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『産廃SSこんぺ 「鼻を切る」』 作者: 日々の健康に一杯の紅茶を

産廃SSこんぺ 「鼻を切る」

作品集: 5 投稿日時: 2012/11/24 06:27:15 更新日時: 2012/12/17 21:50:09 評価: 17/22 POINT: 1640 Rate: 14.48
紅 美鈴


紅 美鈴は時間が来るのをまだかまだかと待っていた。あの美しい芸術品に会えるのは一日のうちの少ない時間しかない。先ほど魔理沙が来たが害は無かったのでさっさと通した。
無駄に戦ってその至福の時間を失うのは余りにも惜しい。一秒でも長くその幸福を享受したい。
そして終にその時間が訪れた。

「最近は眠らないできちんと頑張っているのね」

柔らかな笑みを浮かべながら彼女が自分のそばに降り立つ。胸の高まりが強くなっていくのを感じながら彼女の方を振り向く。
そこには彼女――十六夜 咲夜の美しい、鼻の無い顔が微笑を浮かべているのを見た。


「私はね、完璧なものはあまり美しくないと思っているのよ」
「そうなのですか?」
3時のティータイムでレミリア・スカーレットが咲夜と話していた。
「もちろん完璧な物にも価値はあるわ。例えば道具なんかは欠陥が一つも無いことが望ましい。機能美というやつね」
「不良品だらけでしたら日々の生活にも困りますものね」
「だが外見上の美しさも求めるのだったら話は別だ。アンティークなんかは使い込むほどに価値が出るものもあるじゃない」
レミリアが椅子を回して咲夜の方を見る。
「あなたは機能美のみならず外見上の美しさも人としては高い分類に入るわ」
「お褒めに預かり光栄ですわ」
スカートを両手でつかみおどけた仕草で礼をする。その仕草を観察しながらレミリアが続ける。
「そこに一片の瑕疵が加わったらどうなるのか私は見てみたい」
レミリアが椅子から降り咲夜の顔を撫でる。


後日美鈴の手によって鼻が落とされた。慎重に検討した結果、顔の形に合わせて鼻を全て切り落とし平坦な形にすることに決定した。
パチュリーによって調整された魔法薬で痛みを遮断しながら美鈴のもつ大陸の技術をあわせて手術は成功した。
当初美鈴は乗り気ではなかったが手術の出来栄えを見ていると次第に考えが変わっていった。すばらしい作品を生み出した製作者としての喜びが沸いてきたのである。
今では一日の最大の楽しみが咲夜に会うことになっていた。

「クッキーを作ってみたのだけれど味見してくれないかしら」
「もちろん構いません。いくらでも食べられますよ」

鼻の切除によって生じた副作用の一つとして嗅覚が消失した。掃除などはメイド妖精を連れ歩いて異臭が無いかを確認することで解決できた。
問題は料理だった。メイド妖精では満腹になるまで食べてしまう。
手っ取り早く美鈴に頼むことにした。レミリアやフランが味見したのでは本末転倒であるしパチュリーは小食で何度も頼むことが出来なかったためだ。

「分量を少し間違った気がするんだけどどうかしら?」

こちらを不安そうな目で見つめてくる。なんて美しいのだろう。やはりお嬢様はすばらしい。このような美があるなんて思いもよらなかった。

「…美鈴?」
「へ、ああ、はい。大丈夫です。いつも通りとても美味しいですよ」
「そう?それならよかった」

不安げな気配が消え去り笑みが広がる。胸の高まりが抑えられない。気を張ってなんとか赤面することだけは防ぐ。

「もう一つお願いがあるのだけどこの後予定があったりする?」
「いえ、何も無いです。どのような御用でしょうか」
「少し買い物をしてきて欲しいの。色々備品を切らしてしまって。お願いできるかしら」
「分かりました。何が必要なんでしょうか」
「ええとね。今からメモを渡すから」

片手を挙げるとその手にはメモ帳があった。時間停止の能力は幸い嗅覚とは連動していなかったようで何の支障も無く使用できた。
以前時の止まった世界ではどのような匂いがするのかと聞いてみたことがある。そのときの返答が『時計を整備しているような匂い』だったので嗅覚も能力と密接に関係している可能性があると思われたが杞憂に終わった。
メモを指差しながらいつも購入している所や予約の品がある所などの説明を受けてから咲夜の体温の残る通貨を握り締めて里へと飛び立った。
これで品物を渡すときに咲夜に会う口実が出来たと胸を弾ませながら急いで人里へと向かって飛び立った。


小悪魔

本を整理しながらちらりとパチュリー様の方を伺うと妙にそわそわしていた。そういえば例の彼女が来る時間に近づいてきたからだとと思い納得する。
見世物としては大変面白いのでより眺めのよい場所に移れるように作業を急いでいると例の彼女がやってきた。

「パチュリー様。お茶をお持ちいたしました」

静かにドアを開け入ってきたのは鼻を切除した十六夜 咲夜だった。




「咲夜さん、嫌なら嫌って言ってもいいんですよ?いくらお嬢様の命令と言ったってこれは酷すぎますよ」
「私も同感だわ。しばらく白黒の家にでも逃げてレミィの熱が冷めるのを待ったほうがいいわ。レミィのことだからやっぱり美しくないから追い出すくらいのことはやりかねないわ」

どのように鼻を切除するかの検討会でレミリアが出て行った後で美鈴とパチュリーによる説得が行われていた。
美鈴として食べる訳でもない顔をわざわざ傷つけるのは非常に心苦しく例え主の怒りを買ってでもここは止めさせるべきだと考えていた。
パチュリーはもっと現実的で有能なメイドを友人の気まぐれで失いたくないという考えがある。切断面から雑菌でも入って死んでもらっては困るからだ。
それぞれの思惑は違ったが咲夜を思い留まらせる意見について両名とも一致していた。
会議の場にはフランドール・スカーレットもいたが彼女は特に発言することも無く姉が出て行った後のこのやりとりをじっと眺めていた。

「どのような初歩的な術であれ失敗の可能性はあるわ。まして高度な術はそれらを重ねたわけだから当然失敗する確立も大きくなっていく」
「わざわざきれいにしようなんて理由で体をいじって、その上体を壊すなんて百害あって一理なしですよ。ここは私たちに任せて避難してください」

咲夜が微笑んで二人に向かって黙って頭を下げる。

「しかし私の居場所はここにしかありません。私を恐れない人間は私から何かを奪おうとする人間か何も持たない人間だけです。私が安心して暮らせる場所はここ以外にありません」

その後何度と無く説得が続けられたが一向に意思が揺るがずまずパチュリーが匙を投げた。それに続いて賛同者を失った美鈴が諦めざるをえなくなり手術は敢行された。




(あんなに乗り気じゃなかったパチュリー様が今ではすっかり虜になるとはねえ。流石運命を見る吸血鬼の達見といった所かしら)

首尾よく作業を終え目的の位置に辿り着き二人の様子を眺める。話を聞くだけなら本場の地獄耳で図書館のどこにいようと聞き取れるが遮蔽物を透かすような魔術を使えば腑抜けた魔法使いであろうと流石にばれる。

「お茶の香りはどうでしょうか。キツ過ぎたりはしませんか?」
「とてもいい具合よ。体調が良くなりそうだわ」
(へええ。あの堅物があんな歯の浮くようなことを言うなんて、いやはやみかけによりませんなぁ)
「それはようございました。クッキーはいかがですか。こちらは美鈴に太鼓判をもらっていますから安心して召し上がって下さい」
「あなたの料理が失敗するとは思えないわ」
(いやはやこちらにもお茶をもらいたいね。この砂糖に蜜を掛けまわしたような甘ったるさを吹き飛ばすぐらい苦くて濃いコーヒーなんかがいいね)

以前は人を褒めることなど無かったパチュリーが咲夜に向かって惜しみない賞賛を浴びせる姿は彼女を知る者なら誰でも薄気味悪さを感じたことだろう。それくらい異常だった。
咲夜にクッキーを勧められると膝の上の本にかけらがこぼれる事も厭わず一刻を争うかのように口に詰め込み始める。すぐに喉につまりむせ返ると咲夜が慌てて駆け寄り水差しから水を飲ませる。
頭を支えられて水を飲む顔は苦しそうでありながら嬉しそうという大変奇妙な顔であった。

「お邪魔してるぜ。おっと声は立てるなよ」

急に声を掛けられ思わず悲鳴が出そうになった口を押さえられる。すぐに誰だかわかったので口を押さえている手を叩いて落ち着いたことを知らせるとすぐに手がどいた。
振り返るとそこには戦利品を抱えていない霧雨 魔理沙が立っていた。

「覗きとは感心しないな」
「あなたには言われたくないですね。パチュリー様は見ての通り立てこんでいるので用があるなら後にする方が賢明ですよ」
「いや用事は無くなった。それよりパチュリーってあんなに急いで食べるようなやつだったか」

手近にある本を『借り』ようともせずに不気味そうに『ティータイム』を眺める。

「最近になってからですね。それがどうかしたんですか?」
「いやな、実はここに来る前に厨房によってな、あれと同じっぽいクッキーの残りがあったから摘んでみたんだ」
「悪魔の館の厨房でつまみ食いする人間なんて始めて見ました」
「ちゃかすな。・・・まあお前もあれの残りを食ってみろ。紅茶でもいい。口にすれば分かる」

喋り終えると周りの本棚を見渡し適当2、3冊抜き取って元来た道と思われる方に去っていく。
司書としては止めるべきだったが先ほどの会話の方に興味を惹かれていた。なるほど遠くから見たり聞いたりしたことはあったが味見をするというのはしたことが無い。

(面白いことがまた増えそうです。たまには盗人も役に立ちますね)

内心ニヤニヤしながら再び観察を始める。喉の詰まりは無事解消されたようで顔色も元に戻っている。

「ありがとう、もう平気よ」
「よろしいですか?水ならまだありますが」
「柄にも無く少し慌ててしまったけど楽になったわ」
「それはよろしゅうございました」

その後少し話してからレミリアが咲夜を呼ぶ声がして咲夜が外に出て行くのを見計らってから小悪魔がパチュリーの側に近寄る。
パチュリーは虚脱したかのような表情で時折思い出したかのように紅茶のカップを手に取り機械的に口に運ぶ。驚いたことに本を読んでいない。

「パチュリー様」

近づいても気づく様子が無かったので小悪魔から話しかける。案の定気づいていなかったようではっとした表情で小悪魔の方を向いた。

「お茶を飲まれないのでしたら片付けてしまってもよろしいでしょうか。レミリア様のお世話となるとメイド長もしばらく戻ってこないと思うのですが」
「えっ、ええ、そういえばそうね。うん」
「本にも良くないでしょうし出来るだけ早く片付けてしまいたいのですが」
「そうね。そうね。えーと、じゃあお願いするわ」

心ここにあらずと言った体で生返事を繰り返す主にずけずけと言ってから机の上を片付ける。
咲夜が持ってきたプレートの上に皿などを載せてから厨房へと向かう。

(頭が休憩中のようですねえあの様子では)

歩きながらどこか適当な空いた部屋が無いかを探し手ごろな部屋が見つかるとそこに入っていった。

(流石に立ち食いというのはあれですからね。ピチピチの悪魔としては。さて肝心のお味は)

入った部屋のテーブルに腰掛けて何枚か残ったクッキーの残りから一つ摘み取り口に放り込む。
むしゃむしゃと租借していたが次第に怪訝な顔になる。

(これ本当にあのメイド長が作ったものかしら?まずくは無いけどそれほど美味しくもない)

主の味覚が変わっているだけかとも思ったが門番も良く食べていたらしいことが妙だった。門番はああ見えても中々舌が肥えていたはずだ。

(食感はあまり変わってないが味や香りが劣化してる。多分鼻が利かないからだろうけど)

それから少しの間食感は申し分の無いクッキーを口にしながらしばらく考えてみたが原因は良く分からなかった。

(どういうわけなんでしょうねえ。恋は盲目とでも言った所なのかしら。いやこの場合は味覚障害になるのか)




フランドール・スカーレット

「フラン様、お八つをお持ちしました」
「ん、分かった。着替えるから少し待ってて」

最近咲夜の鼻が無くなった。お姉さまの気まぐれらしい。パチュリーや美鈴は反対していたけど結局は切ったみたいね。
手早く服装を整えて扉を開ける。人間では開けられない程の重さがあるので開け閉めは自分でする。お姉さまは勝手に開けるけど。

「失礼します」

一礼してカートを部屋に入れる。お姉さまと食べることもあるけど流石に何百年も毎日一緒というのは面倒なので気が向いたら一緒に食べることにしている。
いすに座って食器類が弾幕のように整然と並べられていくのをぼんやりと眺める。

「ありがとう。食べ終わったらいつも通りにしておくから」
「かしこまりました」

再び一礼して外に出て行く。指を鳴らして扉を閉めてから食事に取り掛かる。食べることに興味があるわけではないが習慣なので毎日食べる。
食べ終わって食後のお茶を飲んでいると扉を叩く音がする。声で呼ばれることがほとんどなので扉が叩かれるのは珍しい。
お茶を飲み干してから立ち上がり扉を開けるとそこには魔理沙がいた。

「珍しいね。いつも避けてるのに」
「緊急事態だからな。宝石細工にもすがりたい所なんでね」
「とりあえず中に入ってよ。扉開けてるのも結構しんどいのよ」
「それじゃ遠慮なく」

魔理沙が私の横を通って中に入ったのを確認してから扉を閉める。人間には少し暗すぎるので指を鳴らしてランプの火を強くしてからいすに腰掛ける。

「それで?どのようなご用件で?」
「うむ。実は咲夜の事で聞きたいことがあってな」

物珍しげにあたりをきょろきょろと見回していたが私のカップを見るとそこで視線を止めた。

「その紅茶は…」
「食後の紅茶よ。人間入りの」

それを聞いてかげんなりとした顔をしたが気を取り直したように再び口を開いた。

「最近咲夜が変わったような感じがしないか?雰囲気とか」
「そういえば鼻が無くなっていたわね」
「いやそうじゃなくて。もっと、こう、内面的なところだ。例えばその紅茶」

私のカップを指差したのに釣られてカップを見る。

「味が落ちたんじゃないか。香りも今までと変わったり」
「そういえばそうね。以前とは比べ物にならないわ」
「だろう?」
「それがどうかしたの?」
「どうかしたって…」

困惑したかのような表情になる.

「言われるまで気にしていなかったわ」
「だってお前毎日口に入れるものだろ。気にしないなんて事があるのか」
「血さえあれば困らないし。胃に入れば味なんて関係ないわ」

淡々と話すと魔理沙が首を振っていた。理解できないといった顔をしている。
まあ妖怪を理解できる人間なんて妖怪と変わらない。案外まともな反応なのかもしれない。

「じゃあ質問を変えよう。咲夜が、あー、手術した後のパチュリーとか門番の様子はどうだ。なんか変わった所があるか」
「門番は最近館で見かけないから分からないわ。パチュリーはなんとなく注意散漫ね。借りていた本を汚しちゃったけど何も言われなったわ」
「そうか。ありがとな。参考になるぜ」

納得したような顔になって帽子から花を取り出してプレゼントしてくれた。そのまま外に出ていこうとしたので指を鳴らして扉を開けてあげた。
外に出て行くのを見ながら咲夜の鼻を取った時のことを思い出す。



「最後に確認をするわ。こっちの緑の薬を半分飲んでからこの砂時計をひっくり返す。砂が完全に落ちたらこっちのビンに入っている煙を鼻から吸う。吸い終わったらこの赤いクリームを鼻に塗る。最初の薬が効いてきて眠くなるはずだからそのまま眠る」
「眠くならなかったらこの緑の薬の残りを飲んで、それでも眠くならなかったら後日ですね」
「パーフェクトね。それじゃあ始めるわ」
「咲夜さん、本当にいいんですか?今ならまだなんとかなりますよ」

刃物の切れ味をを爪に当てて確認しながら美鈴が話す。お姉さまにも聞こえているだろうにすごい度胸だと思う。
パチュリーは本を読みながら術式の最終確認?をしている。やるとなったら完璧に仕上げたいのだろう。
私の隣にいるお姉さまは涼しい顔で予め淹れさせた紅茶を飲んでいる。特にすることは無いので見物に徹しているのだろう。
私もやることは無いので見物している。お姉さまに誘われたので何となく来てみた。

「美鈴、大丈夫よ。何も問題は無いわ」
「…はあ、そうですか」

寝椅子の上で背を伸ばしている咲夜が微笑む。術後はしばらく動けないのでいつもより念入りに掃除したと紅茶を淹れている時に言ってたっけ。

「そう、何も問題は無い」

お姉さまがカップを置いて立ち上がる。心無し大きく見える気がする程興奮を隠し切れないでいた。

「新世界が到来するだけだ。何も恐れることは無いぞ諸君!」

お姉さまが両手を広げながら、

「顔を壊しての船出ですか」

美鈴が吐き捨てて、

「自分は見ているだけという」

パチュリーが皮肉気に言い、

「私はお嬢様がいれば構いませんわ」

咲夜は微笑んでいた。私は座ったまま黙っていた。




「そうだ新世界とか言ってたっけ…」
「あん?何か言ったか?」
「ん、ああ、何でもないよ」
「そうか。じゃあまた今度な」
「ご機嫌よう」

魔理沙が出て行ってからしばらくの間お姉さまの言っていた新しい世界について思いを巡らせていたがしばらくしたらどうでも良くなったのでほとんど香りのしない紅茶を飲み干してからベッドに寝転んでもらった花を弄んだ。



霧雨 魔理沙

きっかけは神社だった。その日霊夢と茶を飲んでいるときにふと霊夢がこぼした。

「そういえば最近レミリアが来ないわね。ビスケットが切れてて思い出したわ」
「ビスケット?何だ最近の神社は洋菓子が賽銭代わりになるのか」
「お茶しか出さない様にしてたら自分から持ってくるようになったのよ。咲夜がいる時はケーキとか生ものを持ってくる時もあったけど一人で来ることも多かったからね。まとめて持ってきてその都度食べるのよ」
「そいつは羨ましいな。そういや私も最近は図書館で本を借りてなかったな。明日にでも顔を出して様子を伺ってくるとするか」
「レミリアに会ったら何か持ってくるように言っておいて」
「図々しい人って題名を付けて人里にでも飾っておけば、物好きが恵んでくれることを請合うぜ」

その後弾幕ごっこになって服が破れたのを直したりで忙しく本を借りに行くことなどすっかり忘れていた。

それからしばらく経った後最近復活した仙人の道場で遊んだ帰りに里に寄って買い物をしているとチルノがいるのを見つけた。
どうも何かに怒っているようで気になったため声を掛けてみる事にした。

「おいチルノ」
「何だよ。あ、魔理沙!」
「何だとは随分だな。ご機嫌斜めのようだがどうかしたのか」
「聞いてくれよ!あの湖の紅い家の門番がさあ、屋敷に近寄っただけで森まで蹴り飛ばしてくれたおかげでえらい目にあったんだよ!チクショー」

どうも長くなりそうだったので妖怪でも人間でも入れる甘味処に入って話を聞くことにした。
餡蜜をおごってやって聞き出した所によると湖を飛んでいて紅魔館に近づいた所を美鈴に蹴り飛ばされたらしい。
どの程度近づいたのか確認してみたが良く覚えてはいないようで参考にならなかった。

「今までにこんなことはあったのか。パーティーの前とか」
「こんな目にあったのは初めてよ。あの門番も最近はずっと起きてるし」
「何だって。そりゃ本当か」
「自分で見てくれば?お陰であそこに入れなくなったとか3バカも言ってたし」

3バカと言うのは神社の裏手に住んでいる妖精共の事だろう。
口の周りを餡子だらけにしてお代わりを要求してきたのでもう一つ頼んでやってから勘定を済ませて外に出た。

(神社でもレミリアが来ないとか言ってたな。これは何か匂うぜ)

帰宅後明日の紅魔館遠征に向けて準備を始めた。チルノの話によると警備が厳重になっているのでいつもより入念に準備をしておいた。

翌日日が昇る前に目を覚まし顔を洗ってから乾パンとトマトスープの朝食をとり装備の最終点検を行ってから瞑想に移る。
白蓮に習った術の一つで魔力を一時的に底上げする。これを昼まで続けてから朝のスープの残りを飲み干して紅魔館へ向かった。

湖の岸辺に辿り着いてから手をかざして対岸の紅魔館を伺う。チルノの話通り門番は寝ていないようだ。
警戒している気配が対岸にいても分かるぐらいはっきりとしている。正攻法で攻めれば確実に見つかるので準備しておいた本を片手に持って門へと向かう。
門番がこちらを見つけ飛び掛ってきたので手に持った本をかざして、

「おっと今日はこいつを返しに来たんだ。だからお前と遊んでいる暇は無いぜ」
「ああ、そう。ならいいわ」

ふわふわと元立っていた場所に戻る。門番が自分で返しに行くと言い出すことが不安だったが何とかなった。館の中へと向かいながら先ほどの門番の空ろな目を思い出す。

(随分ぼんやりした顔だったな。やっぱ寝てたのか。それにしちゃ反応が速かったが)

玄関を開けむやみやたらと広い空間を飛びながら館の探索を始める。
道中妖精メイドに見つからないように出来るだけ天井付近の暗がりを飛ぶが幸いにも妖精メイドを見ることは無かった。
一度も見かけないことで逆に不安になってきたが厨房を見つけ注意がそちらに移った。
扉に近づき内部の様子を探る。誰もいないことを確認してから静かに扉を開いた。そっと後ろ手に扉を閉めながら中の様子を伺う。
部屋の真ん中のテーブルの上に深皿を見つけそちらに向かう。中身はどうやらクッキーらしい。
二つに割って鉄の匂いがしないか確認してから半分を口に放り込む。噛みながら違和感を感じてもう一つ食べてみたが違和感は変わらなかった。

(なんだこりゃ。私が作ってももう少しマシだぜ。咲夜が風邪でも引いてんのか)

更に探索を続けたがめぼしいものが無かった。他を回ることにして扉に向かったところで咲夜と鉢合わせした。
その時の驚きは今でも思い出すことがある。鼻の無い顔で少し驚いた表情の後静かに微笑むまでの何とも言えない変化を。確か叫んだ気もするがよく覚えていない。
足が馬鹿になって尻餅を付いてしまった。咲夜が、

「大丈夫?そんなに驚いたのかしら」

などと言いながら笑っている声で正気に戻った。落ち着いてみれば鼻が無い以外は見た目に変化が無かった。雰囲気は全く違っていたが。
粘つくような雰囲気。冷たくざらついた舌先で全身を弄られるかのような寒気。以前のふわふわとした掴み所の無い気配は消えうせて底の浅い不快感が今までと変わらない行動と相まって違和感を醸し出す。片端の人間を見たことはあったがそれとは全く違って見えた。人間では無い何かのような邪教の偶像のような非人間性を醸し出していた。子どもの感じる恐怖と大人の感じる恐怖がいびつな形で共棲していた。
一言で言うと近寄りたくなかった。
私は立ち上がって服に付いたほこりを払って落ち着いているように見せた。ほこりなど落ちていなかったが。

「ああ、知り合いの顔から鼻が無くなっていたら普通は驚くだろう?何か病気でもしたのか」
「いいえ、お嬢様の望みでね。まああなたの驚く顔が見れたことは収穫だったから、つまみ食いは許してあげるわ」

咲夜はそう言って深皿から小ぶりの木の籠にクッキーを移し紅茶のカップなどを持って出て行った。
異様な雰囲気に圧倒されてしばらく呆然としていたが厨房に留まってもいても仕方ないので外へ向かうことにした。

クッキーを食べたことを後悔しながら館の中をうろつく。やはり妖精メイドには会わないが先ほどの咲夜を見てからはその理由が何となく分かる気がする。門番が空ろな目をしていた訳も。
『あれ』はやばい。開けてはいけない場所に穴を開けてそこから邪悪が這い出してきている。妖精メイドは多分逃げ出したんだろう。
幻想郷でも子どもぐらいしかしないような不安を私は感じていた。正直さっさとここを出て行きたい気持ちもあったがなにせ図書館があるし咲夜が心配でもあった。今になってみると優先順位を間違えていたがその時は重要に思われていた。
うろついている間に図書館の前に辿り着いた。開いているドアの隙間から内部の様子を伺うとパチュリーと咲夜が居た。
見つからないようにドアの隙間からそっと入り本棚を影にして2人を見れる位置を目指す。可能ならば咲夜が出て行った後にパチュリーに話を聞くつもりだった。
図書館の構造は熟知しているので目的のポイントへ向かうとそこには性格の悪い司書が居た。しばらく黙って見ていたが門番の様な空ろな気配は感じない。
『あれ』に影響はされていないだろうと踏んで後ろから近寄って声をかけると共に口を塞ぐ。塞いだ手をそのままに乗り出してパチュリーと咲夜の様子を見たが一目見てパチュリーと会話は出来ないと思った。
食べることを目的としていないかのような食事を見てますますその思いが強まった。それにあの魔女の干物の如きパチュリーが咲夜にしな垂れかかっているのも不気味だった。
司書の口から手を離していつからあの状態になったかを確認し見返りに先ほどのクッキーについて話してやると興味深そうにしていた。
本を適当に2,3冊抜いてから入って来た時同様静かに出て行った。
このまま帰って何も見なかった事にしてもよかったがやはり気になっていたのでフランドールからも事情を聞こうと地下室に向かった。
ほとんど収穫は無かったが新世界と最後に言っていたのが気にかかった。頭の中身を整理するためにも一旦帰宅することにした。
疲れていたせいか何度も迷って日も暮れてからやっと玄関まで辿り着いた。ほっとため息をつきながら玄関を開けると、

「こんにちわ魔理沙」

夕焼けを背に日傘を持ったレミリアが笑みを浮かべながら立っていた。
思わず後ずさると両肩をつかまれる。振り返らずとも嫌な気配で咲夜だと分かった。

「久しぶりに来たのだからお茶の相手ぐらいしていきなさい。そのカバンの中身は見逃してあげるから」

この時点で覚悟を決めざるをえなかった。仕方なくレミリアのお茶会に付き合わざるを得なかった。


レミリア・スカーレット

玄関先で捕獲した魔理沙を相手にバルコニーで背後に咲夜を立たせながら紅茶を飲む。味も匂いも飲めたものではないがそれ以上に面白かったのでどうでもよかった。
魔理沙が嫌そうな顔で紅茶に手をつけずこっちを睨みつけてくるのが楽しくてしょうがなかった。わざとゆっくりと飲んでいたが途中で冷えてしまったので一気に飲み干した。
カップを受け皿に置き魔理沙の目を見つめる。疑念に満ちたいい瞳だった。悪魔的な喜びを感じながら口を開く。

「なにか訊きたい事があるんでしょう。今日は機嫌がいいから答えてあげるわ。さあどんと来なさい」
「…」
「ふふ、まあ何が訊きたいかは分かっているんだけどね。でも万が一あなたが聞きたい事が明日の天気だったりしたら格好がつかないからあなたの口から聞きたいわ」
「…お前は何をしたんだ。私が知っている紅魔館じゃないぜ、ここは」
「何をした、ね。私のやったことは咲夜の鼻を落とさせた事ぐらいよ。その下準備と計画にはたっぷり時間をかけたけどね」
「パチュリーと門番のあの様はなんだ。フランはなんとも無かったようだがな」
「あら、フランにも会ってきたの。玄関まで来るのが遅いわけね」

くすくす口を手で隠して笑う。魔理沙が嫌そうな顔になるのを見てますますその笑みを深くする。

「それに妖精メイドもいないみたいだがどうしたんだ。休暇でもとらせてるのか」
「ふふふ、まあ、あせらないで。時間ならたっぷりあるわ。まずパチェと美鈴についてね。そうね、私が運命を操るっていうのは知ってるわよね。
それの応用で咲夜の鼻を落とすことが魔術的に意味を持つことに気づいたの。パチェは気づかなかったのかって?
運命に介入するのは高等技術では無いけどかなり特殊だから生まれつきの力か専門的にそれを磨かなければ厳しいわ。占いと同じ様なものだと思ってくれればいいわ。
それで私は咲夜の鼻を落とす事で門を開いたわ。魔の門とでもいうのかしら。パチェと門番が魅了されたのはその影響ね。
悪魔はどちらかといえば向こう側の存在だからなんとも無かったけどね。妖精がいなくなったのもあなたが不快感を感じているのもこれの影響ね。
妖精は自然そのものに近いから耐えられなかったんだと思うわ。あなたが不快感を感じるだけですんでいるのは魔法使いだからだと思うわ、多分ね」
「おい、じゃあ咲夜は…」
「門を開けた本人は門そのものと同等になるわ。46時中門に接しているわけだからそうしなければ壊れてしまうからね。ああ自我は今までと変わらないから十六夜 咲夜という人格には影響は無いわ。私と同じ魔のものになったっていう訳ではないからね。
まあ運命で咲夜は死なないことは分かってたけどこんな形で生き残るとは思わなかったわ」
「その門とやらを今後どうするつもりだ」
「何もしないわ。これから何が起きるか楽しむのが今後の目標ね」
「そうかい。とりあえずお前がイカれていることはよく分かったぜ」

魔理沙が八卦炉を手にして立ち上がる。咲夜が時を止めようとすると八卦炉の反対の手で魔法を詰めたビンを投げつける。懐中時計にぶつかるとビンが割れて咲夜が倒れた。

「気絶しただけだ。悪いが咲夜はこのまま永遠亭にでも連れてって治療をさせるぜ。悪い妖怪に騙されたって事でな」
「余計なお世話っていうのよ、それ」
「こんな危ない門とやらを放置するのは気に食わないんでね。案外お前も魅入られちまってるんじゃないか?門とやらに」

八卦炉を構えたまま咲夜に近づき肩に担ぐ。背中は見せずにそのままじりじりと離れる。

「一つ忠告しておくわ。私達は幸せなのよ。咲夜も含めて全員ね」
「勝手にほざいてろ」

箒を呼び寄せようと手を上げるとレミリアの足元が輝いて魔方陣からパチュリーが現れた。本を開いてこちらを睨みつけている。
焦って箒に跨ろうとするが今度は背後に門番が現れる。買い物袋を持って息を切らしているが戦力としては十二分だ。
魔理沙は万が一にも逃げられないことを悟ってか床に咲夜を下ろした。門番が近づいてきて気絶している咲夜を抱きかかえた。
うな垂れながらバルコニーから飛び立っていく魔理沙に門番が声をかける。

「もう放って置いてください。私達はこれで、今のままで、幸せなんです」


エピローグ

その後紅魔館は幻想郷の中で徐々に存在感をなくしていった。たまに美鈴が里に来たりもしたが必要最低限の付き合いをするだけだった。
一度天狗の新聞記者が面白がって取材に向かったが丁重に追い返されて以来二度と近づこうとしなくなった。
その内誰の記憶からも忘れ去られたころふと気がつくと館は無くなっていた。これも門とやらの影響なのかどうかは誰にも分からなかった。
その後魔理沙は紅魔館をなんとか元に戻そうと色々画策していたが先日復活した仙人に鼻の無い咲夜の顔を鑑定してもらった所これ以上関わると引き寄せられると忠告されてから完全に諦めた。

「いやこれ程大規模な歪みは見たことが無いのう。大きすぎてこれから先何が起こるか分からん。海底に繋がる穴を開けたようなもので流れは止められんな。関わらないのが賢明じゃな」
鼻を切ること専用の漢字があるとは思いもよりませんでした。

想定外の大量のコメントと評価数に驚きましたがとても嬉しいです。
企画された紅魚群様、参加された作者様、読者様楽しい時間をありがとうございました。

>>1
顔のイメージとしては史記 (横山光輝)の鼻を切るシーンがあるのでそこからとりました。
紅魔館側から見ると皆幸せなのでご安心ください。
>>3
サー、風水の運気のようなものを取り入れようとも思ったのですが上手くいきませんでした、サー!
サー、紅魔館はハッピーなので相対的に言えばハッピーエンドであります、サー!
>>4
利益関係にない他人から見ればどうってことのない事ですからね。怪我しようが引っ越そうが。
>>5
文字化けして出ないんですよね。気になる方ははなそぎでググって下さい。
>>6
終わり方の候補としては鼻を切ることに魅了された魔理沙が自分の鼻を切るというのもあったんですが布都ちゃんを出したかったので諦めました。
>>7
験担ぎなんかには意外と昔の人の生活様式が潜んでいたりして面白いですよね。
ただ今回の話には全く無いです。
>>8
怖がることは無いです。近づかなければ何もしませんし近づいてしまっても取り込まれてしあわせになるだけですよ。
>>9
いつかお金がたまったら大人買いして見たいです。
>>10
最初に書いた時はだらだらと引き延ばしてみたんですがコレジャナイ感が出たので現在の形に落ち着きました。
>>11
そんな捉え方もあったのかと目から鱗です。ありがとうございます。
フリーザ戦でキレる悟空は屈指の名シーンだと思います。
>>13
悪魔はどこでも楽しんで生きていけるから悪魔という個人的な妄想があったり。
咲夜さんはもっともてるべき。百合的な意味で。
>>14
鬼平犯科帳のサラリとした文章を参考にしました。大きな展開が無いのは単純に文章力が無いからというオチがあったりもします。
>>16
一編ごとにノリで作って後から辻褄を無理やり合わせた結果がこれです。本当にありがとうございま(ry
>>17
三月精で妖精マスターになってる魔理沙をイメージしました。
>>18
飽きっぽいので同じ人物を書くのが苦手なのでこのような形に相成りました。
その鼻の無い顔に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的砂嵐の小宇宙!
>>19
申し訳ありません。文字化けしてしまって読めないです。私のpc知識では直せないです。
>>20
レミリア的には遊んでいるだけなんです。狂っていることを自覚しているのは咲夜さんだけですね。自分で悪魔の犬と言っているので。
後日加筆してもらっても全然OKですよ(卑しい期待の眼差し)
>>「産廃SSこんぺモコ?」智弘様
申し訳ありません素人です。直接的な描写が無いのは他の人の痛めつけている様を見るのは好きなんですが自分でやるのは嫌だからです。
こんな性格だから友人が少ないんですね。モコタンの洗ってない髪クンカクンカ。
日々の健康に一杯の紅茶を
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/11/24 06:27:15
更新日時:
2012/12/17 21:50:09
評価:
17/22
POINT:
1640
Rate:
14.48
分類
産廃SSこんぺ
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0. 150点 匿名評価 投稿数: 5
1. 100 名無し ■2012/11/24 16:28:17
鼻を切った咲夜の、顔の描写があまりなくて逆によかった。もう、鼻を切るって文面だけで怖気がはしる。
久々に正統派の、後味の悪い話を読んだ。
3. 80 名無し ■2012/11/24 16:48:57
些細な瑕疵から運命が変わってしまった、というか、変わるように傷をつけたのか。

重要な施設、機械にほんの少しの不調があるだけで大規模な変化が起こってしまった。
違和感があるが、別に誰も困らない、むしろ幸せだと容認、放置した結果、第三者から見れば破滅にしか見えない事になってしまった。

顔の真ん中に空けたブラックホールに吸い込まれ、最後には穴ごと消えてしまった。
でも、これで良かったのかもしれないね……。
4. 100 名無し ■2012/11/24 16:55:02
「je ne sais quoi」

それによって咲夜さんは世界を脅かすのでしょうね。
5. 100 名無し ■2012/11/24 23:48:57
劓
6. 90 名無し ■2012/11/25 00:20:06
淡々と、静かな狂気が心地よかったです。暴力ではなく、まさに欠損芸術を文体に表している様に感じました。
ただ、最後の顛末だけがちょっと不足しているかな、と。
7. 100 名無し ■2012/11/25 01:39:15
うおおこりゃすごい、儀式的なものの恐ろしさを完全に表している。
いわゆる縁起物や験担ぎのたぐいってなんでそれがそんな大層なことになるんって疑問に思いながらも
なんだかんだで信じちゃうんだよなー。こわいこわい。
8. 100 名無し ■2012/11/25 11:52:23
なんというかおぞましい
これぞ産廃て感じ
9. 80 名無し ■2012/11/25 12:21:06
うずまき思い出した
10. 100 名無し ■2012/11/26 01:07:38
素っ気ない顛末が、体言止めのようにすうと心に突きつけられた。

美しく怜悧な奇形の横顔を、僕は空っぽになって眺めていた。
11. 90 名無し ■2012/11/26 13:49:41
人相ですかね。
完璧さを象徴する咲夜の人相のど真ん中に大穴を開けたことで完璧さに綻びが生じてしまった。「完璧でないもの」の正体はただ魔と表現されるのみ…なんともいえない不気味さでした。最後まで足掻いたこの魔理沙には賞賛を。

…鼻を切断と聞いて一番最初にクリ○ンを思い浮かべてしまったのがもったいなかった。
13. 100 名無し ■2012/11/28 23:45:06
おぞましい。混じりけなしの怪異を見せつけられた気分。
パチュリーと美鈴に凄まじい生々しさを感じました。何ら変化のない残りの悪魔三人も、まさに悪魔。
14. 100 名無し ■2012/11/29 13:06:46
終始綴られている様子は淡々としているのに文章全体から滲み出ている異常性が凄い。
それぞれのキャラが違う立場からよく描写されていて良かったです。
大きな起伏や展開がある話でも無いのに目が離せない不思議な話でした。
16. 30 名無し ■2012/12/03 13:00:47
良いホラーですね
気味の悪さが良く出来ている
ただ作り込みが甘いと思います
17. 80 名無し ■2012/12/04 21:07:00
淡々と物語が進んだ。
チルノに甘味をおごる部分がほのぼのとしていて良い。
一呼吸おく意味でも
18. 70 名無し ■2012/12/07 03:33:42
それぞれの視点から語られていて読みやすかった。

淡々としているのに妙にひきつけられたのは鼻を欠いた咲夜さんに引き寄せられているのでしょうか…
19. 70 名無し ■2012/12/07 23:34:26
、隍ッ、隍ッソシ、ィ、ソ、鬘「アヌ、ャ殪、ッ、ニ、籬`コヘクミ、ャ殪、、、ハ。」
、オ、ニ。「リ讀ソシ、ィ、、ネDメケ、ホコホ、ャ・・゚・・「、ホー^、ヒユマ、テ、ソ、ホ、ォ壥、ヒ、ハ、熙゙、ケ。」
22. 100 名無し ■2012/12/16 23:55:05
非常に心地よい狂気を感じました。滑り込みコメントなのでろくなことかけなくて申し訳ないです
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