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『戸隠怪談その1』 作者: 戸隠
ねえ、おばさんあそこにとんでるの首よね?
霊夢、言わないでおくれ
あれ、おばさん?震えてる
おばさん駄目なんだよ。こういうところは怖いんだよ早く防空壕から出たいんだよ
へえ、あ、人骨落ちてた
早くそれを拾って外に出るんだよ
駄目、これこの多分最近迷い込んだ人間の骨だ。まだ新しい
嫌だよ。おばさんだめなんだよ
なぜ二人は防空壕に居るのか。
今回はそろそろ暑くなってきたし肝試しを霊夢はしたくなった。だから、乗り気でないおばさんとその他の神社の住民を連れ出して肝試しになった。
そして、ふたり一組で目の前にある、曰くつきの防空壕の奥に行って奥に落ちてる戦時の遺骨を持ってきたものが勝ちという簡単明確なルールだ。
「私の巣になんのよう」
「ああ、ルーミア?? 雰囲気こわすなあ」
防空壕を少し進んでいくと、ルーミアが現れた。最近は人の出が少なくなっているものだから、こういうのが住み着いていることがある。
「出てけ出てけ出てけ」
「嫌よ、肝試しに負けちゃうわ」
「出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけ出てけきー」
「うるさいなあ」
ざっくりととその場で処断する。そうの場で、ルーミアは霊夢が取りだした斧で半分娘になってしまった。
「クケ!!!」
「ひい!」
「なあに? おばさんはルーミアが怖かったの? もういなくなったわ」
「違うんだよ。あたしゃ、こういうじめじめしたところが怖いんだよ」
「ふーん」
大柄なくせに、意外と小心者なのねと霊夢は思う。そんな、おばさんは自分の半分も無い霊夢にすがり付いていた。
まあ、いつも頼りになるおばさんの一面が見れて面白かった。
「なに、ニヤニヤしてるんだい?」
「え? さぁねぇ」
「何か居るのかい?」
「何もいないわよぉ」
ちょっと、意地悪な気持ちに霊夢はなっておばさんをからかう。いちいち、縮こまるおばさんは面白い。
「ところで、先に行ったあんちゃんと戸隠はどうなったんだい? 時間的にもう折り返して戻って来てもおかしくないじゃないかい?」
「そうね?」
おばさんが疑問を投げかけていると、また人間の骨が落ちていた。肉が付いてるからまだ新しい。
「その、骨は遺骨なのかい?」
「はぁ、ちがうわ。よく見て、まだ肉が残ってるでしょ。まだ、この防空壕に人食い妖怪でも潜んでいるみたいね」
「今日は、お客さんがおおいね」
「あら、ヤマメ? 最近見ないと思っていたらこんなとこに居たの?」
「うん居た」
「これは、アンタが食べたの?」
「え? 食べてないよ」
霊夢に証拠を提示され明らかに、ヤマメは焦っている。これは、この肉を食べたのは明らかにヤマメだということを示している。
「食べたのね?」
「ばれちゃしかたない!!」
物事を考える力なんて、ヤマメには無い。霊夢を食べてしまえば万事丸く収まると思った。
「じゃあ、退治してあげる」
「え? や、止めろ!」
ヤマメは、勢いよく霊夢に飛び込んだ。それで終わりだねえだって霊夢の手には先ほどの人骨が握られているのだから。
だから、なんなんだ?ただ、次の瞬間には、ヤマメは何処か違う異次元世界に行ってしまった。残ったのは、血溜まりだけ。
「やったのかい?」
「うん。やった」
「霊夢、怪我はないかい?」
「うん。おばさんは大丈夫?」
「あたしゃ早くここを出たいよ」
「もう少しよ。奥まで行けば、戦時に焼き殺された奴等の骨があるわ。まあ、実際は入り口が燃やされて、空気を求めて奥まで逃げ込んで窒息したんだけど」
「わ、わかったよ」
こうして、二人はさらにおくに進んでいった。おばさんの体の震えは増していくばかりだ。おばさんは霊感でも有ったのかなと霊夢は思う。
実のこというと、霊夢は普通にさっきから軍服来た少年兵が頭から血をながしてついてくるのには気付いていた。
これが、おっさんの兵隊さんだったら趣味ではないのですぐにお払いするのだが、趣味趣向に向いていた少年兵なので少しの同行を許していた。
それが、おばさんに見えているというのだろうか?
それとも、この地面から無数にはえている腕が怖いのだろうかと思う。
皆未練を残している奴とか罪人がなんたらかんたらで集まっているのだろう。
「あ、おばさん! ようやく見つけた! シャレコウベ! 頭蓋骨♪ 頭蓋骨♪ 古いから、戦時中のものね」
「じゃあ、早くそれ拾って外に出るよ。こんな、化け物でも出そうなから早く出るんだよ」
「わかったわ。おばさん。焦ると、躓いて怪我するわ」
他にも、いくつかの人骨を見つけた霊夢だったが、おばさんが余りにも怖がるものだから最初の1個だけもって帰ることにした。
「はぁ、楽しかった」
「あたしゃ、面白くないよ」
帰りの道では特に問題も無く、外に出ることが出来た。霊夢は、すっかり夜の星空になった空に向かって拾ったしゃれこうべを高々と掲げる。
霊夢、おばさんチームは、あんちゃん、戸隠チームに勝ったのだった。
「ところで、あんちゃんと、忍者は何処に行ったんだい?」
「さあ、にげたんじゃない??」
出口は一つしかない矛盾におばさんは気付いたのだがそれ以上は追求しなかった。したくなかった。
「あれ、憑いて来ちゃったみたい」
さっきの、少年兵とその他何かさん。
「え? 何がだい? 何がだい?」
「ううん、なんでもないの後で祓うから?」
「もういやよこんなの」
「おばさん、口調が」
肝試しは大して怖くもなく、面白くもなかったが、霊夢はおばさんの新たな一面が見れて嬉しかった。
戸隠
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/06/13 15:49:24
- 更新日時:
- 2013/06/14 00:50:30
- 評価:
- 2/4
- POINT:
- 230
- Rate:
- 12.75
- 分類
- けっこうまじめ
それにしても、二人より先に入った敗北主義者共は、霊夢達に見つからずに逃げ出すなんて、ね……。