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『産廃10KB 「古明地さとりの洗脳講座」』 作者: 機玉
皆さんこんにちは、私は人の心を読む事が出来るさとり妖怪の古明地さとりです。
突然このような所に連れて来られて驚いている方もいるかもしれませんが、ご心配なさらず、私は貴方達人間にとって必要不可欠な事をお教えする為にこの授業を行わせていただきに来たのです。
貴方達は皆諸事情で身寄りの無い人間ばかりですが、心を深く理解する事が出来る私の授業を受け続ければ人々から慕われ、幸せな人生を送る事も可能となるでしょう。
最初は心という曖昧な存在を理解する過程において非常に有効な洗脳術の手引きをさせて頂きます。
貴方達が私の授業を受けて立派に世に旅立てる存在となる事を切に願います。
さて、本日用います教材が妖精です。
妖精は心と思しき物を持つ存在の中では比較的入手も容易、精神構造も単純で分かりやすく、しかも口から直接心情を聞き出すことが出来る為、洗脳初心者の入門編の教材としてとても優れています。
おまけに例え失敗してしまっても一度殺して自然に還してやれば心身共に万全の状態で復活してくれる為資源が無駄になる事もありません。
皆さんも是非洗脳の練習は妖精で行いましょう。
前置きが長くなってしまいましたね、早速本編に移りましょう。
1.仲良くなる
まず妖精の用意の仕方からですが、こちらは捕獲しても自然にいる妖精にそのままコンタクトを試みても構いません。
ただ、自然にいる妖精は妖精以外の存在を目にすると逃げ出す傾向にあるので捕獲してじっくり洗脳する事をおすすめします。
まず傷つけないように妖精を捕獲したら最初は丁重に扱い、信頼を得る事に努めましょう。
ごく普通に人間関係を構築する事も出来ない人にそれよりさらに難しい洗脳は不可能です。
ここが最初の分かれ目になりますので何度やっても上手くいかない人は洗脳を諦めて今一度自分の周囲との付き合いを見直してみましょう。
とはいえ大抵の人は難なく通過できるはずです。
妖精は単純なので早ければ約2ヶ月、遅くても半年もあれば信頼関係を築く事が出来るでしょう。
あなたの言うことを相手がある程度聞いてくれる程度に仲良くなれたら次の段階に移ります。
2.常識の刷り込み
妖精と仲良くなる事が出来たらいよいよ洗脳への第一歩へと踏み入ります。
ここでまず行うのは「ごく当たり前の事を妖精に覚えさせる事」です。
りんごは甘い、日は東から昇る、火は触れると火傷をする等で構いません。
ここで嘘は教えてはいけません、あくまで正しい事…そうですね、最初の内は客観的に見て正しいことである為に倫理的、道徳的、思想的内容は避けて物理的な事を教えるのが良いかもしれませんね。妖精にとって得になる事を教えてあげるのが最も気を引けて良いでしょう。
あと押し付けがましくなってもいけません。妖精から嫌われてしまっては本末転倒なので、あくまでさり気なく、妖精の気に触ることがなるべく無いように時間をかけてじっくりです。
では何故このような事を行うのかという事についてですが、ここで重要なのは教えている内容では無く貴方達が妖精に正しい事を教えているという事実なのです。
今まで貴方達は妖精にとってただの仲の良い人間でしたが、徐々に妖精達に彼女達にとって正しい事を教えてくれる存在、即ち「教示者」へと認識を作り変えていくのです。
貴方達が言っている事に間違いは無い、貴方達の言っている事は正しい、そのような認識を時間をかけて刷り込んでいき、妖精が貴方達の言うことをよく聞くようになった時、洗脳は次の段階へ移ります。
3.非常識の刷り込み
今度は常識外の知識を妖精に覚えさせる試みになります。
二段階目とは逆に、こちらは人によって異なる価値観、思想等についての知識を刷り込んでいくのが効果を確認出来ると思います。
例えば落ちた食べ物は捨てる、虫は一日一匹捕まえると良いことがある、リボンは身体に5つ以上付けてはいけない等、簡単に出来る迷信等を吹き込んでみるのが良いでしょう。
ここが二番目の岐路になりますね、うまく妖精に下地が出来ていないと妖精といえども簡単には信じてくれません。
しかし貴方達が正しい事を言っていると既に十分信じて貰うことが出来る関係になっているのなら可能なはずです。
妖精と日常を送る中で彼女が誘導した通りに行動するように根気強く対話を続けて下さい。先程と同様強制にならないようにあくまで自然にです。
この段階を乗り越えて妖精が貴方が言った通りの行動をするようになり、考え方を日常に反映させられれば洗脳の完了は間近です。
4.反社会的行動への誘導
最終段階です、この行為は洗脳を完了させるものであると同時に完了したことを確認する為の行為になります。
どんな妖精にも同胞がいて、恐らく親しい個体がいたはずです。それを殺害させましょう。
本来妖精や人間のような社会的な生き物は本能的にも感情的にも同族や近しい者を害する事を避ける傾向にあります。
しかし高度な人格や感情を有する存在は、時に生物的に正常な状態を外れ、これらを行う事が可能なのです。妖精にもそれは当てはまります。
妖精にそれを行わせることが出来た時、貴方方の洗脳は妖精の存在の根幹にまで深く入り込み、本能を捩じ伏せて支配する事が完了したと言えるのです。
ここまで終える事が出来た方は私の元まで報告に来て下さい。ささやかな祝福と共により心を理解する事が出来る次の教材へと手引きしましょう。
「さとり様、何を読んでらっしゃるのですか?」
「ああ、私が以前暇つぶしに書いた本を読んでいたのですよ、まあ私が目の前で説明することを前提としたものなので本というよりメモ書きや教科書に近いものですが。
昔は私もこれを使って身寄りの無い人間の子ども達を相手にして勉強を教える素晴らしい慈善事業を……信じて無いですね」
「明らかに裏がありそうじゃないですか」
「確かに子供達を正しく導こうなどとう崇高な使命に目覚めたわけではありませんでしたけどね」
「それで、その子供達どうなったんですか?」
「大半は挫折したわけですが、一人だけ結構良い適正を示す女の子がいましたよ。
あの娘の才能は素晴らしかったです、人間には色々な者がいますから心を深く解する才覚を示す娘もいるという事なんでしょうね」
「ふーん、一体どんな娘だったんでしょう……」
「貴方もたまに会っていると思いますよ?人の身を超えてさとり妖怪に進化する事まで可能としたのに、私が調子に乗り過ぎてしまったせいで心を閉ざさせてしまったのが残念でなりません」
どうも皆さんこんにちは。
今回は容量制限があっていつもとは勝手の違った執筆でした。
長いssを書くことに慣れているとこれでも10KBに収まらないのか、と躓く事が多々あり、なかなか新鮮な経験になりました。
古明地さとりについては自分の中で一番好きというわけでは無いものの、設定が面白く色々と惹かれるキャラクターだと思っています、機会があればまたメインキャラとして用いて書きたいキャラです。
企画を考えて下さった紅魚群さん、参加して素晴らしい作品を投稿して下さった他の作者の皆様方、そして読んで下さった読者の皆さんありがとうごさいました。
次回もよろしくお願いします。
5月14日コメント返信
大変遅くなってしまい申し訳ありません、コメント返信させて頂きました。
たくさんのコメントを頂きありがとうございます。
>>1
ありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです。
>>NutsIn先任曹長さん
やり過ぎはいけない、さとり覚えた。
>>汁馬さん
結構オチのこいしに驚いてくれる人が多くて嬉しかったです。
>>4
10KBとはいえ少々短かったかな、という気はしました…機会があればこの設定を生かした別作品を書いてみようと思います。
>>霧ケ崎さん
人間の子供だとやり直しが効かないのがネックですが幻想郷なら出来てしまいそうですね
>>紅魚群さん
ありがとうございます、次回作も頑張らせて頂きます
>>7
知的生命体の恐ろしい部分はハマった時の非生物的な所かも知れません。
>>ちゃまさん
他の方もおっしゃられていますが物足りないという意見には少し反省しています、申し訳ありません。
>>んhさん
その通り、さとりにだけは言われたくないですね。
他の人の心ばかり読んでるせいか我が身を省みる事を忘れちゃってていけない娘です。
>>10
ありがとうございます、僅かな会話シーンですが気に入っていただけて何よりです。
>>pnpさん
なんということでしょう
>>まいんさん
口授設定という部分に突っ込んでいただけたのはまいんさんのみでした。
本当にありがとうございます。
>>町田一軒家+
最後のこいしに驚いていただけた方が多かったようで何よりです。
ありがとうございます。
>>矩類崎さん
頑張ればなれるかもしれません。そう、幻想郷なら。
>>15
自分の予想の斜め上をいくロマンチックな発想に感服いたしました。
ありがとうございます。
>>山蜥蜴さん
大丈夫です、さとりならちゃんと後始末も考えていますから。
お褒めいただきありがとうございます。
機玉
http://beakerinsect.blog136.fc2.com/
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2013/02/26 16:38:57
更新日時:
2014/05/18 00:00:46
評価:
16/16
POINT:
1310
Rate:
15.71
分類
産廃10KB
古明地さとり
5月14日コメント返信
シンプルで面白い
あまりにも出来が良すぎて、己の自我まで痕跡を残さずに洗濯しちまったのね。
妖精が"幼女"に変わった本が世に出てそうで怖いです。
オチは意外でハッとさせられました。ただ少し、物足りなかった感もたしかに。次回作も期待しています。
こいしちゃんの出自に繋がってきたのは驚いた。
さとりはすぐ調子乗ってしくじるタイプだよね
そして、妖精を幼女に変えるとこれまた危険な香りが。
最後にこいしが出てくるとは思わなかったです。
アフリカの民兵の親分が欲しがりそうな実用書ですな。
同人誌なんだかエロ漫画雑誌だか忘れましたが、ロリとエロい関係に持ち込むまでを書いた漫画がやけにリアルで犯罪臭に溢れてた(褒め言葉)のを思い出しました。