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『EGO Eyes Glazing Over』 作者: 狭間レヴィ
自称物書きの私は月曜日の朝に何かを考えていた。時計は朝の四時を示していた。
その何かとは産廃SSコンペになぜ作品を投稿しなかったか、である。単純な答えは「評価されるのが怖かった」のと「もし点数が予想外に低く、自分の予想より低かったら」である。他人から見たら、点数が低くても諦めないで頑張るや低くないように良い作品を書き上げると考えるだろう。しかし、私は二つの恐怖に挟まれて投稿しなかった。
評価が怖いと言うのは、私はある作品をこんぺに投稿する予定であった。そしてこんぺが始まると少し様子を見ることにした。こういう時は、臆病なぐらいがちょうどいいと昔、どこかで習ったからだ。数日経ち、投稿しようと考える前に他の作品読み、作品のコメントを見た時だった。私の心にコメントの矢が突き刺さったように感じた。ただそれだけを感じただけだった。辛口のコメントに対して恐怖は無かったが私の心に恐怖のような何かが支配し作品を投稿するのをやめた。コメントは感想でもあり評価でもあり、今後の課題にも出来るありがたい物を受け取ることが出来ないことと同じであるのに。
評価されることは喜びである。私以外の物書きさんも多分そうだろう。感想をもらえるのはすごく嬉しく、それを望み求める。だから、作品を書く物書きも多分いるだろう。その時の私も心の中で甘い評価を求めていたのかも知れない。今は心から甘ったれていると感じてしまう。
点数が気にすることも点数を求めていた私の甘さが原因に違いない。低かったらモチベーションが下がり今後に影響を及ぼし、高かったら分からないが天狗にでもなって調子を乗り始め、今後に生かすことが難しくなるだろう。改善点は一生かかっても見つからないだろう。十月ぐらいに友人に言われたことを思い出す。
「お前の作品、SSじゃないよ」
こんなことを言われた。その時の私は違う趣味に没頭していた為に素直に受け止めないで振り払うように返したのを覚えている。私は物書きに向いてないのかも知れないな。伝えたいことが伝えられなかったり、何を伝えたいのかはっきりしてなかったり、書き方もいまひとつ足らず、世界観も構築されていない、ある程度長い文章など向いてない点がどんどん頭に浮かんできた。実際コンペに投稿する予定の作品も何か納得できなかった作品であった。
私以外の物書きさんを見てみよう。皆さん、素晴らしい作品を投稿している。お世辞ではない。コメントや点数は辛口だが諦めない熱意をコメント返しから伝わってくる。私は評価の高い人に嫉妬はしない。嫉妬したくないのだ。なぜなら嫉妬を繰り返していたらただの愚か者である。しかし、自分の殻に閉じこもりながら書く作品はエゴが混ざってくるのは明らかである。その中に嫉妬や悪意、殺意が混ざってしまう。これは変化が必要であるといつも感じその作品を削除する。削除が悪いことだと思ってはいないが時間が経つとそこを変化することを忘れてしまう。
そんなことを考えながら布団でごそごそしていると携帯が鳴った。
『今1人1人の胸の中♪ 目を覚ませ ザタイムトゥゴ〜♪』
『新着メール1件』
早朝の私1人の部屋に着信音が鳴り響く。友人のこいしからのメールだ。
差出人 こいし
件名 今日のこと
本文 今日、暇でしょ? 新しく出来た喫茶店に行かない?
集合は喫茶店ね!
行こう、喫茶店集合でいいけど時間とか教えてとメールを返し、暖かくぬくぬくの布団を出た。今日は月曜日なのに仕事が無い、ラッキーだ。時間は十一時ぐらいと返信がきたので了解と返事を送った。時間まで何をしようか……と考え時計を見ると五時だ。惰眠を貪るのもいい、ちょっと近所のカラオケに行き先ほどの考えを忘れるぐらい歌うのもいい。家で映画観てゆっくりするのが一番だと決着が着きDVDプレイヤーの電源を入れた。
映画を二本見終えると時間は十時ぐらいだった。どちらも特撮テレビ番組の映画だが十分楽しめる良い映画だった。最初に観たのが『劇場版 仮面ライダー016 カネナイデス・ロスト』と言うちょっと暗めなストーリーで本編とは違うパラレルワールド作品でその次がこちらはシリアスっぽい作品にギャグを混ぜ中和させたような『劇場版 仮面ライダー布ギ都 PROJECT 芳香4』である。
そろそろ出掛ける用意をすることにした。適当に外出用の服を着て、鞄に財布、携帯、音楽プレイヤー、メモとペン、本を入れ部屋の鍵を閉め外に出た。新しい喫茶店は駅の近く、徒歩で十五分程度だ。音楽を聴きながらまた考え事をしながら歩くことにした。
私はなぜ、SSを書いているのだろうか。まず頭の中で絵が描けないからという答えが口の中を苦くさせた。絵で伝えられない何かを見つけてそれを読者に伝えたかった、そんな言い逃れも出来るだろう。言い逃れをしても現在、物書きに向いていないと自分でも決めつけているから結果的には向いてはいない。そして次の答えが見つかりそうだったが嫌なことが浮かんだ為、私は考えるのを止めた。昔のことを思い出すのは身体に悪い。
歩いているといつの間にか駅の近くの喫茶店に着いていた。白を基調とした喫茶店と言える外装だった。名前は『ラッキークローバ−』だったかな。内装は高い天井のジャズ流れる良い雰囲気が喫茶店であった。そこでカウンター席に着きマスターにホットココアを頼み、こいしを待った。すぐにココアが入る。人の出入りを気にせず時が経つのを待ちながらメモにSSのネタを書いていく。スラスラとは書けない。一般的に作品を創りあげる為には何かの『ヒラメキ』と他の作品からのオマージュ、そして自分の人生経験やきちんとした考えが必要となるだろう。私には『ヒラメキ』という物は少ない。そして、作品からのオマージュは何故か途中まで書いていると満足できないで完成できない。私の暗く酷い人生経験や考えは考えたくもない。
そして私がたどり着いた答えが敢えてエゴや殺意の感情を文章に作り上げることである。
すっと左を見た。黒い帽子を被ったこいしが立っていた。前会った時より背は高くなったような気がする。
「やあ、こいし」
「こんにちは、魔理沙♪」
こいしは隣の席に着きマスターにローズティーを頼む。
「ここ、ローズティーがあるんだよ」
「ふうん、紅茶は私の身体に合わないかな。やっぱり甘いココアが一番だよ」
そしてローズティーがこいしの前に丁寧に置かれる。匂いが漂う中、私たちは会話を続けた。最近のこと、こいしの姉に彼氏が出来たこと、そんなことを話しているとこいしが一口、紅茶を飲むとあることを口にした。似合わないような複雑な表情であった。
「最近ね、悩みがあるのよ。あなたなら分かってくれると思ったから誘ったの。」
「悩みってなんだ?」
「いや、ちょっとね。自分自身に不満を持ったり自分の行動がすごく悔しく感じたりしたことがない?」
「あるよ、それは人間生きていて仕方ないことだと思うぜ」
こいしの話を聞くと私が今、抱えていることと複雑に絡み合うようなことだった。やりたいことをしたい、でも自分で自分のことを止めてしまい前に踏み出すことが出来ない。そして自分のことが悔しいと感じるらしい。
「私には上手く悩みを解決できる答えを与えることは無理かもしれない。私も今、こいしみたいな悩みを抱えているからさ」
「え? そうなの?」
「ああそうさ。すごく自分に甘えて前に進もうとしないんだ、私は」
「そうなんだ……似たもの同士だね、私たちって♪」
こいしはふふっと笑うと私のメモ帳とペンを勝手に取るとさらさらと何かを書く。そしてメモ帳を閉じて言った。この喫茶店には似合わない笑顔で。
「今日、私とさようならして、家に帰ったら見てね」
「うん、わかったよ」
会計を済ますとこいしと別れた。
私は帰路を歩く。今の私は何も考えない。考えてはいるがネガティブなことではない。物書きに向いてないことや投稿できなかったこと、その時の自分を叱りたくなってきた。朝考えた意味と違う価値観、違う意味、違う心で。努力をしても私は素敵な文章を書くことは出来ないだろう。しかし、一般的な物書きとは違う思考を上手に使ってSSを書いていこうと思う。私のいつも考えすぎてしまうところ、何かあると直ぐに自分自身に甘えて前に出ないところが物書きではないのだろう。
そして家に到着した。PCを起動させメモ帳をゆっくり開いた。綺麗な字でこう書かれていた。
「魔理沙へ 自分自身で一生懸命、過去ではなく、未来でもなく、今を生きてね。私も頑張るから」
私は独りなのに泣くのを我慢した。
「物書きに向いてないけど書くことを続けなきゃ、頑張らないといけないな」
そう決意した。
Open your eyes for the next 016!!
アリス「あなた、霊夢なの?」
霊夢「私の答えは決まってる。あなたならわかってる筈よ」
魔理沙「お前、死にたいんだってな? 俺は早苗とは違う。望み通りにしてやるぜ!!」
紫「もう一度、変わらなきゃならないのね」
はい、こんぺの裏番組です。多分フィクションです。魔理沙ちゃん、メンタルが豆腐並みに弱いですね。私はこんぺみたいに競うのは無理っす。
狭間レヴィ
https://twitter.com/levi19356
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2012/12/20 12:40:17
更新日時:
2012/12/20 21:40:17
評価:
8/9
POINT:
790
Rate:
18.11
分類
産廃SSこんぺではない
魔理沙
こいし
裏番組
心が満たされるお話でした。
できることからコツコツと。それが仮面ライダーってモンだろ。