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『魔理沙サバイバー』 作者: NutsIn先任曹長
幻想郷に春が訪れた。
人里の一件の店。
店名が一文字ずつ書かれた看板の一つが傾いているのがチャームポイントの店だ。
春の陽気に誘われたのか、店から一人の少女がフラフラと彷徨い出てきた。
頭髪の左右を鈴のついた髪飾りで縛った、眼鏡の少女だ。
ばさばさっ、と何冊かの書物が少女と共に店から出て、彼女に踏みつけられた。
「あぁぁ〜〜〜……」
欠伸のような声を上げた少女は、こちらに歩いてくる青年に気付いた。
少女は片方のレンズを眼球ごと無くした眼鏡越しに、彼を隻眼の白目で見つめた。
「おぉおおぉぉぉ……っ」
少女は嬉しさに歪めた口元から涎と胃液を零し、彼の元へもたもたと、しかし確実に歩を進めた。
ずる……ずる……。
ブーツを履いた足を引きずる少女。
青年も彼女の元へ歩み寄ってきたこともあり、少女は後一歩で彼の首筋にむしゃぶりつける距離まで近づけた。
斬ッ!!
刀の一振り。
ットン!!
彼方に何か落ちた音。
首なしの少女が青年の前まで歩いてきた。
刀を持った手で強めに少女の薄い胸を突き飛ばしたら、ぱたりと倒れた。
仰向けに倒れ、痙攣以上の動きができなくなった少女の身体を検分する青年。
「屑、か……」
少女の血と胃液で赤と黄色のまだらに染まったエプロン。
胸元にローマ字で、
『K**UZU』
とあった。
オオ……ン。
オォオ……ン。
きゃぁぁ……。
……れかぁ……。
助け……。
ウォオォォオオ……ン。
タァァァ……ンッ!!
タンッタンタァァァァァ……ンッ!!
喧騒、唸り声。
そして、銃声。
青年は、最後の音がした方を見た。
先程の少女『だったモノ』と似たような連中も同じ方角、または青年へ向かっていた。
抜き身の刀を持った青年は、なおも銃声が轟く建物へ向かって走り出した。
斬、斬、斬ッッッ!!!!!
人間だったモノ共の頭、手、足、胴体が、
まるで草のように刈られていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うわぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
「待てッ!! 撃つな!! 僕だ!!」
突如現れた青年に、小ぶりのライフル銃らしき武器を向ける、半狂乱の少女。
青年の大声と大げさな身振りで、何とか発砲は堪えたようだ。
「こ……、こーりん?」
「そうだよ、魔理沙。とりあえずその鉄砲を下ろしてくれないか?」
黒白エプロンドレスに三角帽子の、いかにもな魔法使いのナリをした少女――霧雨 魔理沙は、銃を抱えたまま窓際に移動した。
眼鏡をかけた銀髪青年――森近 霖之助――魔理沙は彼の店の屋号から『香霖』と呼んでいる――も、魔理沙の側に行った。
ここは人里にある雑居ビルの三階。
霖之助は、今魔理沙が外を窺っている窓からの銃撃を発見したので、ここまで外の非常階段と梯子を使って馳せ参じたのだ。
「一体なんだってんだ……。外には変なのがウロウロしているし、魔法は使えないし……」
魔理沙は苦々しい表情をそばかすの浮いた、口を開かなければ美少女で通る若干幼い顔に浮かべた。
タタタタターンッ!!
愚痴りながら、魔理沙は銃を適当に乱射した。
バタバタと倒れる『変なの』。
何体かは、ムクリと起き上がった。
『M2カービン。M1カービンに30発の箱型弾倉を採用すると共にフルオート射撃機能を復活させたモデル』
魔理沙の銃を見た霖之助の脳裏に、彼の持つ『道具の名前と用途が判る程度の能力』によって、それの情報が浮かび上がった。
しかし悲しいかな、霖之助はM1カービンを知らなかった。
「香霖、銃弾(タマ)取ってくれないか。そこのカウンターの奥」
銃口と共に外を向いている魔理沙は、左手の親指で自分の背後を指した。
受け渡しの所だけ空いた鉄格子の嵌ったカウンター。
そこの中に通じる鋼鉄の扉がこじ開けられていた。
「この部屋は一体何なんだい? 何かの店のようだけど?」
「故買屋なんだよ。よくここで盗ん――借りた品をちょっと預けて金を融通してもらってたんだ」
だから魔理沙は店の売り物に武器があることを知っていて、ここに立て篭もったのか。
「……魔理沙、これも売ったのかい?」
霖之助の冷えた声にギョッとした魔理沙は振り向いた。
「え!! あ、あぁ、ちょっとそこに置いただけだぜ。手が塞がってたモンでな」
魔理沙は手にした騎兵銃の他にも、何丁かの拳銃をホルスターやエプロンドレスのポケットに突っ込んでいた。
魔法の使えない今の魔理沙にとって、霖之助がカウンターの上に置かれているのを見つけたミニ八卦炉は、お荷物でしかなかった。
霖之助はミニ八卦炉を腰につけた物入れにしまうと、改めてカウンター内を見渡した。
幾つもの引き出しが開け放たれ、
床には香霖堂にある物よりも新しいレジが打ち壊されており、
金庫は扉部分が花びらのように切り開かれて解錠され、中身の書類と空の宝石入れが散乱していた。
この騒動に便乗した賊に略奪にあったのだろうか?
いや、だったら大量の武器弾薬を残していくわけがない。
霖之助は泥棒が誰か目星がついていたが、それには触れずに銃弾が散らばっている棚を見た。
先程の能力でM2カービン用の弾丸を知っていたので、魔理沙に尋ねる事無く.30カービン弾の箱をいくつか手にして戻った。
霖之助が窓際に立つと、魔理沙は椅子に座り、銃を背もたれに引っ掛けると、空になった弾倉に霖之助が持ってきた弾を込めだした。
「このビルは、さるスジモンの根城でさぁ」
魔理沙は霖之助が聞いてもいないのに話を始めた。
「ここにあるモンなんか目じゃない、幻想郷をひっくり返せるほどの、外界製や河童が密造した武器がたんまりあるそうだぜ」
「その武器はどこだい?」
外を見たままの霖之助の質問に、魔理沙は笑った。
「噂じゃ、一階に武器庫があるそうだぜ」
霖之助は、側に置いてあった双眼鏡で眼下を見た。
蠢くヒトだったモノ共。
連中の足元に散らばる金色の薬莢。
SF小説に登場しそうな、樹脂を多用した小銃や短機関銃。
それらを手に持ったモノが、使うわけでもなく、他の連中と徘徊していた。
「取りに行くのは、ちょっと面倒だね……」
「だろ? だから聡明な魔理沙さんは、勝手知ったるこのお店にお邪魔したんだぜ」
えへんっと胸を張る魔理沙。
霖之助は、魔理沙の薄い胸など見ていなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霖之助は、愛用の刀――『霧雨の剣』を握ると、窓から身を乗り出した。
「お、おいっ!? 香霖!? 何するつもりだ!?」
霖之助はちらと魔理沙のほうを振り返って言った。
「ここから出るのさ」
え!? と魔理沙が漏らしたときには、
すでに霖之助は、飛び降りていた。
慌てて窓から下を見る魔理沙。
ヒトだった化け物で埋め尽くされた大地に道ができていた。
霖之助が刀を振るうたびに連中は切り裂かれ、道が切り拓かれていった。
「こ、こうしちゃいられないぜ!!」
魔理沙は持てる限りの武器弾薬を身に着け、金品が詰まってズシリと重いズタ袋を担ぐと、窓から縄を降ろして滑り降りた。
「おーい!! こーりーんっ!! まってくれーっ!!」
生へと繋がる一本道。
魔理沙は先を往く青年の背を追いかけた。
タターンッ!!
霖之助の背後から銃声がした。
彼が拓いた道は、命の無い人々によって埋められようとしていた。
魔理沙の銃が号砲となって奴等が殺到したため、生命線を埋め立てる速さが加速した。
馬鹿な娘だ。
「ひぃ……、ひぃぃ……っ!!」
ターンッ!!
タタタタターンッ!!
カチッカチッ。
「ひぃぃぃぃっ!!」
M2カービンの弾倉に込められた30発の銃弾を撃ちつくした魔理沙。
「アァァァアアアアァッッッ!!」
大口を開けて喰らい付いてきた化け物!!
「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
魔理沙は小娘のような――実際に小娘なのだが――悲鳴を上げ、化け物の顔面にカービンを投げつけた。
「!! しまっ……」
今更、手放した銃を取りに戻れない。
どの道、弾倉を交換している時間も無かった。
魔理沙は、人様の住居に無断で潜入して死ぬまで物を借りるために習得した匍匐前進でヒトの成れの果ての足元を這い進み、何とか『道』に出られた。
道の先に、霖之助がいた。
さらにその先に、
我等が救世主、
博麗の巫女様、
博麗 霊夢が手招きして待っていた!!
「霖之助さん!! こっちよ!! 早くっ!!」
霊夢が叫ぶほうへ、霖之助は走った。
半人半妖の身なので耐久力は人間よりはあるが、流石にくたびれてきた。
だが、眼鏡の奥の瞳には、絶望のかけらも見られなかった。
霊夢の待つ場所への行く手を阻む化け物の壁が厚くなった。
「う、おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!」
霖之助の咆哮!!
ぶつ切りざく切りさいの目切りになった『壁』が宙に舞った。
霖之助は走り、崩れ落ちた。
『霧雨の剣』は地面に落ちたが、
霖之助の身体は、霊夢に支えられた。
ぼどぼどぼどぼどぼどっっっ!!!!!
ようやく、『壁』の残骸が降ってきた。
「す……、すげぇぜ、こーりん!!」
魔理沙は感嘆の声を上げた。
「お、おっと!! 私も急がないと!!」
パーンッ!!
魔理沙は拳銃を撃ちながら、『壁』が崩壊し、霊夢と霖之助が抱擁している安全圏へと、疲れた身体に鞭打って走り出した。
ふらり。
また一体、魔理沙の行く手を阻むモノがあった。
「邪魔だぜっ!!」
パンッパーンッ!!
魔理沙はそれに発砲した。
が、それは揺らめいただけで倒れるに至らなかった。
「ちっ!! 元・妖怪かっ!?」
元・人間と違い、妖怪だったモノは矢鱈と頑丈なのだ。
人里なのでそれほど数はいないのだが、魔理沙はその希少価値の高い化け物に遭遇してしまった。
弾切れになった拳銃を捨て、別の拳銃を取り出す魔理沙。
そいつは、魔理沙の見覚えのある妖怪『だった』ようだった。
ふさふさした大きな尻尾。
腰に下げた、血塗れの帳面に割れた徳利。
生前の小ズルそうな笑みの代わりに『飢え』の感情をむき出しにした顔。
頭上にある、獣の耳と葉っぱ。
あれ、どこかで見たヤツだな……?
パパパパパパーーーンッ!!
確か、真夜中にやっていた、付喪神と狸のパーティーの主催だっけ……。
倒れ伏した元・妖怪を踏みつけながら、魔理沙はそこまで思い出し、
今は思い出に浸っている場合ではないと、全弾発砲した銃を捨てて、また別の銃を掴むと走り出した。
あと5メートル。
霊夢と霖之助が魔理沙に気づいた。
あと4メートル。
背後の『道』は、大挙して押し寄せた化け物共で埋まった。
あと3メートル。
魔理沙は何体か、元・人里の住民を撃ち倒した。
あと2メートル。
霊夢と霖之助、それに幻想郷の有力者達の姿がはっきりと見えた。
あと1メートル!!
魔理沙は、跳躍した。
ぐしゃっっっ!!!!!
そして、見えない壁に、顔面から激突した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どさっ。
「ひぎぃ……、いだいぃぃぃ……っ」
倒れた魔理沙は、鼻血を垂れ流す顔面を押さえた。
「……結界?」
手で触ってみる。
バチッ!!
火花と軽い痺れ。
間違いない、結界が張ってある。
そりゃそうだ。
そうじゃなかったら、人里住民の成れの果てが跋扈する場所から僅かに離れた場所で、幻想郷の重鎮達が余裕ぶっこいていられるわけがない。
「おーい!! 霊夢ぅ!! こーりーん!! ここ、開けてくれよぅ!!」
だが、霊夢も霖之助も魔理沙を見ていなかった。
当然、魔理沙の背後に迫ってきている化け物の大群もだ。
「霖之助さん、探し物は見つかった?」
「ああ」
霖之助はそう言って、物入れからミニ八卦炉を取り出した。
「あぁーっ!! 私の八卦炉!!」
魔理沙の叫びは無視だ。
「魔理沙に『死ぬまで貸しておいた』んだけど、『処理』を行なった後だと、これも無事じゃすまないからね」
「ええ、跡形も無くなるわね」
八卦炉を玩びながら、霖之助は霊夢と剣呑な話をしていた。
「お……、おい……、お前等、何の話、してんだよぉ……」
笑みと絶望をない交ぜにした表情の魔理沙。
ようやく霊夢が魔理沙のほうを向いて答えた。
「ゴミクズの処分についてよ」
魔理沙は、キレた。
「うっっっがあああああぁぁぁぁぁっっっ!!!
殺す!! 霊夢ぅ!! 殺してやるぅ!!
こーりん!! お前も!! そこにいる連中もっ!!
全員ブッ殺してやるぅぅぅぅぅっっっ!!!!!」
魔理沙は二丁拳銃で、
霊夢を、霖之助を、その他の安全圏にいる連中を、
撃った!!
撃った!!
撃ちまくった!!
一発たりとも結界を越えられなかった銃撃に対する反撃は、
一同の冷めた視線だった。
オォォ……。
グルルゥ……。
アァ、アァァァァ……。
魔理沙のすぐ側に迫ってくる、無数の呻き声。
先程の銃声を聞きつけて、団体でお出ましのようだ。
「ひっ……!? い、いやぁ……」
カチカチカチンッ!!
魔理沙は集まってきた化け物共を撃とうとしたが、両手の拳銃は撃ち止めだ。
「や、こないで、こないでよぉぉ……」
両手からふるい落とすように拳銃を捨てると、魔理沙はまた別な拳銃を取り出して撃った。
パンッ!!
パンッ!!
命中精度は、先程までと比べると、格段に落ちていた。
すぐ側まで化け物は迫っているのに、銃弾は明後日の方向に飛んでいった。
カプリッ!!
「へ? ……ぃ、痛ぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
いつの間にか這いよった元・人間が、魔理沙の腕に噛み付いたのだ。
手から落ちる、まだ弾の残っている拳銃。
あっという間に押し寄せる化け物共。
「いやああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
帽子が弾き飛ばされた。
エプロンを引き剥がされた。
ズタ袋を毟り取られ、中の宝石や金製品、紙幣が撒き散らされた。
衣服が引き裂かれ、魔理沙の幼さの残る肢体が露になった。
「ひぃぃ……、見ちゃいやぁぁぁ……」
魔理沙の乙女な懇願など聞いちゃいない連中は、なおも彼女を蹂躙した。
ドロワーズをずり降ろし、小さなヒップの肉を齧り取られた。
「いがぁぁぁっ!! おしり、たべないでぇぇぇぇぇっっっ!!!!!」
ピンクの乳首が愛らしい二つの控えめな胸のふくらみを握りつぶされた。
「おごオォォォッッッ!? おっばい゛がぁぁぁぁぁっっっ!!!」
そして、
ジョボジョボと失禁を続ける魔理沙の股間。
魔理沙は両足を化け物が齧っているせいで大股開きになり、無毛の秘裂が聖水を迸らせているのが丸見えである。
「あ゛……、あ゛ぁぁ……」
全身を食われて激痛すら感じなくなった魔理沙は、彼女のションベンを顔に受けている化け物が何をするか悟り、恐怖していた。
大口を、人間の限界を超えて開ける化け物。
その中に注がれる小水。
だが、生憎と、ヤツの欲しているものは飲み物ではなく、食べ物だ。
バグンッ!!
虎バサミの如き顎で齧り取られた、
魔理沙の股座。
「あ……、痛い……。
あ、はは……。無くなっちゃった。
私のおマ○コ、食べられちゃったぁ……。
もう、セックスもオナニーもできないやぁぁぁ……。
もう、赤ちゃんも生めないわぁぁぁ……。
は、ははっ!! 痛い、いろんな意味で、痛いぜぇぇぇ……。
痛い……、痛い……、痛い、痛い、痛い、痛いっ!!
いたいいたいいたたたたいたいいたいいいたたいいいいたァァァァァァァァッッッッッ!!!!!!!!!!」
ガブリッ!!
辛うじて無事だった魔理沙の顔面も食われ、
悲鳴は途絶えた。
ガブッ!!
ゾブリッ!!
アムッ!!
ムシャムシャ……。
クチャクチャ……。
ハフハフ……。
ガツガツ……。
ゲフゥ。
………………。
…………。
……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
惨劇の舞台となった人里の一角。
そこを隔離している結界の外。
「スター、まだいる?」
霊夢は、彼女の助手を務める光の三妖精の一人、スターサファイアに聞いた。
「はっ、はい!! も、もう……、あの中には……、『生きた』人間及び妖怪は、い、いませんっ!!」
青ざめた顔をして、つっかえながらも、スターは報告した。
「お燐、青娥、術を解いて」
「はいよ!!」「かしこまりましたわ」
火車と邪仙がなにやら念じると、結界内の人間や妖怪だったモノ達は、バタバタと倒れ始めた。
「んじゃ、仕上げね。妹紅、お願い」
「ん……」
「妹紅……」
心配する慧音を一瞥すると、藤原 妹紅は結界の一角に開いた穴から中に入っていった。
数分後、
結界内が、業火に包まれた。
「汚物は炎で消毒するに限るわねぇ」
いつの間にか、霊夢の隣に八雲 紫が立っていた。
「よくもまぁ、こんな大規模な事、考え付くわね。下準備が大変でしょ?」
「それに見合う爽快感を得られますわ」
若干呆れたような霊夢に、にこやかに答える紫。
幻想郷の大掃除。
紫はそう銘打って、幻想郷の各勢力に通達を出した。
ゴミクズを、指定した場所に集めること。
犯罪者、無駄飯喰らい、将来的に幻想郷に仇をなすであろう不満分子や利己的な能力者。
ここで言う『ゴミクズ』とは、そういった連中を指す。
人里では区画整理の名目で、今回『ゴミ処分場』に選ばれた、ならず者の吹き溜まりになっている地区から一般住民を退避させた。
昔から人里に住んでいる幻想郷の癌となりうる者達は、家や店ごと『処分場』に移動させ、最初からそこに住んでいるように歴史や認識を改竄した。
そして、処分の日。
青娥とお燐が操る屍霊を『処分場』に解き放った。
お燐担当の屍霊が混乱を巻き起こし、『ゴミクズ』を『感染者』に変え、
青娥担当の屍霊は、知恵の回る『ゴミクズ』が組織だった反抗をしないように、生者の振りをしてその可能性を潰した。
貴重品を紛れ込ませた一般人がそれを回収するまで作業を中断するトラブルがあったが、恙無く消毒作業は行なわれた。
結界内の灼熱地獄を、烏天狗の記者が一心不乱に写真に撮っていた。
彼女もあの中に入れられる候補に挙がったそうだが、異変解決の功績やらで、無事、除外されたそうだ。
無論、このブンヤさん自身はその事を知らない。
炎に向かってお経を唱えているのは、命蓮寺の連中だ。
人里のある能力者とつるんで管理外の妖怪を増やそうとした罪で、寺からも『ゴミクズ』を出していた。
左右非対称の触手のような翼を持った少女は涙を流しながら、山彦顔負けの大声で詠唱していた。
汚物の消毒作業が終わり、
疲れた心のアルコール消毒を博麗神社で行なうことになった。
何人かはそのまま自宅に帰った。
霖之助もその一人だ。
香霖堂。
霖之助はカウンター内の席に座り、目の前に八卦炉を置いた。
続いて工具類を取り出すと、炉の清掃と点検を始めた。
炉の蓋を開け、無駄に高出力を生むキノコ由来の燃料を抜き、内部を丹念に拭った。
一通りの作業を終えた霖之助は、炉に正規の燃料を装填して火を灯した。
暖かな、心を癒す、決してパワーでごり押しをしたりしない光だ。
「おかえり」
霖之助の心の篭った挨拶に、
八卦炉は微笑んだように炎を揺らした。
今回は、漢が地獄のようなセカイに身一つで乗り込み、大事なモノを救い出す話です。
2013年4月21日(日):コメントへの返答追加
>1様
紫様の意思は幻想郷の意思です。
そして、紫様の拳は幻想郷の拳です♪
>ギョウヘルインニ様
霖之助はせめて壊されないように、勝手に借りた魔理沙の許可を取って強化したりしましたけど、気が気でなかったんでしょうね。
>紅魚群様
レディを丁重に扱いました。
産廃流で。
>海様
最近廃れたフレーズですが、今一度輝かせてみました。
浄化の炎でなぁ!! ヒャッハーッ!!
>5様
パクったなんてとんでもない!!
勘当された実家の名を出して断れないようにして、香霖の同意を得て借りたんじゃないですか。
>まいん様
さぁて、どうかのう……。
青娥娘々なら、まるで生きているかのように、飛び掛って首筋に喰らい付きそうなくらい活きの良い処置をするでしょうよ♪
>7様
今回の消毒作業の前、あの地区で特殊なおクスリを売りさばいていた担当の因幡が、売上金の着服を告白した遺書を残して、竹林で首をくくりました。
>矩類崎様
ゾンビ物はゾンビのグロさと並んで、人間の外道振りがウリですからね〜。
八卦炉ハッピーエンド☆
>霧ヶ崎様
猫ロマンサーと邪仙という、2大屍人使いですね。
文の機動力と情報収集能力は、まだ利用価値がありますから。
あの人って誰? 虫の知らせで危険を察知したかな?
>11様
お前の言う通りだ。汚物は消毒すべきだな。
>12様
ぬえ「ぬえぇぇぇん!! 私が幻想郷に連れてこなければ……」
どういうわけかウケの良い、ゾンビマスターペアであった。
2013年5月19日(日):コメントへの返答追加
>13様
一発目のあのネタをやりたいが為に、小鈴ちんにくたばってもらいました♪
クリティカルヒットは、まあ、趣味で☆
あなたもお燐青娥が御好きですか〜。
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2013/03/24 15:46:50
更新日時:
2013/05/19 22:42:42
評価:
13/14
POINT:
1290
Rate:
17.53
分類
森近霖之助
霧雨魔理沙
某貸し本屋の娘
某化け狸
博麗霊夢
八雲紫
ヒャッハァァァァッ!!汚物は消毒だぁ〜!!
処分の対象者は紫の好き嫌いで決めてんだろうなぁ……本当に嫌なババアだぜまったく
八卦炉が可哀想でしたが、最後は幸せになれて良かったです。
扱い的な意味で
魔理沙は適当に扱ってこそ輝くということを再認識しました。
あのゴミクズwwww
それはそうと、邪仙さんがいるなら綺麗な状態で防腐処置してくれませんか?
その狸の御嬢さんで楽しみたい事があるんですよ。
お燐さんと青娥さんのコンビは個人的に相性が良いと思います。
それはそうと、文さん危なかったですね〜。
あれ? そういえばあの人が居ませんね。また幽香さんの処でしょうか??
青娥さん&お燐のペアが何気に格好よくて痺れました。にゃんにゃん。
お燐と青娥というチョイスが結構好みです
魔理沙…南無三