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『恋がしたい』 作者: 戦車タンク
僕は恋をした。相手は霧雨魔理沙という少女だ。あの霧雨家の放蕩娘だという話を聞いたことがあるけれど、詳しくは知らない。僕と彼女はあくまで客と店主という関係であってそれ以上ではないからだ。
魔理沙と初めてあったのは香霖堂だった。店主に頼まれて店番をしていたという彼女と暇つぶしだとしばらく話すことになった。
その日話をしたのは短い時間だった。けれどそれだけの時間で十分だった。話を終えて変える頃には僕は恋に落ちてしまったのだから。
その人柄、話し方、何から何まで心惹かれてしまった。あんなに愛らしい子がいていいんだろうかとすら思った。
幸いにも家の場所を教えて貰ったので、週に一度ぐらい通うようになった。名目は彼女の魔法の発明品を見たいという案件で。彼女と話がしたかったから、なんて言えるはずがなかった。
彼女はそれ以外にも親身になって聞いてくれた。例えば仕事のこと。日常のこと。顔に吹き出物が出来ているので容姿が醜くコンプレックスになってしまっていることなども、魔理沙に対してなら自然と話すことが出来た。
「少し卑屈すぎるんじゃないか?そんなに悪い顔じゃないぜ」
そう彼女は笑い飛ばしてくれた。それが僕にとってどれだけ救いだったか。もちろん彼女に僕の容姿を好いて貰おうなんていうおこがましい考えはない。だけど、彼女が僕を他の人と同じように見てくれている。それだけで僕はとても救われた気持ちになったのだ。
彼女は女神だ。と僕は思った。彼女以上の女の人なんていない。少なくともこれから僕が出会う女性で、あるいは人類の中で最も素晴らしい人だろう。ああなんて僕は幸せなんだ。こんなにも早く運命の人と出会うことが出来るだなんて。そしてこんなにも近くで話すことが出来るだなんて。今までも確かに心惹かれる女性はいた。けれどそんなのは結局は紛い物だったのだ。恋なんかじゃなかった。今なら確信をもって言える。何故なら今胸に抱いているこの感情こそが、この胸の高ぶりこそが恋なのだから。何度でも言おう。この世界で最も素晴らしい感情とは恋だ。
そして僕はある日決行に移した。真っ昼間。夜の方がムードは良いかもしれないが、ここは魔法の森の近くなのであまり夜遅いと妖怪がやってきかねないという懸念があったので、そこは妥協することにした。
心臓が恐ろしいほどに震えていた。もしも失敗したらどうしよう。もしも途中で見つかったりしたらどうしよう。ドキドキしていた。でもその恐れもやはり恋なのだろう、と僕は自分に言い聞かせた。たとえ失敗したところで、僕の恋は無くならない。ならばそれで良いのだ。
果たして、それは成功した。彼女は心清らかな女の人だから、持ってきたお菓子に睡眠薬が入ってるなんて思いもしなかったのだろう。彼女は昏倒するように倒れ、気を失った。
歓喜もそこそこに、僕は彼女を持ってきた貨車に乗せて自分の家まで運んだ。家は仕事柄人間の里から少し離れた所にあるので、誰にも見とがめられることはなかった。すべて順調だった。僕の人生においてここまで順調だったことがあるだろうか?これもやはり愛が成せる業なのだと僕は貨車に揺られている女神に感謝した。
家の中に運ぶと、起きてから暴れ出さないように僕は魔理沙を拘束することにした。衣服をすべて剥ぎ取り、両手足を縄で縛った。衣服を剥いたのは彼女が万一魔法の道具を持ってたりして反撃してくることを懸念してのことだったが、愛した女性の裸姿を見てひどく勃起した。だが決して手を出したりしてはいけない。僕は紳士であり、彼女は女神なのだから。僕が彼女と釣り合わないことは分かっているから決してこのまま結ばれようなどとは思わない。
興奮を静めるため彼女の裸を見ながらマスターベーションをした。うっかりブロンドの髪にぶっかけてしまったが、直接手にかけてしまう性犯罪者の糞野郎共よりマシだ。誤解しないで欲しいのは僕は魔理沙とセックスがしたいのではない。性欲と愛情というのは似て非なるものだ。だがしかし、愛する女性の裸体を見て性欲を抱かない人間がいるだろうか?いやいない。だからこそ僕は自慰行為によりこの恥ずべき性欲を発散した。これから行う行為が性欲などという下卑た感情ではなく高尚たる愛の為に行われるという証明のために。
しばらくすると、彼女は目を覚ました。ここは何処だかもどんな状況に置かれているかも分かっていないようだった。そんな魔理沙のあどけないところもまた魅力の一つなのだろう。
やがて、手足の自由が奪われ、何も身にまとってないことが分かったようだ。
「……えっ?」
僕に向かって、たった一言そう尋ねた。どうやらまだ状況が飲み込めてないようだ。僕はにっこりと笑って挨拶を返した。
「おはよう魔理沙。よく眠れたかい?」
僕の反応があまりに普通だったからか、表情に焦りのようなものが浮かび始めた。その表情の変化は非常に見ていて見応えがあるものだ。
「ど、どういうことだ?」
「どういうことって……ああ縄のこと?悪いけど縛らせて貰ったよ。抵抗されて逃げられでもしたらちょっと困ることになるだろうからね」
ちょっとじゃなくてかなりなんだけど。その辺は大人の余裕を見せておきたいから見栄を張ってしまった。
薬も抜けて昏睡状態から醒めてきたのか、段々とこの状況を冷静に判断し始めたようだ。まず服を着てないことに気付くと羞恥に頬を染めてなんとか隠そうと身をよじる。
「お、おい何がしたいんだよ!こんなこと冗談じゃ済まされないぞ」
怒鳴るようにそう言う魔理沙の声は、けれど震えていた。どうやら怒りと恐怖で感覚が麻痺してしまっているらしい。
「僕だって冗談じゃないよ。真剣なんだ。真剣に魔理沙のことを愛してるんだ」
は、といった表情を浮かべる。ちっとも嬉しくなさそうな、むしろ刻一刻と憤りを高ぶらせているかのような。でもそれもきっと当たり前のことなんだろう。僕のことを好きになってくれるはずなんてないのだから。
「ふざ、ふざけるな!いいからさっさと縄を解け!」
「ふざけてなんかないって。ちょっと落ち着けよ」
「落ち着けるわけないだろ!いいか、これ以上やろうものなら後で――」
気がつくと顔をぶん殴ってしまっていた。
魔理沙は転がって壁にぶつかった。殴られた衝撃で焦点の合わない目をしたその顔は、途中で鼻を打ったのか鼻血がだらだらと吹き出している。
殴った右手も痛かったが、それでもふつふつと湧き出た怒りは収まらず、本能の赴くままに怒鳴りつけていた。
「うっせーんだよ!いい加減黙れ」
「……ぇぁ?」
「ぐだぐだと下らねーこと言いやがって!殴られないとでも思ったのか? 俺がその気になってりゃ殺してたんだぞ!分かるか?今お前に主導権なんかない。後にも先にも無い。お前の一生なんて全て俺の匙加減だ。媚びてチンポでもしゃぶってりゃいいもののピーピー喚きやがって……次一度でも反抗的な態度とってみろ。ぶち殺すぞ」
その言葉が口火となったのか――おそらく彼女はずっと堪えていたのだろう。魔理沙は鼻血を拭うことすらしないままぼろぼろと涙を流し大声で喧しく泣き始めた。
「……ぅぁぁ……ぁぁぁ……」
ひどく耳障りだ。
「黙れよ」
こめかみを蹴り飛ばした。鈍く重たい感触と共に魔理沙の顔が壁にぶち当たる。しかし一瞬泣き止んだものの、またすぐに泣き始めてしまった。赤ん坊ならまだ仕方ないと思えるがいい年した少女がこんな風に泣いてるのを見るのは不愉快だった。
「黙れって言ってんだよ!」
喉めがけて思い切り蹴り上げた。喉を潰されて泣くことも出来なくなったのか、嘔吐き胃の中の物をぶちまけていた。臭いはするが、泣き喚かれるよりは幾分マシだ。
五月蠅い泣声が止まると僕も少しだけ冷静になった。未だに嗚咽し続ける彼女に目線を合わせるようにしゃがみ込み、微笑みかける。
「言ってるだろ?僕は魔理沙のことが嫌いなわけじゃないんだ。むしろ好きなんだよ。……いや、好きなんて言葉じゃ足りないな。……その、言葉にするのは恥ずかしいけど……愛してるんだ」
げぇげぇと吐きながらのたうち回るその耳に、僕の声は届いてるが理解は出来ていないようだ。まあいい。きっと後になってこの日のこの言葉を思い返す日が来るさ。今日は二人にとっての記念日になるのだから。
「出来れば結ばれたいと、心から思ってる。でも分かってるんだ。僕と魔理沙とじゃ釣り合わないって。だって僕はこんなに醜いし、性根も腐ってる。人付き合いだって得意じゃない。稼ぎだってその日暮らしていく分だけで精一杯だ。良いところなんて何一つ無い。だけど君は、優しいし、綺麗だし、素敵だ。友達だって多い。君の魔法だって、何度か見せて貰ったけどとても美しい夢みたいだ。君は非の打ち所がない女神のような人だ。そんな人が僕と隣にいていいわけがない」
僕は魔理沙の瞳を真っ直ぐに見つめて、お願いする。
「だから頼みがあるんだ。――僕と釣り合うような女の子に、なってくれないかな?」
未だに疑問符を浮かべ続ける彼女の顔に、僕は。
「とりあえずは、見た目からでも」
拳を叩き込んだ。
間違っても首が折れてしまわないようきちんと床に固定し馬乗りになりながら僕は彼女の顔を殴った。殴った。殴った。殴った。殴った。殴った。
「あー!あー!あー!あー!」
殴り始めるとまた声にならない悲鳴を上げ始めたので、僕は仕方なく口を狙って殴ることにした。悲鳴は止まないが、気休めのような物だ。歯がぶつかって僕の右手から血が出てきたけど、彼女の出血の方が多いのだから贅沢は言うまい。
縛られた両手足を動かして抵抗する様はまるで芋虫のようだった。その様子があまりにも醜いので彼女が僕に近づいてくれたような気がして、少し嬉しかった。
だけど、そんな喜びが油断を招いたのだろう。彼女は縛られたままの手で僕の足首を掴み、爪を食い込ませた。
「いてっ」
反射的に振り払い蹴り飛ばしてしまった。見ると足首には爪がしっかりと食い込み血が滲み出ていた。
泣き叫んだせいで息を荒げながら魔理沙はこちらを見ている。きっと自分でも無意識にやったのだろう。殴り続けて腫上がり大分変形してしまっていたが、その表情からは怯えているのが分かる。
許してやろうかとも思ったけど、その顔を見てるとまだ僕の想いを受け止めてくれないのかという怒りがこみ上げてきた。僕は馬乗りを止めて隣の部屋に工具箱を取りに行った。
工具箱の中からそれを取り出し、魔理沙に見せびらかしてやる。
「手、出して」
とんかちだ。
彼女はふるふると首を横に振った。その傲慢な態度に腹が立ったが、あくまで優しくもう一度告げた。
「手を出してね」
再び首を横に振って拒絶する魔理沙。
僕はとんかちで左耳を縦に殴り裂いた。
「ああああああああああああ!」
痛みのあまり彼女はのたうち回った。半分ぐらい千切れてしまったけど、聞こえなくなったわけじゃなさそうだし、何ならもう一個あるし別に構わないだろう。
魔理沙に出して貰うのも面倒くさくなったので無理矢理手のひらを引っ張り出し床に押し当てた。なおも抵抗しているが、力で男に敵うわけもなく腕にまたがるような形でのしかかった。 そしてとんかちを振り上げる。
一発目。勢いをつけすぎて外れてしまい、床に叩きつけてしまった。鈍い音と共に床がへこんでしまったので気落ちしてしまう。とんかちを握る自分の手を見ると、だいぶ震えていた。どうやら自分でも気付かないうちに興奮しているらしい。
二発目。魔理沙の右手の小指に当った。腕がびくんと動くがもちろん許してやるわけにはいかない。そもそもまだ折れてすらいないのだから。
「いだぁ!や、やだぁ!やめてやめてやめてやめてやめて」
「ほーら駄々こねるなって。悪いことしたんだから罰を受けるのは当たり前だろ?大人しく殴られろって」
今度は小指を真っ直ぐに固定し、真上からとんかちを振り下ろした。ばきん、という音と共に小指の爪がどこかへ吹き飛び、指があらぬ方向へとぶち曲がった。
「いぁぁぁぁぁぁ!」
それは最早声ではなく、鳴き声に近い。こうしてみると人間も動物もあまり変わらないものだなと妙に感心してしまった。
指というのは関節が多いのでとんかちとはいえ粉々にして折るのはなかなか難しく、何度も何度も打ち付けることになった。釘を刺すのとはわけが違うのだ。指より先に床の方が駄目になってしまい、その度に場所をずらさなければならなかった。しかも魔理沙の顔に背を向けてまたがっているので折ってる最中の表情を見ることも出来ない。なんとも味気ない作業だった。
一定のリズムでとんかちを振り下ろし続けていると、自然と鼻歌が零れてきた。退屈さを紛らわせる為だったけど、案外気分が良くなった。この間椅子を作った時のことを思い出す。まっさらの状態だった木片がそこらで売られていてもおかしくないような椅子に仕上がった時は感動すら覚えた。今回は逆に壊す作業ではあるが、その時の感動が蘇りつい涙ぐんでしまった。
両手の骨を折りきる頃には、魔理沙の口から出る悲鳴も蚊の鳴くようなものになっていた。両方の手はさっきまでの何倍もの大きさに腫れ上がり、真っ赤になり、もはや原型をとどめてはいなかったな。おそらく手の感覚はほとんど無くなってしまっているのだろう。
「うぁぁ……ぁぁ……」
代わりに泣いていた。ほとんど声を出さずに、顔をぐっちゃぐちゃにしながら泣いていた。見ると小便まで漏らしていた……いったい先程の行為はどれだけ彼女にとって恐怖だったのだろうか。その哀れな姿を見て、僕は正気に戻った。
「ごめんね、魔理沙」
僕は彼女の目を見つめながら、心から謝る。今更こんなことをして許して貰おうなんて思わないけど、謝らないわけにはいかなかった。
もうほとんど動かない両手を握りしめながら、僕は心を込めて言った。
「でも、これが二人のためなんだよ。魔理沙もいつかきっと分かってくれる。これが二人にとって一番の幸せなんだって。……もう、魔理沙の手は使い物にならないかもしれない。だから、僕が君の手になるよ。僕が君の代わりに物を食べさせてあげる。服を着替えさせてあげる。つきっきりで教えてくれれば魔法の手伝いだって出来る。……まあ、君ほどは上手くできないかもしれないけどね」
ふふ、と思わず笑ってしまう。そんな僕を、魔理沙はまだ怯えた瞳で見つめていた。
「だから……君の隣にいて僕が惨めにならないように、もうちょっとだけ頑張ろうね」
そっと、彼女の頬に触れる。鼻血でぐしゃぐしゃになろうと、腫れで顔が今までの倍ほどに膨れあがろうとも、魔理沙の美しさはちっとも衰えない。
「抜かれるのと折られるの、どっちが良い?」
彼女は質問の意図がよく掴めないようで呆けた表情を浮かべていた。
「まあ、とんかちがあるんだから、折った方が早いよね」
魔理沙の答えを聞くのが面倒になったので、手っ取り早い方にすることにした。僕は手に持っていたとんかちを顔の近くに持ってきて。
「さ、歯を出して。いーってして。歯を磨くみたいに全部折ってあげるから」
魔理沙の瞳に生気が戻った。
「んー!?んー!んー!」
しかしそれと一緒に口を固く結んでしまった。それどころか床に転がり僕に顔を見せないように俯せた。
「ああもう、面倒くさい女だなぁ」
所詮縛られてる女の抵抗なんてたかが知れている。僕は彼女を仰向けに寝転がらせると再び馬乗りになった。だが口だけはどうしても開いてくれず、手で開こうとしてもすぐに閉ざしてしまった。
「ねえ、このままだと唇の上から折ることになっちゃうよ?歯でそのまま折るより痛いよ?それでもいいの?」
「んーーんーー!んーーー!」
ぶんぶんと首を振りながらも、唇は固く結んだまま。言ってることとやってることがあべこべだ。
「本当、女って馬鹿だわ」
仕方がないのでそのままとんかちを振り下ろした――だが、叩きつける瞬間、魔理沙は顔をそむけてしまい、とんかちの先端は左目に突き刺さった。
「ああああああがあああああああああ」
「おいおい何やってるんだよ」
ヌメェっとした感触のするとんかちを目の中から抜き、魔理沙の髪の毛で拭った。魔理沙は女とは思えない悲鳴をあげながら痛みを誤魔化すようにぶんぶんと首を振っている。
「言っておくけど魔理沙が悪いんだからな。急に顔そむけるからずれたんだぞ。歯だけで済ませるつもりだったのに」
だが僕の話を聞いてるのか聞いてないのか、頭をキチガイみたいに揺さぶっている。その様に僕はため息をついてしまう。
「まあいいや。これで口開いてくれたんだもんね」
そうポジティブに考えて僕はとんかちを口の中に振り下ろした。
「おご、おごぼおおおお」
真っ白だった魔理沙の歯が、たちまちひび割れ真っ赤に染まる。思ったよりもしっかり生えていたので何度も叩きつけなければならず、僕がとんかちを振り下ろす度、面白いほどに魔理沙の身体は飛び跳ねた。カツン。カツン。カツンと。叩けば叩くほど面白いぐらい歯が欠けていくのでひどく爽快だった。
数十回の行為の末ようやく前歯が全部折れた。ずっと仰向けにしていたから口の中に血と歯がたまりひどいことになっている。
「ほら、ゲーしてゲーって。飲み込んだら身体に悪そうだからね」
僕は魔理沙を気遣って俯せにさせて、喉奥にとんかちの取っ手の部分を突っ込んだ。いち、にの、さんで彼女はようやくゲロを吐いてくれたが、最初に吐いたときにもうあらかたのものは吐き出していたのか、口から出てきたのはほとんど真っ黒な血と欠けた歯だけだった。
顔を両手で押さえて正面から見つめ合う。もう今の彼女を見たところで彼女が魔理沙だと気付く人は少ないだろう。左目からは絶え間なく血と見たこともないような液体がだらだらと零れているし、歯が無くなったことで骨格のバランスがだいぶ変わってしまっている。
「うんうん、だいぶ不細工になってくれたね。大丈夫だよ、どんなに醜くなっても僕は魔理沙のことを愛してるから」
上手く喋れないのか、こひゅーこひゅーと肩から息をするばかりの魔理沙。だけど、彼女はゆっくりと口を動かして囁いた。
「……ひへ」
「なんか言った?」
「……ほろ、ひへくらはい……」
相変わらずの発音だったが、なんとなく彼女が何て言おうとしてるのか分かった気がした。
「……殺してください、って言ったのか?」
力なく魔理沙は頷いた……そしてその時には、僕は無意識のうちに彼女をぶん殴っていた。
「ふざけるな……!」
今まで感じたことの無いような怒りがこみ上げてくる。拳を握る僕をなおも力ない顔で見上げる魔理沙に向かって僕は怒鳴りつけた。
「殺してとか命を粗末にするようなこと言っていいと思ってんのかよ!命っていうのはなぁ、そんな簡単に手放していいもんじゃねぇんだよ!自分に命を捨てる権利があるとでも思ってんのか!?今までたくさんの人に支えられてきた命だろうよ!ここでお前一人で簡単に捨てられるものじゃないんだよ!」
気がつけば僕は泣いていた。僕が愛した彼女がこんな風に命を粗末にする発言をしたのが許せなかったのだ。
「それにまだまだ魔理沙は全然可愛いんだ。そうだよ僕なんかこんなにも醜いのに。顔面さえ見なければ昔のままの魔理沙だってすぐに分かる……そうだこの髪が良いんだ。この長くて綺麗な髪がある限り、君は綺麗な霧雨魔理沙のままなんだよ」
僕はにじり寄り、魔理沙の髪を掴んだ。気圧されたのか這いつくばってどこかへ行こうと蠢いたが、首根っこを足で押さえつけながらなおも強く髪を引っ張る。
「これが最後だよ。これで君はようやく僕に相応しい人になれるんだ。そう、僕と同じぐらい醜い、ただの化け物に……!」
力の限り掴んだ髪を引っ張りあげる。ぶちぶちぶちといくらかの髪が抜けていく感触が腕に伝わってくる。だが大本の髪はなかなか引き抜くことは出来ず、首元を足で押さえつけながら引っ張り続けた。
「あ、あ、ああ、ああ、ああ、あああ、あああああ」
じたばたと逃げようとするのでその度に中断しなくてはならず、沢山の時間を費やされた。もっと鍛えておけば良かったと思った。
「ふぉおおおお、ふぉおおおお」
魔理沙は口をもごもごと動かし空気のような物を吐き出すばかりだ。こんなの人間じゃないな、と優越感がたまらなくこみ上げてくる。
首筋を後ろから靴で押さえつけながら、ただ引っ張り続ける。髪を握ってる手から血が滲み出る。めりめりめりとこの世ならざる音が聞こえてくる。
瞬間、バリィッと気持ちの良い音と共に引っ張り上げる負荷が消えて思わず転倒してしまった。ベニヤ板をはがすような音だった。とうてい人間から出てくるような音じゃない。だがその手には、確かに頭皮ごと引き剥がされた髪の束が捕まれていた。
「……はは、やった、やった!おい見てくれよ!」
喜びのあまりその髪を魔理沙に見せつけてやる。だが魔理沙は白目を向き泡を吐いて痙攣していた。たぶん気を失っているんだろう。ブロンドの長い髪の大半はもう頭に無くなっていたが、頭皮がめくれて肉が直に見えているので赤い髪が生えてるようにも見える。
もはや人形のように抵抗のなくなったそれを蹴り飛ばし仰向けにさせて、まじまじと見つめる。ようやく僕と同じになってくれた魔理沙。ようやく僕と一緒になってくれる魔理沙。
だが歓喜は一瞬だった。こうして顔を改めて見ると、なんというか……。
「……汚ったねぇなあ」
なんというか、醜かった。
まるで老婆だ、と僕は思った。歯は全て抜け落ち、髪ももうほとんど無い。肌も皺と痣だらけで張りがまるでなく死を待つだけの老人を連想させた。
泡を吐きながらびくびくと痙攣するそんな姿を見て、僕の恋心はみるみるうちに萎えていった。僕が好きだったのはあの霧雨魔理沙で、こんな醜い女ではない。こんな化け物ではない。
要するに僕はやりすぎたのだ。僕と並んでも釣り合うような人間にしようと思ったのに、これでは豚の餌が良いところだ。豚だってこんな汚い餌よけて食べるだろう。
「まーたやっちゃったよ……」
がっくりと肩を落とす。これだけ苦労したのに、残ったのがこんな生ゴミだけだなんて。どうしていつもこうなんだろう。どうして僕はいつも上手くいかないんだろう。
しかし落ち込んでばかりもいられない。反省はいいが後悔は時間の無駄だ。こんなゴミの為に時間を割いてやるぐらいだったら今日の夕食でも作った方がよっぽどましだ。
もはや息をするのみとなった生き物の足を掴んで、外へと運び出す。抵抗する気力もないのかされるがままだ。犬だって紐を結べば自分から大人しくついてくるというのに、最後までこちらに対する配慮すらない。
僕はそのまま魔理沙だったものを、庭に掘ってある穴へと放り込んだ。ちょっとした深さのある穴はゴミを入れるために使っている。
いつもより少ないけど、生ゴミが臭くなる前に処分しておくか。
そう思い僕は一旦家へと戻りそれを持ってきた。外の世界から迷い込んできたらしいそれはドラム缶というらしく香霖堂で譲って貰った物だ。中には廃油というのが入っているらしい。
僕はそれをゴミを燃やす時に使っている。
穴の中にいつもより多めに油をぶち撒けた。すると液体の感触で気付いたのか、魔理沙は突然起き上がり穴の外へ顔を上げた。
彼女が僕が何をやろうとしているか理解したのかは分からない。ただ何かを察したのだろう。この穴の中にいてはいけないと思ったのだろう。がりがりと土の壁をひっかいて上に登ろうとしていた。
ただ悲しいかな、彼女の動かない指では穴を登ることは叶わずに僅かに土を削るだけだった。それでも、たとえその行為が無駄になると分かっていようとも彼女は救われようと懸命にもがき続けていた。その姿は僕に羽を掴まれた蛾を思い出させた。
ああそうだったのだ、と僕は唐突に思い至った。きっと彼らは、あるいは彼女らは生きたかったのだ。蛾が羽を掴まれて背中のそれを毟られようとする時。蟷螂が自らの両手を掴まれ持ち上げられているその時。鶏が逆さ吊りにされ首を刈られようとする時。猫が首を押さえつけられ水桶の中に顔を突っ込まれている時。皆生きたいと願っていたのだ。生きるために懸命に足掻いていたのだ。
だが今まで僕はその姿を見て殺すことを止めたことは無かった。
マッチに火を付け穴の中に放り込んだ。すると生ゴミは時間をかけて燃え広がり穴の中を炎で埋め尽くした。同時に、どこにそんな力が残っていたのかと思うほど大きな悲鳴が穴の中に轟く。
彼女が死んでいく様を眺めているほど悪趣味でもないし、何よりあまりの肉が焼ける悪臭に耐えきれなかったので少し離れた所で葉巻に火をつけた。そういえばこの葉巻も魔理沙の店で買った物だったなぁと思いながら気持ちよく吸い込み、煙を吐き出す。
醜い断末魔をどこか遠い世界の声のように感じながら、ふと思った。
結局、これは恋などではなかったのだ。
本当の恋ならば容姿など気にすることなく愛することが出来たはずなのだ。僕がこんなにも劣等感を感じることもなかったし、生ゴミのような姿になった彼女を見ても気持ちが冷めることなく愛し続けることも出来ただろう。恋やなんだと言いながら、僕は魔理沙の見た目に心惹かれただけなのだ。
そう考えると自分の浅はかさに思わずため息が出る。まあいい。何事も教訓だ。そしてその為に犠牲になってしまった魔理沙を救いこそせずとも憐れんだ。
「あーあ、してみたいなぁ。本当の恋ってやつを」
まだ見ぬ恋心に想いを馳せながら、静かになった穴の中に葉巻を捨てた。
初投稿です。永るすというエロゲに感銘を受けてリョナ物を書いてみたくなったのでこちらに投下させていただきました。ただリョナ……?と首を傾げたくなる未熟な作品になってしまった感じがします。反省。
>>NutsIn先任曹長
オナティッシュ魔理沙ちゃんマジかわいい。
>>2番様
むしろ冒頭で屑さを隠そうと頑張ってました^^;滲み出ちゃってましたね・・・。
>>3番様
この辺にぃー、殺しやすい魔理沙ちゃん、来てるらしいですよ。
>>5番様
やっぱり可愛くて母性的な魔理沙ちゃんをいじめたいなと思って出来る限り可愛く書きました。
>>県警巡査長様
書いてても嫌悪感抱いたんで読んでる側からすればより一層だと思います。
>>7番様
でもお燐ちゃんならいいんですよね(ゲス顔)
>>8番様
最下等生物魔理沙ちゃん可愛すぎてつらい。
>>9番様
同じ過ちを繰り返す人間の屑
戦車タンク
http://www.pixiv.net/member.php?id=7296638
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2013/06/15 06:20:01
- 更新日時:
- 2013/06/23 14:19:36
- 評価:
- 10/11
- POINT:
- 1010
- Rate:
- 17.25
- 分類
- 霧雨魔理沙
例えるなら、オナニーに使ったティッシュペーパー。
ナニを優しく暖かく愛おしく包んでその劣情を受け止めた後は、その薄汚いゴミクズをゴミ箱にポイ♪
母性的な何かをひしひしと感じた
しかし猫への無体だけは許せん
最下等生物である魔理沙ちゃんで我慢するとは紳士すぎる…
うわぁ…これは前科アリですね。たまげたなぁ
恋がしたいなら縛り付けた時点から好きにしろよ。
犯すとか犯すとか犯すとかさぁ。