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『親知らずサニー』 作者: NutsIn先任曹長
光の三妖精、通称『三月精』は博麗神社の社に鎮座している、素敵なお賽銭箱に腰掛け、洋菓子を食べていた。
この菓子は、一見するとクッキーでクリームを挟んだかのような体裁であるが、一口頬張ると蕩け、木の実のような香ばしさが舌と鼻に快感をもたらした。
「これ、美味しいわね」
「お茶が欲しいわ♪ ね、サニー」
「……へ? あ、うん!! 私、もらってくるね!!」
ルナチャイルドとスターサファイアが美味そうに菓子を食べているのに対し、サニーミルクは心ここにあらずといった様子で咀嚼していた。
声を掛けられたことで正気に返ったサニーは、神社の居住部に走っていった。
「……」「……」
見送るルナとスターは、悲しいような、心配なような、複雑な表情をしていた。
この菓子をもらったのはサニーだというのに……。
「え!? 私がお見合い!?」
ゴチンッ!!
「ばかっ!! 変な誤解をするな!!」
サニーの絶叫と、打撃音と、霊夢の怒鳴り声が響いた。
霊夢の話を要約すると――、
サニーを養女に欲しいという夫婦がおり、話をしたいそうである。
――で、サニーは今日、その人と会い、少しばかりお話してきたのである。
三人が美味しく頂いた洋菓子は、その際の手土産である。
次の日。
「サニー、ちょっといいかしら?」
サニーは霊夢に呼ばれ、博麗神社の居間に来た。
「……なんですか?」
昨日の養女の件で、頭の整理が出来ていないサニーは、何となく気が重かった。
「今日のお昼はちょっと豪華にするから、料理を手伝ってちょうだい」
霊夢に言われるまま、台所に立つサニー。
手伝いといっても、殆どサニーが包丁を振るった。
霊夢はただ、料理の仕方に口を出し、作っている最中の料理に口を付け、出来上がった料理を皆で口にした。
その次の日。
今日もまたサニーだけが霊夢の指示で働いた。
今日は掃除である。
雑巾や箒、最近博麗神社でも購入した掃除機の使い方にいたるまで、みっちりと教えられた。
その成果が、一日で磨き上げられた居住部である。
それからも、サニーは霊夢から家事を仕込まれた。
炊事、洗濯、掃除。
それらを組み合わせて、効率良く行なう方法。
そんな日々が、しばらく続いた。
「サニー、ちょっといいかしら?」
時刻は、そろそろ夕飯の支度を始めようかという頃。
手早く家事を終え、おやつの煎餅をいただき、昼寝から目覚めたサニーに、同じく起きた霊夢は話しかけた。
「なんですか?」
サニーは居住まいを正した。
「養女の件、考えてくれたかしら?」
忘れていた。
いや、いつかは聞かれると思って、覚悟はしていた。
「まだ――、よく分かりません」
サニーは正直に、分からないと答えた。
「ま、そうでしょうね」
霊夢も、そう答えるであろうと予想はしていたようである。
「あなたに教えた家事の数々。後は向こうで追々覚えるとして、ここまで出来ればあちらでも問題は無いでしょう」
『あちら』とは、サニーを引き取る家の事だろう。
「召使ではなくて『実の子同様の娘』が欲しいのだけど、家事の技能はあって損はしないわ」
「はぁ……」
霊夢は彼女なりにサニーの事を思い、この花嫁修業モドキをしてあげたようだ。
「後は、相性だけど……。サニーは妖精だから、親子とか家族とかピンと来ないわよね」
「ええ……。人間同様に家庭を持った『同族』の話は聞きますが……」
自然の具現である妖精は、『気が付いたら、そこにいた』というような誕生をする。
生殖行動で子を成すことも不可能ではないが、少なくともサニーにとって、それは親愛や快楽の手段だとしか捉えていなかった。
必然的に、生まれた瞬間に自我を持つ妖精は普通、慈しみ合い助け合う血縁またはそれに匹敵する『絆』で結ばれた『家族』という生活単位を知識以上に理解はしていない。
サニーを養女にしたいと望んだ家庭は、サニーも昔から――数百年前から良く知っていた。
その妖怪の夫婦にサニーは懇意にしてもらっており、確かに、傍から見ると親子のようにも見えたろう。
だが、本物の親子となると――。
その妖怪の夫婦は、子宝に恵まれなかった。
たった一人しか存在しないスキマ妖怪と、
幻想郷の守護神である、元・人間の巫女の夫婦は、
普段から可愛がっている日光の妖精を『娘』にしたいと望んだ。
「結局、フラれちゃったわね♪」
「まぁ、なんとなく、そーなると思ったわ」
博麗神社の鳥居の上。
八雲 紫と博麗 霊夢は、眼下の境内の様子を見ていた。
そこでは、サニー、ルナ、スターと、博麗の巫女が一緒になって池の中を覗いていた。
彼女の先代の巫女から、そこで金魚を飼っていた。
「小煩い親にドヤされるよりも、今は遊びたい盛りなのよ」
「今は、ね……」
霊夢の言葉に、含むところを感じた紫。
サニーが池の中に手を入れると、紅い魚の群れは散り散りになった。
何をしてるんだと、巫女がサニーに怒鳴り、それをルナとスターが宥めていた。
「もう何百年かしたら、また聞いてみるわ」
「その頃には、私達の愛の結晶が出来ているかもよ♪」
境内にチルノと大妖精がやって来て、ボール遊びを始めた。
サニーと巫女は、もう仲直りしていた。
「その頃には――」
霊夢は火照る身体を扇子で扇いだ。
サニーのお酒も、もう少しマシになっているかしら?
家事を教えてくれたお礼だと、
サニーから自家製のお酒を振舞われた霊夢。
キツい『神殺し』の酒で酔い、ボンヤリした霊夢の頭に、
チルノが暴投したボールが直撃した。
思いつきで書いた短編です。
某氏へのリスペクトでもあったりして♪
2013年9月29日(日):頂いたコメントに返事いたしました。
>KD様
二人とも、人ならざる者だからね。
>県警巡査長殿
日の光は、誰にも囚われる事は無かった……。
チルノはさいきょーだが、ノーコンだった……。
>3様
『殿』をつけんか!!
あと、言葉の頭とケツに『サー』をつけろ!!
>ギョウヘルインニ様
「月と星、邪魔ね……」
「鴉天狗がダッチワイフを欲しがっていたわね……」
「「ゲッゲッゲ……!!」」
――のわーんちゃって♪
>5様
投げ返したボールはチルノの脳天に直撃!!
「H〜☆」
>6様
『子はかすがい』と申しまして……。
ペニスを生やした霊夢と紫に、口と秘所を串刺しにされて攻められるサニー……。
>はと様
面倒なら、三月精全員を養女にするのもアリだね♪
サニーは、巫女のヘルプぐらいはするだろうね。
>まいん様
霊夢の神化は私の脳内設定ですけどね。
風の噂だと、コレを投稿した日の近くは、リスペクトした某氏の誕生日だったとか……。
NutsIn先任曹長
http://twitter.com/McpoNutsin
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2013/08/25 18:04:08
更新日時:
2013/09/29 19:51:23
評価:
8/9
POINT:
780
Rate:
17.89
分類
サニーミルク
博麗霊夢
ルナチャイルド
スターサファイア
八雲紫
チルノ(チョイ役)
大妖精(名前のみ)
ゆかれいむ
養子になったら、なったらでまた違った幸せが訪れていたでしょうね。
でも、いつもの『妖精』として過ごすのが彼女にとって一番なのでしょうか。
あと、チルノ。最近某球団の選手が幻想入りしたみたいだから、ボールの投げ方についてご指導を受けた方がいいんじゃないかね。
願わくばルナチャイルドとスターサファイアにも良い未来がありますように。
博麗の巫女になったサニーミルクを一瞬想像。
紅い魚?何の事かしら?うふふ。
オチが秀逸でした