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『アリスくんの悲しいレズキメセックス』 作者: HJ
控えめなノックの音が二つ、屋根を叩く雨音に交じって響いた。
部屋の中に動くものはいない。
まるで人形のような金髪の少女が机に突っ伏しているが、微かに上下する胸の動きで、然に非ずと知ることが出来る。
読みかけのまま眠ってしまったのだろうか、机の上には開いたままの本があり、透明のグラスには無色の液体が残っている。
火の消えた暖炉からは、かつての温もりを微塵も感じることはできない。
再びドアを叩く音。少女は一つ溜息をついて体を起こし、グラスの底に溜まった液体を飲み干すと、訪問者を出迎えることにした。
「……」
「……」
ドアの向こうには、やはり見知ったいつもの人間。
それでも少女、アリス・マーガトロイドは思わずにはいられない。もし彼女が彼女でなかったなら!
無言の逡巡も一瞬で、二人の少女が建物の中へと消え、無愛想な扉が最後に続く。
雨の止む気配は一向にない。
濡れたコートを壁にかけさせ、二人は並んでソファへと腰かけた。
普段の倍の重量に小さな悲鳴が上がったが、気にかけるは誰もいない。
二人の間にしばしの沈黙。濡れそぼった来客が口を開いた。
「シャワーくらい浴びさせてくれないかしら」
「駄目よ」
短く答えたアリスは手早くタイを外すと、自らの左腕を縛り上げた。
もう一人の少女もそれ以上は諦めたのか、あるいは最初から期待していなかったのか、軽く息を吐くと慣れた手つきでオレンジキャップの注射器を開き、白い粉末を中に詰め、水を入れる。
茫として眺めるアリスを余所目に、注射器を弾いたり、押し引きしたりしている。ガラスのたてる軽い音だけが、この部屋の全てだ。
注射器を持ったままで器用にマッチを擦り、針先を軽く炙る。
灯りの落ちた昏い部屋の光も一瞬で、火を消したマッチを灰皿に捨てると、針をアリスの腕へと近づける。
触れる寸前、二人の視線が交差する。長い睫と瑠璃色の瞳に、胸の底から湧いてくる黒いモノを理性で抑え込むと、銀色の針を白い肌に突き刺した。
アリスはシリンジに広がる紅い花を出来の悪い手品のようにじっと見つめている。
花が満開になる前にゆっくりと注射器が押されても、それは変わらない。
針が抜かれた瞬間、ぞくり、と背骨を獣が這い上がって、部屋をぐるぐると回転させた。
髪の毛の一本に至るまで血液が駆け巡り、両手両足は氷に突っ込んだように冷え切っているが、しかし感覚は鋭く空気の手触りすら理解することが出来る。
もし地面に立てば、大地の鼓動さえも感じることが出来るだろう。
ざあざあと降りしきる雨音は、いつからこんなに大きくなったのだろうか?
カーテン越しにシルエットだけを見せる月の光は、まるで灼熱の太陽のごとく輝いているようだ。早鐘を打つ心臓の音は、目の前の少女のものだろうか。それとも――
「シャワーくらい浴びさせてくれないかしら」
彼女の二度目の言葉。今度は答えず、机の上の錠剤を2、3個適当に引っ掴んでアルコールと共に口に含む。
常温のはずなのに、手にしたボトルは燃えるように熱かった。アリスはそのまま目の前の少女にもたれかかると、自らのそれで唇を塞いだ。
「……んっ……、……っく…………んぅっ……、……、はぁっ……」
微かな嗚咽を漏らしながらも、口移しされた液体を胃袋へと送り込んでいく。
唇から溢れたモノが、幾筋かの流れを作る。唾液と入り混じったアルコールが、一筋の放物線で二人を繋いで、すぐに消えた。
頬を濡らした液体を、丁寧に舌で舐めとっていく。再び唇を奪う。唇全体を包み込み、舌で舐めまわす。
互いの心臓の音が、耳の中で鳴り響いている。血液の流れる音も耳障りなくらいはっきりと聞こえる。
耳の中でざあざあと。止むことのない大雨警報。直接脳に木霊する音は、精神をどんどん昂らせるのだ。
背中に手がまわされ、それだけでびくりと体が跳ね上がる。衣服越しに撫でられるだけで、全身が総毛立つのが分かった。
唇が開かれ、舌が突き出される。夢中で吸い上げた。舌を吸い合い、絡め合うだけで、意識がトビそうになる。
「っ……ん……、ちゅ……、――!!」
軽く舌を甘噛みされた、と認識した瞬間、そこから一気に電流が走り、脊髄を貫いた。思わず目の前の少女を強く抱きしめる。
ともすれば無間に堕ちていく脳味噌を必死で繋ぎとめる。全身ががくがくと震えるのが止まらない。止められない。
漏れ出す声も二人の狭間に吸い込まれる。溶け合った舌は、もうどこまでが自分のものなのかも分からない。
口内に流れ込む唾液はアルコールの味。喉を鳴らして飲みこんで、自分の唾液も送り込む。ごくり、と頭の中で何度も反響して、その度に体が熱くなる。熱い。熱い、熱い!
やがてどちらからともなく唇を離した。口から垂れる、誰のものとも知れぬ液体を、音を立てて啜り上げる。
組み敷いた少女はとろりとした眼でアリスを見上げ、肩で息を整えているが、アリスの両目にそれが映っていたかどうか。
「……脱がせて」
消えそうなくらいの大きさで口から洩れた音は、しかしはっきりと聞こえていたようで、アリスを体重がないかのように押し上げて、そっと押し倒す。
顔中を何かが這いずり回る。反射的に目を閉じると、その瞼の上も犯された。目、鼻、口、耳、首筋、頬――。余すところなく舌で蹂躙され、窓から差し込む僅かな月明かりでぬらぬらと妖しく輝いた。
舌を休ませることなく手早くボタンを外し、アリスの衣服を脱がせていく。衣擦れの囁きが鬱陶しい。露わになった乳房に一瞬、手が触れ、身を強張らせる。
思わず奥歯を強く噛みしめ声を押し殺すが、乳房を揉まれ、桃色の突起を咥えられたときには、それも無駄な抵抗となった。
果実を舌で転がし、弄び、歯で挟む。身を捩るが、すでにほとんど力の入らない状態では逃れる術はない。
胸から脳に衝撃が抜けていく。全く手付かずなはずの左の胸までも、じんじんと疼いて仕方がない。
「、っち、もっ、あっ、はぁっ」
体を動かしてもう片方の胸を押し付けた――つもりだったが、実際は僅かに身じろぎしただけにすぎない。それでも伝えんとするところは理解したのか、ずるりと唇が這ってもう一つの乳首を同じように愛撫し始める。
今度は手も使って両の乳房を刺激し続ける。あるいは片手で。あるいは両手で。あるいは再び顔へ。唇へ。
撫でまわされ舐めまわされ噛まれ掴まれ、その度に嬌声をあげる。口腔を犯す細い指を、我も忘れてしゃぶった。
首筋に歯が当てられたときは、このまま血管を食い破ってくれないかしらとさえ本気で思った。血の一滴に至るまで神経が通い、昂っていた。
おそらくそれは凄まじい快楽をもたらしただろう。幸か不幸か、その願いが叶うことはなかったが。
ぐったりとしたアリスから一度体を離し、改めてその姿を見直す。もともと端整な顔立ちの少女であるが、息も絶え絶えで、焦点の定まらない瞳、それまでの行為を想像させて余りある乱れた衣服に、唾液とアルコールの入り混じった液体で煌めく上半身は、例え色欲を断った聖人であろうとも欲情を抱かずにはいられないだろう。
それをどこか冷めた目で見ている自分に吐き気を覚えながら、下半身への奉仕を開始する。スカートをたくし上げると、既にぐっしょりと濡れた下着が露わになる。下着ごしの吐息だけで、喘ぎが漏れ出してしまう。
アリスは手さぐりで蓋の空いたボトルを掴むと、中身を太腿にぶちまけた。燃えるような冷たい液体が皮膚を跳ね回り、感覚を支配する。
アルコールは太腿を駆け降りると、ソファに淫らな染みを描いた。ほとんど空になったビンの跳ねる音が、異様なまでに大きく聞こえた。
「舐めなさい……」
まるで犬みたいね、と、頭のどこかでぼんやりとした考えがちらついたが、すぐに快楽の波に襲われて、そのまま浮かんでくることは二度となかった。
太腿から秘所に至るまで、一心不乱に舐め上げていく。言葉の体を成していない喘ぎ声は、下着を脱がせる僅かの間だけ止むと、更に大きなものとなって空間を支配した。
一舐めされる度に目の前で星が瞬き、ぐるぐると加速して世界を回す。産毛の一本さえも快感を主張し、脳を掻き乱していく。
「あっ、いやっ、ひぃっ! いっ、ぁ、りさっ、……やっ!」
ぴたり。
一瞬、クレバスを蹂躙する生物の動きが止まる。舌が抜かれ、その刺激でまた電流がはじけ飛ぶ。机の上の錠剤を舌に乗せると、転がったボトルの残りを一気に呷って、再び秘所へと向かう。
舌を硬くし、その下の窄まりに向かって一気に突き入れた。
「ひぐっ!? ……あ、はっ、ぁ、ぁ、あぁぁっ!」
アルコールと錠剤が体内で一気に燃え上がる。肛門から焼けつくほど熱く、全身を衝撃が駆け巡る。自分の汗さえも皮膚を弄んでは快楽を与える。
がんがん、ぐらぐら、ぴりぴり、ずきずき。髪の毛を振り乱して泣き叫び、涙と涎が流れ落ちては止まらない。意味のない言葉を撒き散らしては、その反響が全身を蹂躙する。
その痴態をもたらした彼女も、分泌物で意味をなさなくなった下着を脱ぎ捨て、己の秘裂を曝け出す。ひくひくと痙攣を続ける淫唇に奉仕を続けながら、片手で自身を弄り始める。
半ば白目を剥いて気を失ったかのようなアリスだったが、刺激を与えられる度に大きく体を反らし、悲鳴を上げて身悶えする。
やがて少女は満足したのか、秘所から顔を離す。濡れた唇をぬぐいもせず、もう何度目かの口づけを交わす。
舌を絡ませたまま下半身を太腿に這わせる。秘部が擦れる感覚に背筋が震え、これからの行為に対する期待で脳が震えた。
二つの裂け目がゼロになったとき、ぱちん、とアリスの頭で何かが弾け飛んで、そのまま奈落の底へと落ちて行った。
顔を照らす夕日が眩しくて、アリスは目が覚めた。いつの間にかベッドに横になり、服も寝間着へと着替えている。
頭が割れるように痛い。いっそこのまま頭をかち割って、永遠の眠りについた方がいくらかマシになるだろうと思った。
体を動かすのも億劫だったが、夕日を受け続けるよりはと言い聞かせて寝返りをうち、顔を窓から背けると、シーツの上に髪の毛を見つけて、何の気なしに指でつまみ上げる。
つまみ上げた少し長めの髪の毛は、夕日の光を浴びて金色に輝いていた。
それがなんだか無性に悲しくなって、何故か溢れてくる涙の止め方もわからなくて、アリスは枕に顔をうずめて、太陽が落ちるまで一人声もなく泣き続けた。
初投稿です
鉄板アイス食べに行きたい
>>1
(あなたが男性だと仮定して)確かに男性のセックスとの相性はあまり良くない気がします。
ずっと頑張るためにバイアグラも併用すると本当に心臓壊れちゃいそうです。心臓を打つ回数が決まってるとしたら、まさに寿命が縮んでますね。
意外とキメてるのは主婦なんかが多いと聞きますが、さて…
>>2
この手のたのしいおくすりの出所は、やはりウサギさんでしょうか。注射器なんかもたっぷりと横流ししてもらえそうですね。
白兎の手招きとはいえ、彼女が望んだからこそ穴が現れました。残念ですが、同情の余地はありません。
>>3
言われて成程と思いました。至らないところばかりですが、お付き合いいただけたのなら幸いです。
相手は――アリスにとって”彼女”が誰かなんてどうでもいいことなので、明言はしませんでした(一応暗喩しようとはしています…)。いつかはそっちについても書いてみたいですね。
HJ
http://twitter.com/HJ_devanosto
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2013/04/02 03:47:09
更新日時:
2013/04/10 00:10:58
評価:
2/4
POINT:
210
Rate:
11.75
分類
ダメ、絶対。
4/9コメント返信
あと心臓がすごいドクドクいってて死ぬかと思った
アリスは大きなドツボに堕ちていきました。
その先にはワンダーランドなんか無い。
腐臭漂う排水口を、延々と。
快楽と悲しみの涙の雫と共に、ただ、堕ちつづけるだけ……。
結局相手は誰だったんだろう?