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『録神風』 作者: ギョウヘルインニ
何か、博麗神社とか言う神社があるらしい。そして、それが守屋神社の信仰に悪影響を及ぼしているらしい。
だから、ちょっと霊夢を斃して来なさい。
早苗さんは、神奈子に呼び出されてそう言われてしまいました。
そうです。死ねと言われてしまったのと同じなのです。
早苗さんは、その薄い唇を少し噛んで守屋神社から飛び立ったのです。
「あやや、早苗さん。あやや、顔に死相が出ていますねぇ」
「あら、泥天狗の汚泥丸さんじゃないですか」
早苗さんが片道切符の異変解決に出かけてすぐのことでした。霊夢に勝てるわけ無いので、少し震えながら飛んでいるところを射命丸に見つかってしまいました。
偽お払い棒の仕込んであった致死にいたる毒付き吹き矢で、射命丸を射落としたまでは良かったのです。しかし、地上に降りて生死を確認したところ生きていました。
しかも、あややと言って挑発してきたのです。山の妖怪とは問題を起こしたくない早苗さんでしたが、短気なのですぐに挑発に乗ってしまいました。
「泥天狗って何ですかぁ? もしかして、私のことですかぁ?」
「その口調が聞けないようにしてあげますよ」
この口調は、早苗さんと区別をつけるための添加物なのです。しかし、早苗さんはナチュラル志向、自然派なのでこういうのは大嫌いだったのです。
ポリエステル製の服は着ません。
「あややや、早苗さんに出来ますかねぇ?」
「そうやって、余裕で居られるのも、後少しですよ」
そうなのです。そろそろ、吹き矢の毒が回って、その場でグルグル回って泡を吹いて醜く痙攣を起こして最期は皮膚が緑色になって絶命するはずなのです。
「あややや? 何言ってるんですかぁ?」
「そうだ。死んでいく汚泥丸さんに歌を歌ってあげますよ」
早苗さんは何故か歌を歌うのが大好きという設定なのです。そして、歌を歌い始めたのです。偽お払い棒には、ギターの機能もついていますから。独特のアルペジオを駆使して弾き語りです。
独特の妙に脳に影響を与える声です。それで、スペインの国歌を歌い始めました。
「何ですかぁ? その歌ぁ?」
「……どうです? 奇跡でしょう?」
早苗さんは、音痴ではありません。寧ろ美声なのですが、射命丸を初めとした妖怪や人間が聞くと死にたくなるのです。死にたくなるのです。
ついでに言うと、毒が回り始めたのです。
歌にあわせるように、射命丸はグルグル回り始めました。
「あや? やややややぁ?」
「おや、なんだか私の歌を聴いて眠くなったみたいですね」
早苗さんは緑色になった射命丸にそっとやさしく土をかけてお布団にしてあげました。心優しい現人神なんです。
「げ? 早苗さん!」
「あ、ちょっと」
早苗さんは霊夢に、においで見つからないよう川沿いに神社を目指していました。すると、にとりがいたのです。療養中です。
お決まりです。にとりは逃げるんです。早苗さんに捕まれば血を吸われてお化けガッパに変えられてしまうのです。そういう、教育をカッパ社会のお偉い様が受けさせているのです。
「鬼畜早苗さん!」
「だから、何なんですか?」
早苗さんは訳がわかっていましたが、ニヤニヤして分からない振りです。霊夢に殺される前に、弱い者いじめして楽しんでおきたかったのです。
早苗さんは、根っからのいじめっ子でした。幻想郷に来る前は、学校で見えないところを重点的に叩いていました。
にとりは、何の脈略もなく足を撃たれて怪我して療養していますから片足を引き摺っていました。逃げる速度は鈍いです。
そして、水に飛び込んで逃げようとしたときです。水に入ったとたんに感電してしまいました。
簡単なことです。偽お払い棒の効果です。もう、どんな効果なのかは説明する必要はないでしょう。この先、何かあったら偽お払い棒のせいです。
早苗さんは、やさしく水からにとりをすくいあげてあげました。そして、そっと土をかけてあげたのです。なんて慈悲深い早苗さんなんでしょう。
そのころ、椛は射命丸の亡骸の前で座り込んでいました。
「文さん」
誰が犯人かは分かりませんが、必ず見つけ出して復讐してやると誓ったのです。
射命丸かけられていた土に水滴が落ちました。雨でもないのに何ででしょう。不思議です。
さて、早苗さんはマヨヒガに来ました。別に迷っていませんが廃屋があったのです。このまま通過してもいいのですが、橙をいじめてからでも遅くはありません。
すると早苗さんは、橙のことが嫌いでした。突然嫌いになりました。そして、作者はここまで書いて橙は風神録ではないことを思いだしました。もう、このまま行くしかありません。
そのころ、鍵山雛さんはクルクル回っていました。そのクルクルは辺りの空気を集めています。その空気に流れに乗って椛が来ました。
椛は、射命丸が殺されたことを話しました。それを聞いた雛さんは同情して、さらに回る速度を上げました。
しかし、それだけです。椛はそれが気に食わず。乾いた土を投げつけました。雛さんは間接が球体人形のようになっていますから、そこから土が入り込んで動きが鈍くなってしまいました。それきりです。
話は、橙のところに戻ります。さて、まずは橙を呼び出さなければいじめられません。早苗さんはマタタビを取り出して、辺りにばら撒きました。
「藍しゃま? 藍しゃま来てくれたのぉ? ぃい! 早苗ぇ!」
マタタビの匂いをかいで、すぐに橙がお約束のとおり藍だと勘違いして出てきました。そして、早苗さんを見て驚いたのです。
だって、髪が緑で、蛙と蛇の恐ろしい髪飾りです。一瞬で身体がすくんでしまいました。逃げないと駄目なのに、足がまるで象の足のようになってしまいました。
「大当たりです! 早苗です〜。残念でしたね〜。藍じゃ有りませんよ。もちろん、紫でもありません」
どうやって、橙をいじめるか早苗さんは考えます。実は余り派手なことは出来ません。余りやりすぎると、紫が隙間から出てきて酷い目にあわされるかもしれません。早苗さんは藍よりは強いのですが紫よりは弱いのです。
ですが、基本的にやる気が無いので、ちょっとしたいじめくらいなら。見て見ぬ振りです。藍もそんな紫のことを知っていますから、橙が多少いじめられても。それは、自然災害と割り切っているのです。
その自然災害がやってきたわけなのです。
「じゃあ、見えないところでもつねってあげますからね」
「えぇ? やだよぉ」
早苗さんは考えることが大嫌いなのです。そこで見えないところなら、つねってもばれないとすぐさま考えました。
「嫌でもやります。はい、お医者さんに診せるみたいに自分で上着を上げてくださいね」
「おかしいよぉ。早苗はおかしいよぉ。なんでそんなことさせるのぉ?」
その話を聞いて、早苗さんは勘違いに気付いてしまいました。どうせ早苗さんはこれから霊夢に挑んで死ぬのです。
ですから遠慮して、こういう回りくどいことをする必要はありません。たとえここで、橙を殺害してもどっかに埋めて置けば死体が見つかるころには早苗さんは死んでいるでしょう。
だから、早苗さんは橙を殺してしまうことにしました。道連れは多いほうがいいのです。
”早苗さんは自分から迫る霊夢の影に怯え狂っているの居るのです”
「分かってしまいました。これは心理だったんですね。橙さん!」
「な? なにぃ? あれぇ?」
橙が違和感に気付いたときには早苗さんの腕は橙のお腹にめり込んでいました。30cmくらいめり込んでします。早苗さんは手を伸ばして刺したのです。今まで偽お払い棒を使っていましたが素手でもこれくらいは出来るのです。
ゴボゴボ口端から、橙は血を流してその場で崩れ落ちました。
「息をしていません。死んでいる! もしかして、わた、わたしが殺してしまった?」
早苗さんはなんか悲劇のヒロインみたいなことを演じたかったのでそう叫びました。
霊夢に殺される恐怖から逃れるために、作りだした別の人格が橙を殺してしまった。自身は殺したくないのに、別の人格が残虐だったため殺してしまったのです。
早苗さんは、その後。マヨヒガにあるものをいくらか持ちだして出発することにしたのです。
そのころ、椛は復讐の相手が早苗さんだということを知りました。
許されざる早苗さんを探しだし。射命丸へのはなむけに斃すのです。
そして、ついに早苗さんは死に場所に来てしまいました。すでに早苗さんは死兵になっていますから。恐怖はありません。
でも、その割には足はがくがくします。腰は引けていました。もう何も怖くないはずなのになんだか、全身から汗も出てきました。
死に場所の博麗神社から霊夢が出てきました。早苗さんの気配に気付いたのです。
その手には、お払い棒が握られています。臨戦態勢はできているようです。
もう奇襲も適いません。真っ向勝負になってしまいました。
「霊夢さん! 霊夢さんには、恨みは有りませんが。神奈子さんに斃して来いって言われたんです」
「面倒だけど斃されたくはないわ」
「問答無用! 天地無用です!」
「……ワレモノ注意ね」
激しい、戦いが始まりました。早苗さんは偽お払い棒をまるで刀のように振り回します。
霊夢もやはり、お払い棒で同じ用に応戦しました。
「手鉤無用です!」
「取り扱い注意ね」
膂力だけなら、早苗さんの方があります。霊夢は、わきを綺麗に見せるために腕は鍛えていないのです。
お払い棒同士の鍔迫り合いが始まったときには、早苗さんが押していました。
「午前中指定です!」
早苗さんの必殺です。午前中に届かないと、すぐに苦情の電話をしてしまいます。
「ねえ、早苗。別に私達は宅配屋さんじゃないわ」
「あ! そうでした。私は現人神だったんです」
そう言われて早苗さんは、力が抜けてしまったのです。集中が一気に切れてしまいました。
霊夢のお払い棒さばきは的確で、早苗さんの偽お払い棒を巻き上げ飛ばしてしまいました。
手に偽お払い棒が無い事に気付いたときには、早苗さんの目の前にはお払い棒がありました。
「ひぃ! まっ」
「ここまで、来るのにどんな苦労したか知らないけど。残念だったわね」
霊夢はお払い棒で早苗さんを八つ裂きにしてしまいました。
あっけない、終わりでした。
お払い棒に付いた血を払った霊夢は、ガスの元栓を閉め忘れていることに気付き急いで神社に戻っていったのです。
「……遅かった」
霊夢が神社に戻った後に椛は、早苗さんの死体を見つけました。無残に八つ裂きにされています。
結果的に、椛は復讐の相手が死んだことで射命丸の無念が晴れたのですがなんだか虚しかったのでした。
今日も、太陽が東に沈んでいますがいつもその時間一緒に山に帰る射命丸はもう戻らないのです。
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/04/22 15:27:04
- 更新日時:
- 2013/04/23 00:27:04
- 評価:
- 8/9
- POINT:
- 800
- Rate:
- 16.50
- 分類
- 早苗さん
- 鉄砲玉
何もかも手遅れだった。
美しく散って逝った少女達の儚い生の物語でした。
私は、宅急便が指定時間よりも早く来ても怒ったりはしません。ただ、心の準備ができていない……。
毎回なんか戦いの掛け合いが面白い。
その割にこれ以降、偽お祓い棒が大して活躍してないじゃないですかー!!
偽お払い棒が気になりました。