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『サニーミルクの姫初め』 作者: 雨宮 霜
ーー風呂に入ってから、部屋に来て。
おゆはんの片付けをしていたら、そう言われた。
いつもこういう時は、えっちなことをされるか、裸にされて酷い事をされるかのどちらか。
前のほうも私が気持ちよくなるというより、ただ勝手にされるから大して変わらない。でも少しでも優しくなるだけ、まだまし。
「ひどいこと……されるのかな」
呟いて、当たり前だと思う。
今日の私はとくにだめだめだった。
朝ごはんのお餅は焦がしてしまった。片付けで派手に転んで、彼にお雑煮の残りをかけてしまった。おまけに
脇に置いてあったお重をひっかけて踏んづけて割ってしまった。
お昼は神社に初詣に行ったけれど、足を滑らせて石畳に頭をぶつけて。血で彼の服を汚してしまったし。彼に頼まれてひいたおみくじも、私も彼も大凶だった。結ぼうとしてうまくいかなくて、棚を倒して霊夢さんを怒らせてしまった。その後私の傷に気がついて、軽く応急処置をしてもらったけれど。
おゆはんはおせちの残りがあったから、味付けに失敗することはなかったけれど。ご飯を炊いてほしいと頼まれたけれど、水の量を間違えてびちゃびちゃにしてしまった。お茶を淹れようと缶を開けたら粉末が飛び散って、彼はひどく咳き込んでいた。
「……はぁ」
思い出して、先を思いやって、気が重くなる。いつもは、何か私が失敗するごとに怒鳴られたり殴られたりするけど。今日はそれが無かったのは、最後にいっぺんにするつもりだからかな。
ただでさえ、こうしてお風呂の後、彼の寝室に呼び出される時はずっとひどいことをされるとわかっているのに。日中のぶんもまとまっていたら、どうなるんだろうか。
まず、殴られるだろうな。手じゃなくて、棒やむちで。ろうそくじゃ済まなくて前に使った、焼きごても用意してあるのかな。
じんと、首筋が熱をもって痛む。ちょうどうなじのあたりに、彼が押した焼印がーー私が、サニーミルクが彼のものだという証がある。
髪で隠そうとしたら殴られて。一回休みになっても消えないのは彼がそうしたからか、からだじゃなくて私自身に刻まれているからか。
重い足を進めて、お風呂場に入る。服を脱いで、湯船の前に立った。
もうお湯は熱くて、彼が沸かした後だと気がついた。いつも彼がする前に用意しておかなきゃいけないのに、私はまたやってしまった。
俯くと、沈んで泣きそうになっている私の姿が映っていた。体は生傷だらけで、頭には霊夢さんが巻いてくれた包帯がある。血が滲んで、傷口あたりが赤黒くなっていた。
足をお湯の中に入れる。外が寒いからかとても熱く感じて、彼が押しつけた焼きごての熱さを思い出して。背中にまぼろしのひりひりとした痛みを感じながら、浸かった。
下ろした髪の毛に、お湯をなじませる。私が首の印を隠そうとした髪型で、彼がサニーらしくないと言って嫌った髪型だ。
彼、彼、彼。彼と一緒に住むようになってから、彼と付き合うようになってから私はそればっかりだ。事実、私はもう自分ひとりでは生きていけない。
最初に会ったのは神社だった。私がどじをして隠れているのがバレて、偶々霊夢さんを訪ねに来ていた彼に見つかった。
一目惚れだった。
それからのことはもう、よく覚えてはいない。ただ必死で彼が私に惹かれるように頑張っていた、気がする。告白して、恋人になって、一緒に住むまではとんとん拍子だった。
けれど、問題はその後。
彼と一つ屋根の下で暮らすようになって、段々と彼は乱暴になっていった。
些細なことに腹を立てて、怒るようになって。怒鳴りつけて、私を殴るようになったのはいつ頃からだろう?……少なくとも今は、ただ付き合っていた頃の優しい面影は見ることができない。
逃げればいいと、ルナやスターは言うかもしれない。でも、できない。する気になれないのだ。
いくらひどいことをされても、いくら勝手に扱われても。
「……好き、なの」
彼と一緒にいると、少し怖いけれど胸の中が満たされる。彼の笑顔が向けられると、かぁっと熱くなってしまう。彼と繋がることを思うと、おなかの奥がきゅんきゅんする。
今だって、もしかしてという考えが捨てられなくて。彼におんなとして扱われ続けた体は、はしたなく火照ってしまっていた。
都合よく彼のしたいように犯されるだけでも。彼が私を見てくれている、欲してくれている事実に私は喜んでしまう。
私はもう、彼なしでは生きていけないのだ。
「……ぁ」
ぼぅっとしている間に、だいぶのぼせていて時間が経っていたことに気づく。
彼は待たされるのが好きじゃない。お風呂に時間をかけすぎることも、当然よしとしなかった。それが原因で殴られたことだってある。
「まず……っ!」
私のできる限り早く、かつ丁寧に体と髪を洗ってお風呂からあがった。
石鹸が額の傷にしみて痛かった。
「……は、入るね?」
こんこんこん、とノックを3つして、扉を開ける。おどおどと覗きこんだ先には、彼がベッドに腰掛けていた。
……よかった、今日はムチも焼きごても使わないみたい。
「少し遅かったね」
「ご、ごめんなさいっ!」
彼がそう口を開いて、とっさに謝る。そう、染み付いてしまっている。
「別にいいよ。おいで」
「……?」
普段と違って、彼は怒声も罵りも愚痴も言わなかった。穏やかといってもいい声だったし、もしかしたら機嫌が良いのかもしれない、なんて考えがふとよぎる。
それでも、やや俯きかげんな私には彼の顔色は確認できなかった。ぽんぽん、と太ももを叩いたことはわかったので、近づく。彼の膝の上に座れということだろうか。
「いい、の?」
小幅で近寄って、なんとなくためらわれて確認した。重いだろうし、邪魔かもしれない。
けれど彼は軽く頷いて、目の前にある私のおなかにそっと手を回した。勢いをつけずに引き寄せて、ぽすんと私の体が落ちる。
ちょうど彼のももの上に座って、彼に後ろから抱かれてるみたい。前に、私がいちばん好きだった姿勢だ。
服ごしに背中から彼の体温がじんわりと伝わってきて、安心する。安心、してしまう。
否応なしに、私の体から力が抜けていく。髪を撫でられて、頭の中まで少しずつ痺れていく。
こんなのおかしい。今日の私はひどかったのに、こんな、昔みたいにしてもらえるなんて。
心地よさに違和感が負けないうちに、私は振り返って問いかけた。
「……どうして?」
「どうしてって、どうして?」
「だって、今日の私、失敗ばっかりだったから……こんなふうに、」
「恋人に優しくするのは、当然なんじゃないかな」
本当に優しそうに微笑んだ、彼の顔が近づく。そのまま私の唇とふれあった。
スターだったら、何をいけしゃあしゃあとなんて言うんだろうか。でも、私はだめだ。
いくら不自然でも。ずっと待ち望んでいた、欲しかったキスを拒むことなんて、できない。
「ん、……ぁふ、んぅ……」
舌も入れない、ただ重ねあうだけのキス。快楽を与えることなんて、全く考えてもいないはずなのに。
びりびりと体を弱い痺れが伝わって、じーんと頭が重くなる。胸の奥もお腹の奥も切なくなって、彼の手が触れているところから甘い感覚が広がっていく。
気持ちいい。
たった一度の口づけでも、私が溶け始めるには十分だった。
いままで考えていたことが、どうでもよくなる。ただ、彼とつながっていたい。その思いしか生まれてこなくなる。
「ふぁ……あ……」
「サニー、こっち向いて」
彼に唇を離され、私の口から名残惜しそうな吐息がもれた。
もう少し続けていたかったけど、彼の言う通りにする。今度は彼の両足にまたがって、彼のほうを向いている姿勢。
「ん、ふ……んぅ、ちゅ……」
見上げると、それだけでキスをもらえた。目をほんの少しだけ開けると、私のように目を細めた彼の視線とぶつかった。そのままどちらともなく、また瞳を閉じた。
もっと、もっと彼が欲しい。そんな私の思いを読んだみたいに、とんとんと彼が舌で唇をつつく。入りやすいように、少しだけ隙間をあけた。
ぬるり、彼の舌が侵入してくる。私の中をかき回すみたいに、いろんなところを舐めて、なぞって。そのたびに私は、びくびくと体を震わせた。
歯ぐきにおしつけるように舐められて、ぞくぞくした寒気が背中をのぼる。上のほうを撫でられて、たまらずびくんと首が跳ねる。舌で舌を絡めとられて、吸われて、胸のなかにじんじん響く。
口の周りをべとべとにして、彼が舌を抜いた時には私はもう、骨抜きになっていた。
もう姿勢を保っていられなくなって、彼に倒れこんだ。抱き寄せてくれた手が、どうしようもなく暖かい。
「可愛いよ」
「ぁ……はぁ、んっ!」
呼吸を整えようと息をついていたら。彼の声といっしょに、背筋を弱くひっかかれた。それだけでこの体は反応してしまう。……彼の、せいだ。
そのまま、ゆっくりとした手つきで撫でられる。背中から、腰へ。お尻を軽く揉まれてから、太ももに指を這わされて。
服も脱いでいない。そういうところに触ってもいない。ただ撫で回されているだけなのに、いつもの正反対のその穏やかな手つきは、おかしいくらい心地がいい。
全身が熱い。息が乱れる。目の前がぼやけて、頭の中がふわふわする。
たったの数分もされていないはずなのに、もう何十分と弱い愛撫を受けているみたいだった。はじめは少しもどかしかった。期待をすかされたとも思った。
だけど、そんなことも思えない。全身がえっちな場所になったみたいに、彼の手が私を昂らせる。それも、普段彼が乱暴に犯すみたいではなくて。弱火でことこと煮こまれているような、それでいてぬるま湯に浸かっているような。そんな、いつまでもこのままでいたいと思ってしまうような気持ち良さだった。
「はぁ……ぁっ……」
くすぐるように脇腹を触っていた手を、つつーっと上に滑らせて。たったそれだけの動作でも、私は甘い息をこぼしてしまう。
ただ均一に撫でる動きが、少し緩まって。彼のもう片方の手が頬、首、鎖骨とゆっくりと下がっていく。私は、ぼうっとした目で彼を見つめていた。彼の表情は変わらない。いつくしむように、笑っているまま。
指で、胸の外側をなぞられる。それだけで、彼が次にどこを触るのかわかって。とくん、心臓の音がした。
そして。
「っひ……ふぁ、あ、ああ……!」
いった。
ただ胸を少し触れられただけなのに、目の前が真っ白に染まって。
視界がゆがんで、何も考えられない。ちいさな電撃が、走り抜けたみたいだった。
「……ぁ……ぁ」
彼に焦らされ続けた体には、たったそれだけでも強かったのか。
びくん、びくんと何度も弱くふるえて、気持ちよさを全身で受け止めて。
指先までぜんぶ力が抜けて、気持ちいいしかなくなってしまった。
「サニー」
「ふぇ……?」
髪を撫でて、耳をくすぐって。彼は優しく私を呼ぶ。
……彼は、ずるい。いつも乱暴で、私の名前なんて怒る時にしか呼ばないくせに。そんなふうに呼ばれたら、もう私は昨日までのことなんて頭から抜けて、優しい彼しか見えなくなってしまう。
「サニー、好きだよ」
「わ、私も……んっ」
ほら、その甘い音で囁かれたら、そう返すしかなくなってしまう。ちょっと、ほんの少しだけ生まれたもやもやした気持ちも、キスで上塗りされてなくなった。
触れた唇から、心の芯までどろどろに溶かされて。私は彼に、侵されてる。
でも、逆らうことなんてできやしない。今の「好き」の一言だけで、続く口づけを受けただけで、私のあそこはじゅんと液体をもらしてしまう。もう、ショーツはびしょびしょだろう。
彼が少し、足を開いた。当然そこにまたがっている私の股も押し開かれる。
「え、ちょっと待って、今は」
私の静止する声をやんわりと無視して、彼の手はするすると下へ降りていく。
だって、イッたばかりで、そんなところ触られたら。
「すごいね、もうこんなに」
「ぁぅう……」
彼がスカートをくぐり抜けて、下着までたどりついた。上からいじることはしないで、そのまま指をかけて。
ショーツを下ろすと、にちゃぁ……と私の愛液が音を立てた、気がした。それでなくても、彼の手にした白い布はもうびしょびしょ。
初めはおしっこと間違えるくらいさらさらしていたのに、彼と何回もえっちをしてからいつのまにか、糸をひくくらいになってしまった。自分の体がとてもいやらしくなっていくみたいで、少し怖くて……でも、かぁっと熱くなる。
彼は左手で私を抱きしめてから、もう片方の指を太ももに置いて、私に囁いた。
「力を抜いて」
「え……は、あぁぁぁぁぅ……!」
ふっと言われた通りにすると。異物感とともに、すさまじい快感が昇ってきた。
とぷん、と指が沈んで、かんたんに私の中に入っていく。
「はひ、ぃいっ!ゆび、すごいよぉっ……!」
私の弱いところも全部知り尽くした彼の指が、的確に敏感なところを撫でる。こうなってしまうと、私はどうすることもできない。ただ感じて、彼の指をきゅうきゅうと締め付けるだけ。
でも今日は、いつも彼がするような、ただイかせるためだけにするんじゃなくて。
私の望むところをわかってるみたいに、私の様子を見て手を緩めたりしながら、じっくりと気持ちよくしてくれる。
でも、だからこそ。
「ひぃ、ぁああっ、も、だめぇ……!いっ、あぁぁぁぁ……!」
また、いった。
いつもより、ずっとずっと感じてしまう。
お腹の奥から私が全部抜けていくんじゃないかってくらい、溶かされて。ずっと宙に浮いているみたいに、彼の腕の中でふるえ続けた。
彼は指を増やしてもいない、ペースも早めていない。なのに、どんどん受ける快感は強くなっていく。
手前の、いちばん弱いところをぐっと押されて、はぁーっ……と息が漏れた。同時に、またあの痺れが体を抜けていく。
これで何回目だろうか。数えられないくらいにはもうとろとろになって、達している。
でも、全然いやじゃなくて。疲れることもなく、ひたすらに彼のくれる気持ちよさを受け続けた。
単純な私は、ただこんなにも丁寧に扱ってもらえるだけで、ずっとずっと満たされて。
「……サニー」
「っ、ひぁっ!?」
指を急に抜かれて、すっとんきょうな声が出てしまった。もう限界まで高ぶった私には、それだけでも強い刺激として感じられた。
「サニー、いいかな」
「ぁ……」
視線を落とすと、いつものようにーーいつもより大きく、そそり立った彼のものがあった。見ただけで、お腹の下の方がきゅぅっとそれを欲しがりだすのが、わかる。
今すぐにでも入れてほしいけれど……私のほうから一度は気持ちよくしてあげないと、彼は途端に機嫌を悪くする。それが分かっているから、私はそっと口を寄せた。
「ご、ごほうし、するね?」
「いや、いいよ」
え?と声を出す前に、ひょいと体が持ち上げられて。ぽふんと、優しくベッドの上に置かれた。
「ど、どうして?」
「今日はサニーに気持ちよくなってもらいたいから。それじゃ駄目、かな?」
ずるい、ずるいよ。そんな暖かい声で言われたら、そんな嬉しいことを言われたら、私は何も言えなくなってしまう。
「それに、もうサニーも我慢できないでしょ?僕もサニーが可愛いせいで……挿れたくて、たまらないんだ」
最後を耳元で囁かれて、とどめを刺されてしまった。私には、彼を受け入れることしかできない。たとえいつもと違くても、彼に丁寧に扱われるだけで、もう。
「うん……ぅんっ。お願いっ」
普段なら、こんなこと言ったらはしたないと叱られる。だけど彼は優しく笑って、私にものをあてがってくれた。
私のめしべと彼のおしべがくっついて、ぐちゅりと音がする。
おとなの彼のものは、子供と同じくらいの私には大きすぎるように見える。けれど、何度も何度も彼と繋がったこの体は欲しがってしかたない。まるで入れてほしい、って泣いてるみたいに、とろとろと液体をこぼして。
「息、吐いて。……挿れるよ」
「ふぁ、は、ぁあああぁぁぁぁ……!」
入って、きた。
私の狭い中をかき分けて、みちみちと押し広げて、私をいっぱいにする。ずーんと重い快感が上ってきて、ぜんぶが暖かくなって。
ふわぁって体が舞い上がるみたいに、また、イった。
「は、ぁ、あああっ……!気持ちいい、きもちいよぉっ……!」
もう感じるままに、うわごとをこぼすだけ。それさえ言葉になってるか怪しいくらい、快感で満たされてる。
ゆっくりと、私を中から裏返すみたいに引き抜いて。ぎゅっと押し込んで、奥をこんと突く。
その全部が私を、燃え上がらせる。まるで暖炉みたいに、ゆるやかに、熱く。
「ん、あっ、ひぃ、んんぅっ」
「サニー」
とん、とん。激しくはないけれど、彼の動きひとつひとつが重くて、心地よくて。
つながったところから、ふれあった肌から、彼のぬくもりが伝わって。溶けあって、ひとつになっているみたい。
「あっ、やぁっ、もっと、もっとぉっ!」
「サニーは欲張りだね」
ストロークを大きく、深く。彼の声とあわさって、受ける快感はずっとずっと大きくなる。
あんなに大きいのに、彼のおちんちんを根本まで飲み込んで。私の体は彼のために、変わってしまっている。今だって、彼も気持ちよくなれるように腰をひねって、しめつけて。自分も気持ちよくなって、よろこんでる。
「んんっ、あ、はぁぁぅ!いぃ、あああっ!」
もうイってる時とそうでない時の区別なんてつかない。あたまが真っ白になって、何も考えられなくて。きゅんきゅん響く刺激が、私の体を満たしてる。
ふれ合ってないところもみんな熱くて、どろどろになって。
いつも浴びる日の光よりも、彼のほうがずっと暖かくて、気持ちいい。
「ひぃ、あぁっ、んうぅぅ、ね、ぎゅって、ぎゅってしてぇっ」
「サニーっ……!」
もう彼の余裕もだいぶなくなってきて、動きが激しく乱れてくる。それでも、私の好きなところをしっかりと突いて。力強く抱きしめてくれて、幸せがいっぱい溢れてくる。
彼の震えが直に伝わって、彼のものが膨らんで。もう、彼も限界なんだ。
ぜんぶがぜんぶ満たされて、胸もお腹もいっぱいで。一番大きな波が、来る。
「ひぃ、ぃ、あああぁぁぁぁっ…………!!」
真っ白な光が弾けて、飛んで。
どくんどくんって、私の中に彼のもとが注がれる。
全身で彼を受け止めて、ひとつになって。
すっごく、しあわせ。
「今日のおゆはんはどうしようかな……」
私はひとり、からっぽの買い物かごを見て呟いた。
彼は人と会う約束があるとかで、私より先に出て行ってしまった。何を食べたいかを聞こうと思った時には、すでにいない。
「……ぁいたっ」
ふと何の気なしにカレンダーを見ようと椅子から立ち上がると、右足に鋭い痛みが走った。昨晩、彼に蹴られた場所だ。太陽の光を浴びていないから、治りはすごく遅い。
右足に負担がかからないようにしながら、壁にかけたそれを見る。確か今日は、1月7日。
「……そういえば、七草って言うんだっけ」
おせち料理で疲れた胃を休めるためだとかなんとか、付き合い始めた頃の彼に教わった気がする。せり、なずな、ごぼう、すずしろ……あとは、なんだっけ。八百屋のおじさんに聞けば教えてもらえるかな?
「おかゆなら失敗しないだろうし……うん。そうしよう」
そうと決まれば、話は早い。
私はかごにお財布を入れて、少しだけ地面から浮いて外へ出た。
……見上げて広がるのは曇り空。まだ痛みは、引かなさそう。
一方、その少し後。
人里のやや奥まった場所にひっそりと建っている捨て家屋に、男が三人集まっていた。
一人はサニーミルクの恋人の“彼”。残りは友人だろうか。
「売れてる売れてる。やっぱお前天才だわ」
二人のうち、小太りのほうが口を開いた。手には茶封筒。ずっしりと言うほどではないが、それでもそこそこの金額が入っていることは分かる。
「しかし便利だよ、なぁ?こんな小さい写真機で、動く写真が映せるなんて。しかも撮るのに使ったのって、これよりずっと小さいんだろ?」
「あぁ、ボタンと同じくらい……こんなもんさ。他にも部屋に2台仕込んでおいたけど……そっちの映像はどう?」
「むしろまとめて買わないほうが少ないな、今の所」
それは嬉しいね、とくつくつ“彼”が笑う。小太りも、同時に笑った。
「さすが外の野郎はやることが違うぜ、彼女のハメ撮りを売りさばこうなんざ考えつかねえよ」
「茶化さないでほしいな。河童だっけ、そいつらがデジカメ持ち込んだら量産してくれたからね。余らすのも勿体無いし、かと言ってただ売るのもつまらないだろう?」
「おい、ここどうするんだ?何も映んねーぞ」
手元のデジタルカメラ(動画撮影機能付き)を弄ぶ“彼”に、細身の男が声をかけた。その手元では、薄い板を組み合わせたようなものが青く光を放っていた。“彼”の持っていたノートパソコンである。
「ああ、それはそこをこう繋いで……ほら、できた。問題なく再生できるだろ?」
「すげぇな……俺には何がなんだかサッパリだ」
操作に合わせてぱっと画面が切り替わり、[Windows Media Player]と表記が出る。続いて、近距離から映るサニーミルクの服。
「んー……このままだと見づらいな。別アングルに変えよう」
かちかちという音とともに、再び画面が変わる。今度は性行為の真っ最中の彼女らを、上から見下ろしている映像が流れる。
彼が機体の横を操作すると、サニーミルクの嬌声が古びた小屋に響き渡る。細身の男はゲラゲラと笑った。
「なんつーか笑えるよな、だってコイツ愛されてるーとか思ってこんな声出してんだろ?自分のセックスが撮られてるとも知らずにさ」
「いちおう愛してるから間違いじゃないけどね。まあでも少し優しくしたくらいでこうまでなるのは、そう……滑稽で哀れで、とても可愛い」
「つくづく狂ってやがるぜ、お前はよ!こんなガキのエロ欲しさに金出す里のオッサンどもも大概だけどな」
幻想郷の男って変態しかいないんじゃない?ぎゃははははまったくその通りだ!下卑な笑い声が周囲を満たす。画面の中では、サニーミルクが愛おしそうに“彼”の名前を呼んでいた。
「ほんっとうにおかしいと思わないかい……サニー?」
“彼”がそう、振り向いて言う。
どさり、緑の草が入った籠が、何もない空間に現れ、落ちた。
こんにちは霜です。
書き初めとしてちゃちゃっと書くつもりがダラダラと放っておいてしまい、気づけば1月ももう終わり……怠惰の極み。
初めてのサニーちゃん、初めてのノーマルセックスと色々と初の試みでしたが、いかがでしたでしょうか。
サニーちゃん株が急上昇させられてるのは誰のせいか言うまでもあるまい……
雨宮 霜
https://twitter.com/Frost_Amamiya
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/01/23 14:58:37
更新日時:
2013/01/23 23:58:37
評価:
7/10
POINT:
730
Rate:
13.73
分類
サニーミルク
「新年初オカズにどうぞ」なんてタグを本当はつけたかった
サニーの一途な愛。
暴力描写は、あくまで彼女の口上のみ。
“彼”との絡みはラブラブなのに、前述にある事を信じると素直に楽しめなくなるとは、作者さん意地悪だ……。
一見すると非道な、まるでゲームでもしているように女の心と体を操作できる手際の良さ。
“彼”、いわゆる『調教師』か?
でもなかなかおいしくいただけましたよ、依存しちゃってるサニーかわいいです
うん、サニーちゃんも大絶賛の素晴らしい作品でした。おかげさまで良い年を迎えられそうです。今年もサニーちゃんが、幸せになりますように!
そっか、視点をキャラにするとこんなに
読みやすいんですね!
興奮しました💦
と思っていたら最後にしっかりと心を抉ってくれました。
好きだから殴っていいよねって言いたい