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『エスクリダオ』 作者: 狭間レヴィ
「メリーのクリスマスは終わって、後は年を越すだけだね」
「私のクリスマスって何よ。一番騒いでいたのは天然の雪を見て喜んでいた蓮子じゃないの」
「ははっ、そうでした。それにしてもまだ街に灯りが戻らないのかな?」
「まだよ。31日の夕方まで戻らないわ」
年の終わりと夏の盆に政府に指定された地域は最低限の電力しか供給されない。なぜなら大阪で行われる三日間の大規模なイベントに大量の電力が必要となったからである。三日間、暗闇が私たちの街を包む。しかし、防犯カメラがあり犯罪は起こらない。電気自動車はストップされているが公共の電気バスは動いており、コンビニも暗い店内だが営業している為心配はなかった。
二人は暗闇に包まれたいつもと違う街を楽しんだ。無意識の暗闇が人々を包み込むこと、それは恐怖を表せる。二人は誰もいない、誰にも見つからない、お互いがしっかり見えない暗闇を歩んでいた。愛し合う恋人のように。
そして幻想の世界を結ぶ境界を暗闇の中で見つけた。以前来たときには無かった境界である。その中は闇で見えない。一人はこれは良いチャンスだと言い、戸惑う一人にこの境界への侵入を急かした。この夜の闇の中、深い裂け目の闇に二人は消えていった。
二人が戻ったのは次の年の元旦であった。三十日の夜からウラシマタロウのようなタイムスリップをしたらしい。暗闇の境界の中は真っ暗で数分しかいなかったと二人で話していた。暗闇が幻覚を見せたのか無意識の闇がそうさせたのか、あるいはまた無意識や時間や闇を操る魑魅魍魎の仕業だったのだろうか。
「誰かを愛することなんて、くだらないだろう、そうだろう♪ 人を愛することなんて、とてもとてもくだらないのさ♪ 変われ変われ 自分変われ♪ 愛せ愛せ 人を愛せ♪ 変われ変われ 己よ変われ♪ 憎め憎め 人よ憎め♪」
人が集まるどこかで誰かが自分で作った歌を歌う。リボンが付いた黒い帽子がフラフラ揺れる。それは誰だかわからない。誰なのかわかる箱を開けるまでそれは善か悪か光か闇かわからない。
「人って一年経ったら変わるけど私は何も変わらない。それは必然的なことだよね、お姉ちゃん」
そう呟いて右手で持っている瞳を閉じた飾り物のようにも見える目を見て微笑んだ。
エスクリダオとはポルトガル語で「闇」
最近使ってないカードを見て書きました。未来融合があればゼピュ落としたりします(禁止ですね)そして、超融合でも最近出してません。
そんなことはさておき
来年もよろしくお願いします。それではよいお年を。
狭間レヴィ
- 作品情報
- 作品集:
- 6
- 投稿日時:
- 2012/12/29 15:00:09
- 更新日時:
- 2012/12/30 00:02:39
- 評価:
- 4/4
- POINT:
- 400
- Rate:
- 17.00
- 分類
- 短編
- 秘封
光の時代の幕開けと共に、ささやかな虚無はおしまい。
井戸の奥底の闇に恐怖するのは、不変の真理。
その本人が一番変化に富んでいると誰が知ろうか。
クッソうざいアブソなんとかより数倍マシだけどやはり属性HEROは鬼畜
作品の方は暗闇が目の前にあるかのように思えてしまう、短いながらも良作でした。私もマイフェイバリットカードをテーマに何か書こうかなー
なんかレヴィさんとは気が合いそうだな……