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『大事な者を失った』 作者: ヘルニア

大事な者を失った

作品集: 7 投稿日時: 2013/03/29 12:49:41 更新日時: 2013/03/29 21:49:41 評価: 6/6 POINT: 580 Rate: 17.29
「んんん? 聞こえるか橙」

「……藍しゃま!」

「どうやら、聞こえているようだな」

「お願いします。ここから出してぇ!」

「それは出来ないな」

「そんなぁ」

「お前は私の式だからお前の罪は私が執行しなくては、紫さまに顔向けできない」

「そんな、何のことを言ってるのですかぁ?」

「私が、紫さまの大好物を盗んだことがばれたんだ」

「何ですかぁ! それ、私に関係ないじゃいですかぁ」

「それは、違う! 間違っているぞ橙!」

「えぇ?」

「えじゃない。お前は私の式だから悪い」

「何言ってるんですかぁ」

「紫さまがそれで許してくれると言ったのだ」

「私の価値は一般的に低いことはぁ、わかっていてもぉ。藍しゃまだけは違うと思って居ましたぁ」

「私だって、辛いんだ。でも、私の命に比べればお前を失う喪失感なんて無に等しい」

「……うぁぁ。としか言えないぃ」

「むしろ、これから喪失感を味わうことに何故か快楽を感じてしまうんだ」

「…………」

「静かになったな。納得してくれたのだな。では、電子レンジのスイッチを入れるぞ」

「…………」

「よし、良い子だな橙」

「…………」

「では、スタートだ」

「……! ギニャー!」


 

 そういう夢を橙は見た。そして、悟った。このままでは、藍にいつ殺されるか分かったものではない。

 殺される前に、殺さなければならない。

 隣で、まだ藍が眠っていた。さびしがりやの橙がさびしがらないように隣で眠ってくれていた。

 だが、これは偽りだと気付いてしまった。

 橙だって、藍を失うことは辛い。でも、もしかしたらその喪失感を何処か求めていたのかもしれない。

 橙は藍に馬乗りになった。

「うん? 何だ? うぐう?」

 橙はそのまま枕で藍の顔ごと口を覆い息が出来ないようにした。

  
 足をバタバタ、身体をグルグル仕様とした藍だったが、抵抗したのはそれきりだった。




 橙は藍に殺されずに済んだ。少しさびしいけれどそれも生きているから味わえたことなのだ。

 橙は、溢れてきた涙を拭って、朝ごはんを食べることにした。

 今日だけは綺麗な朝だから、間違って3人分の朝ごはんを作ってしまうかもしれない。


 本当はもう、1人分だけでいいのに。
単三電池
ヘルニア
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投稿日時:
2013/03/29 12:49:41
更新日時:
2013/03/29 21:49:41
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1. 80 名無し ■2013/03/29 22:38:16
紫は紫しゃまはどうしたの?
2. 100 名無し ■2013/03/30 09:35:59
ちぇーーーーん!
3. 100 名無し ■2013/03/31 01:15:53
藍しゃまも橙と同じ理由で紫しゃまを・・・なわけないか
4. 100 名無し ■2013/04/01 07:44:10
橙は幻想郷で1番ひとりぼっちが似合う少女
5. 100 名無し ■2013/05/22 19:06:46
悟った。
6. 100 ふすま ■2014/06/12 18:54:38
一人ぼっちの橙
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