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『新作は一週間レンタルできません。優雅でも駄目です。』 作者: ギョウヘルインニ
早苗さんは、レンタルビデオを借りてそのまま延滞していたことを先週の金曜日思い出した。
またそれから、どうでもいいやと忘れてしまった。
そうして、再び早苗さんはレンタルビデオのことを思いだした。
だいたい、3ヶ月前くらい延滞しているからお金がたくさん無いと足らない。
こんなことは、優雅な早苗さんに許されることではない。
そうか、分かった。これは異変だ。
どこかの悪しき妖怪もしくは封印されていたほのぼの見たいなのが、優雅に宣戦布告してきたのだと早苗さんはさとった。
早苗さんは、この異変を解決して犯人にビデオの延滞金を払わせるために神社を飛び出し西の空に向かって優雅に飛び立った。
もしかしたら、ビデオを返すかも知れないからビデオを袴の穴に突っ込んで、愛用の偽お払い棒を持って準備万端だった。
しかし、飛び立ったものの手がかりが全く無いこの状況でどう異変を解決しなければならないのか分からなかった。
早苗さんは考えた。優雅である自分が延滞してしまうほどだから他にも被害が出ているに決まっている。
延滞されて一番困っているのは、レンタルビデオショップに違いない。
そこで、早苗さんは幻想郷駅前にある妹紅が経営しているレンタルビデオショップに向かった。
幻想郷駅前、退廃したこの街を象徴しているようだった。排気ガスで澱んで、たまに降る雨は酸性で公女レミリアの像を溶かした。
この話には関係ないけれど。
「早苗、早くビデオ返して」
「妹紅さん。これは異変ですよ」
「異変?」
「そうです。この私が滞納するなんてこれは異変です」
「いいから、早くビデオ返却と滞納金を払って」
「今、滞納金っていいました?」
「うん、滞納金」
「普通、延滞金って言いませんか?」
「そういうの、いいからお金」
「害されてる、やられてる。犯されている。なのにまるで危機感が無い。レンタルビデオショップの店長が初歩の初歩を間違えるなんて」
妹紅はレンタルビデオ店のスペシャリストなのにそれを騙すなんておそろしい。
「何を言っているの?」
「この異変の犯人は、とんでもない大物かも知れませんね」
「ちょっと、何処に?」
店長の妹紅からヒントを得た早苗さんは、新譜の棚に見たい新作が無いことを確認すると、優雅に自動ではないドアを開けて飛び立った。
結局、ビデオも返却しなかった。
大物、早苗さんの中では、異変の犯人だということになった。そうなると、犯人は絞られてくる。
早苗さんの基準では大物は、霊夢しかいない。つまり、霊夢を斃して延滞金を払わせるしかない。
強大な敵の前に、早苗さんは持っている偽お払い棒をにじんだ汗のせいですべり落としそうになった。
早苗さんは今や幻想郷1、2を争う実力者だと優雅に自負しているが、霊夢の前では優雅は無効化してしまう気がしてしまうような気がしてつらい。
それでも、面子があるから早苗さんは優雅に博麗神社に向かったのだった。
神社の上空に到着すると、霊夢と魔理沙が縁側でお茶を飲んでいた。
この距離では本当にお茶なのかは実際のところ分からない。もしかしたら、酒かもしれない。
そんな二人の前に早苗さんは降り立った。
「霊夢さん!」
「よう、早苗」
「魔理沙さんにようはありません」
「え?」
パァンと乾いた音と共に、早苗さんは平手で魔理沙のほっぺたをはたいた。
そして、ズサっと魔理沙は地面に倒れた。ほっぺたをおさえながら早苗さんを睨んだ。
しかし、まったくその涙がにじんだ表情では睨んでも効果がない。
「……失せてください」
「くそ、おぼえていろよ」
魔理沙は、転げている箒を掴んで逃げていった。
「ううん? 何かよう早苗? 魔理沙にほのぼのすると偽って、得体の知れない正体不明汁を飲ませて実験しているところだったのに」
「霊夢さんが異変を起こしていることは、もうばれているんですよ」
早苗さんは、優雅と勇気の力を借りて霊夢に正面から向かった。
「異変って、そんなことしてないけど」
霊夢はいつもどうり、私には無関係って顔している。と、言うよりも全く今の状況を理解できてないといった様相だった。
「私の推理では、犯人は霊夢さんしかありえません」
「ああ、何か私しかありえないことがあったのね? そうよ、1億円落としたのは私よ。早苗が見つけてくれたのね。1割あげるから残りの9千万置いて行って」
霊夢は考えた。この間、一億円持っているような気がして、いつの間にかその一億円を落としてしまったのではないかと想像したのだった。
そんなわけないと分かっているけどね。
「違います。レンタルビデオショップの異変です」
「え? 何かいい新作でも有ったの?」
いい新作が有ったらこんな血相変えて早苗さんは神社に来ないだろう。
大方、ろくでもない妄想にとりつかれて神社に来たのだと霊夢は気付いた。
「霊夢さんが犯人ですよね。延滞金払ってください」
「なんだか、分からないけど。私にお金を払えって言うのね」
「そうです。異変を起こした者の受ける当然の報いです」
「お金払えと」
霊夢にお金払えは禁句だった。それを早苗さんが思い出したときにはもう早苗さんの命が少ない時だった。
そして、早苗さん自信が自分の推理が外れているときにもう遅かった。
霊夢が動き出す前に偽お払い棒を構えたが遅かった。
針が早苗さんの腹部に迫ったところで早苗さんの意識は失われたのだった。
後日
早苗さんは病院のベットで眼を覚ました。
あの時死んだと思った早苗さんを救ったのは、延滞したビデオだった。霊夢の投げた針は腹部に当たったが、丁度ビデオが入っていたところで助かったのだった。
そんな、奇跡があるのだろうかと、自分の能力を忘れていた早苗さん。
ふと、このお話の分類を見るとほのぼのが先頭に来ていた。
今度、魔理沙に謝らなくちゃと思った早苗さんのところに、レンタルビデオショップから督促状が届いたのだった。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2013/09/29 13:19:45
更新日時:
2013/09/29 22:36:46
評価:
6/7
POINT:
600
Rate:
17.86
分類
ほのぼの
早苗
霊夢
魔理沙
妹紅
誰も死なない