笑いが止まらなくなってしまったのである。
「何がそんなにおかしいのよ?」
「いや、だってな? アハハ! まさかアリスがパチェを助ける様な行動をするとは、天地がひっくり返ってもあり得ないと思っていたからな、」
何やら仲の良い二人を見て、優曇華院は腕を組みながら溜息をついていた。早くキノコを採って帰りたいものだ、と考えているのだろう、足を先程から地面に何度も打ちつけている。
「話は済みましたか?」
「え? ああ、そうね。それじゃあ魔理沙、私達は行くから」
「お? ああ、パチェによろしく言っておいてくれ、ふふ」
魔理沙は未だに笑いながら箒に跨り、その場を去っていった。
彼女を見送った二人は、言われた通りに進んでいく。すると、視界に小さな水場が現れたのである、それはその場に足を踏み入れた瞬間に現れ、先程までは遠目には確認出来なかったのである。
「不思議な場所ね、じゃあ探しましょうか」
「ええ、私はあっちを観見て来ますので、アリスさんは反対側をお願いします。こういう丸い形をしていますから、それでは」
有無を言わさず優曇華院は水場を沿って歩いて行った。そんな態度に少しイライラしながらも、アリスは反対方向に歩いていったのである。


それから数分後、二人は半周し集まったのだが。
「そっちは見つかったの?」
「いえ、という事はアリスさんも?」
「ええ、あんな形のキノコなんて無かったわ、大体何で先端に切り込みが元々入っているのかしら? 不思議だわ」
うーん、と頭をひねりながら考えるアリスを横目に、本当に知らないのか…と優曇華院は呆れていた。しかし、こうなると手の打ちようがなく、二人はどうしようかと迷っていた。
「どうする? 一旦戻る?」
「そうですね…それでしたら私は、師匠の元に一度行ってみます」
言うが早く、優曇華院は飛翔し永遠亭に向かった。残されたアリスもやれやれといった感じで、紅魔館に戻ろうとしたのだが、その時! 水場の方から、何やら音が聞こえてきたのである。
「ん、何かしら?」
警戒しながら水場に視線をやるアリス、どうやら水場がどんどん干上がっている様で、その地面が姿を現した。そこには一つぽつんと異様なキノコが生えていた。
「もしかして!」
キノコに走り寄るアリス、そこには写真の通り確かに異様な形をし、先端には切り込みがあり、何故かそこから濁った白い液体が出ていた。
「これね! えーっと、採集方法は…そのまま抜いて良いのね」
根元から掴み、そのまま引っ張るが中々抜けないその茸。アリスは右手だけではなく左手でも掴み引っ張ろうとするが。
「なんかこれすごくヌルヌルする…それに熱いし、なんか脈打ってない? これ」
不審に思いながらも一生懸命そのキノコを抜こうとするアリス、すると今度は段々と大きくなっているではないか! 先ほどよりも膨張し、幾分か硬くなったようである。
「な、なによこれ? もう、早く抜かないと!」
アリスはより一層力を込め、キノコを引き抜こうとした。すると、それは一度震えたかと思うと、アッサリと抜けアリスは尻もちを付いてしまう。
「わ! もう何よ…って! え!?」
アリスは自分の姿を見て驚きを隠せなかった。何と、そのキノコの先端から濁った白い液体が思いっきりアリスにかけられていたのである。
顔、手、服、脚と至る所にその液体が付いてしまった。しかも何だかネバネ、トロトロしており、その臭いは栗の花みたいである。
「ふぇー、何よこれ…もう、水場は無くなったし、仕方ない軽く拭いて、紅魔館に行くしかないわね」
ポケットに入れておいたティッシュで体中をふき取り、綺麗にはなったものの未だ臭いは少し残っており、アリスは嫌悪感を抱きながら、紅魔館に向かったのである。


 紅魔館に着くと、そこには既に優曇華院の師匠が待っていたが、優曇華院の姿は見受けられなかった。
「あら? あの兎は?」
「うどんげの事かしら? あの子なら、少し別の用事を頼んだから来ないわ、それよりキノコをくれるかしら」
適当な袋に入れてきた茸を渡し、アリスは先程の事を思い出しながら尋ねた。
「そのキノコ、採るのは大変だし、とった瞬間液体は飛ばすしで大変だったわ」
「あらそう、でも貴女もいずれは本物を経験するかもね? とにかく、その臭いは落とした方が良いわよ」
「何の事よ、はあ…」
何を言っているのか分からないアリスに対して、その師匠はクスクスと笑っていた。とにかく、役目を果たしたアリスは臭いを取り除きたいので、メイドである咲夜を探し、シャワーと適当に服を貸して貰ったのであった(といってもメイド服だが)。

 綺麗サッパリしたアリスはそのまま大図書館に向かった、そこには既に医者とパチュリー、それと何故か魔理沙がいたのである。
「なんでアンタがいるの?」
「なに、幼女のパチェがどんな感じなのか気になって、見に来たんだぜ。というか、なんでメイド服なんだ?」
「色々あるのよ、服が汚れてあのメイド長の服しかなくて…」
「ちょっと! なんではなしたのよ! ありすのばか!」
ぶかぶかの服を着て、袖をバタバタとし怒りを表すパチュリーだが、端から見れば幼女が駄々をこねているようにしか見えないのであった。
「それじゃあ、これを飲んでくれるかしら?」
医者に手渡された薬を持ち、ゴクリと喉を鳴らすパチュリー。
「これは…だいじょうぶなの?」
「ええ、平気ですよ」
「早く飲みなさいよ、苦労したんだからね? それ見つけるの」
「わ、わかったわよ!」
意を決しパチュリーはゴクリと勢いよくその薬を飲みほした。すると、その身体は段々と大きくなっていき、ついにはいつものパチュリーの姿に戻ったのである。
「ふう…やっと戻れたわね」
「何だか残念な気もするぜ」
椅子に座っていた魔理沙が残念そうな顔をする。
「え? それなら…もう少しあのままでも良かったかなー」
「冗談じゃないわ! 私にアンタの魔法を教える約束でしょ!」
「なんだ、そう言う事か。どおりでアリスが助ける訳だぜ」
やれやれといった感じで、魔理沙は口論している二人を見る。何と言うか、喧嘩するほど仲が良いという言葉は、この二人の為にある言葉の様である。
「あー、何か小腹がすいたぜ…お? このクッキー美味そうだな? いただきまーす」
魔理沙が口に入れたのは件のクッキー。それを見たパチュリーは魔理沙を止めようとするが、時すでに遅し、魔理沙はすぐさま幼女へと変貌してしまったのでる。
「おー、ふたりともおおきいぜ」
「ま、魔理沙?」
「何で食べるのよ!」

 一難去ってまた一難とは、このことであろう。

「それじゃあ、またあのキノコを探してきてもらえるかしら?」
「今度はパチュリーが行きなさいよ! 私は魔理沙を見ているから!」
「貴女は場所を知っているのでしょう? だったら貴女が行きなさいよ」
「そう言って、この可愛い魔理沙といたいだけなんでしょ!」
「な!? それは貴女もそうでしょう!」
幼女となった魔理沙を挟んで口論を続ける恋敵二人、医者は呆れた顔で見つめていた。
「なんでもいいから、もどしてほしいぜ」

この後、結局優曇華院が取りに行き魔理沙は元に戻るのだが、それはまた別の話である。
どうも始めましての方は初めまして
知ってる人はこんにちは、天狗です。
さて、今回は学は友、恋は敵の続編を投稿しました。

実はこの作品の優曇華院の立ち位置は、本当ならにとりの予定でした。
というのも、やはり魔理沙によく関係のあるキャラでいこうかと思ったのです。

しかし…
私があまりにとりの口調や性格が分からなかったので
優曇華院にしました。

この作品を読んで、少しでもクスリとして頂けたら
それは私の力になります。

それでは、また誰でも受け入れる幻想郷で御逢いしましょう。
天狗
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2012/03/13 03:47:39
更新日時:
2012/03/13 12:47:39
評価:
2/2
POINT:
200
Rate:
15.00
分類
アリス
パチュリー
魔理沙
優曇華院
キノコ
短編続き物
非エロ?
簡易匿名評価
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POINT
1. 100 名無し ■2012/03/14 13:48:40
何かほのぼのとしててよかった
魔羅茸の意味がわからない純粋なアリス可愛い
2. 100 名無し ■2012/03/16 20:31:28
小さくなった魔理沙をどうお世話したのか? そこが問題だ。
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