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『産廃10KB『輝夜「貴女は後悔するわ」』』 作者: ギョウヘルインニ
その日、いつものように神社で魔理沙と霊夢がお茶を飲んでいました。
すると、そこに紫があらわれました。今度は三人で他愛も無い話をしていると結界の外の話が誰とも無くでてきました。
「紫、外には珍しい物が有ったり、売っているらしいが本当か?」
「ええ売っているわ。まあ、幻想郷のほうが外から見れば珍しいものばかりだけれども」
「ねえ、紫。私は外に行ってみたいわ」
最近異変が無くて霊夢は退屈していました。そして、話をしているうちに外に行ってみたくなったのです。
「そう? 霊夢がそういうなら明日にでも外に行かせてあげるわ」
案外簡単に紫は外に出る許可を出しました。それを聞いた魔理沙もそれに続きました。
「だったら、私も外に行きたいぜ」
「あら、魔理沙は駄目よ。あなたは特別じゃないわ」
紫の特別は霊夢が博麗の巫女であるということだけではありません。いろいろな、複雑な感情が混じっているのです。
「な、霊夢だけずるいぜ」
「ごめんね、魔理沙。でも紫の言うことを聞いて」
「ずるいぜ」
でもなんだかそれ以上言うと紫に睨まれて居る気がして魔理沙はそれ以上は言いませんでした。
紫はただ少し笑っているだけなのに、何かそういう気がしたのです。
次の日早速、霊夢は紫に結界の外に出してもらい買い物に行きました。
外の品物が気になる魔理沙は霊夢に何かお土産を持ってきてくれと頼みました。霊夢は心良く引き受けました。
でも、それが生きていた霊夢との最期のお別れになってしまったのです。
霊夢が出かけて、数刻過ぎたあたりのときでした。
暇な魔理沙は神社で石を蹴って霊夢が帰ってくるのを待っていました。
すると、急に隙間が開いて紫が霊夢を胸に抱えて血相を変えて出てきたのです。
なにやら、ただならぬ雰囲気に魔理沙は何かあったと思いました。そして、その何かはすぐに分かったのです。
紫は服が真っ赤でした。そして、霊夢の顔は真っ青でした。
霊夢は慣れない街で買い物途中に車に轢かれてしまったのです。
紫が何か大きなことを察し現場に急いで到着したときにはもう手遅れでした。
後悔を腹の内に溜め込んで紫は、誰かの通報でやってきた救急隊員や野次馬などをその場で薙倒し霊夢の遺体を奪って帰ってきたのでした。
それから、3日たちました。
霊夢の葬式はおこなわれました。
身内の親しい者だけを集めた葬式を紫が開いたのでしたが、勝手に人妖が集まって来たのです。
盛大に泣くものが居たり変な微笑をうかべるもの無表情なものが居たりとそれは異様な葬式でした。
葬式の終わりに、何かに耐えるように紫は急きょ何処から誘拐してきたのか分かりませんでしたが、霊夢に似た子供を新しく巫女にすると発表しました。
その、異様な葬式の中で魔理沙は思いました。自分は死にたくない。
霊夢は簡単に死んでしまって葬式が行われた。
紫も今はああやって悲しそうだけれども、あの新しい巫女が成長したら霊夢のことをきっと忘れてしまう。そして、自分も霊夢のことを忘れてしまうだろう。
忘れてしまわれたらそれはもう霊夢が生きていたことの意味がなくなってしまうと思いました。
多分、みんなから特別な霊夢がそれなのだから自分が死んだらすぐに忘れられてしまうだろうと思いました。
葬式は終わって、各々はそれぞれ帰路にたちました。
そんな、ことを考えていた魔理沙も家に帰ろうとした時のことでした。
帰り道、葬式に参列していた輝夜を見つけました。
あいつは不老不死だったなと魔理沙は思いました。なんでも薬を飲んでそうなったとかいう話です。
もしかして、まだその薬を持っていて分けてくれるかもしれないと思いついて行って話しかけることにしました。
輝夜は永琳を従えて帰っていました。その道中で輝夜は特になんでもなく一言言いました。
「博麗の巫女って言っても人間だったのね。脆いものね」
以前、弾幕ごっこで負けた理由が、霊夢が博麗の巫女だったからと輝夜は思っていました。
しかし、事故で簡単に死んでしまったことについては所詮はただの人間だと思ったのです。
「……姫様、誰が聞いているか分かりません。今は口を謹んで下さい」
「何? 私に命令するの?」
「そんなことはありませんが」
「邪魔だから、先に帰ってくれない?」
いちいち、口うるさい永琳を輝夜は邪険していました。この日もちょっとした気持ちで、ちょっと言っただけなのに注意を受けたと思ったのです。
「しかし、姫様」
「邪魔って、言ってるでしょ」
永琳は仕方なく、その場を後にして帰っていきました。早く、輝夜の視界から消えるため早足で去っていく姿はなんとも悲しい様相でした。
魔理沙は、話しかけるタイミングを見ていましたが永琳がいると邪魔をされそうなので話しかけられず困って居ました。
「よう、輝夜。」
「あ、魔理沙」
「なあ、お前は蓬莱の薬を飲んだんだろ?」
「え? ええ、飲んだわ」
「それ、まだ残ってないか? 私も不老不死になりたいんだぜ」
いきなり本題でしたが、輝夜は特に気にした様子はありません。
「あいにく、全部処分したわ」
「そうなのか?」
本当は嘘でした。永琳や他の従者にも黙っていましたが、永琳の言う罪とかそういうのが良く分からない輝夜はまだ薬を隠し持っていまいた。
そして、魔理沙は信じませんでした。
「だいたい私はもう慣れたけれど、貴女じゃすぐに気が触れてしまうわ」
嘘はつけない性格なのでしょうこれではまだ薬があると言っているようなものです。
「何だって? 輝夜が大丈夫なのに何で私が駄目なんだ?」
「はあ、貴女と私は人として器から違うのよ」
別に本人はそのつもりで言っているわけではないのです。しかし、言い方が癪に触りました。
「器が違うだ? ふざけるなよ。お前が大丈夫なら私も大丈夫に決まっている」
「何? 折角、不老不死は辛いと教えてあげたのに」
「それは残念だったな」
この発言に、輝夜は怒りを感じました。そして、この魔理沙を不老不死にしようと思いました。自身もこれからずっと生きる身なので、魔理沙が不老不死になって後悔したり絶望したりするところを楽しんでやろうと思ったのでした。
黒い輝夜の大きな瞳が暗く輝きました。
「だったら、お望みどおりに不老不死にしてあげるわ」
「おお、頼むぜ!」
「じゃあ、ここで待ってなさい」
輝夜は急いで、永遠亭に戻って隠し持っていた薬をとりに行きました。
「まったく、馬鹿なやつだぜ。ちょっと、挑発するだけで私を不老不死にしてくれるのだからな」
魔理沙は、待って居る途中うれしくてうれしくてたまりませんでした。
そして、程なく輝夜はもどって来ました。急いで戻ってきたらしく肩で息をしています。
「さあ、持ってきたわ」
「酒みたいだな」
酒ビンのような容器に何か液体が入っています。
「これを飲めば、貴女も蓬莱人よ」
「分かったぜ」
魔理沙には何の躊躇もありませんでした。薬を一気飲みしたのです。
「うまい、これうまいぜ」
蜂蜜を薄めたような甘さが口の中に広がりました。
「飲んだわね。これから後悔することになるから?」
「もしかして、不老不死になる過程で苦しかったりするか?」
ちょっと、それは怖いなと魔理沙は思いました。痛いのは嫌です。
「痛くは無いけど、後悔するわ」
その日から10年が経ちました。
不老不死になった魔理沙は、不老不死ならではの楽しみを見つけたらしく危ないことに何の躊躇も無く挑戦して死んだり、お金をもうけるために身体を売って汚れたら自殺したりしました。
そして、復活のたびに面白がりました。そのようなことばかりしていると噂でそれを聞いた輝夜も相変わらず妹紅と殺し合いをしていました。
このころには、魔理沙が不老不死になったという話は郷中に知れ渡っていました。
永琳もその話を聞いて、これはもしや蓬莱の薬によるものだということに気付きました。
確信は持てないものの、実際に不老不死になっているらしくまた魔理沙を後ろから刺して殺し生き返るか確認しそれは確信に変わりました。
考えられることは、輝夜が何かしらこの話に関わっているということでした。
そこで、輝夜に問いただすと。十年前のことを特に考えもなく白状したのです。従者として裏切られて壊れた気がしました。
100年の月日が流れたころには、魔理沙と同年代の人間は皆死に絶えましたが妖怪と付き合っていることが多い魔理沙には全く関係ありません。やはり、輝夜も同じような生活を送っていました。
1000年1万年は当たり前のように過ぎていきまいた。
さすがに、妖怪もそれだけ長くは生きられません。生きているものもいましたが。
10万年、1000万年、膨大すぎる時間が過ぎていきます。紫ですら居なくなりました。
もう、変わらない者は妖精だけでした。結界の外と内は一緒になっていましたが何か変わることはありません。
1億年、妖精すら姿を異形に変えてしまうほどの年月が経っています。
人間といえるのはもう蓬莱人しか居ません。このころから、蓬莱人の4人は一緒に暮らすようになったのです。
なぜ、一緒に暮らすようになったか輝夜の解釈では一人では生きられないと思ったのです。
不老不死のクセしてです。
5億年という膨大な日々のある日のことでした。
「姫様は、もう私無しでもう大丈夫ですね?」
「どうしたの?」
「私は解毒剤を作りました。妹紅で試しました」
妹紅という存在を、輝夜は久しぶりに思い出しました。
ある日、居なくなってそれきりだった妹紅が今さら永琳の話で出てきたのです。
「妹紅は、もう生き返らなくなりました」
「何を言っているの?」
「そして、私も生きるのに疲れました。そして、貴女の従者して生きるのはもう嫌です」
「だから、何を言っているの?」
「そして、飲みました」
永琳は、その場に崩れ落ちて動かなくなりました。輝夜にはそれが何か分かりませんでした。
そして、それが理出来たのは永琳が居た場所に土が出来たときでした。
もう、世界には輝夜と魔理沙しか居ません。
輝夜にとってこの喪失がどれほど大きなものかを知るのにはそれほど長い時間はかかりませんでした。
魔理沙は一緒に住んでいるだけで、輝夜には興味が無いようで楽しそうなこと、楽しいそうなことと毎日いそがしそうでした。
魔理沙は魔理沙だったのです。
10億年が経ちました。
不変に思えた太陽も膨張してきたので二人は火星に住み着いていました。
まあ、住み着きたくて住んでいるわけではありません。
環境の変化で火星が偶々、人間が住める環境になりました。逆に地球は誰も住めない環境になったのです。
その環境のせいで一度死んだ二人は火星で復活したのです。
「はあ、太陽が眩しいぜ」
相変わらず、魔理沙は魔理沙でした。何も無いところから何かを見つけてそれを面白がったり、怖がったりと何かと刺激があって楽しく過ごしていました。
「死にたい、死に、死に」
「はぁ? また、それかよ輝夜はそればっかり3億年位言っているじゃないか。あれ? 3日前だっけ?」
永琳に裏切られて、輝夜の心はどこかおかしくなってしまいました。長い黒髪を食べてみたり爪を全部剥がしてお湯で煮たりしています。
そんな、輝夜の行動も魔理沙には可笑しくてたまらなかったのです。
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/25 13:15:03
更新日時:
2013/02/25 22:26:22
評価:
22/23
POINT:
1910
Rate:
16.13
分類
産廃10KB
魔理沙
紫
霊夢
輝夜
永琳
この魔理沙は強い!
前者は克服して、後者は遥か彼方で叶わぬ事を思い知らされた。
……ひょっとしたら、既に知っている外のセカイに憧れた時点で、魔理沙はアレになっていたとか?
この作品を絶賛することをお許しください!
魔理沙は魔理沙だったか、○ねば良いのに。
魔理沙ちゃんが根本の部分で狂いすぎてて恐怖すら感じる…
分かりやすい展開なのに結末が予想できなくて面白かったです。
是非長い話で読んでみたいと思える話でした。
言葉の選びが好きです。『黒い輝夜の大きな瞳が暗く輝きました』が特に。
この話の一番怖い人物は妹紅を奪い輝夜を置き去りにした永琳だったのだと思います。
やっぱりおもしろいですね。
てかこのサイトの霊夢は死にすぎ。