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『しょうちゃんとひじりちゃんがラブラブチュッチュするだけのss』 作者: box
しょうちゃん!
声がきこえたのといっしょに、しょうちゃんは目を白黒させてしまいました。
おへやのドアを開けたとたんに、ひじりちゃんが抱きついてきたのです。
苦しいやら、なにやら、しょうちゃんは声も出ません。やっと手をふって、ひじりちゃんからはなれました。するとひじりちゃんは、悲しそうに目をふせます。
「しょうちゃん、ひじりのこと、きらいなの?」
可哀想に、しょうちゃんはさっきよりも目を白黒させて声を上げました。
「そんなことないよ、ただ、びっくりしちゃったんだ」
「本当?」
しょうちゃんが強く、うん、と言うと、ひじりちゃんはもう、すっかり笑顔です。
言うまでもありません、ひじりちゃんはしょうちゃんが大好きですから。それはもう、うんと。
「ねえ見て、しょうちゃん!」
ひじりちゃんはスカートのはじっこをもって、くるりと回ってみせました。いつもとちがうよそ行きに、しょうちゃんは目を丸くします。
「どうしたの、それ?」
「みょうれんがね、姉さん大好きって、仕立ててくれたの!」
ひじりちゃんが着てるのは、まっ白なワンピースでした。
それはもう、雲よりも、雪よりも、まっ白です。もりやさんのあのやさしい犬だって、こんなに白くありません。
そして何より、同じようにまっ白なリボン、ひじりちゃんの手より大きなリボンのおかげで、長いかみの毛もいつもより光って見えます。
気づけばしょうちゃんもたじたじです。
「どう?かわいい?」
しょうちゃんはすぐには答えられませんでした。ひじりちゃんから目をそらして、あちこちを見たあと、やっとつばを飲みこんで言いました。
「きれいだよ、ひじりちゃん……すごく、ものすごく」
「そう?やっぱり?」
そう言って、ひじりちゃんが笑っていると、またドアが開きました。お茶とお菓子をトレイに乗せた、ナズーリンです。
「やあ、なかよくやってるじゃあないか」
こんにちは、ナズーリンさん、と、まじめなしょうちゃんは言います。
ナズーリンで良いよ、と言いながら、ナズーリンはトレイを二人の前におきました。
「まって、ナズーリン!」
ナズーリンがお茶をコップにいれようとすると、ひじりちゃんは声を上げました。ナズーリンはこまったようにひじりちゃんを見ます。
「どうしたんだい、ひじり」
「お茶はあとで、ひじりがしょうちゃんにいれてあげる」
ひじりちゃん、と、心配そうにしょうちゃんが言います。
でも、ナズーリンは少し目をぱちくりさせたあと、ゆっくりと言いました。
「なら良いか、ひじりにまかせるよ」
ナズーリンはそう言って、またドアから出ていきました。おへやには、また二人です。
「じゃあ、たべよっか」
しょうちゃんは少し困ったようなかおをしてましたが、ひじりちゃんにうなづきました。
今日のおやつは、これまたまっ白なショートケーキです。
「わぁいショートケーキ!ひじりケーキ大好き!」
元気な声をあげて、ひじりちゃんはケーキをほおばりました。しょうちゃんもケーキは大好きです。ケーキをたべるとほら、またすぐに笑顔です。
「おいしいね、しょうちゃん!」
「うん、そうだね、ひじりちゃん」
しばらく、二人はむちゅうでケーキをたべてました。大きなケーキで、お皿いっぱいにあります。
すると、ねえ、と、ひじりちゃんはしょうちゃんをよびました。
しょうちゃんはまた、目を丸くしてしまいます。
「ひじりちゃん、これって?」
「あーんして、しょうちゃん」
ひじりちゃんは自分のケーキから、フォークでさした大きなかけらをしょうちゃんに出してました。
もちろん、しょうちゃんとひじりちゃんは友達です。でも、しょうちゃんはまじめなので、またまたたじろいでしまいました。
「ひじりちゃん、わたしのとひじりちゃんの、同じケーキだよ?」
「しってるよ」
「だから、わたしはいいよ」
「だって、しょうちゃんのこと、大好きだもん!」
しょうちゃんはしばらくなにか、もにょもにょと口をうごかしてました。でも、少しすると、目をつむって口を開きました。そして、ひじりちゃんのケーキをほおばります。
「………おいしい?」
ちょっとしんぱいそうに、ひじりちゃんがききます。
うつむいて目をつむってたしょうちゃん、ケーキをのみこんでしまうと、やさしく笑いながら言いました。
「………うん、おいしいよ」
「どのくらい」
「すごく、ものすごくね」
「それじゃあ、わかんないよ」
可哀想なしょうちゃんは、またこまってしまいました。でも、しょうちゃんはとてもかしこいのです。それはもう、ほとけさまにほめられるくらい。しょうちゃんはまた笑顔になって言いました。
「すっごく、せかいでいちばんおいしいよ。ひじりちゃんのケーキだもん」
ひじりちゃんはうれしくなって、おもわずしょうちゃんに抱きついてしまいました。
ケーキがひっくりかえりそうになって、しょうちゃんは大あわてでした。
さて、ケーキもたべおわりました。するとやっぱり、のどがかわいてしまいます。
「ひじり、お茶いれてあげるね」
しょうちゃんが、うん、とうなづくと、ひじりちゃんはお茶のビンをもちました。
「きをつけてね」
こんどはひじりちゃんがうなづく番です。なにせ、お茶のビンはとってもおもいのです。ナズーリンが二人のために、うんとお茶をいれてくれましたから。
ひじりちゃんはナズーリンのまねをして、コップをもちあげました。そのままビンも、もちあげてお茶をいれるのです。
ですが………
「きゃあ!」
ひじりちゃんは、うっかり手をすべらしてしまったのです。
お茶は、まっ白なワンピースの上にたくさんこぼれてしまいました。ひじりちゃんはだいじょうぶ、でも、まっ白なワンピースの上には、とてもとても、大きなあとがついてしまいました。
「だいじょうぶ?ひじりちゃん!」
まずすぐに、声を上げたしょうちゃん。でも、ひじりちゃんはへんじができません。
「ああ……どうしよう……ワンピース……お茶……ナズーリンにおこられちゃう……!」
「ナズーリンは、このくらいじゃおこらないよ」
「でも、……でも……」
しまいに、ひじりちゃんは泣き出してしまいました。大きななみだをポロポロこぼして、すすり泣いています。明るく笑っていた顔は、なみだでくしゃくしゃです。
しょうちゃんは青くなって、ひじりちゃんに言いました。
「泣かないで、ひじりちゃん。きっと、あらえばまたまっ白だよ」
「むりだよぉ……こんなにこぼしちゃったのに……」
泣かないで、わたしまで、かなしくなっちゃう……
しきりにしょうちゃんはくりかえします。でも、ひじりちゃんは泣き止みません。そのうちに、しょうちゃんまでこまってしまいました。
どうしよう……
しょうちゃんは考えました。
そして、
「…………え?」
ひじりちゃんを、抱きしめてあげました。
やさしく、うんとやさしく。
小さな小さな、こねこを抱くみたいに。
ひじりちゃんからではありません。
しょうちゃんからするのは、初めてでした。
「………しょう、ちゃん?」
「泣かないで………おねがい………」
そんなしょうちゃんの声は、とてもかなしそうでした。
そう、泣いてしまいそうなくらいに。
どのくらいたったのか、二人にはわかりません。
でも、ひじりちゃんはもう泣いてませんでした。
ですのでしょうちゃんは、ひじりちゃんからはなれようとしました。
すると、ひじりちゃんはつかんではなしません。
「…………ひじりちゃん?」
「……………ねえ、」
なんだか、あたたかい
でも、かなしそうな
そんな、声です。
「ちゅー、して?」
ひじりちゃんの息が、しょうちゃんにかかります。
しょうちゃんは、なにも言いませんでした。そして、少しもうごきません。
そのまま、しばらくして、
「……………、」
しょうちゃんは、ひじりちゃんにキスをしました。ほお、ではありません、本当のキスです。二人とも目を閉じて、うでをからめて。
少しして、しょうちゃんははなれようとしました。ですが、ひじりちゃんはまた、はなしません。
息が苦しくなってきて、ようやく二人ははなれました。
二人とも、なにも言いません。
ただ、少しすると、しょうちゃんは思いだしたように言いました。
「………ナズーリン、呼んでくるね」
うん、と、ひじりちゃんは小さく言いました。ちょっと赤くなったほおをかくすみたいに、下をむいてます。
しょうちゃんはふりかえらず、ドアから出ていきました。
「畜生ッ」
「よせ、聞こえるぞッ」
壁を殴ろうとした星の拳を、ナズーリンは無理やりに止めた。が、星もそれ以上にはしない。一瞬に我にかえり、力無さげに首を振る。
「………すみません、ナズーリン」
「………それは此方の台詞さ」
違うッ
押し殺された叫びが、病棟の無機質な廊下に響く。
上、下、左、右。
白、白、白、薄暗く染まった、白。
星とナズーリンの後ろのドアには、『聖 白蓮』と書かれた札が、小さく掛かっていた。
「全て『あれ』のせいです、『あれ』の……認知症、それに幼児退行?後始末はみんな私ですか?」
「………体は兎も角、魂は最早老人を遥かに越してたんだ。それに復活してから妖怪から力を奪ってない以上、仕方ないさ」
「仕方ない?何がですかッ」
抑制の鎖が外れ、星は叫ぶ。
「私を愛玩同然に扱って、無視すれば暴れ出す。しかも身体も魔力も衰えてないから、なおさら質が悪いッ」
ナズーリンは、音も無く歩み出した。星は音を吐くのを止めない。
「今日は何されたと思います?唇を奪われましたよッ、泣き喚いて、聖人が聞いて呆れます」
御主人。
ナズーリンは小さく、小さく呟いた。
「それにこれが毎日、ナズーリンまで巻き込んで、一日だって―――――――」
そこで
言葉が、切れた
唇は、唇で覆われてた。
濡れた感覚、弾けそうな脈動、波紋。そこまで感じ、星はナズーリンを、ナズーリンは星を感じる。
一、十、熱を失い、燃え上がる時間が横たわる。
離れない、離さない。
熱が、吐息が、魂が、溶けて入り交わり、白い煙が上る。
いつしか、いつの間にか、しかし鮮やかな空白の後、二人は離れていた。
その表情には、細波も無い。
「悲しいことを言わないでくれ、御主人……」
「二人、ずっと一緒だって、言ったのは御主人だろ?」
声を、出そうとして
声も、出ない。
浮かぶ微笑み
二人には、それで足りた――――――
――――――え?
力の抜けた、呟き。
焼け付いた、視界。
セピア色の世界に、星は見た。
ナズーリン
肩
後ろ
ドア
隙間
スキマ
目
眼
め
め―――――――
瞬間
『ポロリ』
そんな擬音と共に、ナズーリンの首が落ちた。
噴水のような、鮮やかな紅。
頬に触れた、無機質で、生暖かい感触。
躍る影。
それらを認識した頃には。
星の頭蓋は、こめかみから握られていた。
次いで、絶叫。
最早言葉を無くした音に、刻まれた亀裂が霞む。
そして―――――――
「……………、」
くちゃくちゃと噛んでいたものを、聖は力無く吐き捨てた。しわくちゃに引き裂かれた細胞、星の脳管である。星の一部であったそれは、ナズーリンか星か、最早解らぬ血の池へ沈んだ。
「……ナズーリン、しょうちゃん、どこー?」
顔面が砕かれ、筋肉と骨ばかりが形を残す塊。穏やかな微笑みを浮かべながら、首の醜く捻じ切れた、頭。二つを抱えて、聖は廊下を歩いていた。
「ここだよ、ひじりはここだよぉ」
そして一歩踏み出す度、二つの首から垂れた血が、真っ白だったワンピースを染めてくのだった。
end
「しょうちゃんって誰?」と思った人、正直に手を上げなさい
私です
コメント返信
>>1氏
正直でよろしい、グリフィンドールに10点
>>NutsIn先任曹長
(言えない・・未だにどっちが名前かあやふやなんて言えない・・・)
>>3氏
「まずいな」
「ええ、まずいですね・・」
>>4氏
年をとらないのも悲しいものです・・
>>5氏
とっくり
>>海氏
簡単に想像通りになるような展開ですみませんでした許して下さい何でもしますから
>>ギョウヘルインニ氏
ナズーリン!よくもこんなキチガイssを!
>>8氏
やだ、やだ、小生やだ!
コメントありがとうございました
雑な返信が目立つことをここに深く御詫びします
box
http://boxgarden108.blog.fc2.com
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2013/05/10 12:49:34
更新日時:
2013/05/16 18:59:28
評価:
11/13
POINT:
1130
Rate:
17.77
分類
しょうちゃん
ひじりちゃん
ラブラブチュッチュ
ポロリもあるよ!
わからないです。
……と思っていたが、そーいうわけなのかー☆
ワンピースって病衣のことか?
もう、この施設ごと封印だな……。
ひじりちゃん、しょうちゃんはここだよさあおいで
前半の子供同士のドキドキした情景がまさか本当だとは思わなかった。
最後の二人の口づけが良かった。二人とも一緒になれて本望だったでしょう。
次はレイマリお願いします!!
咲レミでも可!!