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『少女ハム』 作者: 戸隠
ハムでも食べようかしら。そうさとりは言った。それが悲劇の始まりだった。
さとりは、いつもまにか眠ってしまっていた。そして、目が覚めた。
右手がしびれて動かないものだから見てみると。タコ糸がキツキツと絡んでいた。
「お姉ちゃん起きた? 眠り薬のききめはどう? タコ糸は丁度言い? 熱いけどおいしいハムを食べたいでしょ?」
そこには、無意識でさとりにハムを食べさせたくなったこいしがいた。さとりの腕をお湯で煮てハムにしてくれるらしい。
「ちょっと、やめなさい」
「お姉ちゃんが悪いんだよ。ハム食べたいって言うから悪いんだよ」
こいしは考えた。自分の腕をハムとして煮て食べさせる。でも、そうすると腕が無くなるという原始のことに気付いてしまった。
それに、うでがなくなるとハムを切り分けるとき片方の腕があれば包丁がもてる。けれど、もう片方の手で猫の手が出来ない。
だったら、こいしの腕は使えない。責任はお姉ちゃんが持つべきです。と、こいしは考えた。
ハムは切り分けてあげるのだから。片方の手でフォークがもてればなにも問題ない。
「ハム食べたいけどそれとなにが関係あるの?」
「分からないの? お姉ちゃんがハムになるんだよ。自分の腕を使うから拒絶反応は無いよ」
臓器移植とかで他人の臓器を貰うから拒絶反応が起きるのです。日本は食料自給率が40パーセントも行きません。
だから、さとりは自給自足できる凄い子だ。
「こんなことはすぐにやめて」
「そうだね。痛いのすぐに終わるようにするよ」
うっ血している腕はぐつぐつ煮られる鍋に入れられる為にあった。適材適所、こいしは料理人、さとりは美味しいハムになる。
何が間違っているのか?それに何が問題があるのだろうか?
「すぐとかじゃないて、私の腕を煮ようとしないで」
「え? これだけ準備するのにどれだけ時間かかったと思ってるの?」
時間は全てを解決するかもしれない。今も大切なこの腕失うことは少しの間は辛いけれど。それでも、時間は過ぎて全て忘却の徒について全て忘れ去られていくのだ。
「そういうことじゃなくて」
「じゃあ何? いや、もういいや」
こいしは、それ以上考えることをやめた。自分に与えられた任務は姉に美味しいハムを食べさせれることだ。
香草をさとりの腕に練りこんで、レモンで臭みを消して後はお湯の中に入れる。
「ぎゃああああああ」
「耐えて! お願い。お姉ちゃん」
こいしは、さとりの腕を押さえつけて煮え湯から出ないようにした。
今でたら、駄目だ。あと少しがんばれば美味しいハムになれる。
「痛い、痛いいいいぃっぃぃいぃぃいぃ」
「頑張れお姉ちゃん。お燐は途中で逃げたけれどお姉ちゃんなら出来る。イエス、ウィー、キャンだよ」
米の国の偉い人は、再選されました、いつの話だよ。
筋弛緩剤とか打っておけばよかった。
さとりは、暴れた。暴れて、暴れて、ついに鍋から腕を引き抜いた。でも、もう使い物にならない。半分くらい食べられるぐらい美味しく煮えました。
「グニュううううう」
「こ、こい」
それ以上の被害者はこいしだった。鍋は勢いで腕を抜いたときにひっくり返った。
中身のお湯がこいしに顔にあたり、薄い顔の皮膚が焼けどになってしまった。
「うううう、これが、これ、お姉ちゃん。私、えああ、分かった」
「どうしたの? 早く治療しないと」
こいしは、自分のうでのことなどは後にして最愛の妹の顔を心配しているのに何かこいしは悟ったようだ。
「腕をハムにするから猫の手が出来なきかった。だから、別のところをハムにすればよかった」
「何を言ってるの?」
さとりの、事など無視してこいしは行動した。
おもむろに、にとりを捌くときに使ったナイフを懐から取り出して、顔の皮膚をえぐり剥がし始めた。
「何をやってるの? やめて!!」
さとりは、もちろん止めようとする。でもこいしの意思は絶対だった。顔からどんどん皮膚を抉り出した。血が出るのは、滑って困った。
「んんあああ、おねえ、ハムあよあべんで」
「……」
こいしのハムは出来たのに、食べるはずのさとりは貧血を起こしてその場に倒れこんでいた。
「おか、かっかあたかにお?」
こいしは、もしかして失敗したかなと思い一口ハムを食べてみた。
それはとても、美味しくて何がいけないのかまったく分からなかった。
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/03/07 13:07:29
- 更新日時:
- 2013/03/07 22:38:12
- 評価:
- 5/6
- POINT:
- 530
- Rate:
- 15.86
- 分類
- 普通の話ですよ☆
ベーコンとして燻製されたり、焼き豚としてタレ塗れで炙り焼きにされるさとり様希望。
このこいし、もしかして原作通りの無差別殺人鬼か。
でもさとりんよりこいしちゃんのハムの方が美味しそうだなー