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『産廃SSこんぺ 「布都「おぬしも尸解仙・・・・・・だな?」」』 作者: box

産廃SSこんぺ 「布都「おぬしも尸解仙・・・・・・だな?」」

作品集: 5 投稿日時: 2012/11/25 12:03:12 更新日時: 2012/12/17 16:00:42 評価: 12/14 POINT: 860 Rate: 11.80
霊夢「ええ」
魔理沙「ああ」
早苗「はい」


妖夢「えっ」





・・・・・・



<1+1>



「ねえ、チルノちゃん」

 大妖精は、後ろからチルノの肩を叩いた。
 悪戯っぽいな表情が、軽く浮かぶ。

「1+1は?」
「1+1?」

 チルノは、何度か瞬きをした。

「『1+1』、そう聞いてるんだね、大ちゃん」
「え?うん」

 開かれていた手のひらが、ゆっくりと閉じられた。そして、頑なな力が、拳を小さく震わす。

「『1+1』、お前はそう聞いてるのか・・・・」
「え、え?いや、だから、」
「私にそれを聞くのかああああぁぁーーーーッ!!」

 腰抜かした大妖精を、チルノは目を開いて見据える。

「良いか?『1+1』は、2だ」

「誰だってそう言ってきた。私だってそう思う」


「だけど、私達は数字なんかじゃない!」

「人は、妖怪は、妖精だって、神様だって!今この時を生きてる、熱い命なんだよ!」

「誰かと誰かが一緒にいれば、何かが生まれるんだ!友情、信頼、愛情、数え切れない沢山のものが!」

「そりゃたまには、違うものだってある。憎しみ、妬み、喧嘩しあうことだってある」

「でも!わかりあって、許しあって、それを乗り越えられるのが、私達なんだ!」

「『1+1』は、2なんかじゃない!」

「3でも4でも、5でも6でも7でも、8でも9でも10でもない!」

「私が!」

「私達がいる限り!」

「『1+1』は無限大だああああぁぁぁーーーッッ!!」





 身体が溶けたチルノは、土に染み込んで消えた。









<第三の眼>



 さとりは、玄関を叩く声に呼ばれて、小さな留め金を外した。
 瞬きするより先に扉をくぐってきた妹に、さとりの口元はごく自然に緩んだのだった。

「お姉ちゃん、今日のおゆはんは、ねえ」
「こいし、先に手を洗いなさい」

 小さな泥のついた髪を撫でながら、「前から食べたいって言ってた、ハンバーグよ」と続く。
 こいしは十五センチ程も飛び上がりながら、声を上げた。
 言葉の体を成してない音が、居間と台所、慎ましく乾いた空間に溢れる。

「お姉ちゃん、私も手伝う、手伝わせて、お願い、」
「そんなに心配しなくても、こちらから頼むわ、こいし」

 水音が止むのを待ち、さとりは台所に立った。

「じゃあ、私が肉をこねるから、こいしは玉葱を切ってちょうだいね」
「うん、任せて」



 ちなみに、こいしが眼を閉じた日のことである。









<魔理沙vsパチュリー>



「ようパチュリー、遊びに来たぜ」

「もしもし警察ですか!?今、強盗が来てるんです!レーザーの出る凶器を持って、本を奪いに来てるんです!助けてください!」



 パチュリー・ノーレッジ

 罪状:偽計業務妨害
 禁固三ヶ月の刑と処す。



「良くやった映姫。ほら、約束の小町のパンツだぜ」
「ありがとうございます!」










<自動>

「最強の装備を開発したわ」

 アリスは椅子の上で正面を向き、彼女には珍しく、身を乗り出した。
 艶のありすぎない唇が、不器用に大きく動いている。

「私に言ってどうする」
「最早私さえいれば、どんな異変も解決出来るわ。その通告よ」

 呆れた目と、苦笑いを浮かべた目とが、アリスに瞬きをした。
 ああ、面倒なやつだなあ。
 魔理沙は、口元の緩みを正そうともしない。

「まあ、減らず口は、これらを見てからになさい、魔理沙」

 アリスはおもむろに立ち上がった。
 裾についた埃を払いもせず、アリスはクローゼットを開け放つ。

「・・・劇団でもやるつもりかよ」

 呟きは小さく響いた。
 列を成して出てくる、無数の人形達に。
 手のひらほどの彼女たちは、百は下らない集団のまま、魔理沙の前に並んだ。

「こんな数、一体どうやって――――」
「自動で、よ」

 言葉尻に重ねて言い放つと、アリスは胸を膨らませた。

「接近する物体を捕捉し、自動迎撃する上海人形」

「独自に開発したランダム係数を元に、法則性の無い弾幕を放つ蓬莱人形」

「自分で、敵の弾幕と移動パターンを読み、その死角を狙う大江戸人形」

「蓄積されたデータから戦況を見渡し、細かな陣形指示や、補助支援を行うオルレアン人形」

「そしてさらに自動警戒をする―――――」
「お前、いらないな」

魔理沙は、アリスを指差した。

「い、いや、人形達の管理を――――」
「いらないだろ」

人形達は、首を上へ直角に上げた。
そしてそこに、見るべきものを見ると、自動でそそくさとクローゼットへ戻っていった。











<魔理沙vsパチュリー:2>



「ようパチュリー、遊びに来たぜ」

「・・・・・・・」

「今日も本を借りてくぜ」

「・・・・・・・」

「おい、何とか言えよ」

「・・・・・・・」

「まあ、適当に見てくぜ」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「な、なあ、どうかしたのか?」

「・・・・・・・」

「病気でもしたのか?」

「・・・・・・・」

「も、もしかして、さ・・・・」

「・・・・・・・」

「私、怒らせるようなこと、したか?」

「・・・・・・・」

「なんとか言ってくれよ」

「・・・・・・・」

「なあ」

「・・・・・・・」

「言ってくれよ」

「・・・・・・・」

「おい」

「・・・・・・・」

「なんとか言えよ!」

「・・・・・・・」

「さっきから話してんだろ、返事しろよ!」

「・・・・・・・」

「なあ!」

「・・・・・・・」

「なんか言えよ!」

「・・・・・・・」

「なんか言えよ」

「・・・・・・・」

「なんか言ってくれよぉ・・・・・」

「・・・・・・・」

「なあ・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「もう良い、帰る!!」


 誰もいなくなった図書館で、パチュリーはガッツポーズをとった。











<居留守>



 チルノは飴を貰う代わりに、霊夢にお使いを頼まれた。
 魔法の森の魔理沙の下へである。

「んーと、こっちか」

 湿気とぬかるみ、晴れることを知らない彼らの中を、爽やかな冷気が歩いてく。
 程なくしてチルノは、木立の中でちっぽけに胸を張った、『霧雨魔法店』と記された家の前についた。
 華奢な指に軽やかに押されて、小さな呼び鈴が鳴る。

「魔理沙、いるー?」
「魔理沙様ならいないぜ」
「わかったー!」

 チルノは踵を返すと、一度つけた足跡をもう一度たどり始めた。










<魔理沙vsパチュリー:3>



「ようパチュリー、遊びに来たぜ」

「・・・・・・・」

「今日も本を借りてくぜ」

「・・・・・・・」

「おい、まただんまりか」

「・・・・・・・」

「まあ、適当に見てくぜ」

「・・・・・・・」

「なあだからさ、何とか言えってパチュr」




「こいつ、死んでる・・・・」








<ほうとう>



「ナズーリン、宝刀を無くしました」
「またか・・・・」

 星の声に振り向くナズーリン。がナズーリンは、目を細めて星を睨んだ。

「って、持ってるじゃあないか、宝塔」
「何を言ってるんですか」

 私が探してるのは、『宝刀』です。
 ナズーリンは目を白黒させ、眉をひそめた。

「いや、作者の変換ミスかと思って・・・いつもの」
「まったく、方頭ですね、ナズーリンは」

 はあ?とナズーリンは首を傾げる。

「私とへにょへにょしたレーザーを一緒にしないでくれ」
「『方頭』、頭が四角いことです」

 今度探しておこう。ナズーリンはぶっきらぼうに言った。
 灰色の尻尾は、横に縦に揺れ初めている。機嫌が悪い証拠である。

「さ、ナズーリン。法統行事の、法灯の奉灯があります。法塔に行きましょう」
「なあ、ご主人」

 眉間に血管を浮き上がらせながら、ナズーリンは呟くように言った。

「私は帰るよ」
「駄目です!」

 星は、ナズーリンの肩を掴んだ。

「そうやっていつも放蕩して、私たちは朋党でしょう?」
「あああああああ、止めろ!」

 耳と頭をかきむしりながら、ナズーリンが叫ぶ。

「もうたくさんだ!帰る!」
「そんな蓬頭にして、なんだと言うのですか」
「畜生!」
「あ、報答しなさい!」

 星を突き飛ばすようにして、ナズーリンは駆け出した。夕日の傾いた、寺の中を。
 星はその背中を、呆然と見つめ続けていた。

「疲れてるのでしょうか、ナズーリン・・・・」

 しばらくは星は動かないでいたが、そのうち踵を返し、廊下を歩き始める。

「今度、美味しいほうとうの店に連れて行ってあげましょう」

 星は無邪気に笑みを浮かべると、歩みを早めた。




・・・・・・



神子「そうですか、君も同朋ですね?」

霊夢「はあ?」
魔理沙「なに言ってんだ、お前?」
早苗「頭大丈夫ですか?」

妖夢「・・・・・・・・」




 おしまい
僕が締切を過ぎそうだったとき

つらくてアイデアが出なかったとき

苦しかったとき、応援してくれた人達

全ての人に、ありがとう



最期に

紅魚群さん、お許しください!
box
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/11/25 12:03:12
更新日時:
2012/12/17 16:00:42
評価:
12/14
POINT:
860
Rate:
11.80
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産廃SSこんぺ
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0. 60点 匿名評価 投稿数: 2
1. 20 名無し ■2012/11/25 21:32:56
痛みに耐えてよく頑張った。感動した。
2. 60 名無し ■2012/11/25 22:41:17
漢(しょうじょ)には、命を懸けてでも我を通さなければならない時があるのだ!!
3. 80 名無し ■2012/11/26 14:26:14
<自動><ほうとう>が好き。
特に<ほうとう>のがんばり具合は素晴らしい。
短編集はやっぱりいいものね
4. 90 名無し ■2012/11/27 02:30:08
ナズーリンが可愛かった(小学生並の感想)
6. 100 名無し ■2012/11/27 19:50:27
こういうノリ大好きです。<第三の眼>がお気に入り
7. 20 名無し ■2012/11/27 21:33:12
センスのないジョークほどみじめなものはない
8. 70 名無し ■2012/11/28 23:04:05
掴みが一番面白かった。
9. 70 名無し ■2012/11/30 19:21:14
こういうの嫌いじゃないです
10. 60 名無し ■2012/12/04 22:07:39
テキトーでありハイセンスである
11. 60 名無し ■2012/12/07 18:58:24
きらいじゃないやい
13. 70 名無し ■2012/12/12 22:12:00
<ほうとう>は中々工夫されていますね。
誰にでもわかる、シンプルさが良い味でした。
14. 100 レベル0 ■2014/07/13 01:57:57
おもしろかったです。
チルノのジョジョっぽいノリが好きでした。
あと星がウザいwww
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