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『少女A』 作者: 糞団子
少女は自分の友人とお茶を楽しんでいる最中であった。
彼女達の周りには人形達が忙しそうに動き回り掃除やお茶淹れたりしていた。
「実は面白い本が手に入ったんだ、アリス今から家にこないか?」
「そうね、じゃあケーキが焼けたらいこうかぢら」
アリスと呼ばれた少女はこの家の主であり人形を操っているのも彼女であった。
少女はその返事を聞き嬉しそうに笑うとそれにつられアリスも笑うのだった。
それからもたわいのない話で時間を潰している間にケーキの甘い香りが部屋に漂ってきた。
「お、ケーキ焼けたんじゃないのか?」
「そうみたいね、じゃあそこで待っててね今お皿に移してくるわ」
「おう、楽しみにまってるぜ」
少女は甘い香りを楽しみながらアリスが戻ってくるのを心待ちにしていた。まだ戻ってくるのには時間がかかるだろう、そう考えお茶継ぎ足しそうとした瞬間、
「うわっ!!」
先ほどまで各々の仕事をしていた人形たちであったが急に箒を手放し槍やら剣やらを持ち少女の方に近づいてきたのだった。
「ちょっと、なんだよ。アリスー!お前の人形何かおかしくなってるぞ」
その尋常ではない雰囲気に少女はアリスに助けを求める。
声が届いたのだろう。アリスはすぐに少女の待つ部屋にやってきた。
しかしその顔は少女を心配する顔ではなく、明確な敵意をむけているそれであった。
「おい、アリス...冗談はやめろよ」
「気安く名前で呼ばないでくれる?」
「いい加減にしろよ...そろそろ私も怒るぞ」
「はぁ?怒りたいのはこっちのほうよ」
その言葉に少女はなにかアリス怒らせるようなことをしたのではないかと考えたが、彼女がやったことといえば紅茶のお代わりを飲もうとしたことぐらいである。
(ああ、勝手にお茶を淹れようとしたから怒ってるのか?アリスも心が狭いぜ)
「貴方ここでなにしているのよ?」
「何ってお前がお茶に誘ってきたんじゃないか?」
アリスはそれを聞き怪訝な顔をする。
「はぁ?貴方をお茶に誘うわけがないじゃない。もう少しマシな嘘をつきなさいよ」
その発言で少女はアリスよりも困惑した表情をする。
(何なんだ?アリスのやつ、とうとうイカれちまったのか?)
そう考えながら少し腹が立ってきたので少女は声を荒げながら
「おいおい、昨日の晩お前が私を誘ったんだ!
とうとうボケが回ってきちまったのかよ」
彼女にとってわけのわからないことをアリスが言い続けるのでイライラがピークに達してきたのであった。
「ボケが回ってるのはアンタじゃないの!?私はアンタなんか知らないし、ましてやお茶になんか誘ってないわよ!」
少女には耳を疑う言葉だった。
知らない。確かにアリスはそういった。
その言葉でとうとう少女の堪忍袋は切れてしまった。
「知らないだって!?この野郎...お前なんか絶好だ!二度とその顔みせんな!」
ドアの近くに立てかけてあった箒を掴むとドアを壊す勢いで彼女は空へと飛んで行った。
「クソッ、何だってんだアリスのやつ...」
少女は空を飛びながら先程の彼女の言動を思い起こしていた。
いつも気持ちく感じる頬を突き抜けてゆく風も今はこの上なく鬱陶しいものに感じる。
(チッ...気晴らしに紅魔館にでも行くか)
パチュリーのとことにでも行って本を読ませてもらおう。そう思い少女は箒を走らすのであった。
少女が箒に跨ってものの数分で紅魔館が見えてきた。
門の前には赤い髪の少女、紅美鈴がたっている。性格には立ちながら眠っていた。
それがいつもの光景なので少女はたいして驚きはしない。むしろ起きていた方がどうしたことかと心配になるくらいだ。
「おーい美鈴、寝てないで門を開けてくれないか?」
「むにゃ...門...をですか...?」
美鈴は眠そうに目を擦りながら背伸びをする。
「すいませんが、入管許可はとってますか?」
「ん?そんなものないぜ、珍しく真面目だなそんなことを聞くなんて」
いつも不真面目な門番がそんなことを聞くものだから少女はケタケタと笑ってしまう。
「あのー...そのですね、屋敷にはいるのでしたらお嬢様に許可をとっていただきたいんですよ」
「はぁ...面倒くさいな...なら力づくで通るまでだぜ」
少女は懐からマジックアイテムを取り出すと美鈴に向かってそれを放った。
ムカッ腹がたっていたこともあり弾幕ごっこができるのは少女にとってとても嬉しかった。
少女が放ったマジックアイテムによって美鈴のまわりが土埃がまう。
その隙に少女は右手に持った八卦路に魔力を注ぎ込む。
(一撃できめてやるぜ)
限界までためきったところで一気に放出する。
「くらえ!マスタースパーク」
これを喰らえば大抵のものは吹き飛びそれでもう彼女の勝ちだった。それは美鈴であっても例外ではない。
「え?」
素っ頓狂な声あげ少女は呆然とした。
右手から八卦路が消えていたのだった。
そしてついさっきまで門の前にいたはずの門番が今目の前で脚を高くあげている。
少女が八卦路は蹴り上げられたのだと気づいた瞬間、少女の腹に鉄でも落とされたかのような衝撃が走った。
「う...」
そして腹を殴られたのだと分かった瞬間、喉の奥から熱いものが湧き出てくる。
「おげぇ....ガ...ガ...」
その場でうずくまり服を吐瀉物にまみれさせ痙攣する。
「うわ...汚いなぁ...これもしかして私が掃除することになるのかな、うわぁ...嫌だなぁ」
そんなことをつぶやきながら美鈴は門の前に戻っていった。
ようやく苦しみから少女は解放された。はたからみれば短い時間であったが、少女にとっては永久とも思える地獄の時であった。
よろけながらも歩けるように回復した少女は美鈴に文句を言いに門まで千鳥足で進んで行く。
「あ、起きたんですか?」
「確かに私もいきなり弾幕をはって悪かったと思う...」
「....はぁ」
「でもな...いきなり殴りかかるなんてひどいじゃないか!どうしてくれる!服がゲロまみれじゃんか!」
服の白い部分はすっかり吐瀉物で茶色くなり彼女にまわりではツンと不快感を感じる酸っぱい匂いが漂っている。
「そうですね」
美鈴は興味なさげに適当に相槌をうっている。
そんなこともお構いなしに少女は美鈴にたいする罵詈雑言を捲し立てていく。
「わかったならさっさと入れろよ、服を洗濯させてくれ」
「だからできませんって言ってるじゃないですか」
「お前が私を殴ったからこんなことになったんだろうが!いいから入れろって!!」
美鈴押しのけて強引に入ろうとするが美鈴に押され尻餅をついてしまう。
「はぁ...どうしてここに入りたいのかは知らないけど、謝ってるじゃないですか」
アリスの一件もあり少女はもはや意地でも入ろうと思った。
不意打ちでマスタースパークをかましてやろうかと思っていると
「美鈴、何をもめているのよ」
「あ、咲夜さん」
この騒ぎを見た妖精メイドが彼女に報告したのであろう。眉間に皺をよせて明らかに不機嫌そうであった。
「いいところに来たな、咲夜こいつにいってやってくれよ」
咲夜は少女に一瞥するとあとは興味なさげに
「なにこのゲロ臭い子?美鈴あなたがやったの?」
「まあ、そうですけど...」
「てめぇ!ゲロ臭いとはなんだ!お前の無能な門番のせいで私はこんな思いをしているんだぞ!」
その態度にますます腹が立ち咲夜に掴みかかろうとするが美鈴に止められる。
「はぁ...こんなのに貴重な時間を持ってかれるなんてね、美鈴さっさとしめだしちゃいなさい」
「な...!?咲夜、ふざけんのも...」
美鈴の手の中で暴れるが美鈴に投げ出されて地面にこすられる。
「さっきから咲夜咲夜って馴れ馴れしいわね。私はアンタのことなんかしらないわよ」
アリスと同じ反応。
ようやく少女は事の重大さに気がついた。
「なあ、本当に私のことがわからないのか...?」
「知らないって言ってるでしょ、美鈴彼女のこと知ってる?」
「さあ?見たこともないですよ」
先程殴られた腹の痛みを忘れるほどの気分の悪さかんじた。
「パ...パチュリーなら私のこと分かるはずだ...なあ、お願いだ、パチュリーを連れてきて...」
青ざめた顔で少女は頼み込む。
「貴方のことを知っているならもうとっくに止めに入ってきているわよ」
「レミリア...フラン...あいつらならきっと私のこと分かるはずだ...」
「はぁー...美鈴あとは頼んだわよ」
咲夜はそう言い捨てると姿消した。時を止めてもう屋敷に戻ったのだろう。
「クソ...クソ...クソ!いいよ!分かったよ!そんなに私のことが嫌いなのかよ!こんなとこ自分から出てってやるよ!!」
泣いていることは悟られないように箒にまたがり空へと飛び立って行く。美鈴はそれを眺めながら、少女が残して行った吐瀉物の処理に頭を痛めるのであった。
「美鈴さん...私達がやっておきましょうか?」
妖精メイドの一人が見兼ねてそう言ってきた。
「大丈夫ですよ、このくらい私がやっておきます。それよりも...」
「それよりも...?」
「あの人間のことしってる?」
「さあ?見たこともないです」
少女は家に戻り自分の吐瀉物で汚れた服を洗っっいる最中であった。
(なんで...皆私のことを忘れてしまってるんだ?)
帰宅する最中、湖の近くに氷の妖精がいたがやはりわからないの一点張りであった。
(香霖のところに行くか...?いやきっと覚えていない...よな)
今自分のことを分かる人を探すのは彼女の精神状態では不可能であった。
また自分のことをわからないと否定されるのがとても恐ろしかった。
うつむきながら桶に映る自分の顔とにらめっこする。
そして記憶消す能力を持ったものがいないか脳内を整理する。
(あ...いるじゃないか一人そんなやつが)
少女は新しい服をタンスから引っ張り出し最高速度で目的地へと飛びたった。
寺子屋で上白沢慧音は授業をしていた。
黒板に書かれた問題を生徒達は黙々とといている。
「よくできたじゃないか、えらいぞ」
問題を正解した生徒褒めている時に銀藤原妹紅が教室の戸から顔を出す。
「おーい慧音、お客さんがきてるぞ」
「ん?今授業中だから先に居間にお通ししておいてくれないか」
「いやそう言ったんだけどさ、何か今すぐに慧音に会わせろって聞かないんだよソイツ」
それを聞き慧音は明らかに不快感を顔に出した。
「全く何だそいつは。今は手が離せないんだ少し待ってもらうように言っておいてくれ」
「ああー...分かったよ。そうそいつに伝えとくね」
廊下を歩く音が遠くなっていき、慧音はため息をつく。
「すまない皆、授業を再開しよう」
そう言って慧音は黒板に字を走らそうとするが手がとまる。乱暴に廊下を走る音がしたからであった。その音は教室にも響き子供達も怪訝な顔をする。
「おい妹紅、廊下で大きな音をだすんじゃな...」
教室に滑り込むようにして入ってきたのは妹紅ではなく金髪の少女であった。
「ごめん慧音止めたんだけど無理やり」
「はぁ...はぁ...」
「全く、今は授業中だ。しばらく居間でまっててくれないか?」
「お...か...」
「ん?」
少女が何か言うが慧音はそれを聞き取れなかった。
「お前が!やったんだなっあああああ!!」
そう叫ぶと少女は慧音に掴みかかった。
「いきなり何だ!?」
子供達は驚き叫び声をあげる。
「この野郎め!!お前が!お前が!お前が!」
絶叫しながら慧音の胸ぐらを掴み握り拳を慧音の顔に叩き込む。
「早く元に戻せよ!!この半獣野郎め!!」
「何を言ってるんだ?落ち着け」
妹紅は後ろから少女を抑え羽交い締めにする。
「離せ!妹紅!私はこいつを殺すんだよ!!」
「いいから落ち着けって言ってるだろうが!!」
妹紅が少女の首の後ろに手刀を叩き込み気絶させた。少女の意識は一瞬で闇に飲まれた。
「...ここは」
「気がついたか?」
少女が目を覚ましたのはそれから半刻ほどであった。自分を見下ろすのは先程まで殴りかかっていた慧音であった。
「少しは落ち着いたか?」
「.....けっ」
また殴りかかってやろうかと思ったが慧音の優しい表情にその気を削がれてしまった。
「なあ、私はなにかお前に恨まれるようなことをしたか?それならあやまるが」
「......」
少女は慧音に殴りかかった理由を話し始めた。
彼女の歴史を食べる程度の能力。
少女はそれで私の存在をなかったことにしたんだろう、そんな旨もことを言った。
「成る程、それで私に殴りかかってきたというわけか」
「慧音が犯人じゃないのか?」
「私の能力は過去にあった事実をなかったことにするというよりその事実を隠すことなんだよ」
どこかすまなさそうに慧音は答える。
「それになこの能力は力の強いものにはきかないんだ。お前の話ではあの吸血鬼もお前のことを忘れていたんだろう?」
「確かにそうだったぜ...」
せっかく犯人を見つけた思ったがそれが違うよ分かり目に見えて落ち込む。
「博麗の巫女のところにはいったのか?」
「まだいってないぜ...」
「なんでだ?こういう呪いや異変の類は巫女に相談するのが一番いいだろう?」
「だって...霊夢まで私のことを覚えていなかったら...」
博麗霊夢は彼女の一番の友といってもいい存在だった。異変の時も彼女よ一緒に苦難をのりこえてきた。少女にとって霊夢は特別な存在なのであった。
「博麗の巫女の能力なら大丈夫だろう?」
「でも...でも...やっぱり怖い」
「はぁ...仕方ないな」
慧音はそう言って立ち上がると少女おいて何処かへ行ってしまった。
部屋には少女だけが取り残され嗚咽が部屋に響く。
しばらく経ち慧音が戻ってきた。手には鍋を持って。
「ほら食べるんだ。腹へってるだろう?」
「え?」
少女の目の前には湯気がたつ味噌汁
「こんな物しか残ってないが無いよりましだろう。ほら早く食べないと冷めてしまうぞ」
味噌汁とにらめっこしていた少女であったが箸手に取り勢いよくかきこんでいく。
「私も明日行ってやるから、な?安心しろ」
「ごめん...ごめんなさい...」
「ん?謝るなよ...だから今日はもう休め。...そういえば自己紹介がまだだったな。私は上白沢慧音だ、よろしくな」
涙と鼻水で顔をしわくちゃにしながら少女は
「霧雨...魔理沙...」
今日、初めて魔理沙は孤独ではなくなった。
魔理沙は慧音一緒に博麗神社にきていた。
「ほら魔理沙、ついたぞ」
「お...おう、わかってるって」
一晩ゆっくり休んだことで魔理沙も本調子に戻りここにくることができた。
しかしやはり不安なのだろう。慧音の横を離れようとしなかった。
「霊夢なら縁側で茶でも飲んでるだろう、さあ行こうか」
「分かったって...分かったからそう急かさないでくれ」
魔理沙は恐怖と戦いながら霊夢のいる縁側を目指す。
不安で頭がどうにかなりそうだった。
「おい、魔理沙?大丈夫か」
「平気...だから黙ってついてきてくれ」
「何してんのよ、あんた達」
魔理沙の背後から慣れ親しんだ声が聞こえる。
「そういえば魔理沙、あんた昨日こなかったわね?どうかしたの?」
魔理沙は聞き逃さなかった。
自分の名前を呼ぶ声を。
「れ...霊夢」
「げ、何泣いてんのよ。気持ち悪いわね」
その憎まれ口も今となってはとても心地よく聞こえた。
「よかった...お前は私のこと忘れてなかった」
「はぁ?さっきから何言ってんのよ...」
私は泣いてばかりだな...とそう魔理沙は思った。
霊夢にことの顛末を話すとすぐに解決してやるわよ、といった。霊夢は異変解決のエキスパートである。これほどまでに頼もしい存在は他にないだろう。
「っとその前に朝ご飯まだ食べてないのよ。二人とも食べてく?」
「私はお前の作った味噌汁が飲みたいぜ」
「何言ってんのよあんたは...?」
そう満更でもない様子の霊夢。
「いいのか?私までご馳走になって」
「別に構わないわよ。ちょっとまっててね。いま味噌汁よそってくるから」
パタパタと足音を立てて霊夢は奥に引っ込んで行った。
「良かったな魔理沙。これで皆お前のことを思い出すぞ」
「おう!この私のこと忘れていたことを後悔させてやるんだからな!...慧音のおかげだありがとよ...」
最後の方は少し小声になってしまったが慧音にはしっかりと聞こえていたようで優しく微笑んでいる。
そんな他愛のない話をしているうちに部屋に近づく足音がだんだん大きくなってきた。
「お、霊夢が戻ってきたぞ」
「ふぅ、腹ペコだぜ」
両手が盆でふさがっているため戸を足で開けようと霊夢は奮闘しているが上手くあかない。
「仕方ないやつだな、よし私が開けてやるか」
霊夢の変わりに戸を魔理沙は開ける。
霊夢が持っている盆には味噌汁が二つ乗っていた。
糞団子
- 作品情報
- 作品集:
- 8
- 投稿日時:
- 2013/08/12 20:02:32
- 更新日時:
- 2013/08/13 05:02:32
- 評価:
- 6/9
- POINT:
- 660
- Rate:
- 15.22
- 分類
- 魔理沙
話の展開から行くと、やはり前者でしょうね。
腹の底で笑っているのは白沢か、もしくは只の運命か。
会うたびに記憶がリセットされる話を思い出しました。
その上位が、自分が認識されない事だけど。
結局この異変の原因は、魔理沙の家に貼られたステッカーが剥がれた事だった。
しっかり貼りなおしたら皆、魔理沙を思い出した。
『燃えるゴミは、月・水・金』
わすれんぼ