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『ようむちゃんともみじちゃんがキャッハウフフするだけのss』 作者: box

ようむちゃんともみじちゃんがキャッハウフフするだけのss

作品集: 4 投稿日時: 2012/07/14 16:46:35 更新日時: 2012/07/15 01:46:35 評価: 9/10 POINT: 890 Rate: 16.64
妖怪の山に広がる森々、その深く、また深くの木々の無限回廊。
そこは即ち、体格こそ小さいものの野生をしぶとく生きる動物から自らの力だけを頼りにする無頼妖怪まで、ありとあらゆる生命の宝庫。
あるいは、生まれては死んでく、輪廻の輪のひとかけら。
森そのものが生きているとは良く言ったものであるが、この森に関しては断じて比喩の程度に収まらない。

しかし
たった今、森は死んでいた。

「「・・・・・・・・、」」

あらゆる生命がその場を退き、静けさの海と化した森。
時折の一陣の風だけが木の葉をランデブーさせて、森の存在を証明する。

一体この森に、何が?
ホロコーストの後にある醜悪な肉塊は何処にも見当たりはしないし、有機生命体に害を与える物が無いことは生い茂る草花が証明してる。

されど
仮に当事者がいたとするならば、考えなくとも気づくことが出来た。

低い不協和音を奏でる、殺気と殺気のデュエット。
おおよそ知能など持ち合わせぬ羽虫さえもが、忌み嫌い逃げ出すサイレン。
その渦中にいる、もとい演奏者の二人は、お互いに得物を構えて微動だにしてなかった。
半人半霊の庭師、魂魄妖夢。
下っ端哨戒天狗、犬走椛。
妖怪の鍛えた二振りの刀、楼観剣と白楼剣。
哨戒天狗代々に伝わる技術と機能美の結晶、一振りの刀と円形の盾。
互いの銀に輝く牙が、不協和音をさらにエコーさせる。
が、その演奏者たちは、僅かにも動こうとはしなかった。

「「・・・・・・・っ」」

一瞬、されど永遠。
永遠、しかし一瞬。
時間感覚さえ麻痺するほどの時間が、静寂中を漂う。

空間、時、拮抗、境界。
全てが曖昧に溶け合った時、臨界点は来た。

「はああああああああああッ!」

先に動いたのは、妖夢。
右手に携えた長い刀、楼観剣を、左から右へ振り抜いた。
鋭さに、音が悲鳴を上げる。
が、それに続くのは、金属同士の激突音。
椛が上げた刀が火花を散らし、楼観剣の一撃を難なく受け止めた。
しかし、その程度では妖夢の勢いは殺せない。
妖夢はそのまま止まること無く、椛の懐へと潜り込んでく。
左手から突き出されるのは、速さに優れた短刀、白楼剣。

「甘いッ!」

椛は間一髪、白楼剣を受け止める。
左手に構えた円形の盾でもって白楼剣を受け流し、外側に弾く。
刃筋を立てさせぬ円形を用いることで、刃を逸らし隙を生ませたのだ。
無論、その隙を逃すほど椛は甘くは無い。
そのまま盾でもって、妖夢の肢体に左正拳を打ち込む。
妖夢はそれにあわせて両手を中央に寄せたが、反撃を加えるほどの速さの余裕は無い。
細い両腕の体組織が、衝撃をくらい軋む。

「迂闊な奴めッ!」

だが、椛にとってはガードさせることそのものが狙いだったのだ。
妖夢がガードに成功した頃には、椛の重心は既に第二撃のために動いていた。
椛は刀を一瞬で逆手に持ち替えると、地面に突き刺す。
そして妖夢への正拳で得た反動を起点とし、刀を支えに回し蹴りを放つ。
無論、妖夢はそのままの体制でこれをガード。
その体は大きく吹き飛び、明らかに地を転がる。
が、これこそが妖夢の狙いであった。
連続攻撃による圧倒を恐れ、わざと吹き飛ばされて距離を取ったのだ。
妖夢は地を転がるも、すぐさま受け身を取り構えた。

「椛さん、何故戦うんです!あなたは、この世界そのものを滅ぼそうと言うのか!」
「人類は、妖怪は、世界に贖罪しなくてはならないッ!」

椛は言葉を切るなり、刀を振り上げ妖夢へ向かう。
妖夢は小さく舌打ちをすると、楼観剣を横一閃に薙いだ。

山々に連なる、木々の一つへ。

「!!」

僅かに斜めに切られたおおよそ六米はある大木は、一刀両断されて大地との繋がりを失う。
そして重力の魔の手に絡め捕られた大木は、正確に椛へと落下を始めた。

「小賢しい真似をッ!」

後退しては間に合わない。
進め!
椛は自らに向かって叫ぶと、振り上げていた刀を、渾身の力を込めて振り抜く。
横に薙がれた刀は大木と激突し、その運動エネルギーは大木の軌道をねじ曲げた。
しかし、
椛が隙を逃さぬのなら、妖夢もまた隙を逃さない。

「そこだっ!」

構え直された楼観剣の白刃が、刀を振り抜ききった椛に襲いかかる。
無論、刀を再び上げていては間に合わない。
椛は瞬時にそれを理解すると、刀から手を離した。
そして軽くなった体で、無理やり体勢を変え盾を突き出す。
楼観剣の刃が盾を滑り、空を切った。

が、妖夢の真骨頂は、二刀流による連撃に次ぐ連撃。
妖夢の白楼剣は、無防備な盾を持つ二の腕を貫いてた。
くぐもった音が響き、盾が地面へ落ちる。と同時に、椛の物である深紅の液体が、焦げ茶の大地を暖かく染めた。

「まだだ、まだ終わらんよ!」

椛は吼えると、そのまま密着状態の妖夢の肩を掴む。
そして繰り出すのは、正確かつ鋭い直線蹴り。
鳩尾を確実に捉えたそれは、妖夢に受け身を取らせる暇すら与えず、地面とのキッスを強いた。

「あなたが、人類と妖怪に贖罪を強いると言うのか!それはつまらないエゴですよ!」

片膝をつきつつ、妖夢は椛に言う。
が、

「エゴだと?そのつまらないエゴとやらが、森を犯し、川を陵辱し、空を汚した!」

妖夢の懸命な叫びさえも、椛は消し飛ばす。

「故に、エゴにはエゴで持って返す!私、犬走椛が、粛清しようと言うのだ!」

椛は、再び刀を拾い上げる。
そして椛は、先ほど取り落とした盾を蹴り飛ばした。

「!?」

比較的小型の盾は、完全に妖夢の虚をつき、彼女の顔面を仰け反らせ視界を奪う。
瞬時に椛は刀を左に振り上げると、妖夢目掛けて直進する。
無論、視界を奪われた妖夢には、ガードのしようが無い。

「勝ったッ、死ねぃッ!」

左から右へ振り抜かれた一撃は―――――――



―――――妖夢の、右腕だけを叩き切った。

「!!」

驚愕の色を浮かべたのは、圧倒的に椛。
胴を狙った完全な一撃だったが、腕一本を切ったことで威力は激減。
肝心の臓器には、殆ど刃は達していない。
必殺をなし得なかった故の、明らかな動揺。

「あなたを倒せるなら、」

妖夢に必殺を成させるには、十分であった。

「腕の一つや二つ、喜んで差し出す!」

生き残った方の腕が、機動力に富む白楼剣を持っていたことが、妖夢に味方した。
瞬時に白刃が煌めき、椛の右胸を貫く。
肺を貫かれた衝撃から、椛の口から鮮血がほとばしった。

しかし

生き残った方の腕が、左腕であったことが、今度は災いした。
致命傷ではあるものの、心臓を貫いて即死させるには至らなかったのだ。

「おおおおおおおぉぉぉーーーっっ!!」

椛は妖夢に白楼剣を抜かせんと肩を振り回し、妖夢を突き飛ばす。

「そこまでして守る物とは、」

すかさずよろめいた妖夢に接近すると、椛は妖夢を抱きつくように締め上げる。

そして、

「一体何だッ、妖夢ぅぅぅーーっっ!」

白狼天狗特有の牙で持って、妖夢の首筋を噛み砕いた。

「あ゛あ゛あ゛あああああァァァッ!!」

悲鳴。
絶叫。
それらの二文字以外に表しようのない音が、森をつんざき響く。が、生命への致命的な危機は、妖夢の闘争本能を劇的に爆発させる。

「う、ああああああ!!」

妖夢は全身を突き刺す痛みに半狂乱になりつつも、左腕を振り上げる。
そして、椛の顔面を鷲掴みにすると、そのまま椛の左眼を抉った。

「〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」

声にならない悲鳴を上げつつ、椛はよろよろと後退する。
再び取られる距離。
が、両者共に満身創痍であった。

「妖夢・・・」

唸るように、椛は口を開く。

「有史以来、生命はありとあらゆるイデオロギーを振り回して生きてきた!だがそこに種類はあれど、そこにあるのはただ身勝手な自己欲求に従うものだけでしかない!」
「でも、人類は、妖怪は、変わることが出来るでしょう!」

互いに血を吐きながらの、悲しい論争。
それはもはや、理性と理性の戦いではない。
皮肉なことに形はどうあれ、本能と本能の、肉と肉のぶつかり合いと何も変わりはしなかった。

「最早次は無いのだよ!生命が変わるのより先に、世界の限界が訪れる!」
「・・・・・!」
「互いの仲間ですら憎み、妬み、殺すような輩共に、進化の道は残されて無いのだ、妖夢ッ!」
「・・・、・・、・・・」

だが、椛の言うことは正論ではあった。
少なくとも、妖夢にとっては。
戦い、闘い、殺し、また殺すだけの人生。
妖夢の先にもまた、道はない。



「・・・・それでも」

血塗られた、クリアーレッドの記憶のフィルム。

「・・・・それでも・・・」

その中に、あったのだ。
たった一つだけ。
鮮やかに彩られた、記憶が。

「それでも・・・!」

西行寺幽々子。
妖夢が命をかけても守った、命、存在、笑顔。
彼女だけは、モノトーンの世界の中で、確かに存在していた。

「それでも、守りたい人がいるんだあああああーーーッッ!!」

空を裂く、絶叫。
その後に、妖夢も椛も走り出していた。
確かに、足取りは遅い。
傷を受けた体は、最早長くは無い。

だが、

そのお互いの拳だけは、どこまでも強く、堅かった。



「「おおおおおおおおーーーーッッ!!」」










「ようむちゃん、もみじちゃん、おやつの時間よー」
「「はーい!」」

保育園の先生に呼ばれた妖夢ちゃんと椛ちゃんは、握られた拳をすぐ解くと、ごっこ遊びを止めて園舎の方へ走っていった。



「ようむちゃん、さっきの「互いにイデオロギーと誇りをかけて血を血で洗う戦いを繰り広げながら信念をぶつけ合うけど結局はエゴとエゴのぶつかり合いでしかなくなる世界を賭けた戦士達の戦いの叙情詩」ごっこは楽しかったね!」
「じゃあもみじちゃん、これ食べ終わったら、「愛故に戦ってきた男がその愛故に全世界を敵に回して戦ってそのさなかで昔の相棒や可愛かった後輩や信頼を寄せていた師匠を次々と倒して激しい後悔に苛まれるも進むしか道は無くついに全世界を壊滅させたと思ったら愛してた女が実は黒幕で男は血の涙を流しながらそいつを倒して次回作でラスボスになる」ごっこやろ!」
「うん!」


今日も、幻想郷は平和であった。




end
「さっきのも楽しかったね、もみじちゃん!」
「じゃあようむちゃん、次は、「勉強もスポーツも仕事も何も出来ない癖に人一倍見栄っ張りでプライドが強くてなのに努力するような根気も無くて自己満足するために優しい人ぶって結局偽善的であることに気付いてまた自己嫌悪に陥る現実に現実逃避するために必死になって糞みたいなSSを書くドジで短編しか書けないそして調子に乗ってイベントの主催とかやってずっこけまくったマジキチ作家とそれを心配しつつも頼まれると断れず素晴らしいアイデアをアホな作家に浪費される気苦労の多い相棒」ごっこしよ!」
「えーやだよ、もみじちゃん」
「わたしもだよ、ようむちゃん・・・」



何故こんなssを書いてしまったんだ・・疲れてるのかな(確信犯)
box
http://boxgarden108.blog.fc2.com/
作品情報
作品集:
4
投稿日時:
2012/07/14 16:46:35
更新日時:
2012/07/15 01:46:35
評価:
9/10
POINT:
890
Rate:
16.64
分類
ようむちゃん
もみじちゃん
キャッハウフフ
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投稿パスワード
POINT
0. 30点 匿名評価
1. 100 ギョウヘルインニ ■2012/07/15 02:12:27
「戦いたく無かったんだ!」

懐かしいですね。あのころは良かった。
2. 100 ぽちぽちぽーち ■2012/07/15 02:31:32
意味のない戦いをしていると思ったら成る程、ごっこ遊びでしたか。
いやはや、最近の園児はダイナミックでよろしいことです( ̄▽ ̄)
3. 100 矩類崎 ■2012/07/15 03:31:56
キャッハウフフするだけなのに切なさと悦楽が波状に押し寄せて来ます
5. 100 名無し ■2012/07/15 05:00:46
将来有望な二人だな!
6. 100 NutsIn先任曹長 ■2012/07/15 09:53:25
エゴも思想も理解していなかった。
されど、誰よりもピュアな気持ちで厨二台詞を叫ぶことができた。

あの輝かしい少年時代には、もう、戻れない……。
7. 100 糞団子 ■2012/07/16 07:35:20
何かうるっときた。
私も老けたなぁ。
8. 80 kyoune ■2012/07/16 14:05:58
若いっていいなぁ……。
9. 80 名無し ■2012/08/27 21:31:17
もうちょっと子供らしい遊びをしなさい、二人とも。
10. 100 レベル0 ■2014/07/14 09:56:38
どこがキャッハウフフですか……。
これじゃあガンダム劇場版じゃあないですかッ!!
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