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『雨が最後に行き着くところ』 作者: ギョウヘルインニ
魔理沙はある日、今まで自分は勘違いしていたと思いました。”ほのぼの”とは実は空気などに混じっている軽い物ではなく重い物ではないのかと思ったのです。
そうして、ある結論に達したのです。重いということは、下にある。郷も一番下、つまり湖の底に沈んでいるのではないかと思いました。その発想でいくともっと深い所はあるのにこのときはそう思ったのです。
とにかくそう思ったら、最後までやり遂げるのが魔理沙です。努力家なのです。
そして、努力して潜水艦を作りました。にとりに、頼み込んで一緒に作って貰いました。釘を打つとき手とか一緒に鉄槌でぶつけてしまったり、サンダーで自分の爪まで削ってしまったりしました。でもちゃんとほのぼのが回収できるように船外アームまで取り付けてあります。
そして、いつもの2人、早苗さんと霊夢を連れて湖に行きもぐり始めました。
「出発だぜ2人とも! 最大潜航! 目指すは、ほのぼの」
潜水艦はもぐり始めます。ちなみに、この潜水艦の性能は不明です。試運転とかしている間に、ほのぼのが他の誰かに捕られてしまうと考えた魔理沙が、にとりの反対を押し切ってぶっつけ本番にしてしまったのです。
「本当これ大丈夫なの?」
火器管制官の霊夢は初めから疑問に思っていました。
「あの、今日の私は美人局しなくてもいいんですね? こういうのもいいですね?」
外部モニターを優雅に早苗さんは眺めながらいいました。こういうのも悪くないと思っているようです。外部モニターには、鰯とか鯵の群れが泳いで水族館みたいでした。
今は水深10メートル快適で素敵な、旅が始まったのです。
「……皆、大変よ! ソナー音がする」
イレギュラーが発生しました。水深20メートルのところで、連れてきた覚えのない輝夜が現れたのです。プラグが抜けたイヤホンを耳につけて何か言っています。
「そんなことより、お前がなんでいるんだ?」
「良く聞いてくれたわね。私は蓬莱人だから死んでもカウントに入らないの。だから、湖の上で妹紅と殺し合いをしていたのよ。そうしたら、妹紅に足に碇をつけられて沈められたのよ。私はみずの中で死んだのよ。そうしたら偶々ここが一番安全なところとして判定されて、リザレクションしたのよ」
「お前、それ妹紅じゃなくて、村紗だろ!」
魔理沙の突っ込みどころはそこだったのでした。霊夢はそんな二人に無関心です。それよりも早く魚雷を発射して遊びたいのです。早苗さんは、船外アームをいじって外にいる鯖を捕まえて夕飯にもって帰ろうと孤軍奮闘中です。
そうしている間にも、潜水艦はより深みに向かって潜って行きます。
さっきまでは、太陽の光がさして明るかった湖はまるで深海のような暗さになってきました。ライトを点灯します。深海魚さんとか、マリンスノーがその辺を漂っています。なんだか、幻想的なその風景はほのぼのしていました。ところが、魔理沙たちはそれぞれ別のことに気をとられてそれに気付きませんでした。
水深不明な辺りまで来ました。なぜ不明なのかは、搭載されている機材が50mまでしか水深を測ることができないのです。
「ああ、退屈してきたぜ。いつになった底に着くんだ?」
「ねえ、魔理沙。魚雷発射してみない?」
タイミングを見ていたのでしょう、無邪気に霊夢が言いました。目視できる距離に岩礁があります。それを破壊したいのです。
「わかったぜ。お前の頼みは聞かないわけにはいかないぜ」
すでに、魔理沙の中では、霊夢は”ほのぼの”の現人神だと思い神格化していたのです。目の前に他の現人神がいるのにそっちのことは現人神だとは思っていません。
「おい、早苗三番に注水しろ」
魔理沙は、船外アームを操って遊んでいる早苗さん(現人神)に命令しました。
「なんですか三番って?」
「三番は三番だ」
「自分でやってください」
早苗さんは言うことを聞きませんでした。魔理沙はそんな早苗さんを、蹴りたい衝動に駆られました。しかし、狭い船内なかなかそういうことはできないのです。
仕方がないので、自分で魚雷発射の準備をしなくてはなりませんでした。ボタン一個の動作ですが、それが無性に怖くて魔理沙の手は震えました。とても怖いのです。
「魔理沙どうしたの? 早く岩礁に魚雷を発射したいんだけど」
「でも、でも、怖い。何でだろう? わからないけど酷く怖いんだ」
今まで、ほのぼのを求めて冒険してきた時は必ず、こういう汚れ仕事は早苗さんに押し付けて来ました。そのツケが回ってきた感じが無性にするのです。たかだか、ボタン一つ押すだけなのですがね。
「何躊躇してるの? 私が押すからどいて」
そんな、魔理沙を霊夢はどうとも思っていないので、何の躊躇もなく魔理沙を押しのけて注水ボタンを押します。あっという間に、魚雷発射準備が整いました。
「行くわ! 魚雷発射!」
これまた、霊夢は何の躊躇もなく岩礁に向けて、魚雷を発射しました。
音もなく、魚雷は発射されてしまいました。妙な空気が船内を覆います。そして、魚雷は岩礁に命中しました。
ドカーン! ガラガラ! と静かだった深海(湖)に爆音が響きます。
「やったー!」
柄にもなく霊夢はすごく興奮しています。バンバン辺りを無意味に叩きます。結構、にとりに押しちゃ駄目と警告されたボタンとかありましたが、気にせず叩いてしまっていたりします。
「え? 霊夢が喜んでいる? もしかして、ほのぼのなのか?」
ほのぼのの現人神がほのぼのあらぶっている。これは、ほのぼのだと魔理沙は思ったのです。霊夢に対するほのぼのは盲目なのです。
「ちょっと、迷惑なんですけど! チョウチンアンコウがどっかに行ってしまったじゃないですか!」
早苗さんは、船外アームでチョウチンアンコウを捕まえようとしていましたが、今の爆発でどこかに行ってしまって怒りました。
「……ああそう。ごめんね。調子に乗りすぎたわ」
その発言で、霊夢は冷静さを取り戻しました。そして、やりたいこともやったので飽きてそっぽ向いてしまいました。
それから、長い沈黙続きました。船内は早苗さんがアームを操る音しか聞こえません。そんな時でした。ギシギシと何かが軋む音が聞こえ始めたのです。深く潜り過ぎたせいで、水圧に潜水艦が耐えられなく始めていたのです。
「……この音、この音は、聞いたことが無いぜ。もしかして、ほのぼのが鳴いているのか? ほのぼのは近いぜ」
ところが、これです。魔理沙は、これがほのぼのの鳴き声だと勘違いしたのです。なんて都合の良い耳なのでしょう。
「あ、これ、水圧に押しつぶされる音じゃないんだ」
いままで、黙っていた輝夜は安堵の息を吐きながら言いました。
「緊張して、損しちゃった。ちょっと、トイレに行って来るわ」
緊張が解れて、輝夜はトイレに行きました。
さて輝夜がトイレに行った後に、アラーム音が流れました。ビービーと低いアラーム音です。
「ん? この音は確か......」
「浸水したときに、なる音ね」
霊夢は、潜水艦マニュアルを眺めながら言いました。
「それは不味いぞ。浸水だ」
「浸水してるところの隔壁を閉じちゃえば問題ないわ」
そんなことを言って、霊夢は隔壁を閉じるボタンを押しました。すぐに、浸水部の隔壁が閉鎖され、アラーム音は止まりました。
同刻、輝夜はトイレを済ませて備え付けのトイレ内にある水道で手を洗っていました。洗い終わって外に出ようとした時でした。カチャと乾いた音がしました。それきりです。再び魔理沙達と輝夜は再び出会うことはありませんでした。
潜水艦は相対的ほのぼの悲鳴をあげながらも、ついに湖のそこに着きました。暗い湖底には、人々がかつてのこした栄光や繁栄の跡が残っていますが、肝心のほのぼのが見つかりません。
魔理沙は早苗さんをどかして、船外カメラを見ながら船外アームを操作して湖底を調べます。時々、沈没船とかの財宝なのでしょう。金貨や銀杯などをアームが摘みあげますが魔理沙にとってはそれはゴミでした。
ほのぼのは何処だと探します。1時間、2時間と時間はどんどん過ぎていきます。しかし、ほのぼのは見つかりません。見つかるのは全て金や銀ばかりで魔理沙にとってはゴミです。
「あの、魔理沙さん。そろそろ、浮上しないと帰り分の酸素がなくなります」
早苗さんは、少々焦りながら言いました。すでに、3人が浮上中に浪費するであろう酸素が足りなくなっていたのです。
魔理沙はそれを無視しました。ここまで来てほのぼのは見つかりませんでしたでは済まされない焦燥に駆られていたのです。そんな二人のやり取りを尻目に霊夢は寝ています。実は霊夢の寝顔を見ているだけでほのぼのなのですが、魔理沙はモニターに釘付けで気付きません。
「もう本当に限界です」
「おい、ちょっとあれはなんだ?」
モニターには、白く美しく光る物体が写しだされました。限界を超えた最後のチャンスです。最大速度でそれを追いかけます。今更ですが、潜水艦は水圧にに負けてあちこち浸水が始まりました。それでも、あきらめません。三本あるアームの一本が無意味に爆発しました。しかし、まだです。まだあきらめません。
そして、ついにその物体を残ったアームで捕まえました。モニターに写し出されるその物体はなんなのでしょう。
「……ビニール袋だな」
「……ですね」
「ビニールだな。……ほのぼのじゃないな」
「そうですね」
「笑えよ! 私を笑えよ!」
「……は、はっははは」
乾いた早苗さんの笑いだけが潜水艦内を響いたのです。
魔理沙は、このとき冷静さを取り戻しました。
そして、あることを思い出しました。
3人分の酸素が陸に戻るまで足りないのです。
でも、このお話はほのぼのです。誰も死なないのです。いったい呼吸しないで、どう死なないのでしょうか?
きっと、苦しいでしょう。
魔理沙は早苗さんに何か耳打ちした後、一人普段何もなければ気付く筈だった純系”ほのぼの”な寝息を立てて寝ている霊夢の首を絞めたのでした。
大丈夫です。皆生還しました。このお話はほのぼのだからです。
没ネタです。
木馬だ。トロイの木馬だ。魔理沙はある日、思いついた。ほのぼのを内部から、奪い取る。
ほのぼのに屈服したふりをして近づき、贈り物としても木馬を送る。その中には、完全武装した魔理沙が隠れていて内部からほのぼのを突き崩す。
この完璧な作戦を、すぐに実行しようとするのは必然だった。
まずは、木馬を作成するために協力者が必要だった。なんでも便利な、にとりに木馬を作って貰わなければならない。
早速、魔理沙はにとりが勤務している。にとり製作所に行ってみることにした。
「おい、にとり邪魔するぜ」
「駆け込みで弁当屋の営業さん? まずは試食持ってきてから話は聞くよ」
「何言ってるんだ? 魔理沙だぜ」
「知ってる。暇だったの」
にとりは、特にやることもないので、一人で銀磨きをして暇をつぶしているところに魔理沙が着たので少しからかった。
「なあ、私の為に木馬を作ってくれないか?」
「べたなこと聞くけど、丸いの? 三角の?」
お決まりの、ことを言うのはお約束なのでおいて置いて、まあ、話を続ける。
「違うぜ、トロイだぜ!」
「トロイ?」
この瞬間、にとりは、銀磨きのクロスを床に落としてシリアスな顔をした。そうなのである。魔理沙の真剣にトロイの木馬を作って貰おうとしている表情を見て、アキレスを思い出したのである。
伝説のアキレス再臨なのである。
と、いうのは全て嘘で、トロイの木馬なんて巨大な代物を作るのには莫大な資金が必要なので持っているのか疑問に思った。
「そうだぜ、トロイだぜ! 私はそれに乗り込んで、ほのぼのの奴を内部から突き崩す」
「ふーん、そうなの? 作ってもいいけどお金あるの?」
魔理沙はうなずいて、魔理沙銀行券を出そうとした。
ここまで書いて、没でした。この後なんか魔理沙が努力して、お金を稼ぎます。そして、トロイの木馬を作ってもらいますが、何処にほのぼのが居るんだということになって結局ほのぼのが見つからず。無駄にチルノとかに燃やされてしまう予定でしたが、没です。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/09/29 18:59:34
更新日時:
2012/09/30 03:59:34
評価:
7/8
POINT:
730
Rate:
16.78
分類
ほのぼの
後書き没ネタ
潜水艦が強襲揚陸モードになって、まるで木馬のような外観になっても良かったのでは。
ほのぼのでした。
流石は努力家(笑)の魔理沙さんですね。
かわいいぜ…
正体不明だ。
しかし霊夢かわいい。