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『べに魔異変』 作者: ギョウヘルインニ
暇なので歌を歌っていた早苗さんは夜の明けないこの日に何か疑問を持っていた。
「これって、異変ですか?」
空が紅い霧に包まれている。なんだか、とても不気味で血が騒いだ。
そして、早苗さんはやはりこれは異変だと思い、愛用の偽お払い棒を持って飛び立った。
「う〜ん、湿度が高くて髪が背中についてべとべとしますね」←霊夢のまね
「……そーなのかー?」
本当は嘘だ。早苗さんの弾幕で毛玉や妖精達が、燃えて脂肪が蒸発しあたりに充満してそれが髪についてべとべとするだけだった。
「こんな、ところにルーミアが居るなんて思いもよりませんでした」
「……めずらしいかー?」
「そうですね。これから絶滅する妖怪になるのですから」
リボンは封印で本人でも触れることは出来ない。でもそんなことは早苗さんには関係ない。高熱の弾幕をいくつも出して、ルーミアに迫った。
回避という概念が無い、この人食い妖怪にはあまりにも荷が大きすぎた。
ルーミアは、被弾して上半身と下半身が別々になった。
「せめてもの、情けです。食べなさい」
「いいのかー?」
早苗さんは慈悲深い、巫女だからルーミアに最後のお肉をあげて異変のありそうなほうに飛び立った。
ルーミアは肉を噛み締めて幸福の中息絶えた。早苗さんは知らないが、ルーミアの死に顔はとても満ち足りていた。
話は進んで湖まで、早苗さんはやってきた。
「おかしいですねこの寒さはおかしいですねえ」
「……うっ? あ?」
「何か言ってくださいよ」
「……あ? ごうっ?」
途中で捕まえた大妖精に、寒い理由を聞いても答えなかった。早苗さんの思うところこの先にチルノが居るのを隠している。
でも、現実は早苗さんのやり過ぎだった。大妖精は早苗さんの暴力によって全身打撲、欠損しているだけだった。
「大ちゃんを放せ」
「あ、チルノさん」
「警告は一度だけだ。もう死ね」
チルノはアイシクル某を発動した。たくさんの氷弾が早苗さんに迫る。尖った氷弾が一度でも当たれば死なないにしても、大怪我は免れることは出来ないだろう。
しかし、早苗さんはまるで恐れる様子は無くチルノの正面に向かって押し込んだ。まるで、正面が安全かのようだった。
そして、偽お払い棒でチルノの腹を一突きした。偽者だといえ、早苗さんが使うお払い棒だ。その一撃で、致命傷を負わせるのには十分だった。
チルノが居なくなると、さっきまで無反応だった大妖精が急に覚醒して逃げ出した。若干回復していた大妖精は様子を伺い隙をみて逃げ出そうとしていたのだった。
「好きに、逃げて下さいね。あ、あれは?」
大妖精なんて小物に早苗さんは興味ない。フラフラ飛んで帰る姿の向こうに紅魔館を見つけた。あそこが異変の原因に違いない。
・紅魔館
バチカン市国と比較するまでも無い面積を持ち、人口は推測するしかない。そして、門番が門を守っている。
「胸の大きさで女性の価値を決ると私は思っているんです」
この話、美鈴は性格が悪かった。実力では万に一つも早苗さんにはかなわない。だから、早苗さんに唯一勝っている胸の大きさで勝負に出たのだった。
「いいえ、女性の胸は形だと思います」
これ以上お互い言葉を交わすことは無かった。美鈴は実力の違いも考えず突進。38式の先に付けた銃剣が早苗さんの肩に刺さった。
「どうですか? 痛いですか?」
「ふふふ、かかりましたね」
早苗さんは銃剣が刺さったままの体勢で、弾幕を出すと見せかけた。そう、それは見せかけで本命は偽お払い棒の先に付けた銃剣で確実に美鈴の左胸を突き刺した。
「ごうふぅう?」
「この私に手傷を負わせたので、私のサインをあげますよ。良かったですね」
早苗さんは自身に突き刺さっていた銃剣を抜いて、出てきた血を治療がてらに美鈴の服で拭いた。
早苗さんの思うところ、早苗さんのサインがあれば天国にいけると思っている。
早苗さんは紅魔館の中に進入、妖精メイドをなぎ払いながら迷った。
「かび臭いですね。ここは何ですか?」
「……うっ? あ?」
「何か言ってくださいよ」
「……あ? ごうっ?」
早苗さんはまたやってしまった。手加減を誤って小悪魔に重症を負わせていることに気付いていない。
それどころか、お茶すらださない小悪魔が気に食わず。みぞおちを殴った。
「そこまでよ」
「あ、パチュリーさん」
「コアになんてことしてるの?」
「そうですよ、この人はお茶も出さないんですよ」
「だって、コアはメイドじゃないもの?」
「……ビタミンだけじゃなく? 脳みそも足りてないんじゃないんですか?」
別にお茶がどうとか関係ない。この異変の首謀者を血祭りに上げればそれで早苗さんは良い。
早苗さんは唯一人の英雄になれればそれで良かった。
唯一人の、現人神になれれそれで良い。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「どうしたんですか?」
「……喘息の発作が!」
早苗さんがそんな妄想にふけっていると、ビタミンが不足しているパチュリーはそのまま腰から砕けて喘息の発作を起こし倒れ力尽きた。
まだ何も、早苗さんはしていなかった。パチュリーだから色々ないたずらが出来ると早苗さんは思っていていたのだが、これではつまらなかった。
「ぎゃああ! 身体がぁ!」
「え? どうしたんですか?」
パチュリーが力尽きたことにより、小悪魔は契約が解けてしまった。こういう契約は普通主人が死んだら魂を貰うとかそういうものだが、小悪魔の場合は違った。
小悪魔の場合は、パチュリーを愛でることにより身体の維持をしているのだった。
「……小悪魔の気配が消えたと思ったらあなたですか?」
「あ? なんですか?」
咲夜さんは時を止めて現れた。凄く怒っているようだ。
「その灰とそこに転がっている死体を誰が片付けると思っているんですか?」
「あ、すみませんねぇ。元、元自機の人に任せるのは悪いですね」
早苗さんは呪いの言葉を吐いた。咲夜さんはナイフを投げるになんの躊躇も無かった。
人食いとか人殺しは、退治されても文句いえないが守らなければいけない何かの為に。
「全てはお嬢様の為に!」
「それ、関係ないですよね」
六重奏のでかなでられる音楽はまだ先だ。
昔と今の自機性能の差は歴然だった。早苗さんに優しく抱かれて、咲夜さんは最期のときを迎えた。
咲夜の死後硬直が始まるころに、レミリアは夜だけど時間が夜になるころに起き出してきた。
「中古だけど、良いメイドだったのに」
「所詮は人間ですね」
「そうね」
レミリアは薄ら笑いを浮かべたが、口元をきゅっとかみ締めて何かに耐えている。
それが、なんなのか早苗さんは分かっているけど、早苗さんには何も関係ない。
「なんだか、私達気が合いそうですね」
「そうかもしれないわね」
「咲夜はゴミ以下ですね」
「それでも、私にとっては大切なメイドだった」
レミリアは吸血らしく身体を蝙蝠に変えて、早苗さんに襲い掛かった。
後日
レミリアは早苗さんが居る神社を訪れていた。
諏訪子がハヤニエにされている神社の境内で、早苗さんはいつものように妄想にふけっていた。レミリアはその早苗さんに近付いて猫なで声で擦り寄った。
「早苗、実は私ね」
レミリアは吸血鬼だから負けてそのまま犯されることなんて今まで無かった。早苗さんは新しい世界をレミリアに教えたのだった。
「何ですか? 妹がいるんですよね?」
「え? ええ、居るわ」
でも、そいつは気が触れているから閉じ込めてある。
「もう一度、パチュリーさんにもあいたいですし。それに、フランさんの方が若いですから話があいそうです」
495歳と500歳、たとえば、11歳と16歳ならばぜんぜん違う。
早苗さんはすりよって来る16歳を蹴飛ばしもう一度紅魔館に行くと決意したのだった。
ある日、レミリアの部屋で咲夜がベットメイキングをしていました。
「ねえ咲夜、こいのぼりって楽しいの?」
それを、近くで見ていたレミリアが最近気になったことを聞いてきました。
「お嬢様、こいのぼりですか?」
咲夜は、手を止めてレミリアの話を聞くことにしました。
「そうよ、こいのぼりよ」
「面白いかどうかは分かりません」
こいのぼり、かつて栄えた文明の文献で咲夜は見かけたことがあった気がした。
「じゃあ、こいのぼりについてなにか分かっていることはある?」
「たしか文献によれば紅魔館よりは高いことはわかっています。そして空中を泳ぎます」
咲夜は、曖昧な記憶を何とか思い出しながら言いました。確かそのようなことが書いてありました。
レミリアは、それを聞いてなんだか気になっていることから興味あることに変わったようです。
「紅魔館より高いなんて、きっと巨大なのね。泳ぐって生き物なの?」
そして、さらに質問しました。
「そうですね。多分生き物です。文献に出てくる真鯉なんか特に大きくてきっと凶暴ですよ」
咲夜の中では真鯉は、東洋の竜というイメージでした。過去の文献には、お父さんと書かれていました。ところが、人間の記憶とは曖昧なのです。
「いいわね巨大で凶暴! 私は、その真鯉を手下にしたいわ」
レミリアの想像でも真鯉は、咲夜と同じイメージでした。
「確かに、凶暴な真鯉を使役するレミリアお嬢様は格好よさそうです」
こうなると、もう歯止めが効きません。どんどん、想像が膨らんでいくのです。
「いけ! 真鯉! 地獄の業火で敵を焼き尽くすのよ!」
「わぁああ! やられたあああ!」
「完璧ね」
「完璧ですね」
レミリアが、想像上の真鯉に地獄の業火を吐き出すように命じたので咲夜もそれに乗りました。
「他には何か違うタイプのこいのぼりはいるの?」
「緋鯉とかいう赤いこいのぼりがいます」
赤いにレミリアが目がないことを、咲夜は知ってます。それはもう赤に嫉妬してしまうくらいです。
それでも、レミリアを思うあまり咲夜は緋鯉の秘密を教えてしまいました。でも、実は別に緋鯉が赤いことは秘密ではありません。
ちなみに、過去の文献ではお母さんなのか子供なのかわからない存在として書かれていました。
「赤、赤なの?」
「はい、お嬢様赤です」
レミリアはここぞとばかりに、目を丸くして喜びました。
「赤いなら、そいつは私の手下にするわ。真鯉は、咲夜にあげる」
「そうですね。それが良いと思います」
予想したとおりだった。ちょっと、咲夜は想像上の緋鯉に嫉妬して服の端を掴んだ。
「他にはいないの?」
「あとは小型こいのぼりが、いるそうですよ」
「小型こいのぼり、小悪魔の仲間かも知れないわ」
小型はつまり小さいことなのです。が、レミリアの身近なところにレミリアより背が大きな小悪魔がいたので何か勘違いしてしまいました。
「そうすると、使い魔なのかもしれませんね」
「式の式ならぬ、こいのこいってことね」
「はい、そうなのでしょう」
二人はそれで、納得しました。レミリアは、どうやってこいのぼりを手下にするか考え始めました。
その後は、咲夜はベットメイキングを再開してレミリアの部屋から出ていきまいた。
考えごとをしている主人の気を散らせて悪いからと足早にさったのです。
そして、その翌日のことでした。
咲夜が朝になったので起きて光を採るために窓を開けてみると巨大な虫取り網が紅魔館より高くそびえたっていたのです「。
咲夜には分かりませんでしたが、まるでそれは、こいのぼりのようにかぜになびいていたのです。
ギョウヘルインニ
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/03/21 16:38:18
- 更新日時:
- 2013/03/31 02:43:17
- 評価:
- 9/11
- POINT:
- 900
- Rate:
- 16.82
- 分類
- 早苗さん
- 紅い霧
ヤツに、弾幕ごっこなどという淑女の嗜みは無かった!!
ただ、蹂躙するのみ!!
それが立ちはだかる敵であろうと、無垢な肢体の幼女であろうと――。
シリーズ物希望
話全体は非常に面白かったのですが、何なんでしょうか。
素敵です