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『産廃10KB「みすちー3333文字クッキング」』 作者: pnp
朝見ている人はおはようございます。昼見ている人はこんにちは。夜見ている人はこんばんは。ミスティア・ローレライです。本日は最速最短で最高の料理を作る術を御教えすることで、何かと気忙しい毎日を送っておられるのであろう皆様の日常を応援しようと思います。どうぞよろしくお願いします。
あまり時間が無いそうなので早速始めて行きたいと思います。もう、鴉天狗さんあまり急かさないで。
先ず、今日の料理に用いる材料の紹介です。
塩、砂糖、御酢……などの調味料その他諸々は、多めに用意しておけば大丈夫でしょう。全部適宜で。量まで明確に提示しなくては何も出来ないあなた達では無い筈です。甘えないでください。自分を信じてあげてください。
続いて御野菜。キャベツは必須。これ以外は特に指定しません。キャベツが苦手な人はこれを機に克服すればいいんじゃないでしょうか。そもそもキャベツ嫌ってどう言うこと? あんな没個性な野菜にどんな不満を抱けるのです?
そしてこちらが今回の主役の食材、吸血鬼です。御名前は? ……答えてくれないなんて無愛想な。レミリア・スカーレットと言う女の子の吸血鬼です。御年人間年齢十一歳。大きな館で何不自由無い生活をしていたお嬢様吸血鬼ですので、発育状態は非常に良好です。しかしちょっと幼過ぎですかねえ。もう少し成長してから食べた方が良かったのでは?
心優しいメイドさんが快く提供してくれたのだそうです。実に快く。交渉に当たった天狗の皆様、本当にお疲れ様です。こんな貴重な食材を使わせて頂けるとは、私はなんと幸福な夜雀なのでしょう。
尚、どうしても吸血鬼を用意出来ない! と言う御家庭の方々は、人間なり、妖精なり、河童なり、好きでも嫌いでも本当にどうでもいいので、とにかく人型の生き物を御用意ください。何でも平気です。そうすれば、今日説明することを応用して、様々な御料理が楽しめることでしょう。一応捕捉しておくと、翼はあった方がいいと思います。お勧めは鴉天狗です。……冗談です。姫海棠さん、そんな怖い顔して睨まないでください。
戯言はこのくらいにしておきましょう。では御料理開始です。よろしくお願いしますレミリアさん。そしてさようならレミリアさん。いただきますレミリアさん。
先ずは部位ごとにバラバラにすることから始めます。これ程大きい生き物を丸々一つの料理にする訳にはいきませんし、より多くの味が楽しめた方が食事は華やかになるでしょう。解体は少々時間が掛かりますから、不安な方は事前にバラしておくといいでしょう。但し事前に行う場合は鮮度の低下にご注意を。
初めに翼を切り落とします。翼から手を付けるのには三つの理由があります。先ず一つ目は、仰向けに寝かせて作業する際に邪魔だから。二つ目は万が一逃走された時の機動力を大きく削げるから。三つ目はなるべく命に関わらない所から手を付けることで、食材に余計な痛みを齎す効果があるからです。苦しめれば苦しめた分だけ食材は美味しくなるのです。御時間のある方は少し殴っておくのもお勧め。休日には家族でリンチしてみるのもいいかもしれません。……あっ、そうそう、この吸血鬼は現在、薬剤でおとなしくしてあります。平常通りだと手の付け様が無いくらい暴れてしまいますので、食材を調理する時はどうにかして動きを封じておくべきでしょう。
翼は骨格が頑丈に出来ているので、切断しようとするとやや手間取るかもしれません。なので、骨格にある程度傷を付けてから、この様にッ、金槌で叩き折るのが効率的です。切り取った翼は後に調理しますから大事に取っておいてください。
次に腕と脚と落とします。腕は手首、肘、肩の順に切ります。余計な痛みを与える為です。ゆっくりすれば与える苦痛は増えますが、今回は時間が無いのでササッと行きます。関節の部分を上手く攻めると、骨の邪魔を最小限に抑えられます。翼程の耐久性は無いので、慣れてしまえばさして手間は掛かりません。ほらこの通り。……おお、なんてうるさい悲鳴でしょう。視聴者の皆様は作業の際、近隣住民の迷惑にならない様に留意してください。
脚も言うまでも無いかもしれませんが、足首、膝、腿の順に。腿は切った際の出血が、うわっぷ……えー、御覧の通りとても多いです。屋内で作業される方は十分ご注意ください。出血多量による食材の絶命を防ぐ為に多少の止血を施すのもいいでしょう。
腕と脚の次は……ちょっと吸血鬼が暴れ過ぎですね。作業の妨げになる程食材が動き回る時は、こうやってッ! 少しばかりッ! 暴行してみればッ! ……御覧の様に落ち着いてくれることもあります。落ち着かない時もあります。殺してしまわない程度に殴りましょう。ん? 家に帰して? なかなか可愛いことを言いますねぇ。いいですかレミリアさん、あなたはもう……あっ、すみません。時間無いのでした。次行きます。しかし本当にうるさい吸血鬼ですね。舌切り落としますよ? 助けて咲夜じゃないわ。あんなメイドとっくに死にましたよ。今頃きっと地霊殿のカバの餌になっています。
ハイ次! 腰を切断して胴を上半身と下半身で分けます。流石にここを一刀両断するのは非常に困難なので、のこぎり状の刃物を用いてゆっくりやっていきましょう。両手足はもう無いので暴れるに暴れられなくなっています。吸血鬼は無駄に生命力が高いので、御覧の様にまだまだ誰かに助けを求められるくらい元気ですが、並大抵の生物なら既に虫の息ですから御安心を。
骨等も一緒にガリガリ削って貰って大丈夫です。はい切れました。わあ、見て下さい。切れ目からどろりと溢れ出して来たこの贅沢な臓物。そして脊椎。絶対美味しいですよ、これは。特にこの臓腑。若い子は中身が綺麗でいいですね。生でもいけそう。腸とかほら、ぷりっぷりですよ。
見惚れている場合ではありませんね。さて、これにて解体は終了です。必要に応じて頭も切り離しておくと、やや鮮度は劣化しますが、作業がより円滑に行えることでしょう。今回は落とします。よいしょー。はい頭を落としました。御覧ください、未だ生きています。何と言う活きのよさでしょう。頭を完全に潰さない限りこの様に吸血鬼は生き延びるのです。自ら全力で鮮度を保ってくれるなんて、もしかしてあなた達ってこんな風に食べられる為に生まれて来たのではないですか?
大変長らくお待たせ致しました。ようやく実際にこれらの食材を調理していく段階へと到達しました。そうです、時間が無いのです。長らくお待たせしてしまった所為で。
先ず手は骨ごとじっくりグリルしましょう。日光を嫌う吸血鬼は骨の発育が悪いのです。よく火を通せば指の骨くらいそのままいけます。
手首より先に関しては、先程切り取った翼の膜の部分で包んで豪快に焼き上げましょう。膜はパリパリ、腕はジューシーに。尚、翼の骨格部分は出汁をとるくらいしか利用方法が無いです。しかもあんまりいい味は出ません。捨ててしまっても構いません。
腿肉はソテーに、脹脛は角煮に。足の部分は足裏の皮を丁寧に削ぎ取って焼いて水分を発散させてから、野菜と混ぜるととても美味しいシーザーサラダに早変わり。この吸血鬼は幼いですからねえ。子どもの綺麗なおみ足は絶品ですよ。
胸の育ちが良ければ創作料理のミルキー肉まんでも作れるのですが、この吸血鬼は致命的に胸が無いので叶わぬ夢の様です。
内臓に関してはもう焼き肉でもやればいいと思います。
紹介しました以上の料理の作り方については、逐一説明している時間が無い為割愛致します。
……何ですか天狗さん? いや、説明しろと言われましても。だから時間が無いと言っているではありませんか! 無茶ですよ、こんな短時間で人体一個を丸々料理する術を教えろなんて! 無理だから私はこの料理の中で一番難儀であろう解体を懇切丁寧に説明したんです!
……と言う訳で視聴者の皆様。ここから先はあなたの腕の見せ所! 今日得たバラバラ殺じ……で無くて解体技術を駆使して素敵なお料理ライフを過ごし、意中のあの人のハートを射止めちゃったり、憎いあいつを晩御飯に変えたりしちゃってください! 健闘を祈っております! バイバーイ!
ほらレミリアさんもバイバーイして。あっ、手が無いのか。
あんまりクッキングしてない。
ご閲覧ありがとうございました。
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>1 お粗末さまでした。
>2 バラバラにされて尚生きてるレミィと睦言交わしながら御料理するミスティアとかも可愛いかも。
>3 射命丸じゃないのでセーフ(キリッ
>4 キャベツは焼き肉に使えばいいんじゃないですかねえって収録後に夜雀が言ってた。
>5 どうぞ召し上がれ!
>6 にっくき肉片!
>7 あ〜いいっすねえ。最近はちと暖かくなりすぎましたが。
>9 レミィが弱いんやない。ミスティアが強すぎるんや!
>10 尻肉おすすめ。
>12 伊達にうん百年夜雀やってないのですよ。
>13 ミスレミは至高。ミスレミ最高。ひゃっほーーー。
>14 よく火を通せば大丈夫です。火を通さない場合は自己責任で。
>15 5000文字くらい書いたってどうせ書きたいこと書けないので始めからこうしてしまいました。
>16 好きだからばらばらにしたいっていうのも幻想郷ではありかもしれない。
>17 僕がもっとテレビを見る人間だったら、そう言う展開も思いつけたかもしれない。無知は悲しい。
>18 まあ裁いただけですしな……私だって目の前で牛とか捌かれても怖いしな……。
>19 ねちょくする以外に未来が無い。料理描写なんて出来ないんです! 何せ私は料理しないから。
>20 ありがとうございますます。
>21 「妹を用いて実際に調理したものがこちらになります」 いいなあそれ。上でも同じこと言われましたがほんとに思い付けなかったのが悔しい。
>22 ギャラの交渉とか、スタッフが美味しく頂きましたとか……?
>23 家計に優しいからミスティアとレミィは結婚するべき。
>24 恐縮です。ありがとうございます。
>25 そこには読点とか表現の微妙な差異で必死こいて文字数調整するpんpの姿が!
>26 キャベツ先輩の行方を知る者は誰もいなかった……。
>27 僕はモツと足を食べたい。
pnp
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/24 21:54:10
更新日時:
2013/03/11 12:28:15
評価:
26/29
POINT:
2450
Rate:
16.50
分類
産廃10KB
ミスティア・ローレライ
レミリア・スカーレット
喋りながら解体って結構難しいのに、この安定感。さすがみすちー。
惜しくむは容量か。
食っちまいたいほど愛おしいさ!! 狂おしいほどの食欲!!
ごちそうさま!!
料理そっちのけで解体するみすちーに惚れます。
これで憎いあいつを肉にできますなw
ちょうどキャベツあるし
料理の説明も実に美味しそうで想像を掻き立てられました。
pnpさんが弱いレミリア書くのってちょっと珍しいですね。
それよりも、お腹すいた。
なるほど理解し難い
薬剤使った食材は妖怪向けなのかな、残念。
スタンダードですが解体シーンを想像すると中々クルものがありますね
この捌き方では正直食欲がわかないというか
臨場感はとてもあったので、解体ショーとしては楽しく読めました
暴力の本質は、非描写にこそ宿るのだなぁと再確認しました。
3分クッキングでは予め用意された物が出ますが
フランちゃんの方が完成品として用意されてたりしたら、もっと素敵かなぁと思いました。
他の部分も詳しく読んでみたいと思いました。
鮮度を活かすのも勿論だけれど、血抜きしてエイジングした肉も良いものです。日本の気候には合わないだろうか。
頭だけ残しておけば、次の日には再生されてるだろうから家計の味方な吸血鬼肉。
文体で時間を意識させられるのは初めてです。これは「声に出して読むべき作品」だと思います。
声に出して読んでみて、この作品の凄さがより一層分かりました(家族には怪しまれました)。
………こんな番組が、この世界でもお昼に放送していればいいのに。
レミリアにはもうちょっとがんばってほしかった キャベツどこいった
やっぱりあなたはすごい。