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『産廃SSこんぺ 「布都「おぬしも尸解仙・・・・・・だな?」」』 作者: box
霊夢「ええ」
魔理沙「ああ」
早苗「はい」
妖夢「えっ」
・・・・・・
<1+1>
「ねえ、チルノちゃん」
大妖精は、後ろからチルノの肩を叩いた。
悪戯っぽいな表情が、軽く浮かぶ。
「1+1は?」
「1+1?」
チルノは、何度か瞬きをした。
「『1+1』、そう聞いてるんだね、大ちゃん」
「え?うん」
開かれていた手のひらが、ゆっくりと閉じられた。そして、頑なな力が、拳を小さく震わす。
「『1+1』、お前はそう聞いてるのか・・・・」
「え、え?いや、だから、」
「私にそれを聞くのかああああぁぁーーーーッ!!」
腰抜かした大妖精を、チルノは目を開いて見据える。
「良いか?『1+1』は、2だ」
「誰だってそう言ってきた。私だってそう思う」
「だけど、私達は数字なんかじゃない!」
「人は、妖怪は、妖精だって、神様だって!今この時を生きてる、熱い命なんだよ!」
「誰かと誰かが一緒にいれば、何かが生まれるんだ!友情、信頼、愛情、数え切れない沢山のものが!」
「そりゃたまには、違うものだってある。憎しみ、妬み、喧嘩しあうことだってある」
「でも!わかりあって、許しあって、それを乗り越えられるのが、私達なんだ!」
「『1+1』は、2なんかじゃない!」
「3でも4でも、5でも6でも7でも、8でも9でも10でもない!」
「私が!」
「私達がいる限り!」
「『1+1』は無限大だああああぁぁぁーーーッッ!!」
身体が溶けたチルノは、土に染み込んで消えた。
<第三の眼>
さとりは、玄関を叩く声に呼ばれて、小さな留め金を外した。
瞬きするより先に扉をくぐってきた妹に、さとりの口元はごく自然に緩んだのだった。
「お姉ちゃん、今日のおゆはんは、ねえ」
「こいし、先に手を洗いなさい」
小さな泥のついた髪を撫でながら、「前から食べたいって言ってた、ハンバーグよ」と続く。
こいしは十五センチ程も飛び上がりながら、声を上げた。
言葉の体を成してない音が、居間と台所、慎ましく乾いた空間に溢れる。
「お姉ちゃん、私も手伝う、手伝わせて、お願い、」
「そんなに心配しなくても、こちらから頼むわ、こいし」
水音が止むのを待ち、さとりは台所に立った。
「じゃあ、私が肉をこねるから、こいしは玉葱を切ってちょうだいね」
「うん、任せて」
ちなみに、こいしが眼を閉じた日のことである。
<魔理沙vsパチュリー>
「ようパチュリー、遊びに来たぜ」
「もしもし警察ですか!?今、強盗が来てるんです!レーザーの出る凶器を持って、本を奪いに来てるんです!助けてください!」
パチュリー・ノーレッジ
罪状:偽計業務妨害
禁固三ヶ月の刑と処す。
「良くやった映姫。ほら、約束の小町のパンツだぜ」
「ありがとうございます!」
<自動>
「最強の装備を開発したわ」
アリスは椅子の上で正面を向き、彼女には珍しく、身を乗り出した。
艶のありすぎない唇が、不器用に大きく動いている。
「私に言ってどうする」
「最早私さえいれば、どんな異変も解決出来るわ。その通告よ」
呆れた目と、苦笑いを浮かべた目とが、アリスに瞬きをした。
ああ、面倒なやつだなあ。
魔理沙は、口元の緩みを正そうともしない。
「まあ、減らず口は、これらを見てからになさい、魔理沙」
アリスはおもむろに立ち上がった。
裾についた埃を払いもせず、アリスはクローゼットを開け放つ。
「・・・劇団でもやるつもりかよ」
呟きは小さく響いた。
列を成して出てくる、無数の人形達に。
手のひらほどの彼女たちは、百は下らない集団のまま、魔理沙の前に並んだ。
「こんな数、一体どうやって――――」
「自動で、よ」
言葉尻に重ねて言い放つと、アリスは胸を膨らませた。
「接近する物体を捕捉し、自動迎撃する上海人形」
「独自に開発したランダム係数を元に、法則性の無い弾幕を放つ蓬莱人形」
「自分で、敵の弾幕と移動パターンを読み、その死角を狙う大江戸人形」
「蓄積されたデータから戦況を見渡し、細かな陣形指示や、補助支援を行うオルレアン人形」
「そしてさらに自動警戒をする―――――」
「お前、いらないな」
魔理沙は、アリスを指差した。
「い、いや、人形達の管理を――――」
「いらないだろ」
人形達は、首を上へ直角に上げた。
そしてそこに、見るべきものを見ると、自動でそそくさとクローゼットへ戻っていった。
<魔理沙vsパチュリー:2>
「ようパチュリー、遊びに来たぜ」
「・・・・・・・」
「今日も本を借りてくぜ」
「・・・・・・・」
「おい、何とか言えよ」
「・・・・・・・」
「まあ、適当に見てくぜ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「な、なあ、どうかしたのか?」
「・・・・・・・」
「病気でもしたのか?」
「・・・・・・・」
「も、もしかして、さ・・・・」
「・・・・・・・」
「私、怒らせるようなこと、したか?」
「・・・・・・・」
「なんとか言ってくれよ」
「・・・・・・・」
「なあ」
「・・・・・・・」
「言ってくれよ」
「・・・・・・・」
「おい」
「・・・・・・・」
「なんとか言えよ!」
「・・・・・・・」
「さっきから話してんだろ、返事しろよ!」
「・・・・・・・」
「なあ!」
「・・・・・・・」
「なんか言えよ!」
「・・・・・・・」
「なんか言えよ」
「・・・・・・・」
「なんか言ってくれよぉ・・・・・」
「・・・・・・・」
「なあ・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「もう良い、帰る!!」
誰もいなくなった図書館で、パチュリーはガッツポーズをとった。
<居留守>
チルノは飴を貰う代わりに、霊夢にお使いを頼まれた。
魔法の森の魔理沙の下へである。
「んーと、こっちか」
湿気とぬかるみ、晴れることを知らない彼らの中を、爽やかな冷気が歩いてく。
程なくしてチルノは、木立の中でちっぽけに胸を張った、『霧雨魔法店』と記された家の前についた。
華奢な指に軽やかに押されて、小さな呼び鈴が鳴る。
「魔理沙、いるー?」
「魔理沙様ならいないぜ」
「わかったー!」
チルノは踵を返すと、一度つけた足跡をもう一度たどり始めた。
<魔理沙vsパチュリー:3>
「ようパチュリー、遊びに来たぜ」
「・・・・・・・」
「今日も本を借りてくぜ」
「・・・・・・・」
「おい、まただんまりか」
「・・・・・・・」
「まあ、適当に見てくぜ」
「・・・・・・・」
「なあだからさ、何とか言えってパチュr」
「こいつ、死んでる・・・・」
<ほうとう>
「ナズーリン、宝刀を無くしました」
「またか・・・・」
星の声に振り向くナズーリン。がナズーリンは、目を細めて星を睨んだ。
「って、持ってるじゃあないか、宝塔」
「何を言ってるんですか」
私が探してるのは、『宝刀』です。
ナズーリンは目を白黒させ、眉をひそめた。
「いや、作者の変換ミスかと思って・・・いつもの」
「まったく、方頭ですね、ナズーリンは」
はあ?とナズーリンは首を傾げる。
「私とへにょへにょしたレーザーを一緒にしないでくれ」
「『方頭』、頭が四角いことです」
今度探しておこう。ナズーリンはぶっきらぼうに言った。
灰色の尻尾は、横に縦に揺れ初めている。機嫌が悪い証拠である。
「さ、ナズーリン。法統行事の、法灯の奉灯があります。法塔に行きましょう」
「なあ、ご主人」
眉間に血管を浮き上がらせながら、ナズーリンは呟くように言った。
「私は帰るよ」
「駄目です!」
星は、ナズーリンの肩を掴んだ。
「そうやっていつも放蕩して、私たちは朋党でしょう?」
「あああああああ、止めろ!」
耳と頭をかきむしりながら、ナズーリンが叫ぶ。
「もうたくさんだ!帰る!」
「そんな蓬頭にして、なんだと言うのですか」
「畜生!」
「あ、報答しなさい!」
星を突き飛ばすようにして、ナズーリンは駆け出した。夕日の傾いた、寺の中を。
星はその背中を、呆然と見つめ続けていた。
「疲れてるのでしょうか、ナズーリン・・・・」
しばらくは星は動かないでいたが、そのうち踵を返し、廊下を歩き始める。
「今度、美味しいほうとうの店に連れて行ってあげましょう」
星は無邪気に笑みを浮かべると、歩みを早めた。
・・・・・・
神子「そうですか、君も同朋ですね?」
霊夢「はあ?」
魔理沙「なに言ってんだ、お前?」
早苗「頭大丈夫ですか?」
妖夢「・・・・・・・・」
おしまい
僕が締切を過ぎそうだったとき
つらくてアイデアが出なかったとき
苦しかったとき、応援してくれた人達
全ての人に、ありがとう
最期に
紅魚群さん、お許しください!
box
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/11/25 12:03:12
更新日時:
2012/12/17 16:00:42
評価:
12/14
POINT:
860
Rate:
11.80
分類
産廃SSこんぺ
特に<ほうとう>のがんばり具合は素晴らしい。
短編集はやっぱりいいものね
誰にでもわかる、シンプルさが良い味でした。
チルノのジョジョっぽいノリが好きでした。
あと星がウザいwww