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『幻の命』 作者: 猫好き&Ω
そよ風の丘、滑らかな草原。
記憶、妄想に変わる。妄想だけが肥大化する。
「例えば此処はワンダーランド。
望めば現実になる、しかしハリボテ。自問自答の溺れて焼き尽くされるよう、初めから仕組まれている罠のような午後」
緩やかなアルペジオ、風の行方を慮る。ふわりグライドしてる。歌うように真っ直ぐに。
天女の羽衣を敷いてから塗ったような水色の彼方。天を仰げ、瞼に透かせ、仄かな朱色に染めた白いにで感じる風の音色と香りにその少女、酔いしれるように。或いは処女を捧ぐように身を委ねてる。
「継ぎ接ぎだらけの欲望を正当化してた。
それが罷り通るって、本気で信じてた」
その少女、幼くも草原のピアニスト。街角を歩くように白黒の鍵盤を行き交う十本の細い、ほそーい指。とても綺麗で、とてもか弱そうで、とても白くて、まるでお人形のようなカラダのイチブ。それトゼンブ。
その少女、とてもにこにこしていた。ころ、からっ。なにか物音。
彼女のほっぺの中から響いて聞こえる。音が鳴るたび、彼女は嬉しそうに口角を緩ませている。紅色の唾液が口の端に滲んで、それでも少女笑ってる。能面みたいだった。
「誰かに教わることじゃない。自分で求めるものじゃない」
砂粒、草の根の屋根から空を眺める。
そして眇める、空の青と、本当の気持ちを知るがため。
Take3031。
メェ〜。ヒツジさんが鳴いた。欠伸みたいだった。
少女、ヒツジさんに座っていた。ヒツジさんは椅子だった。もこもこ綿毛がクッションみたいで気持ちイイのだ。尻の下に敷かれても怒んないヒツジさん。太陽の匂いがした。
セピア色な世界。
少女、何を思って奏でてるのかな?
そしたら少女、振り返った。にっこり笑ってる。からっころ。うるせェなぁ■すぞ。
ねぇ、少女はどこに振り向いたの? マエウシろひダリミぎ、その他八方。ITTAI、どこに視線を突き刺した。君の焦点は、どこなんだ?
――ほしいの。
だそうです。
――だから、サガシテルの。
――今も、昔も――さがしてるの。
「それで何が正義だ、悪だ?
UFOが飛んでると言えば、百人のうち何人が信じてくれる?」
諸行無常。
なんで世界は繰り返す? 同じ毎日って、そんなに面白いか?
可愛いって男の子に褒められた女の子のようなトキメキ。Drastic気味に。それを欲するのって、箸を二本一組で一膳として扱うぐらい基本的かもねっ。
風が強くなってきた。
そよ風、譬えるならスカートの裾。あんな風に優しい娘。
しゃららっ。それが風鳴り。嘘は言っちゃいない。大人は嘘をつかないんじゃない、ただ間違いが多いだけさ。
――でも……
「知りたくない。明日がどんな日なんて」
無言のメッセージが空に描かれてた。
さあそれを見た少女、ベーと舌を出す。
――みつからない、みつからないよ。
――どうしてかな。わたしのせいなのかな?
少女のベロにお行儀よく座ったそれは譬えるなら、星屑だった。
群青ハイウェイを走る獅子座流星群から逸れて落ちたナレノハテ、希望と絶望の環っか。空洞ではないです。てへ。
ベイビー・スターダスト。紅色の宝石。クラクラしてしまいそうな甘い香りを醸し、少女のちっちゃなお鼻と燃える舌を溶かしてはナカまで犯す欲望の権化。そして化身。
「いつか、やがて。そんな風にお茶を濁されるのはもうたくさんだ!
それで本当に、いいや必ず! ひとつでも得られるものが在るのか!?
そんなにこの世界は優しかったというのか!?
なら、世界平和など誰も求めなかった筈だ!!」
甘い香り、甘い舌触り、少女が少女だった確かな記憶の形。
風に乾かされた一粒のキャンディ。凍えてる? じゃあ温めてあげる、肉まんのようにきっちり33秒。600Wで温める、800Wは中身がコゲル……。
――おかしいなぁ……おかしいなぁ。
――こんなにも、美味しいのに。どうしてかな。
少女はぱさぱさの舌を口腔に戻した。およそ、二秒を費やした?
知らん彼女は知らん何故なら時間とは真理ではなく所詮は辻褄合わせの産物で概念に過ぎないとその世界が告げていたから知らないのだ。人間の都合で世界は回る、しかし世界はそれを友好的に了承して回っているかは知らん誰も知らん所詮誰もが傍観者、全員殺風景・イン・マイ・ヘッド!!! そのスピードで見えるものが渇けるかい?
渇いたのはあくまで見えないものだろ。
「血が渇く、また血に染まる。狂気か? ただの摂理か?」
だから潤してあげて。それこそが、醜い優しさなんじゃないかな?
大事な物を灰にしてでも、芽吹かせたい種が、咲かせたい花が在るのなら。
――どうして、かな。どうしてかな。
――どうしてなのかな、こんなにも……。
から、ころ、ころっ、からッ……。
ぺろ、ちゅ――舌で揉み解すように舐めた。つるんってキャンディ跳ねる。ベロはまるでトランポリンだった。敏感だった。可愛いピーナッツぐらいに。
――美味しくないよ、甘いのに。
――美味しくないよ、イチゴ味なのに。
――美味しくないよ、ヒツジさんのおめめ。
鉄風、鋭くなって――少女の喉を切り裂いた。
今更だけど嘘をついていたこと、少女の悲鳴を掻き消すように謝ろっかな。ぺこり。
空は水色じゃなかった。
地は滑らかな草原じゃなかった。
風は緩やかじゃなかった。
少女は、独りぼっちだった。
「そして、私はエレジーだった!
だから、だからもう無知には、戻れない。包み込んであげたい、それだけだったの、それだけだったのよ……」
いつも灰色の世界さ。螺旋状に渦巻く叢雲、それが降らせるのは殺された太陽の肉片。スーパーノヴァって死んじゃった。シラネーヨ『あいつ』は傍観者だもん。
地上に閃く無意識のミキサー、数多の竜巻が従える砂粒と蛆虫の大群。それらひとつひとつは小さくとも、束になれば容易く大地を削れる。大は小を兼ねていたんだ。
罅割れた大地、亀裂と亀裂のリア充どもが狂気するバンケット。地割れは一日一時間ってお母さんと約束したでしょ!? 指切りしたでしょう!?
嗚呼、荒野に木霊する風はなんだか泣き叫んでるようだ。谷底より腐った腕を伸ばす亡者の呻き声。そんな感じだ。考えるな感じろ。
そんでもって少女は独りだ。
この孤独なワンダーランドにたった独り。孤独。ぼっち。
ヒツジさんなんて、居なかったんだ。
じゃあ少女、何に座っていたのかな?
もうはぐらかすのはよせよ。
誰も、何も、居なかった。初めからな。だから妄想なんだ。
「ああ、何も感じてくれない――ごめんね」
喉を抑えながら少女、大地に倒れた。
傷口から呼吸が漏れている、少々赤黒い紅茶が流れ出る。
広がる魂の鼓動、息吹、それでも彼女のお顔は笑顔で。
苦しそうじゃ、無かったよ。愛おしそうに、いつまでも、世界の終わりを――遥か東方を見詰めて、笑っていられた。
――さようなら。『会い』たかったけど、お別れだよ。
Ω Ω Ω Ω Ω
白い病室で音も無く目覚めた。
窓の外には粉雪の讃美歌。空の彼方に続いている蒼い銀河。
止め処なく溢れる涙。拭おうともしない。シーツを薄く透かせていく透明な血河。なにも語ろうとしない。すぐに彼女は瞳を閉じる。
自由は私たちをいつも嘲笑っていた。
いや、実際は違った。そんな気がしてただけだった。たちの悪い思い込みだったのだ。
錯覚だけで、消えてしまうのだ。彼女は自分のお腹を撫でる。何も宿っていない。
所詮は形だけで、本質なんて有って無いようなものだった。
幻の時点ですべて虚無だ。ヴァニタス。その美しさは、『無』に存在しない。
しかし彼女は願う。暮れゆく意識、絶望の中の祈り、果てしない妄想の果て、その意思が世界を変えることを。この子宮は、偽物なんかじゃないんだってことを!!
やがて白い星がこの夜空を包むとき、彼女の願いは漸く叶う。
しかしそれは彼女が幻に還ることを示していた。
それでも彼女は笑っている。右手から透けていく、自分が自分を失っていく。それなのに痛みも恐怖も無い。
狂気に染められ、狂喜に眠っていく。いずれ掴めるのか? 未来。
その妄想が少女を連れて消えていく。蒼い銀河の彼方へと、終焉から遠ざかった幻想へと、妄想へと――東風谷早苗を連れて消えていく。
幻に夢で逢えたら、それは幻じゃない。
幻をこの腕で抱き締められたら、初めて、そう初めて……
「会いに行くよ――待ってて、ずっとそこで」
少女は辿り着くその未来、今まで歩いて来た道をけっして振り返らない。
さあ、また会いましょうの嘘を遺そう。さよならと、ありがとうを言わないまま。
Candy Houseの没プロその2を若干いじって文章化した。だから飴玉というフレーズが名残として残っている。もはや東方要素は皆無である。ごみんなさい。
これを最後まで読んでくれたあなた、疲れたら休んでください。人生に息抜きは必要です。
次こそはまともなモンちゃんと書くから許してヒヤシンス☆ つーか真面目な文章書いてるとなんだか死にたくなるよ。自分の限界が目に見えるから。
PS.イミテでびゅ。ガンちゃん、今日も産廃はあったかあったかだよ!!
猫好き&Ω
- 作品情報
- 作品集:
- 4
- 投稿日時:
- 2012/08/05 14:10:16
- 更新日時:
- 2012/08/05 23:10:16
- 評価:
- 4/20
- POINT:
- 430
- Rate:
- 4.79
- 分類
- Sekai
- no
- Owari
- EARTH
- 中絶の歌ってのはあくまで迷信
- 産廃に抱かれたい
- 誰かソウル・フラワー・ユニオンで語り合ってくれよ
懐かしいと思えるこの人達。
心のどこかで信じていた。
直ぐに来たかったけど、貴女が私達を信じてくれなかったから。
分かってる、結局は信じてくれたね。
この飴をお舐め。口の甘味を勇気に変え、私達と旅立とう。
あ?
詩的な内容が飴玉のイメージとぴったりに感じました。