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『産廃10KB 「かごのなかの霊夢」』 作者: NutsIn先任曹長
かごめ かごめ♪
かごのなかのとりは♪
いついつでやる♪
「愛しているよ、霊夢……」
霊夢……。ああ、可愛い霊夢……。
そうか、ここから出たいか。
霊夢は木でできた格子を掴んで揺さぶった。
必死になって、あらん限りの力で揺さぶった。
木製のはずの格子は、ビクともしなかった。
だーめ♪
外は危険がいっぱい。
愛するお前を、そんな所に行かせるわけにはいかないよ。
い か せ る も の か よ !!
霊夢の前には男がいた。
男は霊夢を愛していた。
霊夢も男を憎からず思っていた。
だが、だからと言って、霊夢をこんな狭い檻に閉じ込めるとは!!
愛ゆえという言い訳は、ちと無理がある。
霊夢は悟った。
この男、自分を独り占めにしたいのだ。
私も男を愛している。
しかし、男は私を愛していると言いながら、私の愛を信じていないのでは?
私は籠の中の鳥。
翼をもがれた鳥。
霊夢は、男に捕らえられてから毎日、何不自由ない生活を送っていた。
しかし、限られた空間の天国よりも、無限に広がる幻想郷の自由を、霊夢は欲した。
これも、何者にも縛られない、霊夢の気質によるものか。
ご飯だよ、霊夢♪
男の声と手料理の香りで、霊夢の夢想は強制的に終了された。
男の手料理は、相変わらず美味かった。
霊夢から、知らないうちに笑みがこぼれる。
気が付けば、男は霊夢を見て微笑んでいた。
このまま、男のモノとして、牢獄で過ごすのも悪くないかも……。
霊夢は、男に衣服をひん剥かれ、肢体を好き勝手されながら、ボンヤリとそう思った。
結局この日は、男に対して泣き喚くことも、無駄な抵抗もする事無く、安らかな眠りに就いた。
男は、己が手中で眠る霊夢の無垢な寝顔を見て、悦に浸った。
あぁ……、可愛いなぁ、霊夢。
いつまでも彼女の温もりを感じていたいが、いい加減にしないとな。
男は霊夢の裸身をそっと横たえると、彼女を起こさぬように、丁寧に、清潔な衣服を着させた。
男には惚れていた女性がいた。
女性も男にゾッコンだった。
相思相愛だった。
先程から過去形であるのは、
その女性は、今はいないからである。
男は悶えた。
あの女性(ヒト)の喪失に泣き濡れた。
だから。
だから、この寂しさを愛に変え、
あの女性と同様に愛していた、
博麗 霊夢(このコ)にたっぷりと濃厚なヤツを注ぎ込んだ。
霊夢は檻の中で身じろぎした。
周囲に男の姿は見えない。
霊夢は清々した――かと思いきや、
心は暗雲に満たされた。
男と二人きりの生活で、霊夢はすっかり男に依存していた。
男の手料理を食べることに、
男に体を清められることに、
男の太い腕で抱かれることに、
霊夢は安らぎを感じていた事を、否定することはできなくなっていた。
当初の反骨精神など、すっかり萎えていた。
霊夢は、泣いた。
暴れた。
叫んだ。
格子を揺さぶった。
ほら、
男が飛んできた。
男の愛に包まれた霊夢は、
他にも自分を愛してくれている者がいる事を、
思い出しかけ、
どうでも良くなり、
忘却の彼方に追いやり、
男一人を見つめ続けた。
夜。
常人には気取ることはできない、
尋常ならざる妖気が、いずこからか漏れ出した。
霊夢は、パチリと目を覚ました。
眠気の吹き飛んだ視線は、宙を見つめた。
妖気がほんのちょっぴり、滴る場所。
何もない空間。
ぴり……。
空間が、裂けた。
その裂け目から覗く、無数の目、目、目――。
スキマから、一際、薄気味の悪い、ギラついた双眸が、霊夢をじっとみていた。
この怪異に、霊夢は、常人と同様の対応を取った。
すなわち、悲鳴を上げたのだ。
果たして、
霊夢の庇護者。
霊夢を愛する、
霊夢が愛している男が、
手に大振りの肉切り包丁を持って駆けつけた。
霊夢は、いささか頼りない白馬の騎士に縋りつき、泣きじゃくった。
もう、妖気も目玉だらけのスキマも消え失せていた。
何かを叩く音。
何かを叩き切る音。
だんっ!!
だんっ!!
音が止み、程なくして、男が霊夢の食事を持ってやって来た。
もう、昼食の時間だ。
「霊夢、はい、あーん♪」
霊夢は口を開かなかった。
「霊夢、はい、あ〜〜〜〜〜んっ☆」
実際に口を開けて見せた男の間抜け面に、霊夢は思わず笑ってしまい、
その時に開いた口に、男は匙を突っ込んだ。
むぐっ!? ……むぐむぐ。
自分で食べたかったが、男が匙を霊夢によこさないので、そのまま食べさせてもらった。
「はい、ごちそうさま♪」
無言を貫く霊夢の代わりに食事終了の挨拶をする男。
空いた食器を手にして、台所に戻っていった。
だんっ!!
だんっ!!
「あ、そうそう」
音が再開してすぐに、男が再び霊夢の檻の前に来た。
「今夜は御馳走だからね♪」
男は、いつもの気さくな笑みを浮かべた。
血しぶきを浴びた顔で。
血塗れのエプロンを身に着けて。
血脂がベットリの肉切り包丁を握り締めて。
男が台所に引っ込むと、また音が聞こえてきた。
だんっ!!
だんっ!!
………………。
…………。
……。
夜、今日も男の手によって湯浴みを済ませた霊夢は、久しぶりに檻から出された。
静謐な空気に包まれた聖域。
博麗神社。
霊夢は、監禁されていた自分の住まいから久しぶりに表に出た。
清清しい空気。
台所から漂う、美味そうな匂いも混じっていた。
今晩は御馳走だと男は言っていた。
あの『だんっだんっ』という音は、何だったのだろう。
あの男を彩った、赤い、赤い、赤い血は一体、なんだったのだろう――。
霊夢と手を繋いだ男は鳥居をくぐり、長い石段を下り、人里に続く道に出た。
だが男は霊夢を連れたまま、石段から降りた歩を緩めずに道を横切り、
真っ直ぐに正面の林に入り、獣道のような細い道を進んでいった。
しばらく進むと、少し開けた場所に出た。
しんどかったのか、男は手で汗を拭った。
霊夢と繋いでいた手で。
当然、二人の手は離れた。
霊夢は、飛翔した。
男は慌てた。
何か叫んでいる。
しかし、お月様まで届こうかというくらいに舞い上がった霊夢に、
男の声も手も届かなかった。
次に油断したのは、霊夢だった。
ぽすっ!!
霊夢を抱きしめる人影。
霊夢は、この人物の腕と柔らかい何かに身体を拘束され、
あえなく地上へ不本意な帰還を果たすのであった。
男の元に向かう人物。
しかし、男に霊夢の身柄を引き渡すことはしなかった。
空いている方の腕で、男も抱きしめられた。
「ぐ……、ぐるじいぃぃぃぃ!!」
苦しいという割には、男は嬉しそうだった。
そして、霊夢も先程から嬉しそうだった。
「ただいま、あなた。そして、霊夢」
「寂しかったよぉぉぉぉぉっっっ!!!」
「よしよし。あんたは普段から泣き言一つ言わないくせに、っとに甘えん坊さんなんだから」
そういうと、男を放した女性は、豊満な胸をブルンッと震わせながら笑った。
霊夢も女性に抱かれながら、ケタケタと笑った。
「よしよし、霊夢もお空を飛べるようになったんでちゅね〜♪」
「僕も驚いたよ。そんな素振り、微塵も見せなかったから」
二人の愛娘である霊夢も、褒められていると分かっているのか、キャッキャッ♪とはしゃいでいた。
「私が『仕事』で数日留守にしただけでこんなに成長するとは、この娘、将来は大物の『博麗の巫女』になるわね」
この女性――現在の博麗の巫女は、断言した。
女性の良人であり霊夢の父親である男も、それは間違いないだろうと確信した。
「きっとあなたに似て、心優しい巫女になるわね」
「君に似て、美しい女性になるよ」
「あなた達夫婦に似て、掴み所が無くて史上最狂の『博麗の巫女』になるんじゃないかしら?」
夫婦の親バカなやりとりに茶々を入れる女性の声。
幼い霊夢は、母親にしがみ付いた。
空間に現れた隙間からニュッと現れた、胡散臭い金髪美女。
「あんたか、八雲 紫」
「こんばんは、紫さん」
「はいはい、こんばんは♪」
彼女こそ、幻想郷の管理人を勤める、妖怪の賢者と呼ばれる大妖怪、八雲 紫である。
「地底に封印した筈の魑魅魍魎が、聞いていた以上にウジャウジャ湧いて出たから、泊りがけの『作業』になったわよ」
「ごっめーん♪ 地底とは交流がないから、どうしても連絡が後手に回っちゃうのよ。メンゴ☆」
「ごめんで済んだら博麗大結界は要らないわよ!! 当分、博麗神社(ウチ)の敷居は跨がせないからそのつもりで――」
「無事帰ってきた妻のためにささやかなパーティーを開くんで、紫さんも宜しかったらぜひ参加してください」
「あなた!? ヒトの話、聞いてた!?」
全く空気を読まない良人の発言に、巫女は毒気を抜かれてしまった。
カラカラと扇子で口元を隠して笑う紫。
「妻の好物であるスペアリブを、ちょっと多めに準備しちゃったんで、食べきれるか心配なんですよ」
「食う!! あばら肉、私一人で食うから!! こんなスキマ妖怪に骨の一欠けらだってやるもんですか!!」
「あら、ごあいさつね。婿殿、貴方が愛して止まない博麗の巫女に何か言ってくださいな」
「まあまあ、ご飯やお酒は大勢で飲み食いしたほうが美味しいって。なぁ、霊夢?」
父親に急にフられた霊夢だったが、その幼い顔いっぱいに笑顔を浮かべてそれに答えた。
ちなみに、紫が現れてから、霊夢は全然笑っていなかった。
父親の『みんなで食べるご飯は美味しい』との言葉が琴線に触れたようだ。
「あらあら、私みたいなお化けもいっぱい来るかもしれないわよん♪ あなたがご飯にされちゃうかもよ〜?」
紫の脅しとも取れる言葉に、霊夢は大笑いした。
ひとしきり笑った霊夢は、母親の胸の谷間に顔を埋め、そのまま眠ってしまった。
紫は扇子を玩びながら、次代の博麗の巫女になる幼い少女を見ていた。
夜中に、スキマからこっそり様子を窺った紫に感づいた事。
離乳食を食べられるようになったばかりの幼さで、もう歩けるようになり、さらに空まで飛んで見せた事。
この娘、幻想郷の歴史に残る、史上最狂の『博麗の巫女』になる。
博麗 霊夢。
彼女が博麗の巫女を継いだなら、
私自らが、彼女を『管理』する必要があるかも――。
「八雲 紫、何を考えている? 悪巧み?」
「別に。貴女達の娘があまりにも可愛いから、私のお嫁さんにしようかと思っていたのよん♪」
「げぇ……。笑えない冗談よ」
「賢者様の嫁か!! 霊夢、玉の輿だぞ!!」
幻想郷では、同性同士の恋愛、結婚は普通に行なわれている。
紫の『冗談』が現実のものになる可能性は、ゼロではない。
「あなた!? やっぱ、こいつ追い払いましょ!!」
「はっはっは!! さぁて、タレにスペアリブが漬かった頃合だな。炭火で焼いて、みんなで食べましょう!!」
「くすくす、たのしみねぇ☆」
四人は、博麗神社に向かった。
御馳走が待っている!!
加護女 加護愛♪
加護の中の禽は♪
一々出殺る♪
はい、短編、難しいです。
メインをいつものように霊夢にすることしか考えていませんでした……。
締め切り間際まで執筆に時間がかかって、今度はサイズオーバーかよ……。
削る作業がこんなに大変だとは……。
2013年3月12日(火):皆様、評価とコメントを有難うございました。お返事をさせていただきます。
>1様
さぁて……。先代巫女様の旦那様は誰でしょうねぇ?
>穀潰し様
こういう純愛もあるってことです。
>pnp様
親ってヤツは、狂愛を娘にするモンでしょうねぇ。
>まいん様
何者にも縛られない霊夢が監禁されるシチュって、良いでしょ!?
パパはちぃっとばかし親バカが過ぎたようですね。
>6様
ありがと!!(*^v^*)
>汁馬様
私の思惑通りに引っかかりましたね。
私が霊夢を不幸にするとでも思いましたか?
>山蜥蜴様
んっほぉぉぉぉぉぉっ!!!!! 山蜥蜴ったら、ツンデレねぇぇぇぇぇっ!!!!!
まぁ、純愛だって、紙一重の差でストーカーになる御時勢ですからねぇ。
>機玉様
非力な霊夢が依存する男って誰かなぁって考えたら、こうなりました。
まだこの時点では、霊夢のハッピーはエンドしてませんぜ。
>紅魚群様
私の作品は大抵、霊夢が幸せになるか、霊夢を不幸にした蛆虫を地獄に叩き落すかですからねぇ。
こういった環境で育ったから、霊夢は誰からも好かれるようになったという脳内設定が……。
>あぶぶ様
とりあえず、一杯飲れば良いと思うよ。
>12様
あちゃぁ……、ちょっと凝り過ぎたかな……。
まぁ、納得していただけて良かったです。
>ちゃま様
狙い通り!! そうきたんですよ。
>んh様
投稿サイズ限定のコンペですから、使い慣れたネタでイかせてもらいました。
>矩類崎様
脳内麻薬と糞尿を垂れ流して、お楽しみください。
>町田一軒家+様
愛だの恋だのをする輩は、どっかしら狂っているモンですよ。
>17様
霊夢は全てを受け入れる。
(霊夢の本命じゃないヤツにとって)それは残酷な事ですわ。
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/24 15:00:27
更新日時:
2013/03/12 22:02:49
評価:
16/17
POINT:
1330
Rate:
15.06
分類
産廃10KB
博麗霊夢
霊夢を愛する男
監禁
八雲紫
英雄の帰還
そして伝説へ……
霊夢ちゃんちゅっちゅ。
だが、近親姦にしか見えなかった。
霊夢ちゃんかわいい
こうして見ると、親子愛と変態性欲には大した差は無いのかも。そのちょっとした発現の仕方と必然性の差から、社会のフィードバックが違うだけで。
幸せそうな幕引きで何よりです。
博麗ファミリーは過保護が多いですな…。
何だ・・・この気持ちを如何すれば良い???
読後の膀胱が緩むような感じが謎の中毒性を誘発し実に有害文書です。
全ての登場人物の狂い具合が素晴らしいです。