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『情操教育って何?』 作者: ギョウヘルインニ
妖夢が最近九官鳥を飼い始めました。ある日、幽々子がたまには外食がしたいというので、ペットショップに行って食事をすることになりました。二人の食事が終了したときに最後に売れ残っているのを妖夢が見つけました。
『アバズレ! アバズレ! アバズレイム!』
九官鳥はすばらしい鳴き声でしゃべりました。しゃべるたびに、ゲギャゲヒャと上品に羽を震わせて、ケージの底にたまった、キビのカスを撒き散らします。
妖夢はアバズレではありませんでしたが、霊夢はアバズレでした。だから、妖夢はとても、この九官鳥のキューちゃんを気に入ったのです。もう、前述のように名前まで決めてしまっています。
幽々子の非常食という、残酷で悲しい結末しか予想できない悲しいお話ですが、作者が適当に思いつきで書いた作品なのでそうなるとは限りません。
この後、ペットショップの店員まで食べた時にようやく幽々子はお腹いっぱいになりました。
お腹いっぱいになって満足している幽々子に、思い切って妖夢は鳥を買いたいと懇願することにしました。
「幽々子様、このキューちゃん買っても良いですか?」
「ちゃんと、買うことができるなら買ってもいいよ」
そうです。問題は二人が無一文だったということです。しかも、妖夢はお金の使い方を幽々子から習ったのは3年前のことなのでちゃんと覚えているか不安なのです。
「できます。大丈夫です。まずは、店員に刃物を向ければ良いんですよね?」
「そうよ。ちゃんと、あなたにできるかしら?」
妖夢は店員をさがしました。そして、あることを思い出したのです。店員は幽々子のお腹の中でした。
もう、駄目でした。妖夢は欲しかった九官鳥が買えないということに気付いてしまいました。気付いてから、とても悲しくなりました。溢れそうになる怒りの感情を必死に抑えます。ここに居る全てを壊したい衝動に駆られますが何とかこらえます。妖夢強い子だから我慢できるのです。
「幽々子さまぁ、刃物を向ける店員がいませんよぉ」
「馬鹿な子ね、ちゃんすよこれは」
妖夢は考えました。いままで、幽々子から教わったことを総動員して考えます。
知恵熱が出てきました。半霊に取り付けてある放熱ファンが低いうなり声を上げて回り始めます。
性能限界を妖夢が感じ始めたときに、妖夢はあるひとつのことに気付きました。
「買掛で買っちゃえばいいんですね!」
「え?」
いがいな、答えでした。ここは、盗んじゃえば良いとか、いかにも、模範的な回答が返ってくると思っていた幽々子は少し驚き、また、少し感心しました。
そして、感心したので、妖夢に九官鳥を普通に略奪しちゃえと命じました。
略奪と破壊をしてもう二度と商売ができないようにして、二人は、ペットショップをあとにしました。
「……ちゃんと、世話するのよ」
「はい、幽々子様!」
実をいうと、小骨の多い鳥を幽々子は嫌いです。妖夢が責任もって育てないと、ドラム缶に詰めてコンクリートを流し込んでしまいます。
そんな、帰りの道中でした。九官鳥は、相変わらずアバズレ、アバズレと鳴いていました。
それから、九官鳥は妖夢にとって一番の友達になりました。何処にいくにも、首に縄つけて引きずりまわすのです。玩具じゃありませんよ。
そんな、ある日のことでした。
「どうしたの? なんでしゃべらないの?」
「…………」
九官鳥はしゃべらなくなりました。原因は、脱水症状でした。餌を毎日たくさん与えられていましたが、妖夢は生き物は水を飲むということを幽々子から教わって居なかったのです。
「ほら! 阿婆擦れ霊夢!」
「…………」
ちょっと、イライラして羽を何本かむしりました。動物虐待です。でも、幽々子は嫌なことがあったらしまうのではなく全て吐き出しなさいと教えていたので、悪いことだとは思っていないのです。
「あら、この鳥しゃべらなくなったの?」
「違います! ちょっと、腸とかが捻じれて苦しんでるだけです」
幽々子に見つかってしまいました。まるで、禁じられた遊びをしているところを見つかり焦ったような表情に妖夢はなります。
ちゃんと、育てることができなかった。これだと、きっと幽々子に折檻されると思ったのです。きっと、耳の穴に溶けたプラスチックを入れられるのです。
「腸がねじれたのね。そう、じゃあその鳥の治療を牢屋で行いなさい。治療できなければ、ずっと、あなたは牢屋のなかよ」
「そんなあ」
妖夢は何回か過去に牢屋に閉じ込められました。幽々子とお約束したことを守れないとこうなってしまうのです。
妖夢は牢屋に閉じ込められました。むしろ、逆らわずに自分から入ったのです。
この牢屋にあるのは空気だけです。白玉楼の方針は捕虜を取らないこと、罪人はその場で切り捨てるというのが基本でした。ですから、基本的に牢屋には設備投資していないのです。
そんな中で、妖夢は必死に外に出るために、九官鳥を看病しました。まあ、実際は話しかけたり、殴ったりするだけなのです。
「お腹空きました」
相変わらず、鳴かない九官鳥に興味が薄れてきたときに妖夢は気付いたのです。牢屋に入れられてかなり長い時間がたっていたのです。
多分、4時間位なのですが、妖夢には4日くらいに感じられたのです。
飢えた妖夢は剥がれ落ちた壁を食べました。土壁で長いこと空気に触れていないそれは、やっぱり、土の味でした。
当たり前ですが、妖夢は土を消化する器官を持っていません。
土壁を妖夢は吐き出しました。
長い長い時間がゆっくりゆっくり流れていきます。
「……喉が、渇きました」
「…………」
既に九官鳥は息絶えています。それでも、何か喋ってくれると妖夢は思いました。生き物が死ぬということなど、概念としてないのです。
今まで、切った者は地面に赤い鮮血を流して寝ているだけだと、妖夢は思っていたのです。
「……もしかしてこれ、お水ですか?」
監禁されて何日目でしょうか、九官鳥の体が崩れて体液が石の床に滲み出していました。腐臭を放つ九官鳥の死体でしたが、餓えて嗅覚が麻痺しているので妖夢は臭いを感じていませんでした。
誰もいないのに、妖夢は辺りをキョロキョロしました。
そして、誰も辺りにいないことを確認して九官鳥を拾い上げ、口の上で絞りました。ブニっと嫌な音がして、九官鳥の腐った総排泄口から汚物と共に油分の混じった体液が妖夢の口に入りました。
普通の感覚ならば、そもそも、そんなことはしませんし、仮にしたとしたとしても腐った死体の体液など体が受け付けないでしょう。しかし、妖夢は違いました。この間は土を吐き出してしまいましたが、今回は違ったのです。
九官鳥の体液を啜ることによって妖夢は生き物が水を飲むということを覚えました。
幽々子は気配を隠して牢屋を時々監視していました。他者を蹴落としてでも生き残ろうとしたことに歓心しました。
そして、明日の夜には牢屋からだしてあげようと思ったのでした。
牢屋に一人残った妖夢は喉の渇きを癒しました。なのに、何故かは、わかりませんがその水分が眼から出て行ってしまい困ったのでした。
つむじまで再現!
コメントの返信
1、NutsIn先任曹長さんへ
そうですね、妖夢は命の大切を学んだものと思われます。
アバズレの件、申し訳なかったです、つむじを逆に巻きなおします。
2、んhさんへ
こうやって、何かを犠牲にしながら人の心を覚えているのです。しかし、完全に学びきったときには人が滅びてるかもしれません。
3、名無しさんへ
あれですね、向うの作品を書くとなんだか頭の切り替えに時間がかかりますね。
4、名無しさん(青)へ
うふふですね。地底に行って、さとりにペットの飼われ方を学んでくるべきですね。
6、匿名評価さんへ
評価ありがとうございます。
7、名無しさんへ
無垢な妖夢は、なにさせてもかわいいですね。
8、名無しさんへ
印象に残る作品として評価して貰いありがとうございます。次はもっとすごい作品書きたいです。
空が高い日曜日コメント返信
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
4
投稿日時:
2012/07/29 15:02:14
更新日時:
2012/08/26 15:31:06
評価:
9/10
POINT:
870
Rate:
16.27
分類
妖夢
幽々子
九官鳥
空が青くて綺麗だからコメント返信
最後にキューちゃんが自分を食べろと言ったシーンは感涙物でした。
しかし、100点はやれません。
アバズ霊夢と言った分を減点して、作者様のつむじを押させていただきます。
妖夢は地底にお勉強に行くべきだねうふふ
キューちゃんは妖夢に大切な事を教えて死んで逝ったんですね……
あなたの作品の中で一番印象に残ったかも
だから、辻斬りとかになっちゃうんだね。
それにしてもこの話の幽々子と妖夢、怖すぎである