Deprecated : Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/imta/req/util.php on line 270
『上を見上げる』 作者: ギョウヘルインニ
|
|←山女の糸
|
ある日、魔理沙は気づいてしまいました。上の作品はもしかしたらほのぼのしているかもしれない。上の作品に行ってほのぼのしていこうと思ったのです。
思いついたら即行動です。早速時代に取り残された原チャリで霊夢のいる神社に行くことにしました。本日は、箒の替わりに乗っているのです。特に意味はありません。
「私は、上の作品に行くぜ。上の作品はほのぼのしているに違いない」
「……上の作品に行く?」
魔理沙は霊夢がお払い棒を使って賽銭箱を調べているところを見つけました。霊夢は賽銭箱の鍵をなくしてしまっていたのです。
「いままで、間違っていたんだ。ひとつの作品だけでほのぼのを見つけようというのが」
「そうなんだ」
もはや、魔理沙はこの作品には何の未練も残したこともありません。上の作品に行くことしか考えていないのです。もそかしたら、上の作品はほのぼのでは無く残酷な話かもしれないという考えはありません。危険な話かも知れないのです。ほのぼのは見つかるのでしょうか?
「大体どうやって上の作品に行くの?」
「上を見てみろ」
「……神社の軒下ね」
「違うぜ、そこじゃない。この作品の一番上だ」
「…………山女の糸があるわ」
「そうだぜ、そこから上の作品に行くんだ」
「なんていうか、ご都合主義ね」
こうして二人は、」ね儀主合都ご、かういてんな「と文字の上を歩き上を目指すことにしたのです。二人は普段空を飛ぶ事ができますが、文章は空ではないので徒歩で山女の糸を目指すのです。
「ねえ、なんて言っていいのかしら。会話のところは「があって上りやすいけど、地文のスペースはどう上るの?」
二人は、「大体どうやって上の作品に行くの?」まで上りました。しかし、地文と会話文の間にスペースが合ってそれ以上、上れません。
「簡単なことだぜ。作品に使われた。文字を使うんだ」
「意味がわからない」
「だから、さっきお前が使っていたこれを使うんだ」
そういって。魔理沙は三点リーダを出しました。
「これが、何の役に立つの?」
「これ、手榴弾なんだぜ」
知らなかった新手の事実です。……は、手榴弾なのです。
「見てろよ!」
魔理沙は、頭上にある”もはや”に手榴弾を投げました。
それは、見事に命中して、”や”が崩れて落ちてきました。
「良し、これで上に行けるぜ」
「なんて言って良いのかしら?」
”や”は爆風でひしゃげて、まるで”か”のようになってしまいました。それをよじ登り、二人は上の文に上ります。
「ここは、この作品で一番長い地文ね」
「そうだぜ、見渡す限り文字だ」
「あれ? あっちに見えるのほのぼのじゃない」
「確かに、むこうにほのぼのがある」
「待って、魔理沙!」
霊夢の静止を聞かず魔理沙は文字の彼方に見えるほのぼのに向かって走り始めました。魔理沙はこの作品には何の未練も残したこともありません。上の作品に行くことしか考えていないのです。と文字の上を走ります。そして、”。も”の上を飛び越えて、”そ”に飛び乗りました。
「がああああ」
「どうしたの?」
”そ”に飛び乗った途端に魔理沙は苦しみだしました。そんな、魔理沙に後から来た霊夢は話しかけたのです。
「くるな! 霊夢! 来ちゃ駄目だぜ! こいつは、誤字トラップだ」
「うん? 何それ?」
「誤字は毒沼なんだ」
魔理沙は毒に犯されました。全身から、血が吹き出ます。それでも、何とか浮いていた、”も”にしがみ付きます。ところが、”も”は魔理沙の重さに耐え切れず沈んでいきます。
「……三点リーダが手榴弾なら、”。”は浮き輪かもしれないわ」
霊夢の咄嗟の判断でした。”。”に紐をつけて魔理沙に向かって投げたのです。
二人の息は今までの”ほのぼの”のお話でぴったりでした。二人は確かに”ほのぼの”という絆に結ばれていたのです。
「危ないところだったぜ」
「……毒沼、意味がわからない」
それでも、霊夢は今の状況には納得していません。
「で、私のセリフのそうなんだにはどうやって上るの?」
「また、手榴弾を使うぜ」
「それやだ」
「何?」
「だって、私のセリフなのよ。爆発させられるのは嫌」
「我侭言うなよ」
「じゃあ、帰る」
「そんな」
「帰る」
「わかったぜ、ちょっと、都合の良いことを考えるぜ」
そういって、魔理沙は考え始めました。
「ここまで、だな。霊夢、肩貸してくれ、上には私一人で行くぜ」
「ちょっと、待ってね。つまり、肩車すれば良いのね?」
「そうだぜ」
こうして、二人は一世一代の肩車に討って出ることにしました。
”よろける二人、霊夢はか弱い女の子です。魔理沙の体重を支えるのはあまりにも酷でした。”
それでも、なんとか魔理沙は”そ”にしがみ付きました。
「霊夢、後は任せろ」
「……まあ。私の分までほのぼのしてきてね」
霊夢はもと来た道をひきかえしていきました。
「一人に、なっちまったぜ」
霊夢のセリフ「そうなんだ」から自分のセリフ「私は、上の作品に行くぜ。上の作品はほのぼのしているに違いない」によじ登り、「私は、上の作品に行くぜ。上の作品はほのぼのしているに違いない」の上に立ったときに魔理沙は独り言を言いました。
さて、ここからどう上るというところですが、今度は簡単です。原チャリが「私は、上の作品に行くぜ。上の作品はほのぼのしているに違いない」のセリフの上に置いてあります。その上に、魔理沙は次の”思いついたら”によじ登りました。原チャリのセンタースタンドが加重を受けて、魔理沙のセリフに突き刺さります。
激痛が魔理沙の全身を襲います。そうです。セリフは言霊であり、自身の分身なのです。それでも、魔理沙はあきらめませんでした。
そして、”思いついたら即行動です。”によじ登りました。山女の糸まであと一歩です。
「あと、少しだぜ」
憔悴した体に鞭打って、上に上ろうとします。もはや、ご都合主義的なことは何一つ残っていません。目の前には、”ある日”に上るために超えなくてはならない壁があります。ロックです。ここは格好つけてあえて書きました。
「……行くぜ」
ズザザザザ!! 魔理沙の手が滑りました。
「痛い! でも、あきらめないぜ」
さっき、手が滑った時に必死にとまろうとしたため、手の爪は剥がれました、焼ける様な痛みとともに、指先からは、流血があります。
しかも、この作品の上部に当たるため、空気は薄く寒いのです。すぐに、指の感覚は無くなりました。
本当は、もう、指が無くなっているのかも知れません。しかし、魔理沙は弱りきり眼が見えなく成っているので、確認することはできませんでした。ほのぼのを求める本能のみで上ります。
「……ここは、頂上か?」
弱りきった魔理沙は頑張りました。ようやく、”ある日”の上にたどりついたのです。
「へ、へへへっへへぁああ!」
なにが、面白いのか口元はほころびます。見えない眼は、使えないのでほじくりだしました。どこにあるんだろうと、”魔”理”沙”は”の上を歩きます。糸は見つかりません。
「ふへへへえへへあはは」
すでに何かが壊れています。”気”づいてしまいました。”づいていましたはよろけながらも、今の魔理沙の全力疾走です。
「霊夢、私は上に行くぜ!」
”上”の上で立ち止まり魔理沙に見えている霊夢に話かけました。それから、”の”作”品”は”のい上をよろけながら歩きます。もしかしたらほのぼのしているかもしれない。
「霊夢、私は上に行くんだぜ!」
”上”の”あたりで霊夢と言っていますが自分に言っています。
「何か暖かい感じがするぜ、もしかしてほのぼのか?」
それもそのはずです。”作品に行って”を超えて今魔理沙は”ほのぼの”の上に立っているのです。
「あと少し! あと少しだぜ! 霊夢!」
最後の力と妄想が重なったとき、不思議な力が魔理沙に働きました。
そして、”していこうと思ったのです。”の上を一気に越えて行ったのです。
それからは一瞬の無重力でした。
上の作品、団体、個人、作者様には一切関係ありません。でもあったら、うれしいです。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/11/03 13:35:42
更新日時:
2012/11/03 23:52:13
評価:
10/15
POINT:
1120
Rate:
15.27
分類
魔理沙
霊夢
山女
読みながら「ああ今はここを通ってんだな」とほのぼのしました。
……ほのぼの?
……ハッ!!
最後の一文は問答無用で素晴らしい。