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『フランは外の世界を知ってしまったから』 作者: ギョウヘルインニ
ある日、フランはフランをいじめる咲夜の腕を噛み千切りました。こうでもしないと、ご飯に大量の虫を入れられてしまいます。
そうして、虫入りご飯を回避することができたのです。でもそれは、咲夜の主人であるレミリアを怒らせるには十分な行為だったのです。
怒ったレミリアは、フランとお友達の魔理沙を寒くてさびしい暗い部屋に閉じ込めてしまいました。かろうじでお互いの姿は、ぼうっと光るフランの羽で見えています。
ここから出たければ魔理沙を食べるようにレミリアは、フランに命令したのです。
「もういい、わかったよ」
はじめは、お友達を食べるなんてできないと思っていたフランでした。しかし、閉じ込められて1時間もたってくるとここが嫌になってきました。
「へ?」
何で閉じ込められたかもわかっていない、魔理沙は体育座りで小さくなっていました。
突然、フランが喋ったので思わず間抜けた声が出ます。
「魔理沙、ごめんね」
悪いことをこれからするから謝るのです。フランはとってもいい子なのです。
「な、なんだよフラン」
「あいつは、あなた食べないと許してくれない」
たぶん、絶対に許してもらえません。変な虫が入ったお茶をこのままでは毎日飲まされる日々が始まってしまうかも知れません。
このままでは、ストレスで眼を指で取り出して結膜炎になってしまうかもしれません。あるいは、お腹に腫れ物ができてしまうかもしれません。
「待てよ、ここから脱出する方法は有るはずだぜ」
そういって、魔法使いの知識をフルに利用してこの部屋から出ようとしています。
しかし、魔理沙は魔理沙なりの努力しかできません。
「疲れたよ」
すでに精神的に、肉体的に限界が近いのです。
いつも、きれいに光っている羽がなんだか少し悲しく光っている気がします。
「待て待て待て待、待てよ!」
「もう、暗い部屋は嫌いだよ」
間違っているのは、魔理沙です。フランが可哀想なのでさっさと自ら進んでたべらられるべきです。
「フラン、お前は元々暗い地下室に住んでたんだろ。これぐらい平気だろ?」
「私は、明るい世界を知ってしまったから。あのときの私と違うよ」
「そうだな、お前はあの時とは違う。それを私が一番理解しているぜ」
「理解している? じゃあおとなしく食べられて」
「だから、待てよ。私を食べるとかいうなよ。怖いだろ」
「私はこの暗い部屋のほうが怖い」
「こんなんだったら、サニーミルクでも捕まえとくんだったぜ」
「早く出たいよ。もう待てないよ」
「待てって。そうだ、そこに落ちてる骨で遊んでろよ」
噛み千切った腕の骨です。部屋に閉じ込められるまで、口の中で噛んでいたのです。しかし、骨は硬いので吐き出していたのです。
「ええ? 嫌だよ。この骨は、私をいじめた咲夜だよ」
そうです。フランをいじめた咲夜のにおいがする骨なんて嫌いです。
フランは思います。これが、友達の魔理沙だった良かったと思います。
「ま、まま、まあまあま。いいじゃないか。遊んでみろよ。面白いかも知れないぞ」
「そうかな? まあ、あそんでみようかな?」
何より暇でしかたないので、フランは骨と遊ぶつもりになりました。
「そうしろ。そうしてくれ」
「わかったよ。遊んでみるよ」
「くそ、馬鹿フランを誤魔化していられるのも時間の問題だ。それまでに、脱出方法を考えないと、私が食われる」
「咲夜ばーん! 咲夜。咲夜! これは、どういうことなの? 私のご飯に虫が入ってたよ。……申し訳ありません。お嬢様があまりにも可愛かったものですから、思わずいじめてみたくなりました」
これが、日常的に行われているいじめなのです。
「……」
フランが骨に気をとられているうちに魔理沙はここからどうやって脱出するか考え始めました。
たとえば、フランの皮をはがして魔理沙が被ってフランのふりをして脱出するとか考えました。
しかし。それには大きな欠点があったのです。フランと魔理沙ではサイズが違いすぎます。
この方法は頓挫してしまいました。
「……骨。何も言わないつまらない。早く、出たい。魔理沙を食べて出たい」
「もっと、骨の髄まで遊べよ」
そうなのです。フランはまだ骨と表面しか遊んでいませんでした。
まあ、お互い知り合ったばかりなので、お互い探りあいをしているといったところでしょうか。
「うん、わかったよ」
「やばいぜ」
「咲夜? さくーや! これはどういうことなの? ここから、あそこまで全部虫がうじゃうじゃいるじゃない。……申し訳ありません。お嬢様があまりにも可愛かったものですから、思わずいじめてみたくなりました」
フランはそう言って、骨を握りつぶしました。
骨と永遠のお別れでした。
「なあ、ここから出たら一緒に咲夜懲らしめてやるぜ」
「……本当? 魔理沙は嘘をつかない?」
隻腕の咲夜ならあるいは、魔理沙でも勝てるかも知れません。
「ああ、フランには嘘をつかないぜ」
「わかったよ」
「わかってくれたんだな」
「うん、出れたら咲夜のもう片方の腕も噛み千切ってあげるよ」
さらに、四肢を破壊しつくして、レミリアの前に晒してやるのです。
「よく言ったぜ。フランなら絶対できるぜ」
「うん、私なら絶対できるよ」
まるで、悪魔のようにフランは笑いました。それを見た魔理沙は内心おびえました。
「……しかし、どうすればここから出られるのか」
きっと、魔法の封印とか、もしくはドアの鍵がかけられているのかもしれません。
「で? どうやって出るの?」
「だから、今考えてるんだ。待ってろよ」
魔理沙は、出る方法が思いつかずイライラしてきました。思わず口調がきつくなります。
「魔理沙まで、私にきつく当たるの? いじめるの?」
「ああもう、いじめないからちょっと待ってろよ」
ますます、フランの態度が気に入らずイライラと魔理沙はしてきました。
そして、フランはそんな魔理沙の様子を見ていじめられるのではないかと疑い始めています。
「ちょっと、待ったよ」
フランは様子見を込めて2分待ちました。フランにとって495年も地下に閉じこもっていたのでたいした時間では無いと思っていましたが、それは間違いでした。
なぜならば、フランは一度外の世界を知ってしまったのです。
2分でさえ永遠に感じたのです。
「ちぃ! まだ、2分位しかたってないぜ! フランは、その辺にいる虫の数でも数えていろよ!」
「え? それは、なんで? 何で、魔理沙がそれを言うの?」
フランはこのとき被害妄想の中で気付いてしまったのです。
魔理沙もフランをいじめる気で、この部屋からワザと出る気が無いのです。
「フランどうしたんだ? 今いいこと思いついたぜ。……あれ?」
フランが猜疑心で魔理沙を見ていると、ようやく魔理沙の部屋から脱出する方法を思いつきました。
ところが、それはもう手遅れでした。
いいえ、手がありませんでした。
フランはきっといじめる魔理沙の手に噛み付いたのです。
「この、このサボテン。この」
「……妖夢、何やってるの?」
ある日の階段で、妖夢はサボテンと戦っていました。
すると、そこに幽々子がやってきたのです。
「みれば、分かりますよね。サボテンと戦っているんです」
「ふーん」
サボテンは、妖夢に棘を全部抜かれています。
それは、とても酷い有様でした。
「どうです? サボテンと私が戦ったら圧倒的に私のほうが強いですよ」
「……そうね」
もう、幽々子はあきれていました。なんで、こんな風に育ってしまったんだと思います。
「どうだ! サボテンめ! これでも食らえ」
そう言って、妖夢はサボテンを遠くに放り投げてしまいました。
サボテンと妖夢は永遠の別れを告げたのです。
「完全勝利!」
妖夢はガッツポーズをしました。満足したようです。
教育方針を間違ってしまったと、今日も幽々子は思いました。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/01/31 14:15:12
更新日時:
2013/01/31 23:15:12
評価:
9/12
POINT:
990
Rate:
15.62
分類
魔理沙
フラン
咲夜
フランちゃん、我慢できなかったんだ……。
これにはお手上げです。
サボテンね……。
ウルトラマンAの超獣サボテンダー、肉食系サボテンだったな……。
あとがきまで含めて100点