Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/imta/req/util.php on line 270
『月を刻む時計』 作者: 零雨
紅魔館の一室。そこでは、優雅なディナータイムが行われている。
そんな中、十六夜咲夜は孤独に戦っていた。
彼女の傍には館の主のレミリア・スカーレットとその友であるパチュリー・ノーレッジと図書館に住む小悪魔、門番の美鈴がいる。
しかし、咲夜は一人孤独に戦っていたのだ。
(今回のはかなりキツいわね……)
彼女が戦っているもの、それは、アレである。
女性なら誰でも経験するであろうソレと咲夜は戦っていた。
しかし、咲夜は戦っていることを周りに悟られないように必死であった。
何故ならば、十六夜咲夜は紅魔館のメイド長で、完全で瀟洒な存在でなければいけないからだ。
お嬢様の前で、無様な姿は見せるわけにはいかない。
そう考えた咲夜は、必死に痛みを堪えながら給仕をする。
しかし、咲夜が想像していたよりもレミリアの観察眼は鋭かった。
「咲夜、あなた少し顔色が悪いわよ?大丈夫?」
「……ええ、問題ありません。いつも通り健康体ですわ」
「……本当にそうかしら?私に嘘をついたら承知しないわよ?」
試すような目でレミリアが咲夜の顔を覗き込む。
威圧するような眼光に、僅かにたじろぐ咲夜。
(ここで嘘を貫き通すのは無謀ね……。お嬢様に心配をかけたくないのだけれど、仕方ないわ……。でも、今は食事中だし、これを言うのはちょっと……)
それでも、レミリアに嘘を突き通すわけにも行かず、ぼかした表現で伝えることを決める咲夜。
一瞬だけ苦虫を噛み潰したような表情をして、レミリアの目を見据えて普段の咲夜らしくない、しどろもどろに事実を告げる。
「実は……。その、非常に申し上げにくいのですが、アレでして……」
「アレ?アレじゃ分からないわよ。言いにくいことなの?」
「ええと……。……そう、戦いです!私は今戦っているのです、お嬢様……!」
「えぇ?何と戦ってるのよ?眠気?」
「それは…月の使者です!昨晩から戦い続けてるんです……」
咲夜がそう告げた瞬間、部屋の中の空気が凍りついた。
レミリアだけがその空気を理解できていないようで、驚いた表情で咲夜を見つめ返していた。
-レミリア視点-
永遠とも一瞬とも取れる時間が流れた。
凍りついた場の空気を打ち破ったのは、未だに状況が飲み込めていないレミリアだった。
(月の使者ねえ……。咲夜は嘘をついていないだろうけど、月の使者がなぜ咲夜を……?)
「えっと、咲夜?傍からは戦ってるようには見えないんだけど、今も戦ってるのよね?」
「はい。今この瞬間も……」
「そ、そう……。精神攻撃でも受けてるの……?」
「確かに精神的にもキますが、肉体的なダメージのほうが大きいですわ……」
最初は今の状況を告げることを渋っていた咲夜も、言葉にしたことである種の安心感を得たようで、安堵の表情を浮かべている。
その咲夜とは対照的に、他の面々の表情は硬いままだ。
「肉体的にも……!?大丈夫なの……?」
「ええ、まあ。いつもよりは重いですけど、慣れてますから」
(慣れてる!?今までにも月の使者と戦ってたの!?いつ?一体何処で!?もしかして、咲夜は月の要人なの!?)
かなり食い違いがあるものの、各々がそれに気が付かないままに会話が進んでいく。
レミリアが想像に頭を抱え始めたころ、パチュリーが横から口を出す。
「咲夜、私が前にあげた痛み止めはまだ残ってるの?」
「はい。まだ、半分ほど」
「そう、ならいいわ」
それだけ言うと、パチュリーはまた食事中なのにもかかわらず本を読み出した。
一瞬だけ本から顔を上げレミリアを見てニヤつくパチュリー。
(パチェ……!私は知らなかったのにパチェは知ってたの……?もしかして私は咲夜に信用されてない……?それに、月の使者と戦ってるならパチェの薬じゃなくて永遠亭の薬師に薬を作らせたらいいんじゃ……?永遠亭の奴らは咲夜が月の使者と戦ってることを知ってるの?それとも、これは全てあいつらが仕組んだ罠?)
想像がどんどん膨らんでいくレミリア。とりあえず、頭に浮かんだ一番重要であろう疑問を咲夜に問いかける。
「それで、永遠亭には行ったのかしら?月の使者と戦ってるなら永遠亭に行ったほうがいいんじゃない?」
「パチュリー様から貰った薬があるので、永遠亭には行ってませんわ。それに、あの医者に借りを作るのは少し癪ですし」
(薬があれば行かなくていいの!?そんな程度のものなのかしら……?いや、でも、結構前から戦ってるみたいだし、これはこれでうまく回ってるのかしら……)
話を聞けば聞くほど増える謎。レミリアの頭は既にパンク寸前である。
そんなレミリアと咲夜のやり取りを見て、小悪魔と美鈴もようやく違和感に気が付いたのか、レミリアに見られないよう下を向いてニヤニヤしている。
そうこうしている間にも、食事は進み、咲夜が食後のデザートを持ってきた。
咲夜が丹誠を込めて作ったプリンを食べているうちに、先程までの疑問など割りとどうでもよくなったレミリア。
このままいつも通り、食事は平和に終わるかと思ったのだが、小悪魔がそこに爆弾を放り込む。
「そういえば、レミリアお嬢様は戦ったことあるんですか?」
「え、月の使者と?」
「はい。私はありますよ。当然パチュリー様もありますけど、レミリアお嬢様はどうなんです?」
悪魔らしく嫌らしい笑みを浮かべながら質問する小悪魔。
その隣ではパチュリーが顔を本で隠しながら、堪えきれずに肩を震わせている。
(ちょっと何なの!?私以外の全員が戦ったことある月の使者って一体何よ!?もしかして、私だけハブられてるの!?館の主人なのに?ここで素直に答えてもいいものなのかしら?もしかして、物凄く馬鹿にされたりするんじゃ……?主なのに……)
ぐぬぬ、と小さく呻いてテーブルに突っ伏すレミリア。
何かを答える以前に、この時点でもう十分馬鹿にされる状況だ。
魔理沙あたりがこの一連の会話を聞いていたら腹を抱えて大笑いしているだろう。
しばらくそのままの体勢でいたレミリアだったが、何かを思い出したようにバッと起き上がり勢いよく言い放った。
「私も戦ったことあるわよ!月の使者と!使者どころかボスと戦ったことがね!」
自信満々にそう言ったレミリアの表情は何かを成し遂げたかのように輝いていた。
ついに耐え切れなくなったのか、パチュリーが吹き出し、それにつられるように小悪魔や美鈴も笑い出す。
「ちょっと何よ!私が何かおかしいことでも言った!?」
パチュリーに対し激昂して問い詰めるレミリア。
そんな状態のレミリアの手を取る咲夜。パチュリー達から少し離れたところで、咲夜がレミリアに耳打ちをする。
咲夜に真実を教えられて、レミリアの顔が羞恥でどんどん赤くなっていく。
自分の席に戻って来るころには、小悪魔の髪の毛のように真っ赤になっていた。
「今日のことを口外したら承知しないわよ……」
ぷるぷると羽を羞恥と怒りで震わせながら、そう呟いたレミリアの姿は、見る人にとってはとてもそそる姿であったそうな……。
レミ「フラン、あなたは月の使者と戦ったことはあるかしら?」
フラ「んー、300年前くらいに戦いが終わりを迎えたかな」
レミ「」
零雨
- 作品情報
- 作品集:
- 4
- 投稿日時:
- 2012/07/28 06:21:03
- 更新日時:
- 2012/07/28 15:21:03
- 評価:
- 11/14
- POINT:
- 1190
- Rate:
- 16.20
- 分類
- レミリア
- 咲夜
- 下ネタ
まだ来ていないという可能性すらない・・・だと・・・俺はこの先なにを糧に生きていけば・・・
咲夜さん、戦いに赴く前にお嬢様からお情けを頂戴したらどうですかね。
きっとあらゆる意味で瀟洒な勝者になれますよ。
「姉だけど妹が先に閉経した」ってラノベがそのうち出そう
同じ姉妹でなぜこうも差がついた
ああもう、どーしてレミリアってこういうのがこんなにも似合うんだろうw
必死に笑いを堪えるパチュリー達がまたいい味出してます
勘違いでまわりから失笑を買うのも、妹に同じ恥をかかせようとして返り討ちにあうのも。
アン○ャッ○ュ思い出すなぁ。満点!
>>300年前くらいに戦いが終わりを迎えたかな
なん…だと… 姉妹なのにまだ来てないの意味が逆…!
ほほえましい紅魔館だ
ねぇ!?白くない!?