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『朝を迎える』 作者: 和多
「おい、一人は寒いから、一緒にいてくれ。たのむレティおねがいだぜ」
「えぇ? いいの〜? 私は……寒いから、ここに居て、さらに寒くするのが好きなのよ〜」
話は少し前から始まる。魔理沙は冬の山で遭難した。冬の山にしか生えないという魔法の茸を探していたのだが、結局見つからず帰ろうとしたのだが迷った。山は極寒で吹雪が吹き荒れ迷う魔理沙を襲った。それが、どんどん体力と気力を奪っていった。
何とか朦朧とする意識の中歩き、山小屋を見つけてそこにこもったのだった。しかし、そこはただのボロ小屋だった。窓がなく中央部には、小さな囲炉裏があるだけ暖をとるための燃料があるわけではない。あちこちからは隙間風が入って寒かった。わずかに、部屋はその隙間から外の厚い雲が薄暗い月光を弱めた光を雪が反射してはいっていた。
「寒い、やだぁ。お家に帰りたい」
普段強気の魔理沙だったが、この寒さの中ではただの力ない少女に過ぎなかった。既に、ここにくるまでに涙は涸れ果てていて、一人凍えて嗚咽を漏らしていたのだった。体はがたがた振るえ、足の先の感覚はもう、無い。
「…………」
時間は、過ぎていった。魔理沙は、嗚咽すらしなくなってただその場から動かず一点を見つめていた。体の感覚はもう殆ど残っていない。ただ、体から熱が抜けていくのは分かった。
「…………」
いつの間にか、魔理沙は眠ってしまった。疲れと、寒さが眠気を誘ったのであった。
どれぐらい時間がたったのだろうか、眠ってしまっていた魔理沙の首筋を冷たい風が通り過ぎた。冷え切った体よりもさらに冷たい風だった。その寒さが眠ってい魔理沙を覚醒させたのだった。
「……寒い」
「……なんだ〜。魔理沙なんだ」
何処からか、おそらく背後から魔理沙の聞き覚えがある声が聞こえた。この声色、少し間抜けた語尾を延ばすしゃべり方はレティだと思い出した。
「……レティいる……のか?」
「いるけどぉ、私のこの山小屋に入っていいのは、美少年だけなのに〜」
この、山小屋はレティが本職の雪女をするために用意された小屋だった。ここに迷いこんだ、美少年を冷気で凍らせて持ち帰るのである。 残念ながら、美少女でも、美少年ではない魔理沙には興味がない。
「一人は寒いから、一緒にいてくれ。レティおねがいだぜ」
「えぇ? いいの〜? 私は……寒いから、ここに居て、さらに寒くするのが好きなのよ〜」
レティは、帰ろうとしたが引き止められた。見るに、魔理沙が凍えているようだ。レティには、凍えるということが良くわからない。ただ、大抵今の魔理沙のように、震えて他者のにいて貰うことを乞う言葉だと思っている。実際、ここに迷い込む美少年達もこれから凍らされることも知らず同じことを言葉を吐くのだった。
「それでも、いいから一緒にいてくれ」
「……残念だけどぉことわるわ〜。忙しいし私は美少年にしか興味ないの〜」
レティは、少々落胆して足早に小屋を去っていった。小屋を出て行くときに、ドアを開けたのだがそれが、先ほどの首筋に当たった風と同様に通り過ぎていった。
「ま、待って」
その後わずかに、ほんのわずかにだったが、魔理沙は寒い日の長い夜をレティと過ごすよりも長く生きることができたのだった。
- 作品情報
- 作品集:
- 5
- 投稿日時:
- 2012/10/23 13:39:42
- 更新日時:
- 2012/10/23 23:45:39
- 評価:
- 4/6
- POINT:
- 390
- Rate:
- 13.83
- 分類
- レティ
レティ、冷たいね。ホントに。
そういえば、産廃のレティって溶けてるばかりの印象だなぁ