Deprecated : Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/imta/req/util.php on line 270
『小悪魔タクシーただいま休業中』 作者: ギョウヘルインニ
昔々、あるところにテルテルとフジフジという姉妹が居ました。
二人は、大変仲良しでいつもヤンチャに遊んでいました。
しかし、二人の両親である。詠琳が医療ミスをして、慧おとうが子供にしてはいけない教育をしてしまいました。
あっという間に、家は二人の家は衰退して貧乏になってしまったのです。
このままでは、一家全員共倒れになってしまう。それは困る両親はテルテルよフジフジを森に捨ててしまい口減らしすることにしました。
「よし、テルテル、フジフジ、今日は森でピクニックだ」
「やったー。慧おとうとピクニックだ」
「ピクニックは、面倒。家で寝ていたい」
「姫様、たまには外で運動しましょうね」
こうして、二人は両親に連れられて魔法の森に行くことになったのです。
捨てられるなんて露にも思いませんでした。
二人は力を合わせて、この先、生きていくことが出来るのでしょうか?
パチスロ『テルテルフジフジ』〜地獄の森から生還〜
パチュリーはパーラー妹紅でスロットに興じていた。特に今日は裁判と相談の予定は無かったので暇を潰していた。
「全く当たらないわ。この台」
いくら暇つぶしでも、こんなに出ないのは気に喰わない。1パチ5スロだがドンドン1000円札(伊藤)が消えていった。
「パチュリー様、さっき向こうで情報を手に入れてきました」
「何? コア。どういう情報?」
「実は、ここのオーナーの妹紅さんは、この『テルテルフジフジ』に出てくる。テルテルが輝夜に似ていて気に喰わないから設定をきつくしているらしいですよ」
「そういうことだったのね。コアありがとう。あなたのおかげで、豊聡耳を両替しないで済んだわ」
パチュリーは、噛んでたガムをコイン投入口につめるとその場を立ち去った。(なお、このガムは傍で見ていた小悪魔があとでこっそり回収しました)
パチュリーと小悪魔の主従関係が終了したのは今から5年ほど前だが、当時と二人の関係はほとんど変っていない。こうやって、情報を集めてくるのは小悪魔の役目だ。変るのは、このパーラー妹紅の台だけなのかもしれない。
一週間後、パチュリーは霖之助が強姦をして捕まったというので今回も呼び出された。やれやれ、またかと幻想郷駅前に行って(紅魔館から幻想郷駅前までは、スイム、バイク、ラン)小悪魔のタクシーを拾って乗ることにした。
しかし、この日は珍しく小悪魔のタクシーは止まっていなかった。
変わりに最近船を岩盤に座礁させて即日解雇処分になった村紗のタクシーがあったのでそれに乗り込んだ。
「裁判所まで、頼むわ。もうすぐ、レミリアが赤ちゃん産みそうなの」
全くの嘘だ。タクシー屋さんがわざとゆっくり走ったり、遠回りして時間をかけないようにするためのやさしくも残酷な嘘だ。
「お客さんなんていつ振りだろう?」
だいたいの人が飛べる幻想郷はタクシー業界は既に死に体だった。
「裁判所に行くって事は、小悪魔の裁判?」
レミリアのお産って言ったのに、普通に裁判するとばれていた。名が売れると、こういう嘘もつきにくい。
「違うわ。また、霖之助が捕まったの」
「なら、やっぱり。小悪魔の裁判だ」
おかしなことを言う村紗だが、それに気付くとパチュリーは嫌な汗が出てくるのが分かった。
「お願い! 本当に急いで! 早く!」
「仕方ないね」
村紗はハンドルのわきに付いているスイッチを押した。
すると、外国のタクシーに標準装備されているターボ的何かが発動して加速したのだった。
裁判所の片隅にある医務室、ここでは映姫が雇っている医者(永琳)と患者(雇われ患者)に混じって小悪魔が入院していた。
パチュリーは、心配しながら寝込んでいた小悪魔に話しかけてみた。
「コア! 大丈夫?」
「……あ? パチぅ」
ベットから小悪魔は起き上がったが何か様子がおかしい。
「パチぅ?」
「パチ! パチ!」
嬉しそうに、小悪魔は手をパチパチ叩きながらそんなことを言った。
「コア? どうしちゃったの?」
小悪魔はその風貌に似合わぬ幼い動作で指をしゃぶってみたり、また手をパチパチ叩いて遊んでいる。もう、パチュリーは小悪魔がどういう状態か気付いているが認めたくない。
「森で捨てられているのを、見つけたときにはもうこんなでした」
様子を見ていた永琳がパチュリーに話しかけてきた。
「永琳、あなたは月の頭脳なんでしょ? これは、どういうことなの? あなたなら何でも治せるんじゃないの?」
「精神的な病は、直すことが出来ますが。それには、凄くお金がかかりますよ」
「いくらだって言うの?」
パチュリーは払える額なら立て替えてあげてもいいと思っている。
「3億円です。それで、小悪魔を直す生薬が買えます」
余りにもその値段は高かった。富くじでも当てない限りそんな額は払えない。
「とても払える額じゃないわ」
「まあ、精神的病ですから時間が解決するんじゃないですか?」
淡々と永琳が言うのに、パチュリーはイライラしたがそれ以上何も言えなかった。
世の中はお金がないと生きていくのは難しい。
「ナイフで、コアを脅して強姦したのね」
霖之助は捕まった後に尋問という名目の拷問を受けていて調書が取られていた。
その、調書を見ながらパチュリーは霖之助に話しかけた。調書の内容は死刑に匹敵するものだった。
今回これをどうにかして無罪にしないとならない。
「確かに、僕はリトル君を」
「コアのことを気安く呼ばないで」
「……小悪魔君を確かに僕は犯したよ。だから、なんだい? ちゃんと、同意の上だったんだからいいじゃないか」
調書によれば怖がる、小悪魔にナイフを突きつけて無理やりうなずかせたとなっている。それが同意になるのなら今すぐパチュリーは霖之助を同じ方法で自殺させたい。
しかし、二人の間にはアクリル板があってそれが出来なかった。悔しかった。嗚咽を漏らしながら、目前の強姦魔を罵りたい。
「ふざけないで、コアがあんなに傷ついておかしくなっているのに良く言えたものね」
「……君だって、小悪魔君には酷いことをしてきたんだろ? 僕は知っているよ」
拷問されて顔が腫れている霖之助は少し痛そうにしながらニヤニヤ笑った。よっぽど何か面白いことをしているのだろう。
「何を言っているの?」
「小悪魔君が、個人タクシーを開業しようとした時に酷いことしたんだろ」
さらに気持ちの悪い微笑を浮かべながら、霖之助は残った片目でパチュリーのことを舐めまわすように見た。片目は殴られたさいに、眼鏡が割れて破片が入って失明している。
「知らないわ」
「ふうん? タイヤをパンクさせたり、ボンネットにトイレに捨ててあった生理用品をぶちまけたりしたって聞いたけど?」
他にも鼠の死骸をトランクに入れといたり、排気口にゴミをつめて蓋をするなどたくさんの嫌がらせをした。
「う! 何でそのこと知っているの? そのことは、美鈴しか知らないはずよ」
今から、五年前に小悪魔がパチュリーから独り立ちしようとしてタクシー業者を始めた。しかし、いきなりのことだったの裏切られたと感じた。
だから、今言われたことを紅魔館の駐車場に止めてある小悪魔の車(ドイツの高級車)にこっそり秘密に美鈴にやるように命じたのだった。
でも、色々嫌がらせされた車の前で座り込見ながら涙ぐんでいる小悪魔を見たパチュリーは自らの間違いに気付いた。それからは、一転して応援することにしたのだった。
「だから美鈴から聞いたんだ。今の彼女は何でも教えてくれるからね」
「どうして、霖之助が美鈴から話が聞けるって言うの! あの娘は命蓮寺に居るんじゃ?」
「命蓮君とは懇意の仲でね。これだけで、小賢しい君なら分かるだろ?」
変態は変態同士引かれ逢うのだろう。ケダモノ二人は出会い意気投合した結果、命蓮が10億で販売している美鈴と関わる機会があったのだろう。
もう、美鈴は汚されきっているのかもしれない。まあ、そんなことはどうでもいいのだが買い戻して紅魔館の秘密を知りすぎている美鈴を口封じするまでこれ以上余計なことを喋られるのは困る。
「……着手金が120万、裁判に勝っても負けてもあなたの財産から50パーセントを貰うわ」
「ずいぶん、着手金が高いけどそれだと、僕は小悪魔君に君の昔の事を話してしまうけどいいのかな?」
「着手金30万でいいわ」
「そうだね。それくらいが妥当だろうね」
最低野郎にパチュリーは屈服するような気持ちになったが今は堪えるしかなかった。
そして、裁判が始まった。
「パチュリーさん、今日は私に何をくれて接待してくれるんですか?」
映姫は、既に何かくれると確信していた。その内容によって、死刑にするか、しないかが決まってしまうのだった。
「待って、その前に私が捏造した証拠のテープを聴いて」
パチュリーは、弁護士のはずなのに霖之助を陥れる為の証拠を捏造して準備していた。
「捏造したんですか? そんなの証拠としての価値は無いし。偽証になるんじゃないんですか?」
「これは、裁判だけどそんな堅苦しいことよりも、今はこの変態を陥れて社会的に抹殺してから無罪にしてほしいの」
「意味が良く分かりませんが、まあいいでしょう」
そうして、証拠のテープが再生されて、スピーカーでそれがながれ始めた。
『ふえええ、やめて下さいぃ』
『あんまり、僕の言うこと聞かないと乳袋をこのナイフで破いちゃうけどいいのかな? ん! いいのかな? ん? ん?』
『うぁあ』
バァサ、衣擦れならぬ羽ずれの音。
『それは、肯定かい? リトルくぅ〜ん』
『ヒック、ヒック』
嗚咽、泣いている。小悪魔は泣いている。
『泣いているのか。よっぽど、辛いんだね。気に喰わないね』
『お願いしまぅ。許してぇ』
絶望的な声。
『ははは、何を許すのかな?』
捏造証拠のテープはここで終わった。
「……死刑。今すぐ死刑!」
映姫は捏造証拠だと分かっていても、変態男の非道を許せなかった。完全にパチュリーに乗せられてしまったのだった。
「待って、私も死刑には反対じゃないけど。一応、言い訳させて。それから、このレイプ魔を無罪にして」
全裁判所が一斉に、死刑に賛成だった。パチュリーも、死刑で良いと思っている。しかし、仕事だから無罪にしなくてはならない。ここからが本当の裁判だった。
「パチュリーさん。たまには仕事を休んでも良いんじゃないでしょうか? あなたは、普段から頑張りすぎている」
今度は映姫は沈痛な面持ちで、パチュリーの近くにやって来て耳元でそう囁いた。仕事を休めなんて、映姫らしからぬ発言だったが至極まじめだった。
まじめに働くことの愚かしさを映姫は悟った。
「そういうわけには、いかないわ」
そうして、今回もパチュリーは切り札を出した。また、とある同人誌だ。少し古いその同人誌には、映姫の知られたくない過去が表紙で飾られていた。
それを見た瞬間に映姫はパチュリーからその同人誌を取り上げてしまった。
「それ、映姫に上げるわ。まだ、布教用と鑑賞用があるから」
「……無罪。無罪です。パチュリー、こんなことで勝てて嬉しいですか? 私は貴女を侮蔑します。さっさと、その変態を連れて出てって下さい」
映姫はうんざりした表情で置くの部屋に引っ込んで行った。暫く誰にも会いたくない。排水口絵板でも眺めて何かとんちの効いたコメントでも投稿しようと思った。
こうして、パチュリーは屈辱的な勝利を勝ち取ってしまったのだった。
開放された霖之助は外の空気を大きく吸って吐いた。もう使えない空気がこの地上に増えてしまった。
そして、パチュリーが医務室に向かうのを見つけて話しかけた。
「僕は気付いたんだ。どうして、僕がいつも女の子に酷いことしちゃうのは、捕まって君に逢いたいがためだったんだ」
「何を言っているの?」
渾身のハアァ?っていう表情に気持ちにパチュリーはなった。
「僕は、君に特別な感情を抱いていたんだ」
「ふざけないで! ふざけないで!」
ゴスッと音がしたと思ったら、霖之助は腰から砕け落ちた。パチュリーが、思い切り霖之助の股間を蹴り上げたのだった。
「うぅ、痛いよ」
「クズで変態の霖之助にはお似合いの光景ね」
気を失った変態に唾でも吐きかけてやろうかと思ったが、こんな奴にしても唾がもったいないだけだとパチュリーは思いとどまりその場を去ったのだった。
パチュリーはその後、小悪魔に会いに医務室に向かった。
しかし、そこには小悪魔居なかった。
「コア? 何処に行ってしまったの?」
窓際、部屋の隅、屋上天井裏に井戸の底を探したが小悪魔は居なかった。
「パチュリーさん、小悪魔さんならさっき退院していきましたよ」
やはり、様子を見ていた永琳がやれやれといった感じで話しかけてきた。
「どういうこと?」
「命蓮さんがさっき治療費の3億払ってくれました。だから、小悪魔さんは直ったんです」
良かったはずなのに、嫌な予感がパチュリーの頭の中をよぎった。
「それで、小悪魔は今何処にいるの?」
「さあ、治療が終わった後に、命蓮さんに連れられてどこかに行ってしまいましたから分かりません」
事務的に言ってのける、永琳が何か怪物のようにパチュリーには見えた。
「貴女、命蓮がどれだけ変態か分かっているでしょう? 何で連れられていくのを止めなかったの?」
「私の仕事は患者を治すことですよ。人のプライベートにまで首を突っ込みたくありません」
やはり、淡々と事務的な永琳だった。おそらく血も涙も全て蓬莱の薬なのだろう。
「ごめんコア、私にお金が無かったばかりに」
パチュリーは、どこかに行ってしまった小悪魔に向かって謝った。
早くお金を集めなくてはならない。
優雅は滅びようとしていました。未来永劫滅びることなどないと思われて居ましたが、時代はいつも残酷で優雅だけには微笑むわけではないのです。
早苗さんが全部悪いのです。あれほど、諏訪子に優雅の箱を開けてはいけないといわれたのに開けてしまったせいなのです。
漏れ出す優雅を早苗さんは飲み込もうとしましたが、飲み込めたのは人一人分でした。
あとは、地平線の彼方に消えて行くような感じで、霧散していったのです。
それからの、優雅はここのところ地方で力を付けてきた最新鋭に押されて山に逃げ行ったのです。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2013/08/28 13:22:14
更新日時:
2013/08/29 19:12:52
評価:
8/8
POINT:
800
Rate:
18.33
分類
小悪魔タクシー
パーラー妹紅
悪は悪らしく、小さな悪を踏み潰し、同等な悪と形ばかりの同盟を結び、巨大な悪を陥れて、金という分かりやすい点数を稼げばいいさ。
運が良ければ、救いたい人、消したい人ぐらいなら手中にできるかも。
産廃合同誌というと、映姫様の解体ショーが載っているヤツがありましたね♪
優雅と最新鋭が不毛な争いをしているこの乱世。
人々の救いになるのは、やはりほのぼのか……。
優雅の栄光を再び
パッチェさんは自覚してないけど間違いなく偽善者、美鈴を犬畜生のように扱い悪法に加担しながらも霖之助の悪行には正義心を燃やすダブルスタンダードっぷりが最高に心地良い。