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『箱』 作者: 霧ヶ崎
※注意!
※エロ要素も、グロ要素もありません。
※ハートフルですらありません。
※現代のお話です。
短編ですのでゆっくり読んで下さいね……♪
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今日も人は死に絶え、生まれてくる。
幸福って、何だろうか。
死ぬって、どういう事なのだろうか。
幾多の疑問が、我々の生活に存在する。
人間たちは、膨大な時間の中で、
生きる価値すらも見出せずにのうのうと暮らしている。
その中で、自分の価値を見出せる事が出来たら。
それは幸福を勝ち得た事になるのだろうか。
『優しい国語 著:上白沢 慧音』第二十一章"幸福とは"より抜粋。
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暑い。 じめじめする…。
夏至だとか、そういうワケじゃないぜ。
だんだん暑くなって来た七月の、
それも寝ている間に我が家にたった一台の
『クーラー』が壊れたのだった…。
「あぁもう!! 何なんだぜ……」
わたしの気分は最悪だった。 それでも、
〜壊れた時は電気屋に電話〜
という鉄則を実行しようとした私の前に、
いきなり恋の迷宮並の壁が立ち塞がった。
「……………まさか取説が消えるなんてな…」
どうしようも無いんだぜ…と言うしかない。
だけど、目の前に広げた紙の山は私の努力の結晶だ。
チラ紙、チラ紙、不採用、不採用、不採用………。
……目に付くのが『入社試験 結果:不採用』
ばっかりというのが余計に腹立つけれど。
ってか、そんなもん捨てろ! 昔のわたし!!
……などと思いつつも 探そうとすると
けたたましい騒音に阻まれた。
『ゆっくり! ゆっくり!ゆっくり!』 時計のアラーム音。
時間はAM9:30を指していた。
「ヤベぇ、バイトだっ!」
どこにも入社出来なかった私を受け入れてくれた、
唯一のバイト先。
遅れるワケにはいかない。
急いで身仕度をし、狭いマンションの一室を後にした。
「やべぇ やべぇ やべえって!!」
こけた。
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私がまだ十(とお)の頃、まだ世界はそれは綺麗に見えた。
豊かな家庭に恵まれており、毎日ケーキを食べたり、
髪飾りをたくさん作ったりと楽しい時間を過ごしていた。
テレビでやっていた、魔法少女に憧れてもいた。
黒いエプロンドレスが可愛かったし、
"マスタースパーク!"と叫ぶなり、
極太レーザーが敵を一掃する少女の魔法が格好良かった。
二年かけて自分で衣装も作ったりした。
予想以上に似合ってしまって驚いたのだが。
こんな生活が続けばいいと思っていた。
ずっと、ずぅぅっと。
けれどもその数年後の人生はそれはもう悲惨だった。
親父の強制退職、それによる親父の心中未遂。
母さんは死に、まだ名もない妹も死に、
私と死に損ないだけが残された。
阿呆に見えるが今のわたしは動けないクソ親父の為に
働かなければならない。
それが自分の食いぶちを稼ぐのにも繋がるから。
自転車で数十分。
バイト先である、幻想運輸に到着。
時間ギリギリだったが、なんとか間に合った私は、
作業着に着替えて仕事を始めた。
何、簡単な仕事だ。
荷物を届け先ごとに分け、トラックに乗せる。
あぁ、贈り物をダンボールに詰める作業もするなぁ……。
クーラー……どうしようかな…。
午前中の仕事は色々と考え事をしているうちに終った。
昼休憩。
私は何時ものように 休憩室の隅でビニ弁喰っていた。
突然、ふと呼ばれた気がしてので振り向くと、
見慣れた顔がある。 同僚の霊夢と、慧音さんだった。
私にいつも声をかけて来る人達だ。 余程暇なのかね。
二人は俺の側に来るなり近くの段ボール
(配送するヤツじゃん!!)に腰掛けた。
「今日もギリギリだったわね、魔理沙♪」
「うむ、今回でもう数十回を超えている」
「色々ありまして……あはは」
「そうか……。私も若い頃は色々やったもんだ。
煙草も吸ったし、酒を一日中飲んでた事もあった」
相当なワルだったよ、と慧音さんは笑う。
私と霊夢はへぇ、と相槌を打った。
今の慧音さんからは想像も出来ない。
「だかな、若いってのはいいもんだ。出来る事が沢山ある」
「はぁ……」
毎度毎度、慧音さんは説教じみた事を言う。
まぁ、正直どれだけ長くても聞いていられる気がしたが、
今日はあっさり 頑張れよ、と言うと行ってしまった。
全く、慧音さんのいう事は色々と面倒くさい。
最近は"聞き流しなら"長時間耐えられるようになったが。
「ねぇ魔理沙、最近近所に新しい飲み屋が出来たんだけど」
「へぇ。どんなのだ??」
「えっと…確か"萃香バー"っていったかしら。
かなりのお酒が置いてあるって」
「ものすごい酒飲みの店なんだな」
霊夢の話に付き合う事にはもう慣れた。
「じゃ 魔理沙、また後でね」
「ああ」
世間話の後、ひらひら〜っと手を振る霊夢と別れた。
時計を見るとそろそろ時間だったので、
俺は胃に残りのご飯を掻き込み、休憩室を後にした。
PM6:00 朝、仕事を開始してから約8時間。
今日の作業も終わりを迎えようとした頃だった。
「何だコレ?」
ふと、私の視界の片隅に残り物の段ボール箱が映った。
一つだけ、それ程大きくも、小さくもないダンボール箱。
だが肝心の届け先を表す紙は、
マジックで塗り潰されたかの様に真っ黒だった。
(おいおい、そりゃないぜ……)
わたしは正直どうしようか迷った。
ここで開けて、
中身の注文書等から送り先を判別出来なくも無い。
が、これがバレるとマズい。 相当マズい。
が、その時私の中では好奇心が入道雲の様に大きくなっていた。
手は自然と小脇に置いていたカッターナイフに向かう。
いざ。
カッターナイフを右手に構え、段ボールを傷つけぬ様、
テープ部分だけを切ってゆく。
ドキドキしながらも無事に作業は終わった。
隙間から作業場の光が通り、箱の中を照らす。
肌色の艶やかなカンバス。
緑のリボンと、綺麗に整った顔立ち。
柔らかそうな二つの膨らみ。
スベスベして肌ざわりの良さそうな丘。
嘘…………だろ………??
箱の中身は胎児の様に丸まった、長髪の女の子だった。
わたしは咄嗟に周りを伺った。
幸い、従業員は各々の作業に集中しており、
此方の様子にも気付いてはいない。
が、再び箱の中身を思い出し、
急に 何かヤバいモノを見てしまったという恐怖心が
わたしの中でとぐろを巻きだした。
「も……元に戻そう…」
取り敢えず箱を端の方に置こうとしたが、
幸か不幸か、業務終了のベルがなってしまった。
それを合図に従業員たちは各々の作業を辞め、
休憩室へ向かい始める。
すると、休憩室の側で作業していた私の姿は
必然的に目に入るワケで……。
「おい、新入り。 何やってんだ??」
「おぃ、まさか届け物をバラしてる訳じゃねぇよな?」
「……紫さんが黙っちゃいないわよ?」
「あははははは!! そんな訳が無いじゃないですか!!
私物ですよ、"私物"。 自分宛てだったんです」
「何だよ、ちげぇのかよ。 ま、そうだよな。
八雲さんは怖ぇからな」
「「んだんだ」」
何とか誤魔化せたものの、
そのまま成り行きで持ち帰ることになってしまった。
何故か霊夢はこっちをずっと見ていたけれど。
まぁ、今度フレンチアリスのパフェを奢って、
それで手を打って貰おう。
しかしながら、はぁ…………重い。
段ボール箱はかなり重くかった。
このままでは自転車に乗らない。
もし乗ったとしても、こけるやも知れん。
だが、会社の前で開けるわけにもいかないので、
仕方がなく電車で帰ることにした。
ダンボールの中身について考えていて、
度々間違えて降りそうになったが……。
まぁ、何はともあれ無事に帰れて一安心だった。
「ただいま〜」
格安マンションの一角。
一つ踏み出すと1DKのわたしの城。
(あ、トイレと浴槽はあるぜ☆)
わたしは早々に着替え、手短かに夕食を済ませて
ダイニングのすみっこでダンボールを前に座った。
死体か、生きた人間か。
どちらにしろ、ヤの付く自営業者たち(任侠さん)に
いつ殺されないとも限らない。
箱の中身を知ってしまったから。
そう思うと気分がハイになってきた。
「……さぁて、お楽しみターイムッ!!!」
(ガバァッ)←段ボールを開ける音。
「…すぅすぅ…」←?
(バタンッ) ←段ボールを閉める音。
うん……………生きてる。しかも黒い翼生えてるし……。
これからどうしようか。
育てようか。 何カップなのか。
初潮は来ているのか。 好みは何なのか。
その時のわたしは、未だ理解していなかった。
少女が、人智を超える扱い悩む烏だという事に。
終。
そして、全てが消し炭となった。
何もない、敵すらいないくうかんだけの世界。
それ、少女が求めた"幸せノカタチ"だった。
紫:「やっぱり人間主体の世界は脆いわね…。
また一から創り直しじゃない。」
「河童さん、河童さんは居るかい?」
「ん?お燐さんだね、久しぶり」
「あぁ、此方こそ。 ってそうじゃないんだよ。
何だい、あのニセ空は!!」
「あぁ、あの試作型 環境創造兵器 かい?
やっぱりクローン兵器はダメだね。
暴走してしまったんで、紫さんが封印したって」
「別世界の段ボール箱にね」
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今晩は。10KBお疲れ様でした♪ 霧ヶ崎です。
今回はビビビッと電波が来たのでノリで
書いてしまいました。
結果、よくわからないモノに。
一応、ボーダー商事を見習って書きました。
10KB投稿作よりは読みやすいと思います。
いやぁ、推敲って大事ですね……♪
いつも御感想ありがとうございます。
おかげさまで頑張って少し書ける様になりました。
それでは、又の機会にお会いしましょう☆
☆霧ヶ崎★
霧ヶ崎
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/03/03 22:43:39
- 更新日時:
- 2013/03/04 07:45:29
- 評価:
- 5/5
- POINT:
- 430
- Rate:
- 15.17
- 分類
- 魔理沙
- 紫さんお疲れ様です
使えない英知の詰まった天使の卵でした。
何だかんだ言っても、現状に勝る幸せ無し、でした。
今度のセカイを飛翔するのは、
黒衣の魔女か、
黒翼の尖兵か……。
放射能は大丈夫なんだろうか
現代が生々しくて少しつらい。