東方紅魔郷ノーコンテニュー３分タイムアタック

一面

「なにそのポーズ痛い」
「ぎゃああああああ！」


二面

「バーカ」
「うおおおおあああ！」


三面

「あんた名前何だっけ」
「嫌あああああああ！」


四面

「カビくさ」
「ぐあああああああ！」


五面

「やーいパｄ」
「止めてえええええ！」


六面

「カリスマ(笑)」
「うぐああああああ！」


ＥＸ

「ぐう………」
「どうしたの？かかってこないの？」

　霊夢はフランドールを睨みつけたまま、一歩として動かない。

「(こいつ………)」

「(何言えば死ぬの………？)」

「じゃあ、私からいくね」

　ゆっくりと腕と翼を広げて、フランドールは口を開いた。

「その服ださっ」
「なっ」
「巫女ってなに？ブームに便乗？」
「いや、私の方がさk」
「霊夢wwww霊夢ってwwwwキラキラネームwwwww」
「うああああああああああ！！」

　五メートル、否、六メートル。
　霊夢の華奢な体は、ノーバウンドで吹き飛ばされて、灰の壁に叩きつけられた。

「キャハハハハハハ、胸も懐も貧乏巫女め！！」

　間延びした足取りで、フランドールは霊夢に駆け寄る。
　そしてピクリともしない霊夢を、鈍い音を立てて蹴り飛ばした。

「どうしたの？博麗の巫女(笑)の力とやらを、見せてみてよ！！ヒャハハハハハハ」





「！」

　フランドールの目が、見開かれる。

　目の前の光景に。

　目の前の異変に。

　目の前の、修羅に。

　額から血を流してもなお。
　全身から骨の軋む音を鳴らしてもなお。
　命を削ってもなお。

　博麗霊夢は、立っていた。

「何故……まだ立てるの」
「あんたには……わからないでしょうね」


「十年以上本編に出てないあんたには！」


「あああああﾞあﾞあﾞあﾞあﾞあﾞ！！」


「三月精にも、茨歌仙にも出れないあんたには！！」


「止めろおおおおおおおﾞおﾞおﾞおﾞ」


「最早Ｚ【個人情報保護法に触れる可能性があるため伏字処理】Ｎに忘れられた、あんたには！！」


「のああああああﾞあﾞあﾞあﾞあﾞ！！」

　絶叫を撒き散らしながらも、フランドールは倒れない。空にしがみつくように、立ち続ける。



「まだだ！」
「例え本編に出なくても、私は高い人気を維持し続けてきた！」
「ロリコン、新参、妹萌え、狂気と愛らしさが同居した性格と設定に、あらゆる者が跪いてきた！」
「本編に出ただけで人気のある、お前なんかにいいいいい！！」

「それは私だって同じよ」

　揺らぐことの無い視線に突き刺され、虹色の羽が僅かに、そしてはっきりと揺れた。

「私は、何度だって立ち上がる」


「ずっと本編に出れる限り」


「ずっと主人公である限り」


「私の薄い本がある限り！」


「人気投票で私にいれてくれる、ファンがいる限り！！」


「そして」



「Ｚ【個人情報保護法に触れると不味いので伏字処理】Ｎが、私を愛する限り！！」


「私は」

「負けれない！！」

　大きく膨らむ胸。
　息を包む唇。
　確かな振動と質量が、霊夢の喉から放たれた。


「この」



「性格の安定しない」


「厨二野郎があああああ！！」



　亀裂。
　衝撃。
　そして、崩壊。



「うぐおあああああ！？」

「ば……」

「馬鹿なッ！………」

「このフランが……！」

「このフランドールがああああああ！！」



　断末魔の叫びをあげて、フランドールの身体は砕けてゆく。
　細やかな破片となって、微塵にも。
　あとに残ったのは、紅の混じった灰ばかりだった。

　焦点の合わない視点で、霊夢はそれを見やる。そして、呟いた。

「魔理沙」

「早苗」

「妖夢」

「終わったわ…………」















　霊夢は電車で帰った。


　end