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『追われた早苗さん』 作者: ギョウヘルインニ
おそろしい縅鎧を着て兜をかぶった小柄な鎧武者が一人、早苗を追いかけていた。
手には、無銘だが鋭利な日本刀が握られいた。それを八相の構えをしながら追いかけてくるので恐ろしかった。
「なんで? どうして、私を追いかけてくるんですか?」
「…………フシュー!!」
早苗が全力疾走で逃げているのに、まるで歩いているような足取りで武者は追いかけてくる。
なんとか、勇気を早苗が出して武者に問いかけても。面で覆われている顔の端から、白い息を吐き出すだけだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、誰か、おねがいです。助けて下さい!」
周りにはすれ違う人や妖怪は合ったが、関わっては自分が酷い目にあうと皆、目を背けたり逃げ出した。
この日早苗は、買い物の途中で武者と遭遇したのだった。郷のはずれにを歩いていると、なにやら叫び声が聞こえて声の方を向いた。
そこには、胴体を真っ二つにされている小傘と、その犯人の武者がいたのだった。しばらく、武者と小傘の双方をぼけっとした表情で見てしまった。
幻想郷なので、こんなことはよくあることだと思っていたが実際に遭遇してみると間抜けに口をぽかんとあけてみているだけになってしまった。
武者が、小傘の持っている傘を足で踏み潰し壊した。そこで、まだ生きていた小傘はぎゃああと断末魔をあげて死んでしまった。
断末魔を聞いて、われに戻った早苗はその場から逃げ出した。なんとか足がもつれたりすることは無く逃げ出せたのだった。
しかし、逃げ出すのが精一杯だった。本能が勝てないと告げていた。小傘の血が付いた刀を一振りして、武者は血を払った。
そして、逃げ出した早苗を無言で追いかけ始めたのだった。
「わ、私、私が何をしたていうんですか?」
早苗が再び声を掛けても、やはり無視されてしまう。
さらに悪いことに、話しかけたせいで何かタイミングを与えてしまったらしく一気に武者が間合いをつめて切りかかってきた。
「ひぃあぁぁ? いたいいいいいぃぃぃぃっ!!!」
八相の構えの構えから切りかかって来た刀は、ひゅうっと音がしたと思ったら早苗の背中を切り裂いた。
巫女服を切り裂き、背中に一線の切り傷が出来た。そこから大量の出血があり、さらに服を着られたことにより前を隠す布まで下に落ちてしまい上半身裸に近い状態になってしまった。
正面から、これを見ると、胸をあらわにした早苗が血相を変えて追いかけられるのを楽しむことが出来るだろう。
普通なら、その場で倒れこんで失神してしまうような傷と格好だった。だが、早苗も幻想郷の恐ろしさを知っているいるから止まるわけには行かなかった。
止まれば、確実に武者が止めの一撃をあびせてきてそれで終わりだ。
「痛いぃぃぃぃぃ!」
気を抜けば、意識が無くなってしまうだろう。奇声を上げながら早苗は走った。
そんな絶望的な状況でも、早苗にはまだ一つの希望があった。
郷からにげてきて現在の場所から、博麗神社がすぐ近くにあるので、そこで霊夢に助けてもらうのだ。
情けないことに、早苗はもう信仰の敵みたいな霊夢を頼るしかなかった。もう、恥を惜しんでいる暇はない。死んでしまえば恥すらかけなくなってしまう。
さらに走り続ける。背中の血はとめどなく流れ続けるし、恐怖から失禁までしてしまっている。
とても、臭く汚く恥ずかしい格好だった。
なんどか、武者は間合いをつめて切りかかってくる。なんとか、致命傷は避けているものの切りかかってくるたびに傷が出来てしまった。
振り返るとは出来ないから、全て身体の後ろ側の傷だった。
背中だけではなく、肩、尻、腿などが切り刻まれている。出血量はとても多く、これから起こることは悲惨しか想像できない。
早苗の視界は徐々に狭まっていった。もう、動くことが出来るであろう時間は残り少ない。
後ろからも内面からも死の恐怖が迫っていた。普段から命を奪うことには慣れている早苗だったが、自分の命ガ無くなってしまうことに慣れておらず恐怖を覚えていた。
それでもあと少しだった。神社の階段が見えてきた、あそこを登って霊夢のいるところに行って追いかけてくる武者に夢想封印でもしてもらえれば助かるのだ。
あと少し、あと少し、重たくなるからだに全身全霊を込めて進んでいく。
そして、ついに片足が神社の階段を踏んだのだった。
勝った、これで勝った。と早苗は思う。普通の思考であれば、なんで勝ったことになるのか自分でも気付くはずなのだか、今の早苗にそんな余裕は無い。
それから、それきりだった。そこで、残念なことに気が抜けてしまい。
早苗はその場で倒れこんでしまった。
情けなく、青い顔でうつぶせに倒れこんだ。
そして、武者が追いついて止めを刺した。ただ、背中に刀を突き刺しただけだが、重要な内臓とかをいくつも傷つけた。
それでも、早苗はまだ生きていて手元にある雑草をつかんだ。なんで、つかんだのかは誰にも分からない。
最期、早苗は神社で帰りを待っている諏訪子のことを思い出した。
掴んだまま、そのまま絶命したのだった。
早苗の死を確認するために、武者はもう2、3回刀を突き刺して確認した。
死んでいることを確認した後は、神社の前に死体があるのは嫌なので、わきの林に放り込んだ。
「まさか、小傘を退治しているときについでに早苗まで退治できるとは思わなかった」
最近、早苗が郷で信仰を集めていたせいで霊夢はとても窮屈だった。元々早苗が着てるような腋のでた巫女服を来ていたのにパクリだといわれてしまい。
窮屈な思いをしていた。だから、ほかにいなそうな鎧を身に着けてパクリだといわれないようにしていた。
ところが、それだと誰も霊夢だと気付いてくれないのでいい加減うんざりしていた。
霊夢は神社の階段を上って自分の家に帰って行った。
その足取りは軽く、久しぶりにお気に入りの巫女服が着れるのでうれしかったのだ。
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/16 03:35:39
更新日時:
2013/02/16 12:35:39
評価:
6/9
POINT:
650
Rate:
13.50
分類
ほのぼの要素はまったく含まれていません。
でも霊夢がまた巫女服がきられるようになってよかった。
産廃なのにほのぼのじゃないと書かなきゃならない作者様のグロでした。
ごちそう様
……かと思いきや、なんだ、天誅か。
こういう死の恐怖に晒されないと格の違いを理解できない相手をコケにした、早苗の自業自得だね。
『彼女』が幸せなら、私には祝福の言葉しか出せない。めでたしめでたし。
ほのぼのがなかったらわたしたちはどうすればいいの?
さつばつしてきた
訳もわからず、追いかけてくる武者が怖かったです。